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私を追放した王子と妹へ、聖女の力が本物だと証明して差し上げましょう
後編
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見送る者もないまま、フィオレナは一人、王城の門をくぐって外へ出る。
直後、背後で重く耳障りな音が響いた。首だけで振り返って仰ぎ見ると、フィオレナの身長より遥かに高く堅牢な作りの門扉が閉ざされたところだった。
一つ息を吐き、気持ちを切り替えて緩やかな下り坂を進む。王城が木々の向こうに隠れた所で立ち止まった。
左右に視線を走らせ、周囲を確認する。
誰もいない。
フィオレナはカバンを足元に置き、胸の前で指を組んで祈りの姿勢を取った。目を伏せて微かに俯く。
フィオレナの全身を淡い燐光が包み、長い白銀色の髪が光を纏って神々しく輝く。その光に呼応する様に、王城の複数の個所から光の柱が立ち上った。
王城を取り囲む様に出現した光の柱は空高く伸び――不意に弾けて光の粒を撒き散らした。日差しを受けてきらきら輝きながら地上へと降り注ぐさまは、さながら光のシャワーだ。
フィオレナは肩の力を抜いて目を開けた。髪に絡み付いた光の粒子をそっと掬い取る。
これがフィオレナの、聖女の力。
フィオレナの力は有効範囲が限られている為、広く力を拡散したい場合には何かしらの補助が必要になる。今回は王城の庭に植えられた木々に聖女の力を分け与える事で増幅装置としての機能を持たせた。
準備に時間が掛かってしまい、ラーミアの企みを阻止する前に追い出されてしまったが――流石にみすみす魔物を放置して国を滅ぼされては寝覚めが悪い。
今頃、聖女の力を浴びた魔物は本来の姿に戻っているだろう。
「アズレッド王子の前で醜態を晒す羽目になっていないと良いけれど」
心にも思っていない事を嘯く。
風に乗って何かが聞こえた。
老婆の如く嗄れた絶叫は、微妙にラーミアの声に似ていた感じもするが――まぁ空耳だろう。
何はともあれ、これで自分の役目は終わりだ。
フィオレナはカバンを持ち上げる。
さて、これから何処へ行こう?
と、先程読んでいた手紙がカバンの隙間から滑り落ちた。
拾おうと伸ばした指の先で、手紙はふわりと浮き上がり……瞬く間に純白の小鳥へ変じる。
驚きに目を見開くフィオレナを一瞥した小鳥は、そのまま真っ直ぐ飛び去った。
「そもそも、私にチカラの使い方を示してくださったのはあの手紙でしたわね」
去年の誕生日に突如発現した己のチカラ。
それが一体何なのか、自分はおかしくなってしまったのか。誰にも相談出来ず不安に駆られていたフィオレナの手元に飛び込んで来た、一羽の小鳥。
真っ白な小鳥は一通の手紙に姿を変えた。そこにはフィオレナの疑問に対する答えが全て記されていた。
つまり。
「次に私が向かうべき場所へ導いて下さる、と?」
呟きに答えるものはない。しかし、これと言って行くあてもない身だ。信じてついて行くのも一興だろう。
「王城の奥で幾重にも守られながら生きていくのは安全だし幸せではあるのでしょうけれど、息が詰まりそうですし」
城壁に切り取られた狭い空を見上げるよりも、遥か彼方まで続く道を辿る方が心も体も自由に生きられる気がする。
「素敵な出会いが待っていると、期待していますよ?」
空高く羽ばたく小鳥を眩しそうに見上げて微笑んだ。
直後、背後で重く耳障りな音が響いた。首だけで振り返って仰ぎ見ると、フィオレナの身長より遥かに高く堅牢な作りの門扉が閉ざされたところだった。
一つ息を吐き、気持ちを切り替えて緩やかな下り坂を進む。王城が木々の向こうに隠れた所で立ち止まった。
左右に視線を走らせ、周囲を確認する。
誰もいない。
フィオレナはカバンを足元に置き、胸の前で指を組んで祈りの姿勢を取った。目を伏せて微かに俯く。
フィオレナの全身を淡い燐光が包み、長い白銀色の髪が光を纏って神々しく輝く。その光に呼応する様に、王城の複数の個所から光の柱が立ち上った。
王城を取り囲む様に出現した光の柱は空高く伸び――不意に弾けて光の粒を撒き散らした。日差しを受けてきらきら輝きながら地上へと降り注ぐさまは、さながら光のシャワーだ。
フィオレナは肩の力を抜いて目を開けた。髪に絡み付いた光の粒子をそっと掬い取る。
これがフィオレナの、聖女の力。
フィオレナの力は有効範囲が限られている為、広く力を拡散したい場合には何かしらの補助が必要になる。今回は王城の庭に植えられた木々に聖女の力を分け与える事で増幅装置としての機能を持たせた。
準備に時間が掛かってしまい、ラーミアの企みを阻止する前に追い出されてしまったが――流石にみすみす魔物を放置して国を滅ぼされては寝覚めが悪い。
今頃、聖女の力を浴びた魔物は本来の姿に戻っているだろう。
「アズレッド王子の前で醜態を晒す羽目になっていないと良いけれど」
心にも思っていない事を嘯く。
風に乗って何かが聞こえた。
老婆の如く嗄れた絶叫は、微妙にラーミアの声に似ていた感じもするが――まぁ空耳だろう。
何はともあれ、これで自分の役目は終わりだ。
フィオレナはカバンを持ち上げる。
さて、これから何処へ行こう?
と、先程読んでいた手紙がカバンの隙間から滑り落ちた。
拾おうと伸ばした指の先で、手紙はふわりと浮き上がり……瞬く間に純白の小鳥へ変じる。
驚きに目を見開くフィオレナを一瞥した小鳥は、そのまま真っ直ぐ飛び去った。
「そもそも、私にチカラの使い方を示してくださったのはあの手紙でしたわね」
去年の誕生日に突如発現した己のチカラ。
それが一体何なのか、自分はおかしくなってしまったのか。誰にも相談出来ず不安に駆られていたフィオレナの手元に飛び込んで来た、一羽の小鳥。
真っ白な小鳥は一通の手紙に姿を変えた。そこにはフィオレナの疑問に対する答えが全て記されていた。
つまり。
「次に私が向かうべき場所へ導いて下さる、と?」
呟きに答えるものはない。しかし、これと言って行くあてもない身だ。信じてついて行くのも一興だろう。
「王城の奥で幾重にも守られながら生きていくのは安全だし幸せではあるのでしょうけれど、息が詰まりそうですし」
城壁に切り取られた狭い空を見上げるよりも、遥か彼方まで続く道を辿る方が心も体も自由に生きられる気がする。
「素敵な出会いが待っていると、期待していますよ?」
空高く羽ばたく小鳥を眩しそうに見上げて微笑んだ。
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