【完結】眠れぬ異界の少年、祓魔師の愛に微睡む

丑三とき

文字の大きさ
116 / 176
続編その①〜初めての発情期編〜

24.役割

しおりを挟む


ウラーさんの話題に夢中になっていて大事な大事なお鍋から気がそれていた。ギリギリの所で火を止め、小豆をザルにあげて水気を切る。

「おや、それはもしや昨日の熱愛デートの際に手に入れた食材ですか?」

「もう、ウラーさんまで!」

「ハハハッ、執事はみんな新聞読むもんな!  勤勉だから。今日の一面最高だったよな~」

しかも一面だったの!?

「ええ。ここへ来る途中も、町中では皆様ハルオミ殿とフレイヤ様の話題で持ちきりでしたよ」

「ななな、何の話題!?」

「もちろん新聞の件で。意外とハルオミ殿が嫉妬深いという声もチラッと耳にしたような……昨日、何をされたのです?」

ウラーさんは興味津々に聞いてくる。

「べ、別に大したことは……ただフレイヤさんが周りの人たちに見られてたから、『フレイヤさんは僕のだって分かってる?』って聞いただけ」

「それはそれは……!!  素晴らしい心がけです」

パチパチパチパチ、と、なぜか拍手を始めたウラーさん。

「ハルオミ殿はフレイヤ様のたった一人の側仕え!  その独占欲、もっと出していきましょう」

「え、い、いいの?」

「勿論良いに決まっています。そうすることであなたの側仕えとしての格はさらに上昇し、フレイヤ様の理性もさらに崩壊し、より強い魔祓い師へとご成長されることでしょう!  そしてこの地は未来永劫安泰へと導かれるのです」

なんか、ウラーさん怪しい教祖様みたい。拳をグッと握り込み、演説のように説いてくる。

そういえば出会った頃の彼も僕を側仕えにすることに必死だったな。フレイヤさんに手を出させるため、一緒になって試行錯誤した日々がよみがえる。今となってはいい思い出だ、懐かしい……。

「ふふっ。相変わらず、ウラーさんは側仕えのことになるとハイテンションになりますね」

「当たり前でしょう!  魔物に襲われたことのある者なら、いえ、襲われたことなど無くてもその脅威を知る者なら誰だって魔祓い師のご活躍を望みます。そのご活躍に側仕えは欠かせない存在なのです。が……私の伴侶はせっかく祓魔家の一族として生を受けながら、魔物を祓うという使命なんて知ったこっちゃないと言わんばかりにのらりくらりと……私は側仕えの印章を受けてはおりますが、彼が祓魔業を放棄している為正式な側仕えではない。ですからあなた方のご尽力には、こう見えて頭が上がらないのですよ」

ウラーさんは僕たちに目配せをしながら微笑む。
そうか、ウラーさんも僕たちと同じ印章に魔祓い師の魔力が流れている、つまり側仕えのような役割は果たしている。けどクールベさんは魔祓い師ではないから、従ってウラーさんも側仕えではないのだ。

そして、ウラーさんは魔物に襲われたことがあると言っていた。あまりにも平和な日々を過ごしていて忘れそうになっていたけど、この世界では魔物は人間にとって恐怖の対象であり命を脅かされている。

だから僕がフレイヤさんと仲良しであることは、彼らにとって平和と直結するのだ。

そりゃ、注目されて然るべきだよなあ。

あまり恥ずかしいなんて思わずに、ウラーさんやイザベラの言う通りもっと堂々としていた方がいいのかもしれない。……ちょっと時間はかかると思うけど。

側仕えの何たるかを説くウラーさんに、パネースさんが言った。

「ウラーさんに言われると、なんだか気が引き締まりますねえ。現当主の妃として、私も頑張らなくては」

「そのいきですパネース殿!」

パチパチパチ、と再び拍手を送るウラーさん。

僕は改めて、自分の存在がこの国の人にとってどれだけ大きいかを思い知らされた。でも、僕なんかに役目を果たせるだろうか、なんていうネガティブな気分には全くならない。

僕にしかできないことは、フレイヤさんをめいいっぱい愛すること。その幸せが少しでも国の人たちに届けばいいと思った。

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

ユッキー
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。 ✻✻✻ 2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

処理中です...