【完結】婚約破棄される侯爵令嬢を救いたい!想いの重い鑑定士は乙女ゲームのフラグをぶち壊す!

たらふくごん

文字の大きさ
50 / 70

50.最終回:皆のその後

しおりを挟む
あれからしばらく経過して。
私は無事女の子を出産した。

俊則はやばいくらい顔面崩壊して泣いていたっけ。
私もあり得ないくらいの幸福感に包まれた。

絵美里とルルも大きなおなかなのに駆けつけてくれて。
まあ俊則挙動不審になるくらい二人の事も心配していたけどね。
うん。
今日は許す。

出産直前は今まで経験したことのない痛みで本当に死んじゃうかと思ったけど、赤ちゃん、ううん、俊則と考えた『ルミナ』っていう私たちの宝物を見た瞬間に全部忘れちゃった。

ルミナ…可愛い名前♡
この子は私たちの天使だ。

そしてしばらく入院していて明日退院するっていうときにレイナルドお兄様とラナお姉さま、そして長男のリオナードちゃんが3人でお見舞いに来てくれたんだけど……
吃驚しました。

俊則のあんな泣いた顔、久しぶりに見た。
だって……

※※※※※

「やあ、ロナリア。おめでとう。明日退院だそうだが。……すまないな突然」
「いえ、嬉しいですお兄様。ラナお姉様も。…リオナードちゃんもありがとうね。…ふふっ、まだ分からないか…可愛い♡」

何故か微妙な顔をするお兄様とお姉様。
突然リオナードちゃんが話し始めた。

「ああ、えっと叔母様?おめでとう。元気な可愛い赤ちゃんだね。良かったね俊則に似なくて。うん。ママ似かなこの子。すっごく可愛いね」

「「…………はあああああ!???」」

「なっ、なっ、ま、まさか……大輔?」
「ああ、俊則久しぶり。このドスケベめ。3人も孕ませやがって」

そして突然魔力に包まれ宙に浮くリオナード。

お兄様は頭を抱える。
ラナお姉さまは目を輝かせる。

「あー、なんだ。この通りどうやらリオナードは特別らしい。シュラド様、あなたの知り合いのようですね」

「うう、グスッ…うああ…大輔……ごめん……うああ…お見舞……行かなくて…あああ…転生…グスッ……したんだ……うぐ……よがっだ……あああああああああああ」

突然崩れ落ち泣き出す俊則に皆が固まってしまう。
リオナードはそんな俊則の近くへと浮いて行き、いきなり頭を叩く。

「バーカ。気にすんなよな。全く相変わらずくそまじめな奴め。良いじゃんか。もう俺もここにいる。……健康体だぞ?楽しみで仕方がないんだよ俺は」

キョトンとする俊則。
そして涙を拭いて立ち上がった。

「グスッ、ははっ、やっぱりお前はすごい奴だ。うん、わかったよ。……会えて嬉しい」
「っ!?ったく、そんな顔すんなよな。俺まだ乳幼児なんだぞ。だからこれは…グスッ…べ、別に……ヒック…嬉しいとか…うわあ……あああああーーーーーーーんんんん」

そしてラナお姉さまの胸にしがみつき泣き始めるリオナード。
皆の心に温かいものが溢れる。

「ふふっ、ああ、可愛い。私のリオ。こうしてみるとただの赤ちゃんね。よしよし、おっぱいあげようね」

後ろを向いて母乳を上げようと服を緩める。
俊則真っ赤な顔でうしろ向いて固まるし。

「あっ、うあ……そ、そのっ、か、勘違いするなよ?これはあくまで生存本の…んん♡」
「ほら、いろいろ言わない……美味しいでちゅか?」

あーリオナードちゃん真っ赤。
……でもすごく幸せそうだね。

「ふう、騒がせてしまったな。ロナリア、これで失礼するよ。…シュラド様、またゆっくり遊びに来てほしい」
「っ!?は、はい。是非伺わせていただきます」

そんな話をしていると、リオナードちゃんがすやすやと可愛らしい寝息を立て始めた。
まだ7か月だもんね。
ふふっ可愛い♡

「ああ。……ふう、リオは寝たようだな。ラナ、失礼しよう」
「はい。あなた。……ロナリア、本当におめでとう。また会いましょうね」
「ええ、ありがとうございますお姉さま」

こうして私の出産と俊則と親友の再会は果たされた。
俊則凄く嬉しそうだった。

良かったね。

でもさ……
少し妬けちゃうわね。

※※※※※

良く晴れた大公爵家の広い庭で、小さい子供たちの声が響いている。

「パパ―ねえ見てみて」
「むうーパパは今日僕と遊ぶの!!」
「だめえ、私なの!」

あれから2年が経過した。
私のルミナも2歳になり、絵美里のリカルドとルルのメリアも1歳半だ。

どうやらうちの子たちはパパの勇者の血が濃いらしく、成長が早い。
ルミナ1歳になる前に話し始めたしね。

「ははっ、喧嘩しないよ?ほら、一緒に遊ぼうか」
「「「うんっ」」」

俊則はやっぱりデロデロで、メチャクチャ甘いお父さんになっている。
子供たちはパパが大好きだ。

私はガゼボの椅子に座り、相変わらず私の世話をしてくれるルルの入れてくれた紅茶を飲み、その様子に目を細めていた。

「ロナリアお姉さま、なんか不思議ですね」
「ん?何が?」
「だって……こんなに幸せで……ちょっと怖いです」

絵美里が吹き抜ける風に帽子を押さえながらガゼボへと入ってくる。

「ルルさん、手伝いますよ?私も紅茶欲しいかな」

そして慣れた手つきで紅茶を淹れる。

「絵美里お疲れ様。ありがとう。……もう目立つんだからいいのに」
「ふふっ、舞奈さんこそ。もう来月ですね」
「うん」

実は私たち3人、また妊娠している。

私は多分来月で、絵美里はあと3か月くらいかな。
ルルはこの前4か月くらいって言われていたから、今ちょっとつわりがあって具合悪い日が多いけど、今日はとても元気だ。

因みに例の組織は今会長をアイノリア嬢が引き継いでいて、なんだか伝説級として世の百合の皆さまから羨望のまなざしを受けているらしい。

ははは、笑うしかないね。

因みにエリスも卒業して、今カイザーさんと一緒に暮らしています。
結婚はしていないけどね。

ドレスト侯爵様からミッションを課せられていて、それをクリアーするまでお預けらしいよ。
まあ、時間の問題だけどね。
二人ラブラブだし。

ドレスト侯爵家はエリスのお兄様が隣国のお姫様と結婚して継ぐようです。
まあ、侯爵様全然元気なので、しばらく後なのだろうけれど。

それから私、また新しい妹が出来ました。
お母様きっと体も若いのね。
もう43歳なのに凄いわ。

相変わらずお母様とお父様も恥ずかしいくらいにラブラブです。

※※※※※

「はあ、ルル、俺にも紅茶お願いしてもいいかな」

想いを馳せていたら私たちの旦那様が息を切らせながらガゼボへと顔を出した。
子供3人を抱えながら。

「まあ、寝ちゃったのね……3人とも可愛い♡」
「うん、いっぱい遊んだからね。はあ、本当に可愛い。天使みたいだ」

俊則が優しい目で子供たちを見る。
……むう。

「俊則……その、私も…抱っこ♡」

うう、なんか急にしてほしくなっちゃった。
俊則子供を優しく椅子に寝かせ、私を優しく包んでくれる。

「舞奈?もうお腹大きいから抱っこは怖いかな。これでいい?」
「ん♡……うん、許す♡」

俊則の優しいキス付き。
ああ、ほんと。
いつまでも慣れない。
嬉しすぎる。

俊則の服を絵美里が引っ張る。

「もう、先輩?私も……」
「あ、うん。はあ、絵美里可愛い」

優しく絵美里を抱きしめキスをする俊則。
絵美里スッゴク可愛い顔してるし……

むうっ!

「あ、あの……シュラド様?その…私も……あう♡」

まだお腹が目立たないルルを優しく抱きしめそしてキスを落とす俊則。

「ああ、ルル、可愛い。……大好きだよ」
「うあ♡……嬉しいです♡」

むううううう!!!

このたらしめ!!

…はあ。
しょうがないけどね。

だって
私の愛する俊則は。

地球の時カッコ悪かった俊則は。
絶望していたけど凄く頑張って。
努力して。
歯を食いしばって。
そして私を見続けてくれていた俊則は。

スッゴク優しいんだもん。

オムライス、本当においしかったよ。
大好きだよ。

ずっとずっと……
愛しています。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。

ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。 毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

処理中です...