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29.罪と罰
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あのあと俺たちは取り敢えず料金を支払い、泣きすぎて憔悴しきっている絵美里ちゃんを放っておくわけにもいかずに、近くの宿屋の部屋を借りてひとまず3人で部屋に移動してきた。
絵美里ちゃんはベッドで静かな寝息を立てているところだ。
「ふうー。やっと寝たか。……結局まだ何にも聞けてないんだよね」
「ねえシュラドさん。……なんで名前違うの?」
「あっ!?………あー、そのね、俺たち昔の友達なんだよね。うん、それで昔はそう呼び合っていたんだよ。はは、は……」
「ふ―――ん?」
いかん。
すっかりこの子が傍にいるのに俺たち素で話してた。
「うっ、あはは、は……えっと、そうだマリアちゃんは、親戚とかいるのかい?その、ご両親は……ごめん」
「ん?私のパパとママは、ウッドストック家の領主様のお家で働いているよ」
「え?あれ、でも、えっ?……馬車……は?」
「私ね、誘拐されていたんだよね。売られそうになっていたところを、シュラドさんに助けられた?のかな?……怖くて、よく覚えてないや」
俺は思わず大きくため息をついた。
でも…そうか、ああ、よかったなあ。
確かに逆方向だったよね。あの馬車。
俺は思わずマリアちゃんの頭を撫でてあげる。
目を細める様子が可愛い。
※※※※※
3人で部屋を取ったため、大きなベッドが二つある部屋。
今さっきマリアちゃんはベッドに寝ころんで遊んでいたが、今は可愛らしい寝息を立て夢の中だ。
きっと妹が居たら、こんな感じなのだろうか。
落ち着いたら俺も目的を果たさないといけない。
マリアちゃんも連れていかなくちゃだし。
そんなことを考えていたら絵美里ちゃんが俺に声をかけてきた。
「……先輩…その……」
「おはよう、よく眠れた?……ごめんね。俺本当に何も分からないんだ。教えてくれると嬉しいかな」
「うう、…グスッ……はい……」
「君はもうこの世界は長いのかい?」
「はい」
「そっか。……俺はね、多分まだ3日かな?…いや、8日かな」
「っ!?」
俺は絵美里ちゃんを見る。
凄い美人だ。
そしてめっちゃ可愛い。
…やばっ、意識したら顔が赤くなる。
つか、服!……やばいって。
俺はそそくさとシーツの様なものを棚から出して絵美里ちゃんをくるむようにかけてやった。
「???」
「あーごめん、おれ、可愛い子に免疫ないんだ。その、ちょっと刺激が強い」
「っ!?……見た?」
「うっ!……う、うん。すこし」
だってさ、胸のところぱっくり空いているんだよ?
そりゃ見えるし見るでしょ?
絵美里ちゃんはシーツで体を抱きしめるような仕草をして顔を赤らめ上目遣いで俺を見る。
「……エッチ♡」
ぐはっ!?
ううう、童貞にはつら過ぎるよ?
※※※※※
ああ、やっぱりそうだ。
どうして私はあんな酷い事をしてしまったのだろう。
私は恥ずかしそうにしている先輩を見て、後悔の念に囚われていた。
そしてあまりも居心地のいいこの空間がたまらなく愛おしかったんだ。
私は罰を受けなければならない。
数えきれないほどの人を殺した。
多くの人生を狂わせた。
そして。
大好きな本田先輩を殺した。
「先輩、私は許されないことをしました」
雰囲気が変わったことを察したのだろう。
先輩は座りなおし優しい目で真直ぐ私を見つめてくれる。
ああ、本当にこの人は……
決心が鈍りそうだ……
「うん」
「私は………」
※※※※※
なあ大輔。
俺はどうしたら良いんだろう。
全部聞いたよ。
彼女が泣きながら話してくれたからさ。
まあ、絶対に許せない事だよな。
許しちゃいけない事だろうな。
俺は舞奈が大好きだ。
結婚したい。
愛したい。
だけどさ。
俺にものすごく酷い事をしたとは言え、正直にすべて打ち明けて、そして心から反省している女の子に、罰なんて。
俺に与える資格なんてないと思うんだよ。
そりゃ頭にはきたさ。
だって運命を捻じ曲げられた。
俺の大切な舞奈はきっと、狂うほど悲しんだと思う。
でもさ俺……
絵美里ちゃんを殺したくないんだ。
なあ、大輔。
俺はどうしたら良いんだろうな。
※※※※※
絵美里ちゃんは告白してからは顔を俯かせ一言もしゃべらなかった。
きっと彼女自身も自分のしてしまった事の重大さに押しつぶされているのだろう。
もう外は暗くなっていた。
俺が問いかけても頭を振るだけで俺を見ようともしない。
そりゃそうだよね。
でもこのままというわけにもいかない。
でも今は。
そっとしてあげたいんだ。
「今日はもう遅いし、このまま寝ようか。ごめんだけど絵美里ちゃん、マリアちゃんと寝てくれる?さすがに俺が一緒に寝るわけにもいかないしさ。……あーちょっと出てくる。飲み物でも買ってくるからその間に、ね」
俺はドアを開けて部屋を出た。
後ろから押し殺して泣いている絵美里ちゃんの泣き声が響いていた。
静かにドアを閉めカギをかける。
俺は時間をつぶすため街に繰り出した。
「はあ、求められるハードル高すぎだよ。まあ、間違ってはいないと思いたい」
俺に出来る事なんて殆ど無いのだから。
※※※※※
一応飲み物を買い、俺は宿へと帰ってきた。
そっとカギを差し込み、ドアを開ける。
絵美里ちゃんとマリアちゃんは仲良く寝ていた。
俺はその姿を見て微笑ましくて何だか笑ってしまったんだ。
絵美里ちゃんはベッドで静かな寝息を立てているところだ。
「ふうー。やっと寝たか。……結局まだ何にも聞けてないんだよね」
「ねえシュラドさん。……なんで名前違うの?」
「あっ!?………あー、そのね、俺たち昔の友達なんだよね。うん、それで昔はそう呼び合っていたんだよ。はは、は……」
「ふ―――ん?」
いかん。
すっかりこの子が傍にいるのに俺たち素で話してた。
「うっ、あはは、は……えっと、そうだマリアちゃんは、親戚とかいるのかい?その、ご両親は……ごめん」
「ん?私のパパとママは、ウッドストック家の領主様のお家で働いているよ」
「え?あれ、でも、えっ?……馬車……は?」
「私ね、誘拐されていたんだよね。売られそうになっていたところを、シュラドさんに助けられた?のかな?……怖くて、よく覚えてないや」
俺は思わず大きくため息をついた。
でも…そうか、ああ、よかったなあ。
確かに逆方向だったよね。あの馬車。
俺は思わずマリアちゃんの頭を撫でてあげる。
目を細める様子が可愛い。
※※※※※
3人で部屋を取ったため、大きなベッドが二つある部屋。
今さっきマリアちゃんはベッドに寝ころんで遊んでいたが、今は可愛らしい寝息を立て夢の中だ。
きっと妹が居たら、こんな感じなのだろうか。
落ち着いたら俺も目的を果たさないといけない。
マリアちゃんも連れていかなくちゃだし。
そんなことを考えていたら絵美里ちゃんが俺に声をかけてきた。
「……先輩…その……」
「おはよう、よく眠れた?……ごめんね。俺本当に何も分からないんだ。教えてくれると嬉しいかな」
「うう、…グスッ……はい……」
「君はもうこの世界は長いのかい?」
「はい」
「そっか。……俺はね、多分まだ3日かな?…いや、8日かな」
「っ!?」
俺は絵美里ちゃんを見る。
凄い美人だ。
そしてめっちゃ可愛い。
…やばっ、意識したら顔が赤くなる。
つか、服!……やばいって。
俺はそそくさとシーツの様なものを棚から出して絵美里ちゃんをくるむようにかけてやった。
「???」
「あーごめん、おれ、可愛い子に免疫ないんだ。その、ちょっと刺激が強い」
「っ!?……見た?」
「うっ!……う、うん。すこし」
だってさ、胸のところぱっくり空いているんだよ?
そりゃ見えるし見るでしょ?
絵美里ちゃんはシーツで体を抱きしめるような仕草をして顔を赤らめ上目遣いで俺を見る。
「……エッチ♡」
ぐはっ!?
ううう、童貞にはつら過ぎるよ?
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ああ、やっぱりそうだ。
どうして私はあんな酷い事をしてしまったのだろう。
私は恥ずかしそうにしている先輩を見て、後悔の念に囚われていた。
そしてあまりも居心地のいいこの空間がたまらなく愛おしかったんだ。
私は罰を受けなければならない。
数えきれないほどの人を殺した。
多くの人生を狂わせた。
そして。
大好きな本田先輩を殺した。
「先輩、私は許されないことをしました」
雰囲気が変わったことを察したのだろう。
先輩は座りなおし優しい目で真直ぐ私を見つめてくれる。
ああ、本当にこの人は……
決心が鈍りそうだ……
「うん」
「私は………」
※※※※※
なあ大輔。
俺はどうしたら良いんだろう。
全部聞いたよ。
彼女が泣きながら話してくれたからさ。
まあ、絶対に許せない事だよな。
許しちゃいけない事だろうな。
俺は舞奈が大好きだ。
結婚したい。
愛したい。
だけどさ。
俺にものすごく酷い事をしたとは言え、正直にすべて打ち明けて、そして心から反省している女の子に、罰なんて。
俺に与える資格なんてないと思うんだよ。
そりゃ頭にはきたさ。
だって運命を捻じ曲げられた。
俺の大切な舞奈はきっと、狂うほど悲しんだと思う。
でもさ俺……
絵美里ちゃんを殺したくないんだ。
なあ、大輔。
俺はどうしたら良いんだろうな。
※※※※※
絵美里ちゃんは告白してからは顔を俯かせ一言もしゃべらなかった。
きっと彼女自身も自分のしてしまった事の重大さに押しつぶされているのだろう。
もう外は暗くなっていた。
俺が問いかけても頭を振るだけで俺を見ようともしない。
そりゃそうだよね。
でもこのままというわけにもいかない。
でも今は。
そっとしてあげたいんだ。
「今日はもう遅いし、このまま寝ようか。ごめんだけど絵美里ちゃん、マリアちゃんと寝てくれる?さすがに俺が一緒に寝るわけにもいかないしさ。……あーちょっと出てくる。飲み物でも買ってくるからその間に、ね」
俺はドアを開けて部屋を出た。
後ろから押し殺して泣いている絵美里ちゃんの泣き声が響いていた。
静かにドアを閉めカギをかける。
俺は時間をつぶすため街に繰り出した。
「はあ、求められるハードル高すぎだよ。まあ、間違ってはいないと思いたい」
俺に出来る事なんて殆ど無いのだから。
※※※※※
一応飲み物を買い、俺は宿へと帰ってきた。
そっとカギを差し込み、ドアを開ける。
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