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メルリス魔法学校
57 トラブルは向こうからやってくる
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超ド級のシスコンであるナリューラ先輩と被害者のフィーリーとやらが言い合っていたのだが、どうやら雲行きがおかしいことにがついた。
「さっきっから話聞いてて思ったんですけど、自分悪くないですよね?」
「あ?だから縁談断ったのが気に入らねえんだよ!俺ぁよ!」
「それそっちの都合でしょ……」
「俺のかわいい妹を……」
さっきっからずっとこれを繰り返してるような……。
「なんかシスコンの方おかしくない?」
「同じことしか言ってねえな?」
シスコンが極まったあまり色々と頭のネジが外れてしまったのだろうか。
一定数るよね。モンスターペアレントっていう厄介際あり無いやつ。
遠目で観察しているとカルタの爪先にコツンと何かがあたった。
「……ん?なんだ。これ」
爪先にあたったのは小瓶だった。
持ち上げてシャンデリアの明かりに透かしてみる。
中に赤みの強いピンク色の水滴が入っていた。
「これは……」
どこかで見覚えがあるような気がする。
首を捻って考えていると怒号が聞こえた。
「だあからあ!お前があ!あ、あぁあ……」
ナリューラ先輩が頭を押さえて、ふらふらとしだす。
「様子が変だぞ!」
「アタシ、先生呼んでくるわ」
「お願い」
ララが走って食堂を出ていく。
先輩はいまだに頭を抱えている。痛みが酷いのか呻き声を上げている。
絡まれていたフィーリーは様子がおかしい先輩に対して、警戒して杖を取り出し先端を向けていた。
「赤みの強い、ピンクの液体……」
カルタは必死で考える。なにかが喉元までだかかっている。
「あ、ああぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ついには頭を抱えて膝をつき、うずくまってしまった。
「っ!すみません。僕言ってきますねえ」
「え、大丈夫かよ」
「これでも魔法薬学に詳しい家系なので医者みたいなことができるんです」
レーピオが小走りで駆け寄っていく。
絡まれていたフィーリーも慌てて側に寄ろうとしていた。
「……あ」
「篠野部?」
「戌井、シマシマベアーに刺さってた注射器の薬、覚えているか?」
「あの危ないやつ?」
確かシマシマベアーさんが凶暴化して、詳しい成分もわかってなくて、あとは何か“無い無い尽くし”だったと思うんだけど……。
頭を回していると横からスッと篠野部の手が伸びてきた。手の上に転がっているのは小瓶だった。
手に取ってみてみると赤みの強いピンクの液体が入っていた。
「あれ?この色って……」
「僕たちの記憶が間違ってなければ、もしかすると同じものかもしれない」
「……え、やばくね?」
「もしもの時は止めれるか?君が縛り上げるのが一番早い」
「準備はしとくけど……」
小瓶を篠野部に返して視線を正面に戻す。
いまだ痛みのせいか踞っているし、レーピオは必死に声をかけていて、フィーリーは持っていた鞄のなかを漁っていた。
シマシマベアーさんに射たれていたものと同じなんだったら、恐らく腹を透かせた猛獣みたいに凶暴化するはず。
ポートの中にしまっている、適当な糸を取り出す。
「う、うぅう……」
呻き声が段々と小さくなっていく。
「うあああああああ!」
「ほあ!?」
「なっ!」
そう思ったところで大きな悲鳴を上げて杖を振り上げた。
詠唱もしていないのに杖の先に魔法で作られた風邪の球体のようなものが出来上がっていた。
「戌井!」
「わかってるって!そおらっ!」
糸を操作して振り下ろされそうになっているナリューラ先輩の腕を縛り、放たれそうになっていた魔法の軌道をそらす。
魔法はフィーリーの頬をかすっていって、ミューがこっちに飛んできた魔法を防御魔法で打ち消した。
「危ない!!」
糸から抜け出そうとするナリューラ先輩を別の糸で縛り上げる。
「あ、ああぁあああ!」
今度は水球が生成されて宛もなく飛んでいく。
「チッ、見境なしか!」
誰かにあたる前に篠野部がレーザーを蒸発させる。
そのあともいくつか魔法を放つも篠野部やメメ、ローレスが魔法をはじき、フィーリーは自分とレーピオに魔法があたらないように防御魔法を張っていた。
程なくしてどうにか杖を取り上げる。
段々と魔法は意味がないとわかったのか、魔法でではなくどうにか糸をほどこうとジタバタと暴れまわり、目の前にいる二人に噛みつかんとしている。
「いってててて!!!!糸食い込んでいたから誰か気絶させてえ!」
「あ、え……わ、わかった」
暴れまわるから糸が引っ張られて指に食い込む。
私の悲鳴にも似た叫びにローレスが反応して、ナリューラ先輩に近づいていき、魔法で気絶させた。
魔法で気絶させられたナリューラ先輩はパタリと床に伏せて動かなくなる。
「いった、手袋でもしようかな……」
動かなくなったことを確認して糸でくくり上げてしまう。
「やっぱり同じものと見てもいいか」
「び、ビックリしたあ!」
「……や、野蛮人」
よほど驚いたのだろう。ミューがヘナヘナと座り込んでメメは固まっていた。
「大丈夫か!?」
ベイノットが慌てて駆け寄っていく。
私もそのあとを追った。
「あ、は、はい。僕は何も怪我してないですけどお……」
レーピオの視線がスッとフィーリーの方にいく。
フィーリーの頬には赤い線が一筋出来上がっており、頬には血が伝っていた。
「血が……。あっ」
持っていたハンカチでフィーリーの傷ついた頬を優しく押さえる。
「あらら、私がもうちょっとうまいことやれてたらよかったんだけど……」
「えっと……」
ゆっくりとハンカチを離す。じわりと血が滲んでくる。
「やっぱりダメか。ハンカチ使っていいから止血しておきなよ」
「……うん」
ハンカチを渡して、気絶したナリューラ先輩を見る。
特に変わったようすはないし、シマシマベアーさんの時のように一度気絶したら正気に戻るのだろうか。
フィーリーが私の糸でグルグル巻きになっているナリューラ先輩に近づいていく。
「……糸で締め付けられたところは赤くなっているけど、それ以外で外傷は見られないから安心していいよ。内側はしらないけど……」
「そっか」
それならひと安心としてもいいだろう。
ナリューラ先輩が気絶して少ししてから、ララに呼ばれたザベル先生がやってきた。
「何があったのですか?生徒の様子がおかしくなったと聞いてきたのですが……」
「ザベル先生。最初は、そこの二人が言い争っていたのですが……徐々にナリューラ先輩の様子がおかしくなっていったんです。痛いから踞ったのかと思ったら、いきなり魔法を乱発したんです。縛り上げて、気絶させませたけど」
篠野部がことの顛末を説明する。
「なるほど……」
ザベル先生はナリューラ先輩に近づき保険医のように脈を取ったりと色々と確認をしている。
「……興奮状態ではあったようですが、他には何も見られませんね。ひとまず保健室に運びましょう。ナーズビアくんも念のため」
「わかりました」
「話は二人を保健室に運んだあとに聞きますので、少し待っていてください。授業の方が、私からいっておきます」
「糸どうします?暴れたから縛ったけど、今は気絶してるしほどいときます?」
「そうしてください」
「はーい」
糸をほどくとザベル先生はナリューラ先輩を背負い、フィーリーを連れて保健室がある方向に向かっていった。
私達は待っていてくださいとのことだったので、そのまま食堂に待機。
少しして先生が戻ってきて、一人一人に話を聞いていくものの大体揃って同じことしか言えなかった。
「あ、それと、これ渡しておきますね」
篠野部が小瓶をザベル先生に渡した。
「これは、何が入っていたんですか?」
「わかりませんが、僕が知っているものと同じ場合……」
「?」
言葉を続けようとしてメメ達の姿が視界に入った。
試験のこともあって過敏になっているだろう、四人にさらに不安になるような情報を与えてもいいのだろうか?
少し考えて、ザベル先生に耳を貸してくれといった。
「僕が知っているものなら「投与された動物を凶暴化させる」もののはずです。ただ成分も制作者もわかっていない代物で後遺症、依存症、再発もない、しかも血中に成分が残らないものでした」
「……なぜ、君がその事を?」
「この薬のことを知っているのは僕だけではありません、戌井も知っています」
ザベルは一瞬だけ永華に視線を向けた。
視線を向けられた永華は首をかしげていた。
「バイスの町の近くの森で迷ったことがあるんですが、そのときこの薬を投与された熊に追いかけ回されたことがありまして」
「よく生きてましたね」
「自分でもたまに思います。それで、そのときの薬はマーキュの薬屋に渡してあるんです。検証や、詳しいことが聞きたいとなれば、そちらに」
「バイスの町、マーキュの薬屋ですか。わかりました。ありがとうございます」
「いえ」
全員の話が聞き終わる頃には五時限目の中盤でせめてそこからでもうけてこいといわれたので、急いで授業に間に合うように急ぐことになった。
「ねえ」
「なんだ?」
「静かになったとき、コロンって音がしてた気がするんだ。もしかしたらあの時落としたのかも」
「……タイミング的にはおかしくないか」
「にしたってなんでメルリス魔法学校にあの薬があるんだろ?」
「さあ?試験の時と同一犯だと違和感が残るし、別件だと思うべきだろうな」
「別件ねえ。ファンタジーな世界も、存外緩くないのね」
「現実だからな」
世知辛いものだな。
篠野部と離していると少し離れたところにいるローレス達に呼ばれた。
「おーい、おいてっちまうぞ」
「あ、まってよ」
慌てて駆け寄ろうとするが、篠野部ははしる気配が見えないことに少し進んでから気がつく。
「……」
「……?」
篠野部のもとに戻って、手を掴んでから走り出した。
「ちょっ、戌井!」
「篠野部が遅いのが悪い~!なはは!」
「……まったく、子供っぽいところは相変わらずだな」
篠野部の手を引き、皆と合流すると次の授業に間に合うようにあと皆も走り出した。
そのあと先生にばれて怒られたけど。
「さっきっから話聞いてて思ったんですけど、自分悪くないですよね?」
「あ?だから縁談断ったのが気に入らねえんだよ!俺ぁよ!」
「それそっちの都合でしょ……」
「俺のかわいい妹を……」
さっきっからずっとこれを繰り返してるような……。
「なんかシスコンの方おかしくない?」
「同じことしか言ってねえな?」
シスコンが極まったあまり色々と頭のネジが外れてしまったのだろうか。
一定数るよね。モンスターペアレントっていう厄介際あり無いやつ。
遠目で観察しているとカルタの爪先にコツンと何かがあたった。
「……ん?なんだ。これ」
爪先にあたったのは小瓶だった。
持ち上げてシャンデリアの明かりに透かしてみる。
中に赤みの強いピンク色の水滴が入っていた。
「これは……」
どこかで見覚えがあるような気がする。
首を捻って考えていると怒号が聞こえた。
「だあからあ!お前があ!あ、あぁあ……」
ナリューラ先輩が頭を押さえて、ふらふらとしだす。
「様子が変だぞ!」
「アタシ、先生呼んでくるわ」
「お願い」
ララが走って食堂を出ていく。
先輩はいまだに頭を抱えている。痛みが酷いのか呻き声を上げている。
絡まれていたフィーリーは様子がおかしい先輩に対して、警戒して杖を取り出し先端を向けていた。
「赤みの強い、ピンクの液体……」
カルタは必死で考える。なにかが喉元までだかかっている。
「あ、ああぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ついには頭を抱えて膝をつき、うずくまってしまった。
「っ!すみません。僕言ってきますねえ」
「え、大丈夫かよ」
「これでも魔法薬学に詳しい家系なので医者みたいなことができるんです」
レーピオが小走りで駆け寄っていく。
絡まれていたフィーリーも慌てて側に寄ろうとしていた。
「……あ」
「篠野部?」
「戌井、シマシマベアーに刺さってた注射器の薬、覚えているか?」
「あの危ないやつ?」
確かシマシマベアーさんが凶暴化して、詳しい成分もわかってなくて、あとは何か“無い無い尽くし”だったと思うんだけど……。
頭を回していると横からスッと篠野部の手が伸びてきた。手の上に転がっているのは小瓶だった。
手に取ってみてみると赤みの強いピンクの液体が入っていた。
「あれ?この色って……」
「僕たちの記憶が間違ってなければ、もしかすると同じものかもしれない」
「……え、やばくね?」
「もしもの時は止めれるか?君が縛り上げるのが一番早い」
「準備はしとくけど……」
小瓶を篠野部に返して視線を正面に戻す。
いまだ痛みのせいか踞っているし、レーピオは必死に声をかけていて、フィーリーは持っていた鞄のなかを漁っていた。
シマシマベアーさんに射たれていたものと同じなんだったら、恐らく腹を透かせた猛獣みたいに凶暴化するはず。
ポートの中にしまっている、適当な糸を取り出す。
「う、うぅう……」
呻き声が段々と小さくなっていく。
「うあああああああ!」
「ほあ!?」
「なっ!」
そう思ったところで大きな悲鳴を上げて杖を振り上げた。
詠唱もしていないのに杖の先に魔法で作られた風邪の球体のようなものが出来上がっていた。
「戌井!」
「わかってるって!そおらっ!」
糸を操作して振り下ろされそうになっているナリューラ先輩の腕を縛り、放たれそうになっていた魔法の軌道をそらす。
魔法はフィーリーの頬をかすっていって、ミューがこっちに飛んできた魔法を防御魔法で打ち消した。
「危ない!!」
糸から抜け出そうとするナリューラ先輩を別の糸で縛り上げる。
「あ、ああぁあああ!」
今度は水球が生成されて宛もなく飛んでいく。
「チッ、見境なしか!」
誰かにあたる前に篠野部がレーザーを蒸発させる。
そのあともいくつか魔法を放つも篠野部やメメ、ローレスが魔法をはじき、フィーリーは自分とレーピオに魔法があたらないように防御魔法を張っていた。
程なくしてどうにか杖を取り上げる。
段々と魔法は意味がないとわかったのか、魔法でではなくどうにか糸をほどこうとジタバタと暴れまわり、目の前にいる二人に噛みつかんとしている。
「いってててて!!!!糸食い込んでいたから誰か気絶させてえ!」
「あ、え……わ、わかった」
暴れまわるから糸が引っ張られて指に食い込む。
私の悲鳴にも似た叫びにローレスが反応して、ナリューラ先輩に近づいていき、魔法で気絶させた。
魔法で気絶させられたナリューラ先輩はパタリと床に伏せて動かなくなる。
「いった、手袋でもしようかな……」
動かなくなったことを確認して糸でくくり上げてしまう。
「やっぱり同じものと見てもいいか」
「び、ビックリしたあ!」
「……や、野蛮人」
よほど驚いたのだろう。ミューがヘナヘナと座り込んでメメは固まっていた。
「大丈夫か!?」
ベイノットが慌てて駆け寄っていく。
私もそのあとを追った。
「あ、は、はい。僕は何も怪我してないですけどお……」
レーピオの視線がスッとフィーリーの方にいく。
フィーリーの頬には赤い線が一筋出来上がっており、頬には血が伝っていた。
「血が……。あっ」
持っていたハンカチでフィーリーの傷ついた頬を優しく押さえる。
「あらら、私がもうちょっとうまいことやれてたらよかったんだけど……」
「えっと……」
ゆっくりとハンカチを離す。じわりと血が滲んでくる。
「やっぱりダメか。ハンカチ使っていいから止血しておきなよ」
「……うん」
ハンカチを渡して、気絶したナリューラ先輩を見る。
特に変わったようすはないし、シマシマベアーさんの時のように一度気絶したら正気に戻るのだろうか。
フィーリーが私の糸でグルグル巻きになっているナリューラ先輩に近づいていく。
「……糸で締め付けられたところは赤くなっているけど、それ以外で外傷は見られないから安心していいよ。内側はしらないけど……」
「そっか」
それならひと安心としてもいいだろう。
ナリューラ先輩が気絶して少ししてから、ララに呼ばれたザベル先生がやってきた。
「何があったのですか?生徒の様子がおかしくなったと聞いてきたのですが……」
「ザベル先生。最初は、そこの二人が言い争っていたのですが……徐々にナリューラ先輩の様子がおかしくなっていったんです。痛いから踞ったのかと思ったら、いきなり魔法を乱発したんです。縛り上げて、気絶させませたけど」
篠野部がことの顛末を説明する。
「なるほど……」
ザベル先生はナリューラ先輩に近づき保険医のように脈を取ったりと色々と確認をしている。
「……興奮状態ではあったようですが、他には何も見られませんね。ひとまず保健室に運びましょう。ナーズビアくんも念のため」
「わかりました」
「話は二人を保健室に運んだあとに聞きますので、少し待っていてください。授業の方が、私からいっておきます」
「糸どうします?暴れたから縛ったけど、今は気絶してるしほどいときます?」
「そうしてください」
「はーい」
糸をほどくとザベル先生はナリューラ先輩を背負い、フィーリーを連れて保健室がある方向に向かっていった。
私達は待っていてくださいとのことだったので、そのまま食堂に待機。
少しして先生が戻ってきて、一人一人に話を聞いていくものの大体揃って同じことしか言えなかった。
「あ、それと、これ渡しておきますね」
篠野部が小瓶をザベル先生に渡した。
「これは、何が入っていたんですか?」
「わかりませんが、僕が知っているものと同じ場合……」
「?」
言葉を続けようとしてメメ達の姿が視界に入った。
試験のこともあって過敏になっているだろう、四人にさらに不安になるような情報を与えてもいいのだろうか?
少し考えて、ザベル先生に耳を貸してくれといった。
「僕が知っているものなら「投与された動物を凶暴化させる」もののはずです。ただ成分も制作者もわかっていない代物で後遺症、依存症、再発もない、しかも血中に成分が残らないものでした」
「……なぜ、君がその事を?」
「この薬のことを知っているのは僕だけではありません、戌井も知っています」
ザベルは一瞬だけ永華に視線を向けた。
視線を向けられた永華は首をかしげていた。
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「いえ」
全員の話が聞き終わる頃には五時限目の中盤でせめてそこからでもうけてこいといわれたので、急いで授業に間に合うように急ぐことになった。
「ねえ」
「なんだ?」
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「……タイミング的にはおかしくないか」
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「おーい、おいてっちまうぞ」
「あ、まってよ」
慌てて駆け寄ろうとするが、篠野部ははしる気配が見えないことに少し進んでから気がつく。
「……」
「……?」
篠野部のもとに戻って、手を掴んでから走り出した。
「ちょっ、戌井!」
「篠野部が遅いのが悪い~!なはは!」
「……まったく、子供っぽいところは相変わらずだな」
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