【完結】眠れぬ異界の少年、祓魔師の愛に微睡む

丑三とき

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続編その①〜初めての発情期編〜

8.発情③

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————————side Haruomi————————

フレイヤさんはテキパキと動けなくなった僕を綺麗にして、シーツを新しいものに変え、僕の精液でぐちゃぐちゃになった彼の服たちを洗い、僕を綺麗になったベッドに寝かせ、綺麗に土下座をしてきた。

「本当に、すまなかった、この通りだハルオミ……!」

「…………」

なぜ彼が謝っているのかというと、正気を取り戻した僕に連続で3回、計4回のセックスに及んだからである。
しかもその一回一回が濃すぎて……。

ちなみに4回というのはもちろん彼が達した回数で、僕は数え切れないくらい、本当に冗談抜きで壊れるかと思うほど果て尽くした。

「……僕が、『もう一回しよ』って言ったからさ、それは僕のせいだけどさ、何回もすると思わないじゃん」

「ほんっとうに、私が止まれなくなってしまったばっかりに…これほど自分に自制心が無いと思わなかった。ハルオミ、君に無理をさせた。本当にすまない」

彼はまた綺麗に頭を下げる。


確かに4回はスゴかったけど。
けど僕は全然怒ってない。怒ってないけど……めっっっっちゃ、恥ずかしいんだもん!!

発情期がこんなだとは思わなかった。
視覚も嗅覚も聴覚も、全部が性感帯になったみたいで、フレイヤさんの姿を見るだけでゾクゾクしちゃうし、声を聞いただけで何度かイってしまった気がする。

しかも痛くされたいとか酷く抱いて欲しいとか本気で思っちゃった。正気に戻った今ではそんなのあり得ないし、やっぱり優しいフレイヤさんが良いって思うけど、してる時は「やめて」って言っても激しく突いてくる彼にとってもゾクゾクした。

改めて思うとそんな自分が恥ずかしすぎて……。


でも、床に膝ついてシュンとしているフレイヤさんを見ると、いつまでも拗ねてるフリするのは申し訳ないなと思う。

「フレイヤさん、顔あげて」

「ハルオミ……」

「……怒ってない」

「ほ、本当かい?」

「うん……でも、恥ずかしくて…あんな風になるなんて、これからしばらく、僕、毎日そうなっちゃうんでしょ?」

「……一回の発情期は、だいたい5日~7日ほど続くらしい」

5日~7日……

「ハルオミ?」

フレイヤさんは腰を上げてベッドに近づき、僕の顔を覗く。

「いやらしいことたくさん言って、それだけじゃなくてはしたない姿たくさん見せて、僕が僕じゃ無い感じがした。……これから毎日そうなるの……フレイヤさんに、『変』って思われたら、どうしようって…」

発情期は、情緒不安定になるらしい。
なんでもないことなのに、涙がすぐに流れてしまう。

そんな些細なことにも自己嫌悪を感じていると、フレイヤさんはガバッと力強く僕を抱きしめた。

「変だなんて、私が君に思うはずがない。どんな姿だって愛おしい。言っただろう、発情する君に興奮してしまったと。罪深いのは私のほうだ」

「ちがう…フレイヤさんは、僕を助けてくれた。フレイヤさんが来てくれて安心した。1人で、どうにかなってしまいそうだったから……」

「そうか。それなら良かった。どんな姿でも安心して私に見せてくれ、どうか怖がらないで。どんなハルオミも、私にとっては愛おしくてたまらないただ1人のハルオミだ」

「うんっ……ありがとう…」

僕たちはしばらく抱きしめあって、お互いの温もりをしっかりと感じ合った。



4回もしてしまったのでもう時間は夜遅くなっているけれど、僕の発情がおさまっているうちに、と、フレイヤさんはクールベさんを呼んだ。

体に異常は無いか、症状に問題は無いか、きちんと健康状態を把握しておかないと、元は異世界人である僕の体には何が起こるかわからないらしいのだ。

クールベさんは部屋に入るなり、

「無事に1度目の発情期が訪れたみたいで安心したぜ」

と安堵の声を上げた。

「クールベさん、夜遅くにすみませ…っ」

起き上がってお礼を言おうとすると、腰がずんっと重くなり、体が思い通りに動かなくなった。

「あーいい、いい、そのままで、体辛いだろ」

セックスしすぎて腰が重くて動けないなんて……今僕の顔はさぞ赤いだろう。

「すみません、僕……」

大事な甥子さんに、すみません。と言いたかったがそれはそれで恥ずかしいので何とか堪えた。

そんな僕の様子を察してか、クールベさんがいつもの調子で笑った。

「ハハっ、気にすんな、発情期ってのはそういうもんだ」

「そ、そうですか……」

「それより無事に来て本当に良かった。もう少し遅いようなら促進剤を使おうと思っていたが、ギリセーフだったな」

「促進剤?」

首を傾げると、今度はフレイヤさんが説明してくれた。

「番になって1度目の発情期が訪れるタイミングは、人によって異なることは説明したね?  ただ、それにしてもハルオミの発情期が中々来なかったから心配だったんだ。そしたらクールベ叔父上とウラーが、もしもの時のためにと促進剤を調合してくれていたんだよ」

「そうだったんですね」

「ただ、番の存在自体が少ねぇからな。文献も資料も少なくて促進剤も効くかどうか分からない。ま、無事自然に発情できて良かった」

「そこまで気にかけてくれていたなんて……ありがとうございます」

「気にすんな、それより……どうだ?」

「!?、え、ど、どう…って、えっと」

先ほどまでの情事を思い出して顔から火を吹き出しそうになっていると、

「馬鹿、んなこと聞いてねぇよっ!!  体調の方は問題無いかって意味だ!」

と、クールベさんが呆れた声を上げた。

「あ、すすすすみません、そうですよね、えっと……大丈夫です」

恥ずかし。いや、発情期の診察だからある程度恥ずかしいのは覚悟してたけど、勝手に思い出して照れちゃった。

「なら良かった。人によっちゃ吐き気が止まらなかったり具合が悪くなったりすることもあるらしいが、それは無いか?」

「あー…んーと、最初は少し熱っぽくて、風邪ひいちゃったのかなって思ったくらいです。それはそんなに辛くなかったんですが…情緒不安定になっちゃうみたいで、発情期は泣き虫になってしまいます」

「なるほどな、ホルモンバランスが崩れて精神的にも不安定になりやすいのも、発情期の症状だ。フレイヤ、しっかり見てやれよ」

「はい」

泣き虫になっちゃうのは情けないけど、フレイヤさんが優しく頭を撫でてくれたり、大丈夫だよと言ってくれるだけで胸がはちきれそうなほど幸せな気持ちになる。だから発情期の間は、思いっきりフレイヤさんに甘えちゃおうと決めたのだ。

自己嫌悪にばかり陥っていないで、彼の愛をしっかりと独り占めする。

まだどんな症状が出るか分からなくて怖いけど、フレイヤさんがそばにいてくれたら絶対に大丈夫。

「ハルオミ君、なんか幸せそうだな」

「ふふっ、はい、幸せです」

クールベさんは「くぁーっ、若いってイイなぁ!」と言いながらフレイヤさんの背中をバシバシと叩く。

そういうクールベさんもだいぶ(見た目が)若いけどね。

「んで?  それ以外に変わったことは無いか?  以前みたいに魔力が放出してぐったりするとか」

「それは大丈夫です、問題無いです」

「そうか、ならいい。だとすると、残りの問題は発情の頻度だな」

「頻度?」

「ああ、番との"一度の性行為"で発情は一旦おさまるが、おさまった後にどれくらいの間隔で再び発情するのか、ってことだ。このサイクルが長ければある程度生活に不便は無いが、短ければ短いほど、番が付きっきりで相手してやらなきゃならん。お前ら、今ヤッてどんくらいだ?」

「「…………」」

……僕たちは、同じことを考えているのか、黙って考え込んでしまった。

「おい、恥ずかしがらずに答えろよ? これは診察だぞ」

「いえ…それは分かっているのですが……クールベ叔父上」

「何だ?」

「"一度の性行為"とは……その、どこまでを"一度"と…?」

「………」

フレイヤさんの質問に対するクールベさんの視線に耐えきれず、僕は顔を両掌で覆った。


「フレイヤ……お前……ハルオミ君に何をしたぁ!」

「申し訳ございません!」



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