【完結】眠れぬ異界の少年、祓魔師の愛に微睡む

丑三とき

文字の大きさ
121 / 176
続編その①〜初めての発情期編〜

29.お庭でランチ

しおりを挟む





四人でのお茶会はそれから数時間続いた。しかし時間が経つにつれ中々フレイヤさんたちが帰ってこないことに心配になり、皆で中庭に移動した。外に出たからって状況が分かる訳では無いのだけど、なんとなく気持ち的にソワソワしていたのだ。

結果的に無事帰ってきたフレイヤさん、ニエルド様、ビェラ様から、「他の地へ応援に行っていていつもより戻る時間が遅くなっただけだ」と聞かされ、ほっと胸を撫で下ろした。

また、ちょうど庭に四人でいたところに三人が帰って来たのでピクニックみたいな雰囲気になって、せっかくだからということでお庭でランチをした。

「しかしみんな揃ってお出迎えしてくれるなんて嬉しいな~」

ビェラさんがニコニコ嬉しそうに言うと、イザベラはぷくっと頬を膨らませて「別に出迎えた訳じゃねえし。いつもより遅いから気になっただけだ」と反論した。

「そっかそっか、心配してくれたんだね。イザベラは優しいね」

「別に心配なんかしてない!」

それ、多分ビェラさんにとっては可愛いだけだぞ、イザベラ。
案の定ビェラさんはイザベラの反論にもにっこり目を細め、微笑ましそうにふわふわの金髪を撫でた。そして行儀良く背筋を正して遠慮なくたくさん食べているウラーさんに視線を向けた。

「それにしても、ウラーのオフに遭遇できるなんてなぁ。もしかしてイザベラが無理矢理呼び出した?  せっかくの休みなのに、予定とかあったんじゃない?」

「いえ、……まあまあ楽しい時間を過ごせましたから」

きゅん。

としたのは僕だけじゃなかったみたいで、パネースさんがウラーさんの頭をよしよしした。

「おっ、いいなそれ。パネース、俺も撫でてくれ」

「ニエルドさんは午後のお仕事が終わったらゆっくり撫でてあげますから。頑張ってくださいね?」

「ほぉ……楽しみだ」

おお、パネースさん、これが大人の色気ってやつですか。さすがやるなあ。でもニエルドさんの目が獲物をとらえた狩人みたいになってるから気をつけて。

「ハルオミ、今日のおやつはまた珍しい色をしているね。皆で作ったのかい?」

「うん!  フレイヤさんと一緒に買った餅米と、豆を使ってるんだ」

「米と豆の甘味か、珍しいね。早速いただくとしよう」

「是非是非!」

召し上がれ、と促せば、ニエルドさんとビェラさんも手を伸ばす。

「お、俺もひとつ貰うぜ」

「僕もいただきま~す!」

「どうぞ! あ、……ふふふっ」

「?  どうしたんだい?ハルオミ」

「いや……だってね、その濃い色の『あんこ』はパネースさんが作って、薄い色の『きなこ』はイザベラが作ったんです。僕まだ何も言ってないのに、ニエルドさんはあんこを、ビェラさんはきなこを手に取ったから、なんか感動しちゃって」

それぞれの愛しい人が一生懸命に拵えたおはぎが手に取られていたことに驚きと感動が芽生え、つい頬が緩んでしまった。

「パネース、この黒いのお前が作ったのか」

「はい。ほとんどハルオミ君につきっきりで教えてもらったので、私は言われた通りやっただけなんですけれどね」

「ん……美味い。甘すぎるかと思ったが意外とそうでもないな」

「そうでしょう?  お米がたんぱくな味だから、よく合うでしょう?」

「ああ。食ったことない味だがクセになる」

「イザベラが作ったこの、粉?  これもすごく美味しいよ!  ほんのちょっぴりしょっぱいのがまた良いね!」

「まぁ、俺だけじゃなくてウラーも手伝ったからな」

照れながらも嬉しそうに言うイザベラの頬に、ビェラさんはたまらず口付けをした。

「!?!?  や、やめろこんな真っ昼間にみんなの前で!!」

「真昼間にみんなの前じゃ駄目なのか……夜に二人きりだったらいいの?  じゃあ午後の仕事も張り切らなきゃ」

「は!?  別にそんなこと言ってないだろ!」

「そっか~、イザベラ今日は気分じゃないか……なら仕方ないね」

「べ、別に気分じゃないとも言ってないだろ……!!」

慌てたようビェラさんの服の袖を掴み、上目遣いで必死に訂正するイザベラ。
そういうところだぞ。



こんなふうに大集合して食事をするなんて、お屋敷の食事会以外にはなかったから新鮮だ。
しかも今日はウラーさんも一緒。賑やかで楽しいランチはあっという間に終わり、フレイヤさんたちは再び午後の仕事に戻った。


しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

ユッキー
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。 ✻✻✻ 2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

処理中です...