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第1話 転生残酷物語
しおりを挟む転生物語は残酷物語である。
転生者、とは生まれ変わった者の総称である。被転生者とは、転生を受けた者、その元になった者のことである。本件では被転生者の視点から転生物語が、いかに残酷で悲惨な事態を招くかを検証し、その理解促進のために記した、……。
全く理解できないだと? では、具体的な一例を示そう。名付けて「転生残酷物語」である。
病弱な少年A(12歳)は、残念ながらその病気故に命を落とした。普通ならここで話は終わりになるのだが、続きがあった。それは、……少年を不憫に思った神が彼を別の世界へと転生させた。
ここに登場する神とは便宜上そう呼称しているだけである。その実態は……分からないから神としている。つまり、人知を超えた存在であれば何でもよく、超能力者でも宇宙人でも良い。
訳のわからぬ存在であるが故、当然その思考も訳が分からない。よって「少年を不憫に思った」かどうかは不明だが、「転生させた」ことは間違いない。次に「彼を別の世界へ」の「別の世界」とは、どこか異なる世界とか異次元の世界を指しているとは限らない。少年の生活圏外であればそれら全てが「別の世界」である。
最後に、「転生」とは、ある人物の記憶を保ちながら新たに誕生する場合と、ある者にいきなり転生する(憑依のような)場合があるが、どちらの場合でも「残酷」であるという点では同じである。なぜ同じかというと、新たに生を受け誕生した場合、一見問題がないように思われるかもしれないが、転生とはそこに宿るはずだった人格のようなものを追い出し転生者の人格と入れ替わることである(乗っ取りとも言えるだろう)から、誕生しても途中からでも同じという訳である。……とりあえず例を示そう。
神とやらは少年A(12歳)を世界の何処かにいる、同じく12歳の少年Bに転生させた。——ここで余談だが、年齢を合わせたのは大して意味は無く、ただの習慣、慣例、癖の類のようなものだ。ただ、性別に関しては同一にしておく方が無難だと言えるだろう。さて、少年Bには何が起きたのか。それは少年Aの記憶を持ち、かつ少年Bの記憶を引き継ぐ新生少年Aとなった。以降、新生Aとする。
転生直後、新生AはAとしての人格と、元々の人格Bが同時に存在する、つまり二重人格のような状態になるが、すぐに後から来たAの人格の方が強くなり、やがて新生Aは以前の少年Aそのものとなる。
では、何故そうなるのか。「二重人格のような」とは言ったものの、実際のところ少年Bのそれは人格とは言えず、記憶だけが残っている状態である。だから最初の頃は記憶の混乱が起きても人格の衝突は起きない。よって時間の経過と共に新生Aは少年Aそのものとなるのである。
すると、一方の人格、少年Bのそれはどうなってしまったのか。残念ながら記憶だけを残して人格(精神とか魂とかに言い換えても良いだろう)は新生Aの体に宿ってはいない。つまり自分の体から「心」とでもいうべきか、そのようなものが追い出され、……その後の所在や安否は不明である、……ああ、無残。そんな少年Bこそが被転生者ということになる。
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