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その後、私達は無事に廃工場へと帰ってこれた。
暗闇の中、窓から差し込む月明かりを頼りに電気ランプを点けようとすると、私が電源に触る前にランブに光が宿った。
突然の光に、私の視界は一瞬ホワイトアウトした。
やがて視界がもとに戻ると、目の前には見知らぬ男性が立っていた。
身長は私と同じくらい、年齢は五十は超えているだろう。
パリッとした高級そうな黒いスーツに身を包み、一見気品のある紳士に見えなくもないが、その顔はいやらしくニタニタとした笑顔を浮かべている。
「どちら様ですか?」
「こんばんわ、私の名は源蔵。そこにいる彼の父親です」
そう言って、源蔵と名乗る男はサキを指さした。
サキの顔は、さっきの二人組に絡まれたとき以上に強張っている。
「家出した息子を匿ってくれていたようで、ありがとう。これはせめてものお礼だ」
男は懐からいくらかのお金を取り出すと、私の手をとって握らせた。
「さあ、帰ろう。我が家へと……」
男はサキの前に歩み寄って、手を差し伸べる。
サキは強張ったまま動かない。
二人組の手を払い除けたときのような、力強さはどこにも見受けられない。
まるで巨大な天敵に怯える小動物のようだ。
暗闇の中、窓から差し込む月明かりを頼りに電気ランプを点けようとすると、私が電源に触る前にランブに光が宿った。
突然の光に、私の視界は一瞬ホワイトアウトした。
やがて視界がもとに戻ると、目の前には見知らぬ男性が立っていた。
身長は私と同じくらい、年齢は五十は超えているだろう。
パリッとした高級そうな黒いスーツに身を包み、一見気品のある紳士に見えなくもないが、その顔はいやらしくニタニタとした笑顔を浮かべている。
「どちら様ですか?」
「こんばんわ、私の名は源蔵。そこにいる彼の父親です」
そう言って、源蔵と名乗る男はサキを指さした。
サキの顔は、さっきの二人組に絡まれたとき以上に強張っている。
「家出した息子を匿ってくれていたようで、ありがとう。これはせめてものお礼だ」
男は懐からいくらかのお金を取り出すと、私の手をとって握らせた。
「さあ、帰ろう。我が家へと……」
男はサキの前に歩み寄って、手を差し伸べる。
サキは強張ったまま動かない。
二人組の手を払い除けたときのような、力強さはどこにも見受けられない。
まるで巨大な天敵に怯える小動物のようだ。
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