159 / 248
六章 大寧寺ショック
復活の晴元
しおりを挟む
「さすがは遠州細川家。みすぼらしい出で立ちだけかと思えば、兵の数も少ない。細川 氏綱様の晴れの舞台だというに、花を添えようという気持ちが無いようだ。これだから田舎者は困る」
ここまで予想通りの反応をされてしまうと、逆に清々しくなってしまう。
遠州細川軍一五〇〇に、和泉国貝塚の地で合流した義父上率いる細川玄蕃頭軍二〇〇を加えた総勢一七〇〇の軍勢。この軍勢にて細川 氏綱殿の居城である淀古城に到着した際に言われた第一声がこれであった。
発言者は案内役となる三好宗家重鎮の松永 久秀となる。前回に引き続き、今回も喧嘩腰の対応だ。この分なら、当家の力を見せようと万の軍勢を率いてやって来ていれば、きっと「細川 氏綱様への叛意あり」と騒ぎ出していただろう。俺を嫌っているのは分かるが、ここまで露骨だと案内役の務めを果たす気があるのか首を傾げてしまう。
勿論、こちらにも悪い所はある。当家の軍の装備は市街地や山中での非正規戦闘を意識した軽装備で統一していたため、見るからに勇ましさに欠けていた。手持ちの槍や腰に差した刀も取り回しを意識して通常より短い。それは馬に乗る指揮官も含めてとなる。
特に俺は服装をOD色のBDU (バトルドレスユニフォーム)としているのだから、嫌味の一つも出ようというもの。家臣達は俺のこの決定に散々反対していただけに、松永 久秀の言葉を聞いた瞬間には「それ見たことか」と呆れ顔になっていた。まだこの時代には早過ぎたのだろうか。実用性を重視した姿が理解されないというのは何とも悲しい。
それにしても一五〇〇もの兵を率いてきたというのに、それを少ないと言うとはな。意外な反応ではある。細川 晴元は一体どの程度の数で京に攻撃を仕掛けてきているのだろうか。
元々俺は土佐津野家と国境兵五〇〇のみで京入りしようとしていた。手弁当の手伝い戦では得る物は何も無い。元が小市民だけに無駄な所に銭は使いたくないのが正直な所だ。
しかしながら、ここで家臣達の待ったが掛かる。折角の晴れ舞台に何て真似をしようとしているんだと。もう少し兵を増やしてくれと頼み込まれた。家臣達は京入りを遠州細川家の力を畿内に示す機会でもあると捉えていただけに、三好宗家から舐められるような数にはしたくないという言い分である。
そこまで言われると俺も折れざるを得ない。ただ、京入りによって土佐や南阿波の守りが疎かになるのは本末転倒である。結果、最終的には一五〇〇の兵を揃える。その上で木沢 相政を筆頭とした当家の武闘派も今回の京入りに帯同……というか、皆も付いて行きたかったらしい。京入りする兵を増やすように言ったのは、面子以上にこちらの理由の方が大きい気がする。装備を俺の好みで統一できたのは、遠征費の増大を了承したからこその妥協の産物であった。
なお、貝塚で合流した細川 国慶義父上は俺の姿や当家の軍勢を見て、「いや、何も言うまい。こういう事をするのが婿殿であったと忘れておった」と言われたのを追記しておく。
▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽
式も恙なく終わりここからは宴の時となる。
式と言っても今回は分かり易い。細川京兆家当主は代々正五位上に当たる右京大夫の官位を世襲していたため、右京大夫への就任が即ち京兆家の家督を継承するというものだ。細川 氏綱殿は既に昨年の二月には右京大夫に任じられている。本日はそれを参加者全員にお披露目するという簡単なものであった。
ただ、官位が絡む以上は幕府も無関係とはならない。いや、そういう口実なのだろう。上座には不機嫌な顔をした公方足利 義藤と幕臣のお偉方が座っている。氏綱陣営には三好宗家だけではなく、遠州細川家もいるというのを見せつけるためだけに呼ばれたのが丸分かりだ。このような脅しに近い真似をされて気分良く飲み食いできる方がおかしいというもの。
しかも足利 義藤への側近としての取次役目を近衛 稙家が担っているとなれば、俺に対する印象は最悪であろう。ただでさえ義父上が起こした詐欺騒ぎのとばっちりで悪感情を持たれているというのに、今度は近衛家と関係の深い島津荘まで奪い取ったとなれば当家を良く言う筈が無い。かなりの悪者に仕立てられているのが確定だ。
……俺は細川 晴元への対抗として呼ばれた身ではあるが、足利 義藤まで呼んだのは逆効果の気がしてならない。見るからに気位が高そうなだけに、それが反発心を招きそうだ。下手をするとこの式への招待が、氏綱陣営からの離反の切っ掛けになったりはしないだろうか?
とは言え、俺が足利 義藤の去就まで心配するのは筋違いでもある。人選を行ったのは三好 長慶と思われるので、後始末も当の本人がしっかりしてくれるだろう。俺は傍観者に徹すれば良い。それに足利 義藤は、足利という貴種と近衛という貴種を親として生まれた貴種中の貴種とも言える存在だ。直接言葉を交わすような事は起こらないのだから、気にする必要も無いだろう。田舎武士で良かった。
それよりも、面倒ではあるが挨拶回りを終わらせるとしよう。
上座から一段下がった場所にいた細川 氏綱殿への挨拶は予想通りあっさりと終わる。心配していた南九州の領国化に対してはお咎めも無しだ。きっと弟である細川 藤賢殿が話を通しておいてくれたのだろう。むしろ俺が送ったお祝いの品に対する礼を直接口にするという貴重な場面に出くわす程であった。長年辛酸を舐めてきたからか、こうして下の者にも素直に感謝の言葉が出るのは美徳と言うしかない。
三好宗家が実質的に畿内を治めていられるのは、改めてこの細川 氏綱殿の度量の賜物だというのが分かる。例え譜代の家臣が数少なく領国の統治そのものが無理だったとしても、一切の見栄を張らずに人に任せられるというのはなかなかできるものではない。
さて、そんな三好宗家当主の三好 長慶にも今回は挨拶をしなければならないのだが、
「細川殿、久しいな。こうした機会が巡ってくるのをずっと心待ちにしていたぞ」
「この度は嫡男誕生のお祝いを頂き、誠に感謝しております。付きましては……」
「細川殿、水臭いぞ。儂と細川殿は同じ細川 氏綱様を支える間柄ではないか。もう少しくだけても誰も文句は言うまい」
前回の騒動が何だったのかと思うような態度で接してくるのだから、本当にやり難い。俺としてはお祝いの品に対するお礼を述べて、返礼品を贈る約束をして終わらそうと考えていただけに予定が狂わされる羽目となる。
要するに三好 長慶は俺と話がしたいようだ。敢えて細川 氏綱殿の名を出す辺り、今日は幕府御供衆としての立場ではないと言いたいのだろう。席も細川 氏綱殿よりも更に下に位置している事からもそれが分かる。
しかもだ。都合良く三好 長慶の席の周りには誰もいない。見れば三好宗家の家臣達は、幕臣や細川 氏綱殿の接待に勤しんでいる。奇しくも邪魔の入らない一対一の状況が完成していた。どうやら俺は嵌められたらしい。
それだけのお膳立てをしていながら何事も無かったかのように、ピンと伸ばした背筋で隙の無い雰囲気を出しながらも柔和な笑みを向けてくる。俺が酒を注ごうとしても、盃を出す動きに横柄さを微塵も感じさせない。この品の良さが相手の毒気を抜くのだろう。三好 長慶が文化人としても名を残しているのは伊達ではないのだと思い知らされる。
「そこまで言うならお言葉に甘えて……」
「時に細川殿、幾ら伏見が洛中から離れているとは言え、危険なのは間違いない。何ゆえあの程度の数でやって来たのか教えてはくれぬか? それに兵の装備の理由も教えてくれぬだろうか?」
前回の会談で懲りたのか、今回は最初から意図の分かる話を振ってくる。多分だが細川 氏綱殿からの依頼という形ではなく、自身の口から当家の兵を借りたいと伝えたいのだろう。ただそうだとしても、兵の数と装備に不安が残るという所か。
……もしかしたら、これは俺が考えているよりも状況が悪い可能性があるな。仕方ない。兵の命に関わるようでは新たな対策が必要となるのだから、しばらくは三好 長慶の話に付き合うとするか。
「そんな凄い意味がある訳じゃない。単純に立ち回りを優先しただけだ。今この時にも襲われるかもしれないからな。守りを優先すれば良い的となってしまうし、即応性が低い。街中や山中は軽装の方が便利だぞ。走り回れるしな。それに細川 晴元殿の軍勢がまた京に攻め込んできていると言っても、以前のような力が残っているとは思えない。そうなれば直接軍勢を率いてやり合うよりも、少数の兵で神出鬼没に街中を荒らす方が効率が良い。その対策も兼ねている」
幾ら細川 晴元が巻き返しているとは言え、主力は二年前に起こった相国寺の戦いによって一度は壊滅をしている。現状はまだ立て直しの最中と言った方が良い。そうなれば合戦と言うよりはゲリラ戦に終始するのが賢い戦い形となる。そんな非正規のゲリラ戦の場合では、多くが障害物のある大軍が展開できない場所になりがちだ。そういった現場では、まず優先されるのが機動力という話である。
「なるほど。この思い切りの良さが細川殿らしさであろう。戦に強い理由がよく分かる。兵の数の少なさも、大軍を展開できないなら必要無いという訳か。よく分かったぞ。ただな、一つ細川殿は認識を改めた方が良い。細川 晴元様は若狭国に逃れたと言っても、力を失った訳ではない。未だ京を攻め落とす力を持っている」
「まさか!」
「細川 晴元様には比叡山延暦寺が付いている。細川殿ならこれで分かるな。細川京兆家と若狭武田家との蜜月は今更で、更には京へと至る若狭街道の流通を押さえる比叡山延暦寺がついているとなれば……」
「京と取引のある北陸の武家の支援を受けられると」
「儂の知る限りでは越前朝倉家、越後長尾家、それと出雲尼子家がかなりの支援をしている」
「……出雲尼子家? そうか。美保関の港と小浜の港との繋がりは深いから当然と言えば当然か。となると出雲尼子家は知らない間に晴元派に転向していた訳だ。それと越前朝倉家は敦賀の港を抱えていると考えれば……西近江路を使えば比叡山延暦寺のお膝元である大津の町を通らなければならないと。越後長尾家は敦賀、小浜のどちらの港を使っても京に入るには必ず比叡山延暦寺の厄介になるな」
「さすがは商家として名高い細川殿。北陸から京に入る街道をよく分かっておる」
「そんな大国の支援があるから、小浜港には物資が集まり派手に繁盛していると。細川 晴元殿が若狭入りした事で銭が落ちるなら、若狭武田家も支援する理由にはなるな」
要は目的と手段の違いである。
俺が考えるゲリラ活動というのは、派手な活動を行って支援者を増やすためのものであった。左翼ゲリラが殊更自分達の功績や存在を犯行声明としてアピールするのはこの考えに近い。他にも動物愛護団体が過激な活動を行うのは、概ね資金援助を得るためのパフォーマンスのようなものだ。
しかし細川 晴元の場合は既に支援者は十分に集まっており、資金も流入しているのだという。なら何故全面攻勢に出ないのかとなれば、攻め落とすにしても現状では決定力が足りないからとなる。敵を揺さ振り疲弊させ、内部崩壊を誘発させる。一か八かのような博打は行わない。確実に勝てるようにと布石を打っている段階なのだろう。
しかもその布石が「放火」というのだから恐ろしい。細川 晴元の軍は小勢ながらも、予告無く突然京の町にやって来て火を付けて回るのだという。当然ながら、時間も早朝だろうが深夜だろうがお構いなしだ。
──おはようからおやすみまで暮らしを見つめる晴元。やはり細川 晴元はただ者ではなかったという結論となる。
狭い路地に木造建築がひしめく京の町は、放火ととても相性が良い。一度火災が広がれば大惨事に発展する。そんな事態が起こらないようにと日々の警戒を行っているのが現在の三好宗家であった。
なるほど。猫の手も借りたい状況ではあるな。
また、支援者を得るために流通を押さえるというのはこの時代では考えられない発想となる。まだ関所で荷止をしたり関銭 (関所を通過するための税金)を値上げして利益を増やすというなら行っている者もいよう。だが今回の場合は逆だ。細川 晴元への支援を行えば、関所通過で優遇を受けられるという意味なのだろう。だからこそ京と取引のある日本海側の武家が支援を行ったという訳だ。何も無条件で細川 晴元に協力をしているという訳ではない。
それを考えると……
「そう言えば細川 藤賢殿が尼子 晴久への八カ国守護就任に付いては、幕府内でも相当な反対があったと言っていたか。銭を大量に積んだのもあるだろうが、仲介者がいたと考えた方がしっくりくるな。八カ国守護を餌に晴元派に転向させたか」
「……細川殿、その話を詳しく話してくれぬか」
「あくまでも仮定の話として考えて欲しい。島津の守護職の件を見ても明らかだが、今の室町幕府は近衛家、いや取次の近衛 稙家の言い分が通る。なら近衛 稙家に口利きできる人物がいるなら要望が通る訳だ。例えば近衛家の荘園管理を担っていた細川 晴元殿とかだな。伝統的に近衛家の荘園管理は細川京兆家の家臣が行っている」
「まさか……」
「考えれば細川 氏綱様が三好殿を頼りにする理由の一つが、細川京兆家の地盤を引き継いでいないからというのもあった。ならその地盤は誰が持っているかとなれば、当然細川 晴元殿となる。若狭武田家が懇意としているのは細川京兆家であるなら、本来的には細川 氏綱様と協力関係とならないといけない。だというのに細川 晴元殿に味方する。比叡山延暦寺は……天文法華の乱絡みでの恩だろうな」
天文法華の乱というのは、京を舞台に日蓮宗や本願寺教団、比叡山延暦寺で大規模な軍事行動や焼き討ちが行われたように言われているが、その内実は京での利権争いである。それまで本願寺教団や日蓮宗に奪われていた利権を延暦寺が取り戻したという事件だ。だからこそ、そこには当然細川 晴元が関わっている。比叡山延暦寺が京での利権を手にするのを認めたのが他ならぬ細川 晴元であった。
この恩があるため、比叡山延暦寺は細川 晴元に頭が上がらない。
比叡山延暦寺は外から見れば巨大組織のように見えるが、天狗管領細川 政元様の行った焼き討ちによって内実はカツカツである。その大きな理由は一つ。比叡山延暦寺は自分達の食い扶持は自らで稼がなければならない。幾ら広大な寺領を持ち高利貸しに手を出していた所で、巨大組織であるが故のジレンマで半端な収益では維持ができないというのが大きな悩みだ。
事実、織田 信長が行った比叡山延暦寺の焼き討ちでは、避難した麓にある町の住人が犠牲者の多くであったという。この時期は深刻な赤字で、比叡山延暦寺では大規模なリストラが行われていた。
何が言いたいかというと、比叡山延暦寺には往年のような銭は無い。だからこそ特需を生み出した細川 晴元と、引き続き協力関係を持つのは必然であった。
「細川殿、近衛様が細川 晴元様と繋がっているというなら、何ゆえ公方様は当家や細川 氏綱様と和睦したのだ?」
「さあ? 本人でないからそこまでは分からん。ただ、近江六角家家にしても細川 晴元殿にしても、あの時点では自らが力を得るまでに時が必要だったのは間違いない。三好宗家の目を逸らすための口実だと考えるのが一番しっくりする。事実、公方様を京に迎えてからは細川 晴元殿への対策が疎かになったんじゃないのか?」
「……それはその通りだ」
「もう一度言うが、あくまでも仮定の話だ。頭の悪い俺には二人が裏で手を取り合っていると考えた方が分かり易いというだけだぞ。真実は分からん」
「それは分かっておるから安心して欲しい。その上で一つ聞く。昨年の一一月に公方様は清水寺近くに新たな城を築いた。最早離反は確実であろう。細川殿なら公方様の離反を思い留まらせるにはどうすれば良いと考える」
「公方様を思い留まらせるのか……無理じゃないのか。軟禁するもしくは城を破壊しても良いなら話は別だが、それだと外聞が悪過ぎる。相手の思う壺だ。三好殿が御敵にされてしまうな。諦めて地道に細川 晴元殿の力を削ぐしかないと思うぞ。もしくは比叡山延暦寺の焼き討ちをするかだ」
「やはり細川殿でも思いつかぬか。儂には比叡山延暦寺の焼き討ちはできそうにないから、内藤殿と協力して地道に晴元派の丹波勢を降していくしか道は無さそうだな」
「……ん? 良ければ叡山延暦寺の焼き討ちができない理由を聞かせてくれないか?」
「歴代の天台座主には皇族が多く就任しておってな。これで意味が分かるだろう。比叡山延暦寺と事を構えれば朝廷と良好な関係が築けぬ」
「皇族の天下り先か。皇族も生きるには銭が必要という訳か。地方の末寺の住職では決して満足しないだろうしな。土佐の金剛福寺も現状皇族が住職をしているんでね。三好殿の気持ちは分かる」
「あ、あま……」
「聞き流してくれ。土佐特有の言葉だ」
ここからは予想通り、当家の兵で京の町防衛を手伝って欲しいと頭を下げられる。まさか放火魔との戦いが待っているとは思わなかったが、現状の三好宗家は目の下に隈を作りながらも必死で頑張っていると聞けば申し出を断る訳にはいかなかった。
懸念であった当家の洛中への出入り禁止も、三好 長慶が既に手を回していて解除済みというだから恐れ入る。但し、滞在費用等の全ての経費は当家持ちというのはどうあっても覆りそうはなく、諦めるより他無かった。
兵の数八〇〇、滞在期間未定。これが三好 長慶へ挨拶したがために毟り取られた結果である。
ここまで予想通りの反応をされてしまうと、逆に清々しくなってしまう。
遠州細川軍一五〇〇に、和泉国貝塚の地で合流した義父上率いる細川玄蕃頭軍二〇〇を加えた総勢一七〇〇の軍勢。この軍勢にて細川 氏綱殿の居城である淀古城に到着した際に言われた第一声がこれであった。
発言者は案内役となる三好宗家重鎮の松永 久秀となる。前回に引き続き、今回も喧嘩腰の対応だ。この分なら、当家の力を見せようと万の軍勢を率いてやって来ていれば、きっと「細川 氏綱様への叛意あり」と騒ぎ出していただろう。俺を嫌っているのは分かるが、ここまで露骨だと案内役の務めを果たす気があるのか首を傾げてしまう。
勿論、こちらにも悪い所はある。当家の軍の装備は市街地や山中での非正規戦闘を意識した軽装備で統一していたため、見るからに勇ましさに欠けていた。手持ちの槍や腰に差した刀も取り回しを意識して通常より短い。それは馬に乗る指揮官も含めてとなる。
特に俺は服装をOD色のBDU (バトルドレスユニフォーム)としているのだから、嫌味の一つも出ようというもの。家臣達は俺のこの決定に散々反対していただけに、松永 久秀の言葉を聞いた瞬間には「それ見たことか」と呆れ顔になっていた。まだこの時代には早過ぎたのだろうか。実用性を重視した姿が理解されないというのは何とも悲しい。
それにしても一五〇〇もの兵を率いてきたというのに、それを少ないと言うとはな。意外な反応ではある。細川 晴元は一体どの程度の数で京に攻撃を仕掛けてきているのだろうか。
元々俺は土佐津野家と国境兵五〇〇のみで京入りしようとしていた。手弁当の手伝い戦では得る物は何も無い。元が小市民だけに無駄な所に銭は使いたくないのが正直な所だ。
しかしながら、ここで家臣達の待ったが掛かる。折角の晴れ舞台に何て真似をしようとしているんだと。もう少し兵を増やしてくれと頼み込まれた。家臣達は京入りを遠州細川家の力を畿内に示す機会でもあると捉えていただけに、三好宗家から舐められるような数にはしたくないという言い分である。
そこまで言われると俺も折れざるを得ない。ただ、京入りによって土佐や南阿波の守りが疎かになるのは本末転倒である。結果、最終的には一五〇〇の兵を揃える。その上で木沢 相政を筆頭とした当家の武闘派も今回の京入りに帯同……というか、皆も付いて行きたかったらしい。京入りする兵を増やすように言ったのは、面子以上にこちらの理由の方が大きい気がする。装備を俺の好みで統一できたのは、遠征費の増大を了承したからこその妥協の産物であった。
なお、貝塚で合流した細川 国慶義父上は俺の姿や当家の軍勢を見て、「いや、何も言うまい。こういう事をするのが婿殿であったと忘れておった」と言われたのを追記しておく。
▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽
式も恙なく終わりここからは宴の時となる。
式と言っても今回は分かり易い。細川京兆家当主は代々正五位上に当たる右京大夫の官位を世襲していたため、右京大夫への就任が即ち京兆家の家督を継承するというものだ。細川 氏綱殿は既に昨年の二月には右京大夫に任じられている。本日はそれを参加者全員にお披露目するという簡単なものであった。
ただ、官位が絡む以上は幕府も無関係とはならない。いや、そういう口実なのだろう。上座には不機嫌な顔をした公方足利 義藤と幕臣のお偉方が座っている。氏綱陣営には三好宗家だけではなく、遠州細川家もいるというのを見せつけるためだけに呼ばれたのが丸分かりだ。このような脅しに近い真似をされて気分良く飲み食いできる方がおかしいというもの。
しかも足利 義藤への側近としての取次役目を近衛 稙家が担っているとなれば、俺に対する印象は最悪であろう。ただでさえ義父上が起こした詐欺騒ぎのとばっちりで悪感情を持たれているというのに、今度は近衛家と関係の深い島津荘まで奪い取ったとなれば当家を良く言う筈が無い。かなりの悪者に仕立てられているのが確定だ。
……俺は細川 晴元への対抗として呼ばれた身ではあるが、足利 義藤まで呼んだのは逆効果の気がしてならない。見るからに気位が高そうなだけに、それが反発心を招きそうだ。下手をするとこの式への招待が、氏綱陣営からの離反の切っ掛けになったりはしないだろうか?
とは言え、俺が足利 義藤の去就まで心配するのは筋違いでもある。人選を行ったのは三好 長慶と思われるので、後始末も当の本人がしっかりしてくれるだろう。俺は傍観者に徹すれば良い。それに足利 義藤は、足利という貴種と近衛という貴種を親として生まれた貴種中の貴種とも言える存在だ。直接言葉を交わすような事は起こらないのだから、気にする必要も無いだろう。田舎武士で良かった。
それよりも、面倒ではあるが挨拶回りを終わらせるとしよう。
上座から一段下がった場所にいた細川 氏綱殿への挨拶は予想通りあっさりと終わる。心配していた南九州の領国化に対してはお咎めも無しだ。きっと弟である細川 藤賢殿が話を通しておいてくれたのだろう。むしろ俺が送ったお祝いの品に対する礼を直接口にするという貴重な場面に出くわす程であった。長年辛酸を舐めてきたからか、こうして下の者にも素直に感謝の言葉が出るのは美徳と言うしかない。
三好宗家が実質的に畿内を治めていられるのは、改めてこの細川 氏綱殿の度量の賜物だというのが分かる。例え譜代の家臣が数少なく領国の統治そのものが無理だったとしても、一切の見栄を張らずに人に任せられるというのはなかなかできるものではない。
さて、そんな三好宗家当主の三好 長慶にも今回は挨拶をしなければならないのだが、
「細川殿、久しいな。こうした機会が巡ってくるのをずっと心待ちにしていたぞ」
「この度は嫡男誕生のお祝いを頂き、誠に感謝しております。付きましては……」
「細川殿、水臭いぞ。儂と細川殿は同じ細川 氏綱様を支える間柄ではないか。もう少しくだけても誰も文句は言うまい」
前回の騒動が何だったのかと思うような態度で接してくるのだから、本当にやり難い。俺としてはお祝いの品に対するお礼を述べて、返礼品を贈る約束をして終わらそうと考えていただけに予定が狂わされる羽目となる。
要するに三好 長慶は俺と話がしたいようだ。敢えて細川 氏綱殿の名を出す辺り、今日は幕府御供衆としての立場ではないと言いたいのだろう。席も細川 氏綱殿よりも更に下に位置している事からもそれが分かる。
しかもだ。都合良く三好 長慶の席の周りには誰もいない。見れば三好宗家の家臣達は、幕臣や細川 氏綱殿の接待に勤しんでいる。奇しくも邪魔の入らない一対一の状況が完成していた。どうやら俺は嵌められたらしい。
それだけのお膳立てをしていながら何事も無かったかのように、ピンと伸ばした背筋で隙の無い雰囲気を出しながらも柔和な笑みを向けてくる。俺が酒を注ごうとしても、盃を出す動きに横柄さを微塵も感じさせない。この品の良さが相手の毒気を抜くのだろう。三好 長慶が文化人としても名を残しているのは伊達ではないのだと思い知らされる。
「そこまで言うならお言葉に甘えて……」
「時に細川殿、幾ら伏見が洛中から離れているとは言え、危険なのは間違いない。何ゆえあの程度の数でやって来たのか教えてはくれぬか? それに兵の装備の理由も教えてくれぬだろうか?」
前回の会談で懲りたのか、今回は最初から意図の分かる話を振ってくる。多分だが細川 氏綱殿からの依頼という形ではなく、自身の口から当家の兵を借りたいと伝えたいのだろう。ただそうだとしても、兵の数と装備に不安が残るという所か。
……もしかしたら、これは俺が考えているよりも状況が悪い可能性があるな。仕方ない。兵の命に関わるようでは新たな対策が必要となるのだから、しばらくは三好 長慶の話に付き合うとするか。
「そんな凄い意味がある訳じゃない。単純に立ち回りを優先しただけだ。今この時にも襲われるかもしれないからな。守りを優先すれば良い的となってしまうし、即応性が低い。街中や山中は軽装の方が便利だぞ。走り回れるしな。それに細川 晴元殿の軍勢がまた京に攻め込んできていると言っても、以前のような力が残っているとは思えない。そうなれば直接軍勢を率いてやり合うよりも、少数の兵で神出鬼没に街中を荒らす方が効率が良い。その対策も兼ねている」
幾ら細川 晴元が巻き返しているとは言え、主力は二年前に起こった相国寺の戦いによって一度は壊滅をしている。現状はまだ立て直しの最中と言った方が良い。そうなれば合戦と言うよりはゲリラ戦に終始するのが賢い戦い形となる。そんな非正規のゲリラ戦の場合では、多くが障害物のある大軍が展開できない場所になりがちだ。そういった現場では、まず優先されるのが機動力という話である。
「なるほど。この思い切りの良さが細川殿らしさであろう。戦に強い理由がよく分かる。兵の数の少なさも、大軍を展開できないなら必要無いという訳か。よく分かったぞ。ただな、一つ細川殿は認識を改めた方が良い。細川 晴元様は若狭国に逃れたと言っても、力を失った訳ではない。未だ京を攻め落とす力を持っている」
「まさか!」
「細川 晴元様には比叡山延暦寺が付いている。細川殿ならこれで分かるな。細川京兆家と若狭武田家との蜜月は今更で、更には京へと至る若狭街道の流通を押さえる比叡山延暦寺がついているとなれば……」
「京と取引のある北陸の武家の支援を受けられると」
「儂の知る限りでは越前朝倉家、越後長尾家、それと出雲尼子家がかなりの支援をしている」
「……出雲尼子家? そうか。美保関の港と小浜の港との繋がりは深いから当然と言えば当然か。となると出雲尼子家は知らない間に晴元派に転向していた訳だ。それと越前朝倉家は敦賀の港を抱えていると考えれば……西近江路を使えば比叡山延暦寺のお膝元である大津の町を通らなければならないと。越後長尾家は敦賀、小浜のどちらの港を使っても京に入るには必ず比叡山延暦寺の厄介になるな」
「さすがは商家として名高い細川殿。北陸から京に入る街道をよく分かっておる」
「そんな大国の支援があるから、小浜港には物資が集まり派手に繁盛していると。細川 晴元殿が若狭入りした事で銭が落ちるなら、若狭武田家も支援する理由にはなるな」
要は目的と手段の違いである。
俺が考えるゲリラ活動というのは、派手な活動を行って支援者を増やすためのものであった。左翼ゲリラが殊更自分達の功績や存在を犯行声明としてアピールするのはこの考えに近い。他にも動物愛護団体が過激な活動を行うのは、概ね資金援助を得るためのパフォーマンスのようなものだ。
しかし細川 晴元の場合は既に支援者は十分に集まっており、資金も流入しているのだという。なら何故全面攻勢に出ないのかとなれば、攻め落とすにしても現状では決定力が足りないからとなる。敵を揺さ振り疲弊させ、内部崩壊を誘発させる。一か八かのような博打は行わない。確実に勝てるようにと布石を打っている段階なのだろう。
しかもその布石が「放火」というのだから恐ろしい。細川 晴元の軍は小勢ながらも、予告無く突然京の町にやって来て火を付けて回るのだという。当然ながら、時間も早朝だろうが深夜だろうがお構いなしだ。
──おはようからおやすみまで暮らしを見つめる晴元。やはり細川 晴元はただ者ではなかったという結論となる。
狭い路地に木造建築がひしめく京の町は、放火ととても相性が良い。一度火災が広がれば大惨事に発展する。そんな事態が起こらないようにと日々の警戒を行っているのが現在の三好宗家であった。
なるほど。猫の手も借りたい状況ではあるな。
また、支援者を得るために流通を押さえるというのはこの時代では考えられない発想となる。まだ関所で荷止をしたり関銭 (関所を通過するための税金)を値上げして利益を増やすというなら行っている者もいよう。だが今回の場合は逆だ。細川 晴元への支援を行えば、関所通過で優遇を受けられるという意味なのだろう。だからこそ京と取引のある日本海側の武家が支援を行ったという訳だ。何も無条件で細川 晴元に協力をしているという訳ではない。
それを考えると……
「そう言えば細川 藤賢殿が尼子 晴久への八カ国守護就任に付いては、幕府内でも相当な反対があったと言っていたか。銭を大量に積んだのもあるだろうが、仲介者がいたと考えた方がしっくりくるな。八カ国守護を餌に晴元派に転向させたか」
「……細川殿、その話を詳しく話してくれぬか」
「あくまでも仮定の話として考えて欲しい。島津の守護職の件を見ても明らかだが、今の室町幕府は近衛家、いや取次の近衛 稙家の言い分が通る。なら近衛 稙家に口利きできる人物がいるなら要望が通る訳だ。例えば近衛家の荘園管理を担っていた細川 晴元殿とかだな。伝統的に近衛家の荘園管理は細川京兆家の家臣が行っている」
「まさか……」
「考えれば細川 氏綱様が三好殿を頼りにする理由の一つが、細川京兆家の地盤を引き継いでいないからというのもあった。ならその地盤は誰が持っているかとなれば、当然細川 晴元殿となる。若狭武田家が懇意としているのは細川京兆家であるなら、本来的には細川 氏綱様と協力関係とならないといけない。だというのに細川 晴元殿に味方する。比叡山延暦寺は……天文法華の乱絡みでの恩だろうな」
天文法華の乱というのは、京を舞台に日蓮宗や本願寺教団、比叡山延暦寺で大規模な軍事行動や焼き討ちが行われたように言われているが、その内実は京での利権争いである。それまで本願寺教団や日蓮宗に奪われていた利権を延暦寺が取り戻したという事件だ。だからこそ、そこには当然細川 晴元が関わっている。比叡山延暦寺が京での利権を手にするのを認めたのが他ならぬ細川 晴元であった。
この恩があるため、比叡山延暦寺は細川 晴元に頭が上がらない。
比叡山延暦寺は外から見れば巨大組織のように見えるが、天狗管領細川 政元様の行った焼き討ちによって内実はカツカツである。その大きな理由は一つ。比叡山延暦寺は自分達の食い扶持は自らで稼がなければならない。幾ら広大な寺領を持ち高利貸しに手を出していた所で、巨大組織であるが故のジレンマで半端な収益では維持ができないというのが大きな悩みだ。
事実、織田 信長が行った比叡山延暦寺の焼き討ちでは、避難した麓にある町の住人が犠牲者の多くであったという。この時期は深刻な赤字で、比叡山延暦寺では大規模なリストラが行われていた。
何が言いたいかというと、比叡山延暦寺には往年のような銭は無い。だからこそ特需を生み出した細川 晴元と、引き続き協力関係を持つのは必然であった。
「細川殿、近衛様が細川 晴元様と繋がっているというなら、何ゆえ公方様は当家や細川 氏綱様と和睦したのだ?」
「さあ? 本人でないからそこまでは分からん。ただ、近江六角家家にしても細川 晴元殿にしても、あの時点では自らが力を得るまでに時が必要だったのは間違いない。三好宗家の目を逸らすための口実だと考えるのが一番しっくりする。事実、公方様を京に迎えてからは細川 晴元殿への対策が疎かになったんじゃないのか?」
「……それはその通りだ」
「もう一度言うが、あくまでも仮定の話だ。頭の悪い俺には二人が裏で手を取り合っていると考えた方が分かり易いというだけだぞ。真実は分からん」
「それは分かっておるから安心して欲しい。その上で一つ聞く。昨年の一一月に公方様は清水寺近くに新たな城を築いた。最早離反は確実であろう。細川殿なら公方様の離反を思い留まらせるにはどうすれば良いと考える」
「公方様を思い留まらせるのか……無理じゃないのか。軟禁するもしくは城を破壊しても良いなら話は別だが、それだと外聞が悪過ぎる。相手の思う壺だ。三好殿が御敵にされてしまうな。諦めて地道に細川 晴元殿の力を削ぐしかないと思うぞ。もしくは比叡山延暦寺の焼き討ちをするかだ」
「やはり細川殿でも思いつかぬか。儂には比叡山延暦寺の焼き討ちはできそうにないから、内藤殿と協力して地道に晴元派の丹波勢を降していくしか道は無さそうだな」
「……ん? 良ければ叡山延暦寺の焼き討ちができない理由を聞かせてくれないか?」
「歴代の天台座主には皇族が多く就任しておってな。これで意味が分かるだろう。比叡山延暦寺と事を構えれば朝廷と良好な関係が築けぬ」
「皇族の天下り先か。皇族も生きるには銭が必要という訳か。地方の末寺の住職では決して満足しないだろうしな。土佐の金剛福寺も現状皇族が住職をしているんでね。三好殿の気持ちは分かる」
「あ、あま……」
「聞き流してくれ。土佐特有の言葉だ」
ここからは予想通り、当家の兵で京の町防衛を手伝って欲しいと頭を下げられる。まさか放火魔との戦いが待っているとは思わなかったが、現状の三好宗家は目の下に隈を作りながらも必死で頑張っていると聞けば申し出を断る訳にはいかなかった。
懸念であった当家の洛中への出入り禁止も、三好 長慶が既に手を回していて解除済みというだから恐れ入る。但し、滞在費用等の全ての経費は当家持ちというのはどうあっても覆りそうはなく、諦めるより他無かった。
兵の数八〇〇、滞在期間未定。これが三好 長慶へ挨拶したがために毟り取られた結果である。
12
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる