34 / 37
#16 見送る風
#16.4 呼び掛ける風
しおりを挟む
「ねえねえ、ニャージロウもお話しするの?」
屈託のない顔でニャージロウに声を掛けるノリコです。その後ろにはニャージロウを見てホッとしているエリコが居ます。やはり、知らない猫さんばかりで気が張って疲れていたのでしょう、張り詰めていた糸がグッと緩んだようです。
声を掛けられたニャージロウは口を閉じたまま、それを開く気配がありません。普段でも口数の少ないニャージロウ、いつも以上に口が重そうです。ですが、どうしても会話をしたいノリコです。
「ねえねえ、ニャージロウ、なんか言ってよ」と頼むと、
「話は……ない」と、やっと口を開いたニャージロウです。
「ここまで、変なお話しを聞いてきたけど、それはいいや。それよりも、ねえねえ、集会をしてるんでしょう? どんなことをするの?」
「集会? 集会、集会、集会かぁ、そうかも……しれない」
「どうしたのよニャージロウ、元気が無いじゃないのよ。何時もは、もっとキリッとしてるくせに」
「そうかな」
「そうよ。まあ、いいわ。ところで、ニャーゴは? ここには居ないの? それとも隠れてるの?」
「ニャーゴは……旅に出た、よ」
「えっ、どこに、なんで? もう、いつも勝手なんだから仕方ないわね。それで……いつ戻るんだろう」
「旅に出た、から、もう、戻って来ない、よ」
「えっ、言ってること分かんないよ。戻って来ないって……なに?」
ノリコから目を逸らしてしまうニャージロウです。それでふと、ニャージロウの後ろに続く小道に視線が移ったノリコです。その小道の両脇には、ずらっと並ぶ灯篭のような光が見えてきました。
それは真っ直ぐに、どこまでも続く小さな光の連続です。それは時々、小さく揺れているようにも見えます。そして、その光は遠くの方では夜空に向かって伸びている、ように見えたノリコです。
それで、なんとなく『これはおかしい』と思い始めたノリコです。でも、それが猫の集会なんだ、初めて見るんだから、と思うことにしたようです。それで、
「ニャーゴも困ったものね。今日一緒に遊んだのにね、何も言わないで行っちゃうなんて」とニャージロウに確かめるように話し掛けると、
「今日? ニャーゴが旅立ったのは三日前だよ」と不思議そうな顔を向けるニャージロウです。
「何言ってるの? ニャージロウも一緒に居たじゃないのよ」と、何故か涙が溢れてしまったノリコです。それが何故なのかノリコ自身にも分からないまま、夜空の雲が途切れ、月明かりが増した時です。灯篭のように見えた小さな光の正体が見えてきたのです。
それは、左右にずらっと並んだ猫さんたち、その瞳の輝きでした。
(それがずっと続いてる、それなのに何故、空に向かって伸びているの? あのお空の向こうは何なの? これは集会でしょう。だから、だから、何もおかしくない、おかしくないよ)と思い続けるノリコです。
ニャージロウのはっきりとしない言葉と、だけど、ずっと重く感じる言葉。そして何時もと違うノリコの声にピクッとなったエリコです。それで、そっとノリコの手に触れみると、それが少し、本当に少しだけ震えているのがエリコにも伝わってきたのです。それは良くないことが始まったからなのか、それとも終わったのか、何でそんなことを思ったのか、それが分からないから、分からないからグッとノリコの手を握りしめたのでした。
(今日、あんなに楽しく遊んだのに、いつもと同じだったのに。今夜は集会を見に来たんだよ、楽しみにしてたんだ。だから、それをエリコに見せたくて来たんだよ。
ねえ、ねえ、なんでこの道はずっと続いているの? なんで、お空に向かっているの?
ねえ、ねえ、今、どこに居るのよ、ねえ。なんで、みんな集まっているのよ。これじゃあまるで、まるで、お別れみたいじゃないのよ、そうじゃないでしょう、ねえ、ニャーゴ)
どうしても、考えたくないことが何度も浮かんできてしまうノリコです。それを考えたくなくて、ニャージロウに聞きたくて、それが出来なくて、怖くて言い出せなくて、でも、もう戻れないんだと思いたくなくて、ただ立っているだけで精一杯のノリコ、です。
そうして、溢れる涙を必死で堪えていると、後ろの方から一陣の風が吹いてきました。それは不思議なことに、周りの草を揺らすことなく小道だけに吹いていたのです。そしてその風に触れた猫さんたちから順に、遠吠えのような鳴き声を、空に向かってどこまでも届けと送り始めるのでした。
一陣の風はノリコたちのずっと後ろの方から、そしてノリコたちを通り過ぎて、更にその先に向かって吹き続けていきます。そしてその勢いのまま空に舞い上がり、最後には空に漂っていた光もバラバラに散っていきました。それで風も収まったのでしょう。
その風に、何かを持って行かれたように感じたノリコは、それまで押え込んでいた気持ちが抑えきれなくなり、
「ニャーゴオオオオオオォォォ、ニャーゴオオオオオオォォォ」と繰り返し空に向かって叫び、それは次第に、「ええええええぇぇぇん」に変わって行くのでした。
そんなノリコに釣られてエリコも「ええええええぇぇぇん」と泣き始め、その声は風の吹かない小道に留まるばかりです。そこでニャージロウたちがノリコとエリコを囲んでみたものの泣き止むことはなく、困り果てるニャージロウたちです。
雲の晴れた夜空には丸い月が輝き始め、辺り一面を照らし出しました。よく見えるようになった空には瞬く星が、風の吹かない小道には動くものが無い、耳を閉じてしまえば何も無いように思えてくる、そんな満月の夜に満ちた世界が漂っていました。
◇
ノリコの家でスヤスヤと布団で眠るケイコとマチコです。そのケイコたちが、ほぼ同時に目を開けると、お互いを確認するかのように見つめ合いました。
「なんだろう、ねえぇ」
何かを感じたマチコが、その感じを確かめるように声にすると、
「私もじゃ」と言いながら起き上がったケイコです。そして部屋の襖を勢い良く開けると、「ノリコたちが居ない」と目を丸くし、「うーむ」と唸り始めました。それに、
「しー、静かに」とケイコを制止するマチコ、耳に手を当てて何かを聴き分けようとしているようです。それをじっと待つケイコ、夜の静けさで余計に緊張してしまいそうです。そして、「強い風が遠ざかってる、それも一つだけ。それに……」と、ここで言葉を止めたマチコです。その先が気になって仕方のないケイコですが、さっきマチコから制止されたばかりです。それでも、
「それに、なに?」と聞かずにはいられなかったケイコです。
「重い……って言うか何て言うか、とにかく、いろんなのが混ざってる感じ? 良く分かんないわねぇ、だけどぉ……」とムムムのマチコ、また言葉を止めてしまいました。それに今度は、
「そこにノリコたちが居るんじゃな」と言ってみるケイコ、
「たぶん、たぶん?」と、はっきりとは分からないマチコに、
「では、行くのじゃ」と決めるケイコです。
そこで部屋から直接、マチコの風に乗ってビューンと飛び立つケイコたち、夜空を駆けて参ります。
◇
屈託のない顔でニャージロウに声を掛けるノリコです。その後ろにはニャージロウを見てホッとしているエリコが居ます。やはり、知らない猫さんばかりで気が張って疲れていたのでしょう、張り詰めていた糸がグッと緩んだようです。
声を掛けられたニャージロウは口を閉じたまま、それを開く気配がありません。普段でも口数の少ないニャージロウ、いつも以上に口が重そうです。ですが、どうしても会話をしたいノリコです。
「ねえねえ、ニャージロウ、なんか言ってよ」と頼むと、
「話は……ない」と、やっと口を開いたニャージロウです。
「ここまで、変なお話しを聞いてきたけど、それはいいや。それよりも、ねえねえ、集会をしてるんでしょう? どんなことをするの?」
「集会? 集会、集会、集会かぁ、そうかも……しれない」
「どうしたのよニャージロウ、元気が無いじゃないのよ。何時もは、もっとキリッとしてるくせに」
「そうかな」
「そうよ。まあ、いいわ。ところで、ニャーゴは? ここには居ないの? それとも隠れてるの?」
「ニャーゴは……旅に出た、よ」
「えっ、どこに、なんで? もう、いつも勝手なんだから仕方ないわね。それで……いつ戻るんだろう」
「旅に出た、から、もう、戻って来ない、よ」
「えっ、言ってること分かんないよ。戻って来ないって……なに?」
ノリコから目を逸らしてしまうニャージロウです。それでふと、ニャージロウの後ろに続く小道に視線が移ったノリコです。その小道の両脇には、ずらっと並ぶ灯篭のような光が見えてきました。
それは真っ直ぐに、どこまでも続く小さな光の連続です。それは時々、小さく揺れているようにも見えます。そして、その光は遠くの方では夜空に向かって伸びている、ように見えたノリコです。
それで、なんとなく『これはおかしい』と思い始めたノリコです。でも、それが猫の集会なんだ、初めて見るんだから、と思うことにしたようです。それで、
「ニャーゴも困ったものね。今日一緒に遊んだのにね、何も言わないで行っちゃうなんて」とニャージロウに確かめるように話し掛けると、
「今日? ニャーゴが旅立ったのは三日前だよ」と不思議そうな顔を向けるニャージロウです。
「何言ってるの? ニャージロウも一緒に居たじゃないのよ」と、何故か涙が溢れてしまったノリコです。それが何故なのかノリコ自身にも分からないまま、夜空の雲が途切れ、月明かりが増した時です。灯篭のように見えた小さな光の正体が見えてきたのです。
それは、左右にずらっと並んだ猫さんたち、その瞳の輝きでした。
(それがずっと続いてる、それなのに何故、空に向かって伸びているの? あのお空の向こうは何なの? これは集会でしょう。だから、だから、何もおかしくない、おかしくないよ)と思い続けるノリコです。
ニャージロウのはっきりとしない言葉と、だけど、ずっと重く感じる言葉。そして何時もと違うノリコの声にピクッとなったエリコです。それで、そっとノリコの手に触れみると、それが少し、本当に少しだけ震えているのがエリコにも伝わってきたのです。それは良くないことが始まったからなのか、それとも終わったのか、何でそんなことを思ったのか、それが分からないから、分からないからグッとノリコの手を握りしめたのでした。
(今日、あんなに楽しく遊んだのに、いつもと同じだったのに。今夜は集会を見に来たんだよ、楽しみにしてたんだ。だから、それをエリコに見せたくて来たんだよ。
ねえ、ねえ、なんでこの道はずっと続いているの? なんで、お空に向かっているの?
ねえ、ねえ、今、どこに居るのよ、ねえ。なんで、みんな集まっているのよ。これじゃあまるで、まるで、お別れみたいじゃないのよ、そうじゃないでしょう、ねえ、ニャーゴ)
どうしても、考えたくないことが何度も浮かんできてしまうノリコです。それを考えたくなくて、ニャージロウに聞きたくて、それが出来なくて、怖くて言い出せなくて、でも、もう戻れないんだと思いたくなくて、ただ立っているだけで精一杯のノリコ、です。
そうして、溢れる涙を必死で堪えていると、後ろの方から一陣の風が吹いてきました。それは不思議なことに、周りの草を揺らすことなく小道だけに吹いていたのです。そしてその風に触れた猫さんたちから順に、遠吠えのような鳴き声を、空に向かってどこまでも届けと送り始めるのでした。
一陣の風はノリコたちのずっと後ろの方から、そしてノリコたちを通り過ぎて、更にその先に向かって吹き続けていきます。そしてその勢いのまま空に舞い上がり、最後には空に漂っていた光もバラバラに散っていきました。それで風も収まったのでしょう。
その風に、何かを持って行かれたように感じたノリコは、それまで押え込んでいた気持ちが抑えきれなくなり、
「ニャーゴオオオオオオォォォ、ニャーゴオオオオオオォォォ」と繰り返し空に向かって叫び、それは次第に、「ええええええぇぇぇん」に変わって行くのでした。
そんなノリコに釣られてエリコも「ええええええぇぇぇん」と泣き始め、その声は風の吹かない小道に留まるばかりです。そこでニャージロウたちがノリコとエリコを囲んでみたものの泣き止むことはなく、困り果てるニャージロウたちです。
雲の晴れた夜空には丸い月が輝き始め、辺り一面を照らし出しました。よく見えるようになった空には瞬く星が、風の吹かない小道には動くものが無い、耳を閉じてしまえば何も無いように思えてくる、そんな満月の夜に満ちた世界が漂っていました。
◇
ノリコの家でスヤスヤと布団で眠るケイコとマチコです。そのケイコたちが、ほぼ同時に目を開けると、お互いを確認するかのように見つめ合いました。
「なんだろう、ねえぇ」
何かを感じたマチコが、その感じを確かめるように声にすると、
「私もじゃ」と言いながら起き上がったケイコです。そして部屋の襖を勢い良く開けると、「ノリコたちが居ない」と目を丸くし、「うーむ」と唸り始めました。それに、
「しー、静かに」とケイコを制止するマチコ、耳に手を当てて何かを聴き分けようとしているようです。それをじっと待つケイコ、夜の静けさで余計に緊張してしまいそうです。そして、「強い風が遠ざかってる、それも一つだけ。それに……」と、ここで言葉を止めたマチコです。その先が気になって仕方のないケイコですが、さっきマチコから制止されたばかりです。それでも、
「それに、なに?」と聞かずにはいられなかったケイコです。
「重い……って言うか何て言うか、とにかく、いろんなのが混ざってる感じ? 良く分かんないわねぇ、だけどぉ……」とムムムのマチコ、また言葉を止めてしまいました。それに今度は、
「そこにノリコたちが居るんじゃな」と言ってみるケイコ、
「たぶん、たぶん?」と、はっきりとは分からないマチコに、
「では、行くのじゃ」と決めるケイコです。
そこで部屋から直接、マチコの風に乗ってビューンと飛び立つケイコたち、夜空を駆けて参ります。
◇
0
あなたにおすすめの小説
カリンカの子メルヴェ
田原更
児童書・童話
地下に掘り進めた穴の中で、黒い油という可燃性の液体を採掘して生きる、カリンカという民がいた。
かつて迫害により追われたカリンカたちは、地下都市「ユヴァーシ」を作り上げ、豊かに暮らしていた。
彼らは合言葉を用いていた。それは……「ともに生き、ともに生かす」
十三歳の少女メルヴェは、不在の父や病弱な母に代わって、一家の父親役を務めていた。仕事に従事し、弟妹のまとめ役となり、時には厳しく叱ることもあった。そのせいで妹たちとの間に亀裂が走ったことに、メルヴェは気づいていなかった。
幼なじみのタリクはメルヴェを気遣い、きらきら輝く白い石をメルヴェに贈った。メルヴェは幼い頃のように喜んだ。タリクは次はもっと大きな石を掘り当てると約束した。
年に一度の祭にあわせ、父が帰郷した。祭当日、男だけが踊る舞台に妹の一人が上がった。メルヴェは妹を叱った。しかし、メルヴェも、最近みせた傲慢な態度を父から叱られてしまう。
そんな折に地下都市ユヴァーシで起きた事件により、メルヴェは生まれてはじめて外の世界に飛び出していく……。
※本作はトルコのカッパドキアにある地下都市から着想を得ました。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
放課後ゆめみちきっぷ
梅野小吹
児童書・童話
わたし、小日向(こひなた)ゆには、元気で明るくて髪の毛がふわふわなことが自慢の中学一年生!
ある日の放課後、宿題をし忘れて居残りをしていたわたしは、廊下で変わったコウモリを見つけたんだ。気になってあとを追いかけてみたら、たどり着いた視聴覚室で、なぜか同じクラスの玖波(くば)くんが眠っていたの。
心配になって玖波くんの手を取ってみると……なんと、彼の夢の中に引きずり込まれちゃった!
夢の中で出会ったのは、空に虹をかけながら走るヒツジの列車と、人の幸せを食べてしまう悪いコウモリ・「フコウモリ」。そして、そんなフコウモリと戦う玖波くんだった。
玖波くんは悪夢を食べる妖怪・バクの血を引いているらしくて、ヒツジの車掌が運転する〝夢見列車〟に乗ることで、他人の夢の中を渡り歩きながら、人知れずみんなの幸せを守っているんだって。
そんな玖波くんのヒミツを知ってしまったわたしは、なんと、夢の中でフコウモリ退治のお手伝いをすることになってしまって――?
これは、みんなを悪夢から守るわたしたちの、ヒミツの夢旅の物語!
未来スコープ ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―
米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」
平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。
恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題──
彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。
未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。
誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。
夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。
この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。
感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。
読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる