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続編その②〜魔力練習編〜
9. 親衛隊?
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唯一、自分の治癒魔力が自分に効かないのが不便な点だ。
ただのもらい風邪だったので一日で回復したものの、イザベラにはめちゃくちゃいじられてしまった。
「ハルオミはほんとに布団と仲良しだな」
「……返す言葉もないよ」
イザベラの部屋でちょっとした快気祝いをしてくれているのだが、彼は完全に僕を病弱と認識しつつある。
「こらイザベラ、ハルオミ君もしんどい思いをしたのだから、揶揄うものじゃありませんよ」
「別にからかってねえよ。いたわってんだ」
「売り言葉に買い言葉じゃないですか、全く……それにしても、ハルオミ君もハルオミ君ですよ、付きっきりで看病をしていたと聞きました。フレイヤ様のことが大切なのは分かりますが、あなた自身のことも大切にしないといけません」
心配そうな顔のパネースさんにお叱りを受ける。確かにちょっと張り切り過ぎたかもしれないと思う。
昨日のフレイヤさん、夜には回復してきたので卵焼きと煮物といったしっかりしたメニューを作ったけど、全部あーんして食べさせてあげたし、まだ倦怠感が残るフレイヤさんのために体も拭いてあげた。(彼自身浄化魔法は使っていたが、冷たいタオルで拭いたらもっとさっぱりすると思って僕が申し出た)
夜眠る時もぎゅと抱き合って眠ったし、そう考えたら、離れているのは僕が料理の準備をしている時くらいだったかも。
いつ風邪をもらったのかなんて心当たりがあり過ぎてわからないくらいだ。
「次から気をつけます……」
と反省すれば、「よろしい」と頭を撫でてくれた。
「あ、そうだそうだ。二人に聞きたいことがあったんだ」
「なんだ?」
「軍医の先生にね、『ハルオミ殿はアイドル』って言われたんだけど、何か変な噂でも一人歩きしてたりする? フレイヤさんはきっと何も知らないだろうから聞かなかったんだけど、二人なら何か知ってるかと思って」
「あー……」
「それなー……」
「あー」「それなー」って、なんか知ってる人しか言わない言葉じゃん。
耳をすませば、耳を疑う事実が飛び出した。
「"フレイヤ様過激派"がハルオミ君の新聞記事を見て一斉に手を引いたことはお伝えしましたよね? あれで協定が結ばれたらしいのです」
「フレイヤ様のことはハルオミに譲って、今後一切誰もフレイヤ様を狙わない、ってやつだろ?」
「なに、その協定。怪しすぎる」
「ハルオミ君に危害のあるものでは全くなさそうなので安心してください。むしろ内容的には『抜け駆けも許さなければ、ハルオミ様に危害を加える者も許さない』という内容ですので」
「まあわかりやすく言ったら、あいつらフレイヤ様過激派からハルオミ過激派になった訳だ」
「わかりやすくないんだけど」
僕、自分で言うのも悲しいけど一応妬まれてたんだよね。なのになんで信仰の対象がこっちに来るんだ。怖いでしょ。
「なんでって俺らに聞かれてもなー」
「ええ。詳しい情報は分かりませんが……ただ、ハルオミ君とフレイヤ様、あれから何度かデートなさったでしょう?」
「うん」
「その度に新聞の一面に載って、ハルオミ君に目を惹かれた国民たちが実際にあなたを見たいと近隣遠方関係なく集まり、こっそりデート現場を見ていたそうなのです」
「国民にデートみられてたの?」
「ハルオミを実際に見た奴らが『あれには誰も勝てねえ』っつって、なぜかだんだんお前を守る方向に話が進んだらしい。ま、いわゆる『シンエータイ』ってやつだな」
「シンエータイって、親衛隊??? 僕に? なぜ?」
「何故って言われても。この世の人間とは思えないくらい可愛いからに決まってんだろ。まあ、実際この世じゃないところから来たわけだけど」
確かに顔立ちはここの方達と違うという自負はあるし、もしそれをプラスに思ってくれているのならこれほど嬉しいことはないけど。そんなことで親衛隊などできても。
「あとはアレですね。過激になる程慕っていたフレイヤ様の呪いを解いたのがハルオミ君だということも関係しているみたいです。頭が上がらない、ってハナシです」
つらつらと僕の質問に答えてくれる二人。疑問が解けてだんだん腑に落ちていくと同時に、さらなる疑問が湧いた。
「ていうか、なんで二人ともそんな詳しいの?」
恐る恐る問えば、パネースさんとイザベラのは声を揃えて
「「ウラー(さん)」」
と言った。
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