【完結】婚約破棄される侯爵令嬢を救いたい!想いの重い鑑定士は乙女ゲームのフラグをぶち壊す!

たらふくごん

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41.絵美里の告白と俊則の気持ち

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あれから2か月が経過した。

お兄様は大聖堂で結婚式を挙げ、それはとても美しく大変眼福なお二人だった。
ガチでスチルがない事に悔し涙を流したものだ。
今はゆっくり世界を回りながらハネムーンの最中です。

一方相変わらずヘタレな私は愛する俊則との関係を、進める事が出来ないでいた。
脳内ではもうとんでもない事になっているけれど……

もちろんキスはいっぱいする。
なんならそれはもう熱烈な大人のキスだってした。
溶けちゃうほど気持ちいい♡

私の体だって……
俊則優しく……あう…

ああ、もう、ダメだ私。

俊則もスッゴク色っぽいし、超かっこいいけど、結局私を最優先だから……
いつも『そうなりそう』な時に私が少しでも躊躇すると優しく頭を撫でてくれて、

「俺は舞奈が大好きなんだよ?そういう事もしたいけど、舞奈が心からそう思わないならしない。俺は舞奈の心が一番大切なんだ。体も欲しいけど、それが目的じゃないんだ。ゆっくりでいいからね」

とか言うし。
違うの。
私もしたいのっ!

でも……
もう、なんで?

あうう。

……私はきっと38歳まで重い想いでこじらせてしまい…

恐いんだ。

もし、俊則が……
その…良くなかったらって……

ああああ、もう、俊則優しいから絶対思わないし、そんなことでどうにもならないってわかっているけど…

怖い。

私が自室のベッドでそんなことで悶々としていると、珍しく絵美里が一人で私の部屋に来た。
なんだか思い詰めた顔をしている。

「いらっしゃい絵美里。どうしたの?ルルは?」
「舞奈さん」
「…なに?」

絵美里は私が座っているベッドの隣に腰を掛けた。
いつもはそんなこと絶対にしない。
一応彼女は私の従者だ。

「本田先輩、私がもらいます」
「っ!?な、なに?突然…」

絵美里は真剣な表情で私を見つめる。
思わず怯んでしまう。

「可哀そうです。本田先輩をじらすだけなら私を抱いてもらいます。気持ちよくしてあげたい」
「だ、ダメっ、やだっ、まっ、待って、そんな……」
「舞奈さん、酷いよ?どうして拒絶するの?本田先輩、貴女の事心から愛しているのにっ!どうして?もう、私見ていられないよ」
「……」
「いらないならいらないって言ってください。私はいつでも抱かれたいのに」
「どうしてもあなたに敵わないのにっ!」

絵美里の目から涙が零れ落ちる。
私はなぜかとても悲しくなった。
そして情けなかった。

私はどこかで絶対俊則は私を選んでくれるとうぬぼれていたんだ。

「ごめんね、絵美里。ごめんね…ヒック…グスッ……うう……うああ」
「グスッ…舞奈さん…ヒック……私、本田先輩が好きなの……でも、舞奈さんも大好き」
「……うん」

二人はしばらく抱き合って泣いていた。

絵美里は涙を拭いて寂しそうに笑う。
私は何だか居た堪れなくなってしまった。

「もう、舞奈さん。本田先輩は優しいですよ?そしてあなたを待っています」
「…うん」

絵美里は大きくため息をつく。

「まったく。38歳で乙女とか……面倒くさいです」
「うっ…酷いっ」
「もう、先輩の童貞貰うんでしょ?早くしてください。私もう我慢できないですから」

猛烈な色気が絵美里の体から噴き出した気がした。
ぐうっ、さすが主人公!
やばすぎる。

「先輩いま部屋で一人ですよ?さっき訓練終わっていましたし」
「っ!?……うん」
「…初めては痛いですからね。でも思いっきり甘えてあげてください。本田先輩もチェリーなんだから」
「う、うん。……その、あの…どのくらい痛いの?」
「ふふっ、内緒です♡」
「ん、もう。……イジワル」

私は絵美里に会えて良かったって心から思った。
確かに彼女のせいで私たちは酷い目に遭った。
だけど今の彼女は私の大切な親友だ。
思えば彼女も悪い神の被害者なんだ。

「ありがとう絵美里。私俊則に会ってくる」
「はい。大丈夫ですよ。舞奈さんスッゴク可愛いんだから」
「うん」

※※※※※

私は俊則のいる客間のドアをノックする。
きっと私は今死にそうな顔をしているに違いない。

「どうぞ」

優しい声が私に勇気をくれる。
大きく頷いて、私はドアを開けた。

「舞奈?いらっしゃい。…どうしたの?嬉しいけど」

ああ、やっぱり好きだ。
優しい瞳も、温かい声も。
私は何も言わずに俊則に飛びついた。
彼が優しく私を受け止めてくれる。

「どうしたの?…ああ、可愛い。大好きだよ」

ぎゅうっと抱きしめてくれる俊則。
私はとても心地よくて顔をスリスリしてしまう。

「はあ、可愛い。舞奈、愛してる」
「うん。……俊則」
「ん?」

顔に熱が集まる。
でも、言うんだ。
私はもう後悔しないって決めたはずだ。

「舞奈」
「ひうっ」
「ごめんね。……俺さ、経験ないじゃん?だからさ、舞奈女の子なのに君に決断させてしまうところだった」
「えっ?」

俊則は私を抱いてベッドへと優しく下ろしてくれる。

「初めてで、うまくできないかもだけど……失敗するかもだけど……舞奈を抱きたい」
「っ!?」
「ごめんね。俺がヘタレだったから、舞奈にそんな顔させちゃった」
「……」
「俺さ、恐かったんだよね」
「っ!?」
「もしうまくいかなくて、嫌われたらどうしようって」
「…あ」

俊則はまだ17歳。
そして彼は全く経験がない。

普通は色々知識があるはずだった。
エッチなビデオとかそういう本とか……
でもそんな余裕、彼の人生になかったんだ。

「でもさ、俺も男だから……好きな子とエッチなことしたい」

そして物凄い欲情の色に瞳が染まる。
大人のキスをしながら私の体に触れてくる。
体中に電気が走り抜ける。

「もう、我慢したくないよ。舞奈、君が欲しい」
「……うん」

もう。
この男は。
私の勇気を、ううん、無理を分かってくれていた。
そして怖いのに……俊則から言ってくれた。

凄いね。
私たち年は全然違うのに、同じだったんだ。
二人とも恐かったんだね。

もう愛おしさが止まらなかった。

そして不安も。
彼に抱かれ、あり得ない幸福感に。

全て流されていた。
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