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46.魔王復活とシナリオの終焉
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大聖堂のホールの中心の空間にひびが入っていく。
パキパキと乾いた音が聞こえ始め濃厚な黒い魔力が噴き出し始めた。
地の底から絞り出すような、怨嗟の籠った恐ろしい声が響く。
「くくくっ、ついにこの時が来た!!はははっ、あの忌々しい神どもめ、嘆き悲しむがいい」
そして空間の裂け目からかつて第2王子カイザーだったモノが体中から歪なものを纏わりつかせ地に降り立った。
「ふん、弱っちい体だ……だがいい。今からこの王国に、いや世界に、破壊の嵐をプレゼントしてやろう」
そして改めて周りに視線を投げる。
「えらく殺風景な場所だな。まあいい。くくっ、平和ボケしたこの世界じゃ、誰も俺様に……」
瞬間、ホールに虹色の閃光が圧倒的質量ですべてを埋め尽くす。
勇者シュラドがその力を開放し、舞奈が創造した輝く聖剣を振り下ろした。
「なっ!?…ぐ、ぐぎゃあああああああああああああああああああーあーあーーーーー!!!!!!」
音を置き去りにするすさまじい剣戟がカイザーに取り付いた悪神を真っ二つに両断し、その体を聖なる光が蹂躙を始める。
「スキル『滅神』そしておまけに『浄化』はあああああああああ!!!!!!」
「うがあ、ぐ、ぐぎゃあああああああああああああーあーーあああーーーああーーあーーーー」
ドゴオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーンンン
大聖堂が激しい振動に包まれた。
パラパラと天井からチリや巻き上げられたものが音を立てて床に落ちてきた。
「ふうっ……終わった、かな?……うん。もう嫌な感じはしないね……あっ!」
俊則は慌てて中央に駆け寄った。
そこには瀕死ではあるがまだ息のある元第2王子殿下のカイザーが、涙を流しながら蹲っていた。
「グスッ…ヒック……ううあ……グスッ……あああ……」
「聖なる癒し」
俊則の手から優しい緑色の魔力が光を纏い、まるでカイザー殿下を包むように癒していく。
「う、あ…貴方は……」
カイザーがおそるおそる顔を上げる。
「私は勇者シュラドです。えっと、カイザー殿下?……あー今はカイザーさんか。立てますか」
「ああ、すまない……君、いや、あなた様が……ありがとう」
カイザーは頭の中の黒いものがすべてなくなっていることに気づいた。
そして……止まらない涙を流す。
「お、俺は……なんてことを……エリス……」
「ふう、取り敢えず王城へ行きましょう。国王が待っています」
「……はい」
※※※※※
「のう運命神よ。なんじゃ?あれ?……強すぎじゃろ!?一撃とかっ!??」
おかしな空間で創造神はプルプル震えながら真っ赤な顔で興奮したように思わず叫んでいた。
運命神はため息をつき、かつての友の肩に手を置く。
「うん。まあ……いいんじゃないかのう。これで奴は間違いなく滅んだ」
「うわーないわー。俊則強すぎ。あのドスケベめ。あー羨ましい」
「……というかなんでお主普通にここにいるんじゃ?もう転生したはずじゃが?」
「ん?ああ、もうすぐ生まれるよ?もう7か月だからね。でも親友の勇姿位みたいじゃんね」
「くうっ、この出鱈目め!……まあ、確かにの…‥創造神様」
現創造神であるゼナラナスの雰囲気が変わる。
そして真直ぐ親愛の表情を浮かべ全ての創造の神であった親友に視線を向けた。
「あなた様の願い。ここに達成されました。願わくはこれからも我らを導いてはくださらぬか」
運命神とオルゴイルドも膝をつく。
創造神であった少年は大きくため息をついた。
「言っただろ?俺はもう普通の人間だ。お前らに任せるってさ。大体俺すぐ人間の子供に転生するんだからさ……もうここには来られないんだよ。…全く、分かっているだろうに」
「……」
「もう、そんな顔するなよな。大丈夫だよ。何かあっても俊則と舞奈ちゃんがいる。俺のシナリオを乗り越えた二人だぞ?何も心配はいらない」
ゼナラナスは小さく息を吐き出し、声を上げる。
「まったく。相変わらず自分勝手なお人だ……そして優しすぎるのう、相変わらず」
「うっ、ほ、褒めてもだめだぞ!もう決めたことだ」
「分かっているわい。……あとはわしらに任せるといい。……幸せになってください」
「っ!?……ああ、ありがとう………じゃあな」
少年はまるでもともといなかったかのようにその姿を消した。
「……これで良いのですよね」
オルゴイルドがつぶやく。
「ああ。……お主にも嫌な役を押し付けた。すまなかったな」
「いえいえ、お気になさらず。……ふふっ、確かにあのお嬢さん、凄く怖かったですけどね。まあでもきっと素直にお願いしてもダメだったでしょうし。あれで良かったと思いますよ」
「うむ。流石運命神の孫じゃ。想いが重すぎるからのう」
「むう、おぬしらまで……」
※※※※※
間違えられて転生させられた舞奈。
そうではなかった。
多くのスキルを与える口実を作るための計略だった。
実は元の世界の高坂舞奈38歳は、今でもそのまま暮らしている。
それを舞奈が知ることはこれから普通はないのだけれど。
重すぎた想いのおかげで分離に成功していたからだ。
だから少し不安定だった。
感情の抑制が出来ていなかった。
でも今は愛する俊則がその隙間を全て埋めている。
もう問題は何もなかった。
※※※※※
ゼナラナスは懐からボロボロになったノートを取り出し、パラパラとめくる。
そこにはこの世界全てを救うためのシナリオが刻まれていた。
かつての創造神が紡いだものだ。
そして今日の先のページは……
「あとはお楽しみの時間だ。さあ、楽しもうか」
とだけ書かれていた。
「っ!?」
役目を終えたそのノートは、キラキラ光りを放ち、消えていく。
「まったく。優秀過ぎるのも逆に不幸なことだな」
「そして不器用過ぎじゃ」
※※※※※
「俊則っ!!」
「舞奈っ!!」
俊則が転移してきた瞬間わたしは彼の胸に飛び込んだ。
愛おしい彼のぬくもりに顔が上気する。
「おかえりなさい。終わったの?」
「ああ、問題ないよ。……俺たちの勝利だ」
そして強く私を抱きしめてくれるカッコいい私の旦那様で勇者様。
もう、カッコよすぎ♡
「先輩!!」
「シュラド様♡」
絵美里とルルも俊則に抱き着く。
俊則はその大きな手で3人をまるで宝物のように優しく抱きしめる。
「ああ、可愛い。俺の大好きなみんな。ただいま」
「「「うん♡」」」
「コホン、あーすまないね、盛り上がっているところ」
「「「「っ!?」」」」
あ、いけない。
ここ王様の謁見の間だった。
てへ♡
※※※※※
「勇者シュラド様、国を、いえ、この世界に住むすべてを代表し、心より感謝申し上げます」
国王が玉座から降りてきて、俊則の前に跪く。
並んでいるすべての貴族もそれに倣う。
はあー、凄い景色だね。
立っているの俊則と私だけだ。
一応私が『運命の女神』なのは高位貴族には通達済みだ。
改めて考えると私たち凄いね。
勇者と運命の女神のカップルとか……
うん。
やっぱこれゲームだわ。
まあ、私たちがこれから紡ぐ未来には一切シナリオとかないけれどね。
「国王、頭を上げてください。私は使命を果たしたにすぎません。それよりも分不相応な地位まで用意してくださった事、心より感謝申し上げます」
「おおう、さすが勇者様。ありがとうございます。これからも国、いや世界の為、ぜひご尽力いただきたく」
「はい。…妻ともども、出来ることは協力するとここに誓います。舞奈、良いよね?」
「はい。……もう、いきなり妻とか……ばか……嬉しすぎる♡」
私が俊則に見とれていると、何かを思い出したように俊則が王様に顔を向けた。
「あの、一つお願いがあります。カイザーさんをどうか死罪にはしないでいただけませんか。彼は操られていただけです。もう、間違える事はないでしょうから」
「っ!?……ぐっ……なんという……心優しいお方……は、い…」
俊則『優しい人たらし』だもん。
絶対言うと思った。
それにさっき鑑定したんだよね。
カイザーさん。
あー、どうしようかな……
後で俊則に相談してみよう。
※※※※※
こうしてルイラード王国の危機は俊則の活躍によって防ぐ事が出来た。
因果が終息し、私たちは二度と地球に帰ることができなくなったけど、私たちは本心で決めたことだ。
後悔なんて1ミリもないよ。
そして。
最後に神様の場所に私と俊則が招待されたんだ。
パキパキと乾いた音が聞こえ始め濃厚な黒い魔力が噴き出し始めた。
地の底から絞り出すような、怨嗟の籠った恐ろしい声が響く。
「くくくっ、ついにこの時が来た!!はははっ、あの忌々しい神どもめ、嘆き悲しむがいい」
そして空間の裂け目からかつて第2王子カイザーだったモノが体中から歪なものを纏わりつかせ地に降り立った。
「ふん、弱っちい体だ……だがいい。今からこの王国に、いや世界に、破壊の嵐をプレゼントしてやろう」
そして改めて周りに視線を投げる。
「えらく殺風景な場所だな。まあいい。くくっ、平和ボケしたこの世界じゃ、誰も俺様に……」
瞬間、ホールに虹色の閃光が圧倒的質量ですべてを埋め尽くす。
勇者シュラドがその力を開放し、舞奈が創造した輝く聖剣を振り下ろした。
「なっ!?…ぐ、ぐぎゃあああああああああああああああああああーあーあーーーーー!!!!!!」
音を置き去りにするすさまじい剣戟がカイザーに取り付いた悪神を真っ二つに両断し、その体を聖なる光が蹂躙を始める。
「スキル『滅神』そしておまけに『浄化』はあああああああああ!!!!!!」
「うがあ、ぐ、ぐぎゃあああああああああああああーあーーあああーーーああーーあーーーー」
ドゴオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーンンン
大聖堂が激しい振動に包まれた。
パラパラと天井からチリや巻き上げられたものが音を立てて床に落ちてきた。
「ふうっ……終わった、かな?……うん。もう嫌な感じはしないね……あっ!」
俊則は慌てて中央に駆け寄った。
そこには瀕死ではあるがまだ息のある元第2王子殿下のカイザーが、涙を流しながら蹲っていた。
「グスッ…ヒック……ううあ……グスッ……あああ……」
「聖なる癒し」
俊則の手から優しい緑色の魔力が光を纏い、まるでカイザー殿下を包むように癒していく。
「う、あ…貴方は……」
カイザーがおそるおそる顔を上げる。
「私は勇者シュラドです。えっと、カイザー殿下?……あー今はカイザーさんか。立てますか」
「ああ、すまない……君、いや、あなた様が……ありがとう」
カイザーは頭の中の黒いものがすべてなくなっていることに気づいた。
そして……止まらない涙を流す。
「お、俺は……なんてことを……エリス……」
「ふう、取り敢えず王城へ行きましょう。国王が待っています」
「……はい」
※※※※※
「のう運命神よ。なんじゃ?あれ?……強すぎじゃろ!?一撃とかっ!??」
おかしな空間で創造神はプルプル震えながら真っ赤な顔で興奮したように思わず叫んでいた。
運命神はため息をつき、かつての友の肩に手を置く。
「うん。まあ……いいんじゃないかのう。これで奴は間違いなく滅んだ」
「うわーないわー。俊則強すぎ。あのドスケベめ。あー羨ましい」
「……というかなんでお主普通にここにいるんじゃ?もう転生したはずじゃが?」
「ん?ああ、もうすぐ生まれるよ?もう7か月だからね。でも親友の勇姿位みたいじゃんね」
「くうっ、この出鱈目め!……まあ、確かにの…‥創造神様」
現創造神であるゼナラナスの雰囲気が変わる。
そして真直ぐ親愛の表情を浮かべ全ての創造の神であった親友に視線を向けた。
「あなた様の願い。ここに達成されました。願わくはこれからも我らを導いてはくださらぬか」
運命神とオルゴイルドも膝をつく。
創造神であった少年は大きくため息をついた。
「言っただろ?俺はもう普通の人間だ。お前らに任せるってさ。大体俺すぐ人間の子供に転生するんだからさ……もうここには来られないんだよ。…全く、分かっているだろうに」
「……」
「もう、そんな顔するなよな。大丈夫だよ。何かあっても俊則と舞奈ちゃんがいる。俺のシナリオを乗り越えた二人だぞ?何も心配はいらない」
ゼナラナスは小さく息を吐き出し、声を上げる。
「まったく。相変わらず自分勝手なお人だ……そして優しすぎるのう、相変わらず」
「うっ、ほ、褒めてもだめだぞ!もう決めたことだ」
「分かっているわい。……あとはわしらに任せるといい。……幸せになってください」
「っ!?……ああ、ありがとう………じゃあな」
少年はまるでもともといなかったかのようにその姿を消した。
「……これで良いのですよね」
オルゴイルドがつぶやく。
「ああ。……お主にも嫌な役を押し付けた。すまなかったな」
「いえいえ、お気になさらず。……ふふっ、確かにあのお嬢さん、凄く怖かったですけどね。まあでもきっと素直にお願いしてもダメだったでしょうし。あれで良かったと思いますよ」
「うむ。流石運命神の孫じゃ。想いが重すぎるからのう」
「むう、おぬしらまで……」
※※※※※
間違えられて転生させられた舞奈。
そうではなかった。
多くのスキルを与える口実を作るための計略だった。
実は元の世界の高坂舞奈38歳は、今でもそのまま暮らしている。
それを舞奈が知ることはこれから普通はないのだけれど。
重すぎた想いのおかげで分離に成功していたからだ。
だから少し不安定だった。
感情の抑制が出来ていなかった。
でも今は愛する俊則がその隙間を全て埋めている。
もう問題は何もなかった。
※※※※※
ゼナラナスは懐からボロボロになったノートを取り出し、パラパラとめくる。
そこにはこの世界全てを救うためのシナリオが刻まれていた。
かつての創造神が紡いだものだ。
そして今日の先のページは……
「あとはお楽しみの時間だ。さあ、楽しもうか」
とだけ書かれていた。
「っ!?」
役目を終えたそのノートは、キラキラ光りを放ち、消えていく。
「まったく。優秀過ぎるのも逆に不幸なことだな」
「そして不器用過ぎじゃ」
※※※※※
「俊則っ!!」
「舞奈っ!!」
俊則が転移してきた瞬間わたしは彼の胸に飛び込んだ。
愛おしい彼のぬくもりに顔が上気する。
「おかえりなさい。終わったの?」
「ああ、問題ないよ。……俺たちの勝利だ」
そして強く私を抱きしめてくれるカッコいい私の旦那様で勇者様。
もう、カッコよすぎ♡
「先輩!!」
「シュラド様♡」
絵美里とルルも俊則に抱き着く。
俊則はその大きな手で3人をまるで宝物のように優しく抱きしめる。
「ああ、可愛い。俺の大好きなみんな。ただいま」
「「「うん♡」」」
「コホン、あーすまないね、盛り上がっているところ」
「「「「っ!?」」」」
あ、いけない。
ここ王様の謁見の間だった。
てへ♡
※※※※※
「勇者シュラド様、国を、いえ、この世界に住むすべてを代表し、心より感謝申し上げます」
国王が玉座から降りてきて、俊則の前に跪く。
並んでいるすべての貴族もそれに倣う。
はあー、凄い景色だね。
立っているの俊則と私だけだ。
一応私が『運命の女神』なのは高位貴族には通達済みだ。
改めて考えると私たち凄いね。
勇者と運命の女神のカップルとか……
うん。
やっぱこれゲームだわ。
まあ、私たちがこれから紡ぐ未来には一切シナリオとかないけれどね。
「国王、頭を上げてください。私は使命を果たしたにすぎません。それよりも分不相応な地位まで用意してくださった事、心より感謝申し上げます」
「おおう、さすが勇者様。ありがとうございます。これからも国、いや世界の為、ぜひご尽力いただきたく」
「はい。…妻ともども、出来ることは協力するとここに誓います。舞奈、良いよね?」
「はい。……もう、いきなり妻とか……ばか……嬉しすぎる♡」
私が俊則に見とれていると、何かを思い出したように俊則が王様に顔を向けた。
「あの、一つお願いがあります。カイザーさんをどうか死罪にはしないでいただけませんか。彼は操られていただけです。もう、間違える事はないでしょうから」
「っ!?……ぐっ……なんという……心優しいお方……は、い…」
俊則『優しい人たらし』だもん。
絶対言うと思った。
それにさっき鑑定したんだよね。
カイザーさん。
あー、どうしようかな……
後で俊則に相談してみよう。
※※※※※
こうしてルイラード王国の危機は俊則の活躍によって防ぐ事が出来た。
因果が終息し、私たちは二度と地球に帰ることができなくなったけど、私たちは本心で決めたことだ。
後悔なんて1ミリもないよ。
そして。
最後に神様の場所に私と俊則が招待されたんだ。
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