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続編その①〜初めての発情期編〜
29.お庭でランチ
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四人でのお茶会はそれから数時間続いた。しかし時間が経つにつれ中々フレイヤさんたちが帰ってこないことに心配になり、皆で中庭に移動した。外に出たからって状況が分かる訳では無いのだけど、なんとなく気持ち的にソワソワしていたのだ。
結果的に無事帰ってきたフレイヤさん、ニエルド様、ビェラ様から、「他の地へ応援に行っていていつもより戻る時間が遅くなっただけだ」と聞かされ、ほっと胸を撫で下ろした。
また、ちょうど庭に四人でいたところに三人が帰って来たのでピクニックみたいな雰囲気になって、せっかくだからということでお庭でランチをした。
「しかしみんな揃ってお出迎えしてくれるなんて嬉しいな~」
ビェラさんがニコニコ嬉しそうに言うと、イザベラはぷくっと頬を膨らませて「別に出迎えた訳じゃねえし。いつもより遅いから気になっただけだ」と反論した。
「そっかそっか、心配してくれたんだね。イザベラは優しいね」
「別に心配なんかしてない!」
それ、多分ビェラさんにとっては可愛いだけだぞ、イザベラ。
案の定ビェラさんはイザベラの反論にもにっこり目を細め、微笑ましそうにふわふわの金髪を撫でた。そして行儀良く背筋を正して遠慮なくたくさん食べているウラーさんに視線を向けた。
「それにしても、ウラーのオフに遭遇できるなんてなぁ。もしかしてイザベラが無理矢理呼び出した? せっかくの休みなのに、予定とかあったんじゃない?」
「いえ、……まあまあ楽しい時間を過ごせましたから」
きゅん。
としたのは僕だけじゃなかったみたいで、パネースさんがウラーさんの頭をよしよしした。
「おっ、いいなそれ。パネース、俺も撫でてくれ」
「ニエルドさんは午後のお仕事が終わったらゆっくり撫でてあげますから。頑張ってくださいね?」
「ほぉ……楽しみだ」
おお、パネースさん、これが大人の色気ってやつですか。さすがやるなあ。でもニエルドさんの目が獲物をとらえた狩人みたいになってるから気をつけて。
「ハルオミ、今日のおやつはまた珍しい色をしているね。皆で作ったのかい?」
「うん! フレイヤさんと一緒に買った餅米と、豆を使ってるんだ」
「米と豆の甘味か、珍しいね。早速いただくとしよう」
「是非是非!」
召し上がれ、と促せば、ニエルドさんとビェラさんも手を伸ばす。
「お、俺もひとつ貰うぜ」
「僕もいただきま~す!」
「どうぞ! あ、……ふふふっ」
「? どうしたんだい?ハルオミ」
「いや……だってね、その濃い色の『あんこ』はパネースさんが作って、薄い色の『きなこ』はイザベラが作ったんです。僕まだ何も言ってないのに、ニエルドさんはあんこを、ビェラさんはきなこを手に取ったから、なんか感動しちゃって」
それぞれの愛しい人が一生懸命に拵えたおはぎが手に取られていたことに驚きと感動が芽生え、つい頬が緩んでしまった。
「パネース、この黒いのお前が作ったのか」
「はい。ほとんどハルオミ君につきっきりで教えてもらったので、私は言われた通りやっただけなんですけれどね」
「ん……美味い。甘すぎるかと思ったが意外とそうでもないな」
「そうでしょう? お米がたんぱくな味だから、よく合うでしょう?」
「ああ。食ったことない味だがクセになる」
「イザベラが作ったこの、粉? これもすごく美味しいよ! ほんのちょっぴりしょっぱいのがまた良いね!」
「まぁ、俺だけじゃなくてウラーも手伝ったからな」
照れながらも嬉しそうに言うイザベラの頬に、ビェラさんはたまらず口付けをした。
「!?!? や、やめろこんな真っ昼間にみんなの前で!!」
「真昼間にみんなの前じゃ駄目なのか……夜に二人きりだったらいいの? じゃあ午後の仕事も張り切らなきゃ」
「は!? 別にそんなこと言ってないだろ!」
「そっか~、イザベラ今日は気分じゃないか……なら仕方ないね」
「べ、別に気分じゃないとも言ってないだろ……!!」
慌てたようビェラさんの服の袖を掴み、上目遣いで必死に訂正するイザベラ。
そういうところだぞ。
こんなふうに大集合して食事をするなんて、お屋敷の食事会以外にはなかったから新鮮だ。
しかも今日はウラーさんも一緒。賑やかで楽しいランチはあっという間に終わり、フレイヤさんたちは再び午後の仕事に戻った。
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