184 / 234
子は鎹
182 案の定
しおりを挟む
軍人さん達に囲まれて歩くこと数分、今のところ何も起こってはいない。
念のために、と優男にいわれて杖と私の糸を取り上げられてしまっているのが気がかりではある。
手錠をかけられているわけでもないし、杖を盗られたこと以外なにもされていないから大丈夫だとは思うんだけどな……。
「そういえばさ、なんでこの人達に対して辺りが強いの?」
ララに近づき、ララ以外には聞こえないくらいの小さい声で話しかけてみる。
「兄さん、若くして出世しているの。当然、それをよく思わない人がいて、この人達がそうなの。まぁ、何人かは違うんだけどね」
「うわ……。なんか、騎士に向けられる感情って両極端気味だね」
「ほんとにね……」
見た目が良いから行為を向けられたり、家柄が良いから取り入ろうとしてる人がいたり、出世の早さを理由に人に恨まれたり……。
あの人、絶対色々と大変な思いしているんだろうな……。
それはそうとして、ララから今いる軍人さん達がヘラクレスの事をよく思っていないときいたから思ったけど、これ大丈夫じゃないかもしれない。
この場で襲撃されること以外は何かあることはないだろうけど、軍の施設にいったあとが問題でしかないな。
軍の施設にいったらどうなるんだか……。
もしかしたら、ヘラクレスの不利に働くようにするためにろくに私たちの話を聞く気はないのかもしれない。
まぁ、そうでない人達もいるらしいから、その人達に期待するしかないかな……。
何人か不服そうな人がいる理由って、多分反ヘラクレス派っていえばいいのかな?そんな感じの人達だけで組めなかったから何じゃないかな。
まあ、班わりなんて上が決めるだろうから、思っていた通りにならなのは通例か。
さて、これからどうなるんだろう。
本当に何もないまま軍の施設につくと良いな……。
襲撃とか無いと良いな……。
「あれ?」
軍人さん達についていっていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、やっぱりだ!最近、全然店にこねー同郷の嬢ちゃん!」
「あれ?日之出の店主の佐之助さん?」
声をかけてきたのは、入学してからあまり時間がたってない頃に商店街に夕飯の買い物に行ったときに篠野部が見つけてきた醤油とか味噌を売ってるお店の人だ。
篠野部に一人で外出するなと注意されてたし、襲撃受けたりしたから夏休みになってから一回も行ってなかったんだよね。
ローシュテールの事件の時も外出控えていた事もあったから“全然店に来ない”っていわれるのも納得だよね……。
「そうだよ。全然こねーからてっきり帰ったのかと思ったわ」
「卒業もしてないのに帰れないって……。色々と巻き込まれてて、安全のために引きこもってたの。冬休み開けと夏休み両方ね」
今思えば冬休み明けの襲撃ってモカノフの手先か何かだったんだろうけど、当時の私たちは何も知らないからローシュテールの手先にしか見えない買ったんだよねえ……。
「まじかよ、災難だな。で、今もか?」
佐之助さん察しが良いな。
いや、軍人さん達に囲まれてるのに何もないと思う方が無理あるか。
……それなのに私たちに話しかけるのって、佐之助さんの度胸すごいな。
「うん、まぁ……。ヘラクレス・アリスってわかる?」
「おう、騎士の兄ちゃんだろ?昨日の夜うちに来たわ」
「え?」
佐之助さんの予想外の発言に軍人さんも私も固まる。
ヘラクレスが昨日の夜に日之出に来ていた?
「そ、それは何時の出来事ですか?」
軍人さんの一人、恐らくはヘラクレスに対して悪い感情を持っていないだろう人が佐之助さんに問いかける。
「ん~……閉店のちょっと前だから、十一時半は過ぎてたんじゃねえの?うち日が変わる頃に閉めるし」
「……兄さんが容疑者になってる事件の、殺された人達の死亡推定時刻って、どれくらいなの?」
「午後十一時三十分から日を跨ぐか跨がないかくらいだと……」
佐之助さんの証言が正しいのならば、容疑者であるヘラクレスが反抗を行うのは難しいと言うことになる。
「やっぱり、兄さんじゃないじゃない!」
ギャンッとララが軍人に噛みつく。
「で、でも、そう言う魔法かもしれないでしょう?」
「兄さんが分身の魔法なんて使えるわけないでしょ!魔法の才能なんて、微塵もないのに!」
「君たちの誰かが協力した可能性もある!」
「無いわよ!あの日は襲撃があってから一日ずっと同室のメンバーと一緒にいたもの!そもそも、その日だって兄さんと会えたのは襲撃犯を引き渡す時だけよ!」
「そのときに何かしたんじゃないのか?襲撃を受けたっていう金髪の子は魔方陣が得意だそうじゃないか」
なんで知って……。
協力者かもしれないから調べたのか。
一応、魔法は使えないことになってるんだけど、それを知ってるのも先生とミア帝国の人と篠野部、あとはマッドサイエンティストとビーグル先輩だけなんだよなあ……。
魔方陣なら魔力を注ぐか、発動条件を満たせば良いだけだから疑われても可笑しくはないよね。
やってないけど。
「……何がどうなってんの?」
「騎士が殺人事件の容疑者になってて、協力者疑惑かけられてる私らを尋問するために軍の施設に向かってる途中。騎士は一番最後に死んだ奴の牢屋にはいったことと、鍵をもってたっていうか、上着にあったから疑われてる」
「なるほど……?」
佐之助さん、なるほどと言いつつ首をかしげている。
「渡すタイミングが無いと言っても、透明化の魔法を簡単に使える生徒がいるだろう。その生徒と親しい仲らしいし、仲介役でもしたんじゃないのか?」
「篠野部は二ヶ月前から行方不明だよ。軍人さんの癖に、そんなことも調べてないわけ?」
そう煽り気味に言ってみれば、キッと睨まれた。
「貴方達、もしや兄さんの足を引っ張りたいだけで、まともに捜査してないなんてことないでしょうね!?」
「そっちこそ、身内可愛さに犯罪を見過ごしてるんじゃないのか?」
「待て待て待て待て!往来ですることじゃないし、ヘラクレスが犯人だと決まったわけでもないだろう?」
今にも掴み合いの喧嘩に発展しそうなのを、まともそうな軍人さんが止めにはいる。
「なぁなぁ、嬢ちゃん」
「ん、何ですか?」
「分身の魔法って、どんな感じになるんだ?」
「ん~……制度にもよりますけど、私達一年生レベルだとするなら本人の動きをトレースしただけの人形になりますかね。喋るのはできるけど、大分ぎこちなくなるはず……」
「それなら可笑しくねえか?店に来た騎士の兄ちゃんは、はっきり喋ってたぞ?「妹経由で友人に聞いたレシピを試すために来た」って言ってたしよ」
そういえば、三学期が終わる直前にたらこの作り方教えろとか言われてたような……。
「それ、本当?」
「確かに聞かれてたわね。なんだっけ?魚卵の……」
「塩漬けしたやつだよ。たらこね」
「嬢ちゃんたらこ漬けれるの?」
「祖母直伝です。それでバイスの町にいた頃に食べた、たらこパン再現するって言ってたな……」
あれ?そういえば私も、そのころに食堂の人の了承得てたらこを漬けてなかったっけ?
ヤバい、使いきってない“たらこ”どうしたっけ……。
「なら可笑しくないか?さっき、その子が言ったみたいに分身の魔法をこの子達のどちらかがかけたとしても、そんな会話できないはずだ」
「そもそもさ、荒事なれてるタイプの騎士の兄ちゃんが分身の魔法使ってんのに、牢屋にはいる姿見られることや鍵持って疑われるなんて間抜けな真似するか?」
「てかさ。鍵って、複製しようと思えば簡単に出きるから証拠になりにくくない?」
鍵、勝手に複製されて不法侵入された事件なんて山ほどあるからね。
「軍の施設でそんなこと起きるわけないだろ。外部の人間が入れるわけがない」
「なら裏切り者でもいるんじゃないの?あの襲撃犯達の一人が魔法学校の生徒だったみたいにさ」
場に緊張が走る。
私のいってることが事実ならば、軍部の不祥事まったなしだ。
「我々を侮辱しているのか?」
「何よ、永華が言ってるのは可能性の話でしょ?それとも心当たりがあるわけ?」
「あぁ、もう!そこ、喧嘩しない!」
でも、そうだと言うのなら何が目的でこんなことをしたんだろうか?
「そもそも、騎士は何て言ってたのさ」
「“その時間帯は教えてもらったレシピを試すために買い物に出ていた。牢屋には入っていないし、鍵も日が暮れる前に定位置に返したから持ってるわけがない”といって、貴方の名前を出したんですよ」
私が呼ばれた理由ってそれか。
「その話がでてなんで佐之助さんに話聞きに行ってないんですか?」
「いや、俺、昨日店閉めてから、さっきまで王都の外にいたんだわ。店にも張り紙してたんだけど、ほんとが今日もいないはずだったんだけどな」
「そうなんですか?」
「そう。仕入れとかのために港に言ってたんだけどよ。港のおっちゃんに船が事故って全部パアになったって言われて、確認したら俺のもダメになっててな。泣きながら帰ってきたんだわ」
……。
「御愁傷様です」
「はは……てなわけでいても意味ねえから帰ってきたんだよ。その人達は張り紙をみて俺がいないって思ったから嬢ちゃん達から先に話を聞こうとしたんだろ」
佐之助さんの言葉に反ヘラクレス派じゃない軍人さんがうなずく。
なるほど、一応先にこっちに来た理由はあったと……。
ヘラクレスを陥れるために、捜査しなければ行けないのに家庭を省いたのかと、無駄に疑ってしまった……。
それにしてもだ。
日之出に入ったヘラクレスが本人であるのならば、牢屋には行っていた目撃証言があるヘラクレスは一体なんだというんだろうか。
それに、鍵は返して持っているわけがないといっているのにも関わらずヘラクレスの上着から見つかったことも違和感がある。
鍵は本当に複製しよう思えばできちゃうしな……。
そう考えていると、町の人が多くいる方向から叫び声が聞こえてきた。
念のために、と優男にいわれて杖と私の糸を取り上げられてしまっているのが気がかりではある。
手錠をかけられているわけでもないし、杖を盗られたこと以外なにもされていないから大丈夫だとは思うんだけどな……。
「そういえばさ、なんでこの人達に対して辺りが強いの?」
ララに近づき、ララ以外には聞こえないくらいの小さい声で話しかけてみる。
「兄さん、若くして出世しているの。当然、それをよく思わない人がいて、この人達がそうなの。まぁ、何人かは違うんだけどね」
「うわ……。なんか、騎士に向けられる感情って両極端気味だね」
「ほんとにね……」
見た目が良いから行為を向けられたり、家柄が良いから取り入ろうとしてる人がいたり、出世の早さを理由に人に恨まれたり……。
あの人、絶対色々と大変な思いしているんだろうな……。
それはそうとして、ララから今いる軍人さん達がヘラクレスの事をよく思っていないときいたから思ったけど、これ大丈夫じゃないかもしれない。
この場で襲撃されること以外は何かあることはないだろうけど、軍の施設にいったあとが問題でしかないな。
軍の施設にいったらどうなるんだか……。
もしかしたら、ヘラクレスの不利に働くようにするためにろくに私たちの話を聞く気はないのかもしれない。
まぁ、そうでない人達もいるらしいから、その人達に期待するしかないかな……。
何人か不服そうな人がいる理由って、多分反ヘラクレス派っていえばいいのかな?そんな感じの人達だけで組めなかったから何じゃないかな。
まあ、班わりなんて上が決めるだろうから、思っていた通りにならなのは通例か。
さて、これからどうなるんだろう。
本当に何もないまま軍の施設につくと良いな……。
襲撃とか無いと良いな……。
「あれ?」
軍人さん達についていっていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、やっぱりだ!最近、全然店にこねー同郷の嬢ちゃん!」
「あれ?日之出の店主の佐之助さん?」
声をかけてきたのは、入学してからあまり時間がたってない頃に商店街に夕飯の買い物に行ったときに篠野部が見つけてきた醤油とか味噌を売ってるお店の人だ。
篠野部に一人で外出するなと注意されてたし、襲撃受けたりしたから夏休みになってから一回も行ってなかったんだよね。
ローシュテールの事件の時も外出控えていた事もあったから“全然店に来ない”っていわれるのも納得だよね……。
「そうだよ。全然こねーからてっきり帰ったのかと思ったわ」
「卒業もしてないのに帰れないって……。色々と巻き込まれてて、安全のために引きこもってたの。冬休み開けと夏休み両方ね」
今思えば冬休み明けの襲撃ってモカノフの手先か何かだったんだろうけど、当時の私たちは何も知らないからローシュテールの手先にしか見えない買ったんだよねえ……。
「まじかよ、災難だな。で、今もか?」
佐之助さん察しが良いな。
いや、軍人さん達に囲まれてるのに何もないと思う方が無理あるか。
……それなのに私たちに話しかけるのって、佐之助さんの度胸すごいな。
「うん、まぁ……。ヘラクレス・アリスってわかる?」
「おう、騎士の兄ちゃんだろ?昨日の夜うちに来たわ」
「え?」
佐之助さんの予想外の発言に軍人さんも私も固まる。
ヘラクレスが昨日の夜に日之出に来ていた?
「そ、それは何時の出来事ですか?」
軍人さんの一人、恐らくはヘラクレスに対して悪い感情を持っていないだろう人が佐之助さんに問いかける。
「ん~……閉店のちょっと前だから、十一時半は過ぎてたんじゃねえの?うち日が変わる頃に閉めるし」
「……兄さんが容疑者になってる事件の、殺された人達の死亡推定時刻って、どれくらいなの?」
「午後十一時三十分から日を跨ぐか跨がないかくらいだと……」
佐之助さんの証言が正しいのならば、容疑者であるヘラクレスが反抗を行うのは難しいと言うことになる。
「やっぱり、兄さんじゃないじゃない!」
ギャンッとララが軍人に噛みつく。
「で、でも、そう言う魔法かもしれないでしょう?」
「兄さんが分身の魔法なんて使えるわけないでしょ!魔法の才能なんて、微塵もないのに!」
「君たちの誰かが協力した可能性もある!」
「無いわよ!あの日は襲撃があってから一日ずっと同室のメンバーと一緒にいたもの!そもそも、その日だって兄さんと会えたのは襲撃犯を引き渡す時だけよ!」
「そのときに何かしたんじゃないのか?襲撃を受けたっていう金髪の子は魔方陣が得意だそうじゃないか」
なんで知って……。
協力者かもしれないから調べたのか。
一応、魔法は使えないことになってるんだけど、それを知ってるのも先生とミア帝国の人と篠野部、あとはマッドサイエンティストとビーグル先輩だけなんだよなあ……。
魔方陣なら魔力を注ぐか、発動条件を満たせば良いだけだから疑われても可笑しくはないよね。
やってないけど。
「……何がどうなってんの?」
「騎士が殺人事件の容疑者になってて、協力者疑惑かけられてる私らを尋問するために軍の施設に向かってる途中。騎士は一番最後に死んだ奴の牢屋にはいったことと、鍵をもってたっていうか、上着にあったから疑われてる」
「なるほど……?」
佐之助さん、なるほどと言いつつ首をかしげている。
「渡すタイミングが無いと言っても、透明化の魔法を簡単に使える生徒がいるだろう。その生徒と親しい仲らしいし、仲介役でもしたんじゃないのか?」
「篠野部は二ヶ月前から行方不明だよ。軍人さんの癖に、そんなことも調べてないわけ?」
そう煽り気味に言ってみれば、キッと睨まれた。
「貴方達、もしや兄さんの足を引っ張りたいだけで、まともに捜査してないなんてことないでしょうね!?」
「そっちこそ、身内可愛さに犯罪を見過ごしてるんじゃないのか?」
「待て待て待て待て!往来ですることじゃないし、ヘラクレスが犯人だと決まったわけでもないだろう?」
今にも掴み合いの喧嘩に発展しそうなのを、まともそうな軍人さんが止めにはいる。
「なぁなぁ、嬢ちゃん」
「ん、何ですか?」
「分身の魔法って、どんな感じになるんだ?」
「ん~……制度にもよりますけど、私達一年生レベルだとするなら本人の動きをトレースしただけの人形になりますかね。喋るのはできるけど、大分ぎこちなくなるはず……」
「それなら可笑しくねえか?店に来た騎士の兄ちゃんは、はっきり喋ってたぞ?「妹経由で友人に聞いたレシピを試すために来た」って言ってたしよ」
そういえば、三学期が終わる直前にたらこの作り方教えろとか言われてたような……。
「それ、本当?」
「確かに聞かれてたわね。なんだっけ?魚卵の……」
「塩漬けしたやつだよ。たらこね」
「嬢ちゃんたらこ漬けれるの?」
「祖母直伝です。それでバイスの町にいた頃に食べた、たらこパン再現するって言ってたな……」
あれ?そういえば私も、そのころに食堂の人の了承得てたらこを漬けてなかったっけ?
ヤバい、使いきってない“たらこ”どうしたっけ……。
「なら可笑しくないか?さっき、その子が言ったみたいに分身の魔法をこの子達のどちらかがかけたとしても、そんな会話できないはずだ」
「そもそもさ、荒事なれてるタイプの騎士の兄ちゃんが分身の魔法使ってんのに、牢屋にはいる姿見られることや鍵持って疑われるなんて間抜けな真似するか?」
「てかさ。鍵って、複製しようと思えば簡単に出きるから証拠になりにくくない?」
鍵、勝手に複製されて不法侵入された事件なんて山ほどあるからね。
「軍の施設でそんなこと起きるわけないだろ。外部の人間が入れるわけがない」
「なら裏切り者でもいるんじゃないの?あの襲撃犯達の一人が魔法学校の生徒だったみたいにさ」
場に緊張が走る。
私のいってることが事実ならば、軍部の不祥事まったなしだ。
「我々を侮辱しているのか?」
「何よ、永華が言ってるのは可能性の話でしょ?それとも心当たりがあるわけ?」
「あぁ、もう!そこ、喧嘩しない!」
でも、そうだと言うのなら何が目的でこんなことをしたんだろうか?
「そもそも、騎士は何て言ってたのさ」
「“その時間帯は教えてもらったレシピを試すために買い物に出ていた。牢屋には入っていないし、鍵も日が暮れる前に定位置に返したから持ってるわけがない”といって、貴方の名前を出したんですよ」
私が呼ばれた理由ってそれか。
「その話がでてなんで佐之助さんに話聞きに行ってないんですか?」
「いや、俺、昨日店閉めてから、さっきまで王都の外にいたんだわ。店にも張り紙してたんだけど、ほんとが今日もいないはずだったんだけどな」
「そうなんですか?」
「そう。仕入れとかのために港に言ってたんだけどよ。港のおっちゃんに船が事故って全部パアになったって言われて、確認したら俺のもダメになっててな。泣きながら帰ってきたんだわ」
……。
「御愁傷様です」
「はは……てなわけでいても意味ねえから帰ってきたんだよ。その人達は張り紙をみて俺がいないって思ったから嬢ちゃん達から先に話を聞こうとしたんだろ」
佐之助さんの言葉に反ヘラクレス派じゃない軍人さんがうなずく。
なるほど、一応先にこっちに来た理由はあったと……。
ヘラクレスを陥れるために、捜査しなければ行けないのに家庭を省いたのかと、無駄に疑ってしまった……。
それにしてもだ。
日之出に入ったヘラクレスが本人であるのならば、牢屋には行っていた目撃証言があるヘラクレスは一体なんだというんだろうか。
それに、鍵は返して持っているわけがないといっているのにも関わらずヘラクレスの上着から見つかったことも違和感がある。
鍵は本当に複製しよう思えばできちゃうしな……。
そう考えていると、町の人が多くいる方向から叫び声が聞こえてきた。
0
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる