じーさんず & We are

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#8 栄子と呼ばれたで章

#8.3 円卓会議

また派手なリムジンで戻る私です。政府の出方は事前に承知していました。それを、あたかも初めて知った振りをした私です、役者になれるでしょうか。

そもそも政府は防衛費目的で税率を釣り上げるのが難しくなってきたようです。それもそうでしょう、高すぎますから。そこで一気に和平に舵を切りたいようですが、その方法が属国です。とても飲める条件ではありません。それに謝罪の場でそれを持ち出すとは言語道断です、フンです。

「魔王様、先程からこちらを付け狙う車がおりますが、如何致しましょうか」

運転手さんに言われ振り返る私です。確かに車が一台、ずっと後を付いて来ているようです。では、その方の心情を少し時間を遡ってから覗いてみましょう。

「なんて女なんだ! 癇癪にも程があるぞ」

政府のおじさんが何やら怒鳴っています。それも顔を真っ赤にして。それでは血圧が上ってしまいますよ。

「全くだ。よりによって地震を起こすとは、何という恐ろしいまでの力なんだ」

はて、私が地震を起こしたような言い分ですね。もう一人のおじさんも変なことを言っていますが、そんな訳が有る訳無いじゃありませんか。もうボケてしまわれたようですね。おじさん達の会話はまだ続きます。

「これは早急に手を打たないと不味いな」
「安心しろ、プランBを用意してある」
「そうか。悪い芽は早めに刈り取る方が良いだろう」

見窄らしい男がおじさん達に近寄ってきました。この人が私の後を追っている人ですね。どこかで……ああ、ケンジ部長、いえ、ケンジ。こんなところで何をしているのでしょうか。政府のおじさんがケンジに厳つい顔を向けています。

「分かっているな、責任はお前一人にある。その時は、」とのおじさんに、
「分かっている。あれには借りがある、それを返すだけだ」と答えるケンジです。

そうして私の派手なリムジンを追い回している訳ですね。一体、何をするつもりでしょうか。あなたに借りがあるとは到底思えないのですが、また私の温情が裏目に出てしまったようです。

「運転手さん、そのまま行ってください」と指示する私です。
「分かりました」

執拗に付け狙ってくるケンジです。気分が良いものではありませんね。では、えい! としておきましょう。

交差点を黄色信号で通過した私です。その信号を無視してケンジが後ろにピタリと貼り付いています。ですが。

「そこの車、止まりなさい!」

信号無視をしたケンジの車が早速パトカーに停車を求められています。それに従い車を止めるケンジです。おほほ。

どうやらケンジは事故に見せかけて私を亡き者にしようと企てたようですが、それも徒労に終わりました。私を乗せた派手なリンムジは、そのまま夜の街を疾走して行きます。



帰国した私は早速、円卓会議です。春子、夏子、冬子、あれ、冬子がまだのようです。議長は夏子が務めます。

「やはり予想していた通りの展開になったわね」

開口一番、夏子の予測の正しさが確認されました。属国を迫ってくるのは先刻お見通しです。

「それにしても、すごい地震でしたね」

これは私です。まだ体が揺れている感じが残っています。怖かったよー。

「あれは魔王の仕業ではないの? 会談場所付近の直下型でしたよ」

春子が地図上でホテル周辺を丸で囲っています。確かに発生した範囲は狭いようです。そこに遅れて冬子が席に着きました。

「遅れました。先程、政府から謝罪以外の件で、更に謝罪の申し入れがありました。つまり、謝罪以外の件は無かったことにしてくれと」

それを聞いて夏子の、片方の目がつり上がったような、なんとかです。

「まあ、白々しい。ではきっと例の地震を勘違いしたようですね。まあ、それはそれで好都合かもしれません」

冬子の報告が続きます。
「それと例の元副社長4人組に動きがあるそうです」

「何を企んでいるのでしょうか」
「詳細はまだ分かりませんが、新兵器の目処が立ったようで、実験間近という情報です」

「まあ、恐ろしい」

「極秘情報によると、どうやらそれはかつて、シロちゃんが発明したものらしいのです。まだ正確な情報ではありませんが、魔王を超える威力が有るとか無いとか」

「トンデモないジジイですね」

「でも、良くそんなものを採用する気になったものね。魔王といえば魔力のことでしょう。そんなものを信じるなんて」

「そこで例の4人組ですよ。先代魔王に仕えていましたから、その能力を良く知っている、というわけです。それで表沙汰にならないように陰でこっそりと暗躍しているのですね。それが、4人組が向こう側で重宝されている理由でしょう」

ここで議長である夏子がまとめに入ります。

「魔王に匹敵する力ですね。こちらも迎え撃つ手段を準備をしなければなりませんね。一層の事、私達全員が魔王にでもなってしまいましょうか」

「それは良い考えかもしれません。戦力は多いに越したことはありませんから」と冬子に、
「それが『出来れば』よね~」と夏子。そして、
「「そうよね~」」と全員の思いです。

何故か私にだけに発現した魔王の力です。皆さんにも同様の力があれば、どれだけ心強いことかと思う私です。ここで夏子が何かを思い出したようです。

「ところで、魔王で思い出したのだけれど、例の子達、その後は如何?」

これに答えるのは春子です。私が春子に丸投げした彼ら元勇者サークルの少年少女達の面倒を見てくれています。いえ、春子が私に任せてと言ってくれたので、その、あの、丸投げではなく全てをお任せしたのです、はい。

「そうですね、少年AB、今は太郎と次郎ですが、この二人は問題ないですけれど、少女A、今は栄子と呼んでいますが、この子は問題ありですね」

「そうなんですか、一番熱心な子でしたのに」と驚く私です。南の島で私に縋ってきた子ですから。

「ええ、そうなんですが、慣れてきたというのでしょうか、余り生活態度が良くないですね。近隣から苦情が来てますから」と申し訳なさそうな春子。

「あらまあ」と驚いた私はピピッと閃いてしまいました。それを早速披露しましょう。「ではこうしましょう。お仕置きがてらシロちゃんの聞き取り調査をして貰いましょうか。それで、どんなものを発明したのか訊き出しましょう」

「彼女一人では心配ですね」と私の名案に不安そうな春子です。

「それもそうですね、少年Bこと次郎を一緒につけましょう。彼ならシロちゃんの事も詳しそうですからね」と春子の不安を一掃するかのように冬子が提案します。

「「ではそうしましょう」」

全員の意見が一致しました。これにて円卓会議は終了です。えっ、会議が短いですか? それは大丈夫です。何時も密に連絡・相談していますから。それに私達はすみれ組です、強いのです。

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