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続編その①〜初めての発情期編〜
30.独占欲と不安
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フレイヤさん達は、夜は通常通り戻って来た。
色々聞きたい事はあるけれどお腹が空いているだろうからひとまずご飯を済ませて、お風呂にも入って、寝る準備を整えてから話を聞いた。かなり大変そうな様子が伝わって来た。
「フレイヤさん、今日はお昼忙しかったみたいだね。どこかに応援に行ってたんでしょ?」
「ああ、南の地まで応援に行っていたんだ。心配をかけたね」
「もしかして、その魔物ってステージ5とか4の強いやつ……?」
「いや、ステージは3だったから強さ自体はそうでもなかったんだけど、何せ珍しい魔物でね。すばしっこいやら姿を消すやらで手こずっていたから、各地から魔祓い師を集めて人海戦術で片付けようという話になったんだ」
「姿を消す魔物なんて居るんだ……そんな無敵な魔物をよく倒せたね」
「結局、ビェラが大量所持していたイザベラの爆弾で何とかなったよ」
「イザベラの爆弾! へぇ~やっぱすごいんだねイザベラ!」
「姿を現した瞬間に、やけになって手当たり次第爆発させていたからね。ビェラのせいで私たちも巻き込まれるところだった」
「魔物を倒すための爆弾で怪我しちゃったら元も子も無いもんね。みんな無事で良かった」
「それにしても、頑張った後のハルオミの『おはぎ』は体の芯から癒えた。今日はウラーにも手伝ってもらったんだってね。彼ともゆっくり過ごせたかい?」
「過ごせた! 普段できない話もたくさんした。フレイヤさん達が午後のお仕事に行った後はイザベラの部屋に集まって過ごしたんだ。あのね、ウラーさんって寝起きが可愛いんだよ」
「寝起き? 彼のかい?」
「うん、今日ウラーさん寝不足だったらしいから料理中お昼寝してもらったんだけど、起きた直後もずっとむにゃむにゃ言ってて、目がトロンとしてて、ぽけーって遠くを見つめるの」
「ハハっ、普段のウラーからは考えられない姿だな」
「でしょ? だから僕もイザベラもパネースさんもキュンキュンしちゃってさ、ウラーさんのこといっぱい撫で撫でしたんだ~」
フレイヤさんは僕たちの様子を想像しているのか、微笑ましく目を細めて言った。
「非常に微笑ましい光栄だな……写真にでもおさめてクールベ叔父上に届けてあげたかったよ」
フレイヤさんの提案もグッジョブだけど、それ以前に僕の耳は『写真』という言葉に機敏に反応した。
「写真!!」
「……写真?」
僕はフレイヤさんの服の裾を掴んで訴える。
「聞いてよ! 昨日僕とフレイヤさんがデートしてるとこ、新聞に載ってたんだよ? ムニルさんのお店の前で抱きついてるところがバーンと一面に!」
「おや、君も見たのかい」
「え? フレイヤさんも知ってたの?」
「勿論。兄さんとビェラに忠告を受けていたからね、デート中は周囲に気を張っていたんだ。けどせっかくの休日に君の隣を歩いているのに気を張るのも良くないと思ってね。いっそのこと見せつけてやろうと」
「……ん? え? それってデート中に、既に撮られてるの気づいてたってこと?」
「ああ。大通りにもムニルの店にも市場にも、怪しい動きをしているものが数人いたからすぐに分かった」
な……なんとこの男、分かっていながら写真を撮られるためにわざと……?
「気づいていたなら言ってよ! あんな写真が町中に配達されるなんて、考えただけで恥ずかしいじゃん!」
「すまない、周りを気にさせてしまうとハルオミが楽しめないと思ったんだ。だが、突然記事が出て驚かせてしまったね、あらかじめ言っておくべきだった。ごめんよハルオミ」
フレイヤさんは眉を垂らして僕を抱きしめ、とんとん背中を叩いて宥める。こうやって抱きしめられているのがすごく大好きで、耳元で聞く声もすごく大好きで、これは間違いなく、僕だけの特権だ。そうだ、この無自覚男前魔祓い師が僕のものだって見せつけると意気込んだじゃないか。
ちょっと写真撮られて全国に広まったくらいでなんだ。フレイヤさんを誰にも取られないようにこれからもいっぱい主張していかなきゃいけないのに、へっぴり腰になっていてどうするハルオミ!
「ううん、いじけちゃってごめんなさい……そうだよね。別に撮られたってへっちゃらだよ。逆にフレイヤさんが僕のものだって、全国民にアピールできるからいいもん!」
「おや……あんなに恥ずかしがっていたのに。ハルオミは優しいね」
「優しさで言ってるんじゃないもん。本気だよ! 昨日デートして改めて思った。フレイヤさんはかっこいいから、周りからキラキラした目で見られてた。例えばフレイヤさんが魔祓い師じゃなくて一般市民だったとしても、絶対みんなにキャーキャー言われてたと思う!」
「そんなことないよ」
「ある! フレイヤさん鏡見たことある? あのね、こんなにすーっと鼻筋が通ってて目もくっきり切れ長で、クールビューティとワイルドを兼ね備えてるんだよ?」
「クール、ワイ、ん……?」
「それでいて優しくて、いつも暖かい言葉や僕の欲しい言葉をかけてくれる。ただでさえみんなから狙われちゃうのに、これで全国屈指の魔祓い師ってもう……大勢の人から好意を寄せられちゃって当たり前だよ……。でも僕、負けない! フレイヤさんのこと僕が守る!」
フレイヤさんを悪い無虫から守るため、拳をギュッと握って意気込む。
「君が私を、守ってくれるのかい?」
僕はフレイヤさんを力一杯ぎゅっと抱きしめた。
「いつどこでフレイヤさんを狙ってる人がいるか分からないからね。僕がこうやってしっかり捕まえててあげるから、どこにも行っちゃダメだよ? 僕だけのフレイヤさんで居てくれる……?」
「勿論だ。私は君だけのものだ。ハルオミ……手が少し震えている。意気込んでくれるのは嬉しいけど、何か気がかりなことがあるのかい?」
「………なんでもない」
「本当のことを話して? 私は君の全てを知りたい」
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