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Target1 広川東
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「どうしてそんな話になってるんですか!?」
雅さんが驚いた様子で抱きつく……いや、抱きついて見えるのは私の幻想か、とりあえず私の上半身をゆさゆさと揺らしている。
「秋元さんは大手企業の社員ですよね!?どうしてそんな危険な事をするんですか!?」
「あそこに入ったのは内定をもらったからに過ぎません」
「だからって……何も犯罪に手を染めなくても……」
「したい事をするまでです……そもそも、どうして殺し屋になったんですか?」
「えっ? えっと~……父が借金を残して行方不明になってしまい……母は元々私の事をよく思って無くて……風俗嬢か殺し屋になるかの二択を迫られて……」
「そうなんですね……ちなみに借金はいくら残ってるんです?」
「えっと~……あと2000万は残ってます」
「じゃあこの後全額払います」
「え!?そっ……そこまでしなくても……」
「払います、払わせて下さい」
「はっ!?……はぁ……」
朝、雅さんと一緒に買い物へ出かける。
今回の依頼を達成する為に。
「そういえば雅さん、いつもはどうやって人殺してるんです?」
「そうですねぇ……まずターゲットの居場所を突き止めて、大体それなりにおめかししたら部屋に入れてもらえるので、あとはナイフでグサッと……」
「意外と行き当たりばったりですね、もう少し作戦を練るものだと思ってましたけど」
「いつもは大体オーナーを裏切った下っ端とかがターゲットなので……これくらい雑でもいけちゃうんです」
「……もしかして、政治家がターゲットなのって今回が初めてだったりします?」
「……ですね」
困った事になった、殺し屋にしては小動物感が拭えない(そこが可愛い!!!!)と思っていたが、まさかの雑魚専門とは……私に至っては全くの未経験故、半端な殺し方ではかえって危険である。
まぁそもそもとして、人殺し自体がリスクの塊であるということは、一旦置いておこう。
広川東、元々はリベラル派の政治家であったが、ある保守派の政治家による大改革のおこぼれにあずかる為、鞍替えしたとのこと。
オーナーも、リベラル派にいくらかお金をもらっているのであろう、いっそ反対されるくらいなら口封じといったところか。
冴えないオッサンのプロフィールはここらで置いておいて。
彼が今拠点としているのは、ここからほど近い場所に位置している商店街だった。
空き家を買い取り、事務所として使っている様子、事務所内には見たところ(彼を含め)2,3人ほどいるが、夜になると人は完全に居なくなる。あくまで職場であり、寝泊まりする場所として買っていない。
では自宅はどうだろうか?こっちは更に無理、暮らしている家はまさに豪邸で、監視カメラがざっと10台は見つかった。
殺すどころか忍び込んだだけで警察のお世話になるだろう。
「……どうしましょう、狙うなら選挙活動中の昼間ですけども、そんな事したら捕まっちゃう……」
小さい体を必死に伸ばし、双眼鏡で豪邸を覗く雅さん。
ここだけ見ると到底殺し屋とは思えないほど可憐である……後で持ち帰ろう。
「仕方ありません、少々危険ですが、アレをやるしかありませんね」
「アレ……ってなんですか?」
「……大丈夫ですよ、少なくとも死にはしません」
「何をするつもりですか……!?」
翌日、私は広川東の自宅にいた。
ナイフ良し、パーカーもある仕掛けを施したものの、着心地には特に影響はない。
しばらくしたら広川東が出てきた、私はすかさず背後に回り込み、ナイフをズンッ!
「なっ!?
何をやっているんだぁぁぁぁぁ!!!」
近くにいた運転手と思われる老人が襲いかかるが、私は冷静に彼を巴投げてグサリ、老人には申し訳ないが高校時代の文武両道の精神が役立った瞬間である。
「一体何が……きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
豪邸から人が出てくる。
私は死角に隠れてパーカーを脱ぎ、いつもの様にスーツ姿へ素早く着替え、何食わぬ顔で駆けつけた。
「どうかしましたか!?」
「夫が……夫が……!?」
女性はかなりショックを受けていた、無理もない、こんな大きな肉塊は人生で殆ど見かけないからだ。
私は彼女を抱きかかえ、救急と警察へ連絡を入れる。
「これで良し……近くにAEDはありますか?私はここで救急措置を取ります」
「は……はい!確か執事の部屋にあったはずです!」
豪邸から幾らか人が出てきた、野次馬もぞろぞろ集まってくる。
……計画通り。
ゴォォォォォォォ!!!
パーカーにつけた仕掛けが勢い良く炎が上がった。
パーカーだけでなく、ズボンや外壁を餌にしてどんどんと燃え広がっていく。
これにより、私と広川東(と老人)の痕跡を消す。
警察や救急が到着する頃には全て手遅れとなっていた。
「お前……ホントに初仕事か?」
翌日、面倒な事にオーナーである男に呼ばれた。
私としては早く帰って雅さんと一緒にいたいのに、何故か男は私に怪訝な表情を浮かべる。
「……ベストを尽くしたまでです」
「にしては上手くいき過ぎじゃねぇか?手口鮮やか過ぎて、サツはロクな捜査出来てねぇぞ」
「知った事ではありません……もはや私の手は汚れました、ならば全てを犠牲にしてでも雅さんを幸せにしてみせます」
「……狂ってやがる」
「好きな物に熱中する事の、何が悪いというんです?」
雅さんが驚いた様子で抱きつく……いや、抱きついて見えるのは私の幻想か、とりあえず私の上半身をゆさゆさと揺らしている。
「秋元さんは大手企業の社員ですよね!?どうしてそんな危険な事をするんですか!?」
「あそこに入ったのは内定をもらったからに過ぎません」
「だからって……何も犯罪に手を染めなくても……」
「したい事をするまでです……そもそも、どうして殺し屋になったんですか?」
「えっ? えっと~……父が借金を残して行方不明になってしまい……母は元々私の事をよく思って無くて……風俗嬢か殺し屋になるかの二択を迫られて……」
「そうなんですね……ちなみに借金はいくら残ってるんです?」
「えっと~……あと2000万は残ってます」
「じゃあこの後全額払います」
「え!?そっ……そこまでしなくても……」
「払います、払わせて下さい」
「はっ!?……はぁ……」
朝、雅さんと一緒に買い物へ出かける。
今回の依頼を達成する為に。
「そういえば雅さん、いつもはどうやって人殺してるんです?」
「そうですねぇ……まずターゲットの居場所を突き止めて、大体それなりにおめかししたら部屋に入れてもらえるので、あとはナイフでグサッと……」
「意外と行き当たりばったりですね、もう少し作戦を練るものだと思ってましたけど」
「いつもは大体オーナーを裏切った下っ端とかがターゲットなので……これくらい雑でもいけちゃうんです」
「……もしかして、政治家がターゲットなのって今回が初めてだったりします?」
「……ですね」
困った事になった、殺し屋にしては小動物感が拭えない(そこが可愛い!!!!)と思っていたが、まさかの雑魚専門とは……私に至っては全くの未経験故、半端な殺し方ではかえって危険である。
まぁそもそもとして、人殺し自体がリスクの塊であるということは、一旦置いておこう。
広川東、元々はリベラル派の政治家であったが、ある保守派の政治家による大改革のおこぼれにあずかる為、鞍替えしたとのこと。
オーナーも、リベラル派にいくらかお金をもらっているのであろう、いっそ反対されるくらいなら口封じといったところか。
冴えないオッサンのプロフィールはここらで置いておいて。
彼が今拠点としているのは、ここからほど近い場所に位置している商店街だった。
空き家を買い取り、事務所として使っている様子、事務所内には見たところ(彼を含め)2,3人ほどいるが、夜になると人は完全に居なくなる。あくまで職場であり、寝泊まりする場所として買っていない。
では自宅はどうだろうか?こっちは更に無理、暮らしている家はまさに豪邸で、監視カメラがざっと10台は見つかった。
殺すどころか忍び込んだだけで警察のお世話になるだろう。
「……どうしましょう、狙うなら選挙活動中の昼間ですけども、そんな事したら捕まっちゃう……」
小さい体を必死に伸ばし、双眼鏡で豪邸を覗く雅さん。
ここだけ見ると到底殺し屋とは思えないほど可憐である……後で持ち帰ろう。
「仕方ありません、少々危険ですが、アレをやるしかありませんね」
「アレ……ってなんですか?」
「……大丈夫ですよ、少なくとも死にはしません」
「何をするつもりですか……!?」
翌日、私は広川東の自宅にいた。
ナイフ良し、パーカーもある仕掛けを施したものの、着心地には特に影響はない。
しばらくしたら広川東が出てきた、私はすかさず背後に回り込み、ナイフをズンッ!
「なっ!?
何をやっているんだぁぁぁぁぁ!!!」
近くにいた運転手と思われる老人が襲いかかるが、私は冷静に彼を巴投げてグサリ、老人には申し訳ないが高校時代の文武両道の精神が役立った瞬間である。
「一体何が……きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
豪邸から人が出てくる。
私は死角に隠れてパーカーを脱ぎ、いつもの様にスーツ姿へ素早く着替え、何食わぬ顔で駆けつけた。
「どうかしましたか!?」
「夫が……夫が……!?」
女性はかなりショックを受けていた、無理もない、こんな大きな肉塊は人生で殆ど見かけないからだ。
私は彼女を抱きかかえ、救急と警察へ連絡を入れる。
「これで良し……近くにAEDはありますか?私はここで救急措置を取ります」
「は……はい!確か執事の部屋にあったはずです!」
豪邸から幾らか人が出てきた、野次馬もぞろぞろ集まってくる。
……計画通り。
ゴォォォォォォォ!!!
パーカーにつけた仕掛けが勢い良く炎が上がった。
パーカーだけでなく、ズボンや外壁を餌にしてどんどんと燃え広がっていく。
これにより、私と広川東(と老人)の痕跡を消す。
警察や救急が到着する頃には全て手遅れとなっていた。
「お前……ホントに初仕事か?」
翌日、面倒な事にオーナーである男に呼ばれた。
私としては早く帰って雅さんと一緒にいたいのに、何故か男は私に怪訝な表情を浮かべる。
「……ベストを尽くしたまでです」
「にしては上手くいき過ぎじゃねぇか?手口鮮やか過ぎて、サツはロクな捜査出来てねぇぞ」
「知った事ではありません……もはや私の手は汚れました、ならば全てを犠牲にしてでも雅さんを幸せにしてみせます」
「……狂ってやがる」
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