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メルリス魔法学校
58 どうしたってうまく行かないことはある
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入学から数日したある日の六時間目。
ヘルスティーナ・バーベイトの魔法体育の授業。
「う~む……」
「先生~、もう無理ですって。かれこれ一年はこの状態なんですよ~」
頭を抱えるヘルスティーナ先生と泣き言をいい続ける永華、そこ横で空を見上げるカルタとなかなかの状態になっていた。
何度目かの体育の授業中、飛行術のをすることになったのだが永華の体質が問題になっていた。
「飛行術を使った鬼ごっこでもしようと思ったんじゃがのう」
「これなら走った方がましですよ!」
「まじで走った方がじゃな」
「他人にいわれるとそれはそれで腹立つな……」
試しに乗って見ろといわれて乗った箒の高度は十センチと少しだった。
「これはしかたないかの。じゃあ、先生の手伝いをしておくれ」
「わかりました」
それからバインダーとペンを渡され、言われた数字をひたすらメモすることになった。
その数字、たぶんだけど飛行術に対する点数ってところだろう。どれ程乗りこなせているか、どれ程テクニックがあるかってところかな?
ヘルスティーナ先生に言われるがままにメモにかいていた間はいいものの、ヘルスティーナ先生が生徒達に指導に言ってからはまるっきり暇だ。
「皆いいなあ~。自由気ままに空飛べてさ」
前々から思っていたが、思いのままに空を飛んでいる面々が羨ましい。
魔法が使えるなんて夢にも等しいことが叶ったのだ。
人間とは強欲で一つかなったら次にいく。私もそうだ。
魔法が使えるようになったら、物語の魔法使いのように空を飛びたいと願うのも変なことじゃない。
鳥みたいに自由に空を飛んで、どこかに消えられたら__
「ねえ」
「っ!?」
ボーッと空を見上げていると不意に耳元で声をかけられ飛び上がる。
心臓がバクバクとなって思わず心臓付近を押さえて、振り返る。
「あ、ごめん。そこまで驚くと思ってなかった」
後ろから声をかけたのは、この前に一年生先輩に絡まれて頬に怪我をしたフィーリーだった。
「……べ、別にいけど」
「そう?ならいいんだけど。自分はナーズビア・フィーリー、知ってる?」
「昨日、絡まれてた子でしょ?」
「それ以外は?」
「え?あ~……確か知り合いが元平民上がりの貴族とかいってたかな」
「そっか、知ってるのか」
いったいどうしたんだろう?
この時間にはどこだって授業をしているはずだから、ナーズビアがここにいるのは……サボりってことになると思うけど。
「君、名前は?」
「永華だけど……」
「永華……うん、覚えた。そうだ、血で汚れたハンカチの代わりになるかはわからないけど、これ」
差し出されたのはきれいにラッピングされた箱だった。
「え、別にいいよ。学校が始まる前にいるかなと思って買った安物だし」
「いいの。自分の気持ちだからね」
更にズイッと箱を押し出した。
貴族からのお礼とか金銭感覚違うだろうから、どんな金額のものが入ってるかわからないからちょっと怖いんだけど……。
まあ、無下にするのもダメか……。
「……じゃあ、ありがたくうけとるよ」
「うん」
お礼を受け取った永華にナーズビアは上機嫌だ。
ラッピングからして、どうにも高級品の匂いがする……。
「それで、君__」
「ナーズビア」
「……ナーズビアはなんでここにいるの?サボりかな?」
「う~ん。サボり、かな?授業がつまんなくってさ」
「それでここにきたの」
「迷路みたいになってるって聞いたから興味本位であちこち回ってたんだ。それで君を見つけて、クラスも違うしタイミングを逃したくなかったから、会いに来たんだ」
入学早々に授業をつまんないって理由でサボるなんて随分な悪のようだ。
つまらないってことは授業に着いていけないんじゃなくて、もうやってしまったことだから面白くないし授業を見ても意味ないって思ってるんだろうかね。
「入学したばっかりなのにって言う?」
「疑問には思うかな?」
「ちょっとした反抗期中。それにもう全部やったあとだし」
「ふーん、家じゃないのに?」
「家でこんなことできないさ。できるわけがない」
持ってるものの家に生まれるってのも面倒なものだな。
「……怒る?」
「それは先生の役割でしょ?たまにはいいんじゃないの?息抜きだっているでしょ」
「息抜き……。怒らないんだ」
「なに?怒られたいの?」
「いや、そういうわけじゃ……」
よかった、レーピオが増えるとか勘弁してほしいからね。
「……」
「?」
黙り込んだしまった。
何か不味いことをいった覚えはないし、何か地雷を踏んだ感じもなかったしどうしたんだろうか。
「まあ、程々にしなよ?サボるのも散歩するのもナーズビアの勝手だけど、その分面白いことのがしてるかもしれないよ?」
「それ、先生の話?」
「うん。私は面白いと思うけどなあ。先生達のはなし。私だって、まあ色々と教わったあとだし知ってることも多々あるけど、それでも面白いしね」
「変わってるね?」
「そう?真新しいことだからなんでも面白く感じるんだよねえ。それに人によっても本によっても考え方が違うから、それが面白いんだ」
元々私達がいた世界になかったもので、ロマンで夢だった。
だからだろう。魔法を学ぶのはこの異世界での楽しみの一つになっている。
「ふ~ん」
「まっ、私の話はいいや。ここにいるのはいいけど、見つからないでね?」
「わかってるよ。自分のサボりに永華を巻き込まないさ」
ナーズビアが窓から出てきたかと思うと永華の隣に座り込み、ヘルスティーナが生徒達に指導している風景を眺めだした。
私は時に気にすることもなく、先生の指示を待つが一向になにもない。
と思っていたらどうやらトラブルが起きているらしい。
速度もルートもめちゃくちゃな箒が飛んでいた。
「あの暴走箒、乗ってるのってメメじゃ……」
「知り合い?」
「うん……」
箒、暴走させてるの人魚だからかな……。
いや、それはどうでもいいや。
あんなめちゃくちゃに振り回されているけど、怪我とかしてないだろうか。
というか勢い的には振り落とされても変じゃない……。
「大丈夫かな。これ」
「大丈夫でしょ。先生がいるんだし……多分」
「そ、そうかな」
永華達がハラハラしながら見ていると先生が箒になって飛び立ち今にも振り落とされそうなメメを暴走箒からさらい地面に下ろす。
操縦者とエネルギー供給源を無くした箒は少し空で暴れたあと、急に電池が切れたかのように動かなくなった。
動かなくなった箒は落ちて、軽い音を立てて跳ねたあと地面に転がった。
「あ、大丈夫だった」
「よかったね」
「うん。メメのやつ、驚かせやがって……」
何度か振り落とされそうになってて怖かったんだからな。
安堵のため息を吐いているとヘルスティーナ先生はこちらへ向かってきているのが見えた。
「あ、そろそろ見つかるかな。自分、もういくね?」
「あ、うん。気を付けなよ」
「わかってる。自分がここにいたことは秘密だから」
「はいはい。じゃあ、またこんど」
「!うん、またこんど」
ナーズビアがどこかに走り去っていく。
何日か前に見たとこは柄が悪いように思ったけど、さっきまで会話した感じを考えると、あの時は絡まれてたイライラしていたからなのだろうか。
それにしても、私が先生を呼ぶかもしれないのによく話しかけてお礼の品を渡したものだ。
特に話すでもなく、隣に座っているだけだったし……。
「もしかして、懐かれた?」
いや、私はなにもしていないし、した覚えもないから違うだろう。
まあ、窮屈そうだったからサボりを見逃したのは好印象にうつったのかもしれない。
「永華~」
「あ、ヘルスティーナ先生」
「さっきまで誰かいなかったかの?」
「いませんでしたよ?それよりもメメは大丈夫でしたか?」
“さっきまで”は誰もいなかったもんね。
「あぁ、メイメアは少し酔ってるみたいだが特に怪我はないぞ」
「そうですか」
あれで少し酔ってるだけですんでるなんて人魚って頑丈なんだな。
「放置しててすまんな。少しメイメアの様子を見ててくれんか?動かそうにも吐きそうになるらしくて……」
「全然少しじゃないじゃないですか……。もう、動けそうになったら私が連れていっときますから、先生は授業しててくださいよ」
「感謝する!」
ため息を吐いて隅で踞っているメイメアに近づいて、背中を撫でる。
なんか、公園の遊具でふざけて回りすぎて酔った下の子を思い出すなあ。
ナーズビアのお礼の品はとても手触りの良い高級感のあるハンカチがでした。
正直使うの怖いけど、使わなかったらそれはそれで怖いのでとりあえずポケットに入れておくことにした。
ヘルスティーナ・バーベイトの魔法体育の授業。
「う~む……」
「先生~、もう無理ですって。かれこれ一年はこの状態なんですよ~」
頭を抱えるヘルスティーナ先生と泣き言をいい続ける永華、そこ横で空を見上げるカルタとなかなかの状態になっていた。
何度目かの体育の授業中、飛行術のをすることになったのだが永華の体質が問題になっていた。
「飛行術を使った鬼ごっこでもしようと思ったんじゃがのう」
「これなら走った方がましですよ!」
「まじで走った方がじゃな」
「他人にいわれるとそれはそれで腹立つな……」
試しに乗って見ろといわれて乗った箒の高度は十センチと少しだった。
「これはしかたないかの。じゃあ、先生の手伝いをしておくれ」
「わかりました」
それからバインダーとペンを渡され、言われた数字をひたすらメモすることになった。
その数字、たぶんだけど飛行術に対する点数ってところだろう。どれ程乗りこなせているか、どれ程テクニックがあるかってところかな?
ヘルスティーナ先生に言われるがままにメモにかいていた間はいいものの、ヘルスティーナ先生が生徒達に指導に言ってからはまるっきり暇だ。
「皆いいなあ~。自由気ままに空飛べてさ」
前々から思っていたが、思いのままに空を飛んでいる面々が羨ましい。
魔法が使えるなんて夢にも等しいことが叶ったのだ。
人間とは強欲で一つかなったら次にいく。私もそうだ。
魔法が使えるようになったら、物語の魔法使いのように空を飛びたいと願うのも変なことじゃない。
鳥みたいに自由に空を飛んで、どこかに消えられたら__
「ねえ」
「っ!?」
ボーッと空を見上げていると不意に耳元で声をかけられ飛び上がる。
心臓がバクバクとなって思わず心臓付近を押さえて、振り返る。
「あ、ごめん。そこまで驚くと思ってなかった」
後ろから声をかけたのは、この前に一年生先輩に絡まれて頬に怪我をしたフィーリーだった。
「……べ、別にいけど」
「そう?ならいいんだけど。自分はナーズビア・フィーリー、知ってる?」
「昨日、絡まれてた子でしょ?」
「それ以外は?」
「え?あ~……確か知り合いが元平民上がりの貴族とかいってたかな」
「そっか、知ってるのか」
いったいどうしたんだろう?
この時間にはどこだって授業をしているはずだから、ナーズビアがここにいるのは……サボりってことになると思うけど。
「君、名前は?」
「永華だけど……」
「永華……うん、覚えた。そうだ、血で汚れたハンカチの代わりになるかはわからないけど、これ」
差し出されたのはきれいにラッピングされた箱だった。
「え、別にいいよ。学校が始まる前にいるかなと思って買った安物だし」
「いいの。自分の気持ちだからね」
更にズイッと箱を押し出した。
貴族からのお礼とか金銭感覚違うだろうから、どんな金額のものが入ってるかわからないからちょっと怖いんだけど……。
まあ、無下にするのもダメか……。
「……じゃあ、ありがたくうけとるよ」
「うん」
お礼を受け取った永華にナーズビアは上機嫌だ。
ラッピングからして、どうにも高級品の匂いがする……。
「それで、君__」
「ナーズビア」
「……ナーズビアはなんでここにいるの?サボりかな?」
「う~ん。サボり、かな?授業がつまんなくってさ」
「それでここにきたの」
「迷路みたいになってるって聞いたから興味本位であちこち回ってたんだ。それで君を見つけて、クラスも違うしタイミングを逃したくなかったから、会いに来たんだ」
入学早々に授業をつまんないって理由でサボるなんて随分な悪のようだ。
つまらないってことは授業に着いていけないんじゃなくて、もうやってしまったことだから面白くないし授業を見ても意味ないって思ってるんだろうかね。
「入学したばっかりなのにって言う?」
「疑問には思うかな?」
「ちょっとした反抗期中。それにもう全部やったあとだし」
「ふーん、家じゃないのに?」
「家でこんなことできないさ。できるわけがない」
持ってるものの家に生まれるってのも面倒なものだな。
「……怒る?」
「それは先生の役割でしょ?たまにはいいんじゃないの?息抜きだっているでしょ」
「息抜き……。怒らないんだ」
「なに?怒られたいの?」
「いや、そういうわけじゃ……」
よかった、レーピオが増えるとか勘弁してほしいからね。
「……」
「?」
黙り込んだしまった。
何か不味いことをいった覚えはないし、何か地雷を踏んだ感じもなかったしどうしたんだろうか。
「まあ、程々にしなよ?サボるのも散歩するのもナーズビアの勝手だけど、その分面白いことのがしてるかもしれないよ?」
「それ、先生の話?」
「うん。私は面白いと思うけどなあ。先生達のはなし。私だって、まあ色々と教わったあとだし知ってることも多々あるけど、それでも面白いしね」
「変わってるね?」
「そう?真新しいことだからなんでも面白く感じるんだよねえ。それに人によっても本によっても考え方が違うから、それが面白いんだ」
元々私達がいた世界になかったもので、ロマンで夢だった。
だからだろう。魔法を学ぶのはこの異世界での楽しみの一つになっている。
「ふ~ん」
「まっ、私の話はいいや。ここにいるのはいいけど、見つからないでね?」
「わかってるよ。自分のサボりに永華を巻き込まないさ」
ナーズビアが窓から出てきたかと思うと永華の隣に座り込み、ヘルスティーナが生徒達に指導している風景を眺めだした。
私は時に気にすることもなく、先生の指示を待つが一向になにもない。
と思っていたらどうやらトラブルが起きているらしい。
速度もルートもめちゃくちゃな箒が飛んでいた。
「あの暴走箒、乗ってるのってメメじゃ……」
「知り合い?」
「うん……」
箒、暴走させてるの人魚だからかな……。
いや、それはどうでもいいや。
あんなめちゃくちゃに振り回されているけど、怪我とかしてないだろうか。
というか勢い的には振り落とされても変じゃない……。
「大丈夫かな。これ」
「大丈夫でしょ。先生がいるんだし……多分」
「そ、そうかな」
永華達がハラハラしながら見ていると先生が箒になって飛び立ち今にも振り落とされそうなメメを暴走箒からさらい地面に下ろす。
操縦者とエネルギー供給源を無くした箒は少し空で暴れたあと、急に電池が切れたかのように動かなくなった。
動かなくなった箒は落ちて、軽い音を立てて跳ねたあと地面に転がった。
「あ、大丈夫だった」
「よかったね」
「うん。メメのやつ、驚かせやがって……」
何度か振り落とされそうになってて怖かったんだからな。
安堵のため息を吐いているとヘルスティーナ先生はこちらへ向かってきているのが見えた。
「あ、そろそろ見つかるかな。自分、もういくね?」
「あ、うん。気を付けなよ」
「わかってる。自分がここにいたことは秘密だから」
「はいはい。じゃあ、またこんど」
「!うん、またこんど」
ナーズビアがどこかに走り去っていく。
何日か前に見たとこは柄が悪いように思ったけど、さっきまで会話した感じを考えると、あの時は絡まれてたイライラしていたからなのだろうか。
それにしても、私が先生を呼ぶかもしれないのによく話しかけてお礼の品を渡したものだ。
特に話すでもなく、隣に座っているだけだったし……。
「もしかして、懐かれた?」
いや、私はなにもしていないし、した覚えもないから違うだろう。
まあ、窮屈そうだったからサボりを見逃したのは好印象にうつったのかもしれない。
「永華~」
「あ、ヘルスティーナ先生」
「さっきまで誰かいなかったかの?」
「いませんでしたよ?それよりもメメは大丈夫でしたか?」
“さっきまで”は誰もいなかったもんね。
「あぁ、メイメアは少し酔ってるみたいだが特に怪我はないぞ」
「そうですか」
あれで少し酔ってるだけですんでるなんて人魚って頑丈なんだな。
「放置しててすまんな。少しメイメアの様子を見ててくれんか?動かそうにも吐きそうになるらしくて……」
「全然少しじゃないじゃないですか……。もう、動けそうになったら私が連れていっときますから、先生は授業しててくださいよ」
「感謝する!」
ため息を吐いて隅で踞っているメイメアに近づいて、背中を撫でる。
なんか、公園の遊具でふざけて回りすぎて酔った下の子を思い出すなあ。
ナーズビアのお礼の品はとても手触りの良い高級感のあるハンカチがでした。
正直使うの怖いけど、使わなかったらそれはそれで怖いのでとりあえずポケットに入れておくことにした。
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