ママは男の娘

#07

#07-03

　そっくりさんは、一頻りぬーちゃんを抱きしめると私に視線を移した。

「……あなたは？」

　私は口を開こうとして、言葉に詰まった。

　今の私をどう伝えたらいいのか、わからなかった。

　とりあえず、サキを追いかけて来たことだけはちゃんと伝えた。

　そのことを聞くと、そっくりさんは何かに納得するかのように頷いた。

「あの子は向かいの部屋にいます、どうか連れ出してあげてください」

　向かいの部屋……あの厳重にセキュリティがかけられている部屋にいる？

「サキならばカーテンの向こうで寝ています。向かいの部屋にいるはずがありません」

　私がそういうと、そっくりさんは静かに首を横にふった。

「サキは今、魂を抜かれています。その魂は向かいの部屋にいるのです。寝ているのは肉体だけなんです」

　この人は何を言っているのだろうか？

　サキの魂が抜かれている？

　言葉の真意はわからないが、嘘をついているようには見えない。

　そもそも嘘を付くメリットがない。

　とりあえず私は、この人物が何者なのかを確かめようと考えた。