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第248話 最強の悪魔の胎動
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「ふむ…問題はないな」
ガザルト王宮、最奥の貴賓室。
目覚めたグラコシニアは手をかざす。
音を立て崩れていく部屋。
大気が震え、時間すらもねじれていく圧倒的な魔力が覆いつくす。
「…ミュナルダーデ?……存在を消されたか……どれ」
つい先ほど。
神槍ブリューナクに隠れていた真のゲームマスターである黒木優斗。
その権能により滅ぼされたミュナルダーデが、まるで再現されるかのようにその姿をにじみださせる。
やがて形を成すミュナルダーデ。
彼女の美しい瞳がゆっくりと開かれる。
「…ついに……グラコシニア様」
「ああ。最終段階だ…滅ぼすぞ、この世界」
「はい」
立ち上がり、ミュナルダーデを見下ろすグラコシニア。
纏う魔力はすでに想像を超えていた。
(…グラコシニア様、レベル680……いや、この圧は…)
信望し、命と言うか“存在”すら捧げている相手。
しかしその圧倒的な姿に、ミュナルダーデですら背中に怖気が走る。
そして――
彼との出会い、
つまりは彼女が悪魔としてこの世界に送り込まれた“遥か昔”の情景。
それが脳内に展開されていく。
※※※※※
約束――
この狂った世界、自分たちにとってのまさに枷。
彼ら悪魔はこの世界において明らかに異物。
その法則すら、彼らにとっては苦痛。
虚無神の想い。
それは純然たる力を発揮するために。
対価としてありとあらゆる苦悶の現実を履行させるものだった。
つまり彼らはこの世界にいるだけで、とてつもない枷に囚われる。
生命活動をするだけで脳裏を埋め尽くす暗鬱たる圧力。
見える世界は。
この世界の住人では視認できない、まさに悪夢の様相が展開していた。
普通に暮らすこの星のモノ。
その姿は彼らの倫理観を逆なでする。
受け入れられないもの。
まさに血反吐を吐きながら、使命の為に存在していた。
※※※※※
見渡す限りの暴虐の後。
転がる躯は万を超える。
冷めきった眼でミュナルダーデは無数の躯を無表情で見下ろしていた。
完全なる廃墟。
見渡す限り薙ぎ払われ。
生命の息吹をことごとく蹂躙された地に突然魔力反応が出現する。
「いくら何でも…“おいた”が過ぎるねえ」
そんな彼女に声をかけるもの。
凄まじい魔力、そして震えるほどの怒り
「…ふん。創造神ルーダラルダか…異なことを言う。これこそが私の使命」
「その理屈、残念だがあたしゃ納得してないのさ」
刹那はじけ飛ぶ、金色の瞳をぎらつかせていた妖艶な幼女。
噴き上げられ、空中で防御態勢を即座に展開させる。
「…まったく。…本当に厄介だよ」
神の一撃。
抗うことすらできない破滅の力。
涼しい顔でレジストして見せた幼女に、視線を向け。
新たな術式を展開させる。
「…効かない…分かってるでしょ?」
「まあな…ならばっ!」
数百メートル吹き飛ばされたミュナルダーデ。
その瞳が驚愕に染まる。
『秘儀:神式拘束魂魄陣』
不死と不再生の呪い。
祈祷師としての禁呪であり奥義。
創造神ルーダラルダは根本からの戦法を変えた。
この世界において彼ら悪魔はまさに異物。
世界の法則、そして摂理に囚われない。
囚われないのなら。
付与すればいい。
彼らを送り込んできた虚無神、彼の居る世界での禁呪。
強烈な法則の授与術式。
本来消えてしまう魂魄を保護する、摂理を超える祝福。
反転している存在である彼等にはまさに劇薬だ。
瞬間ミュナルダーデの表情が、信じられない激痛に歪む。
「うぐうっ?!…いぎっ?!!!」
「…はあ、はあ…はあ……さすがにこれは効くんだね」
創造神ルーダラルダが施したもの。
彼女、“守山沙耶香”がかつて日本にいた時、祈祷師として獲得した陰陽師の術式。
当然だが、その対価は彼女自身の生命力そのものだった。
激痛に震え、悶え苦しむミュナルダーデ。
残念ながら彼ら悪魔は殺せない。
それを知っていたルーダラルダはおもむろに印を切る。
「くっ…ダメージが酷いね…でも……封印だけは…っ!?」
よろめきながらも魔力を揺蕩らせていたルーダラルダを極光が襲う。
吹き飛ばされ霧散させられる術式。
直撃を受けたことで全身に凄まじいダメージを受けたルーダラルダはどうにか顔をあげる。
「…くそ…目覚めた……か…『魂魄転送:存在抹消』」
消えるルーダラルダ。
彼女は既に保険をかけていた。
自身の存在を分け、まさに送り込まれた悪魔1体に対し――
自身の20%を対価に滅ぼすつもりだった。
しかし。
「…さすがは創造神…逃げたか」
目覚めし悪夢、最強の悪魔グラコシニア。
遂にその力がこの世界に刻まれていた。
※※※※※
(懐かしい…そして……恐ろしい)
彼女ミュナルダーデは完全に創造されたものだ。
過去を持たない。
ゼギアノードやノルノール、そしてレイザルドたちのように、この世界の者を改造されたわけではない。
彼女は一点もの。
つまり虚無神、そして大元である鳳乙那渾身の創造物。
故に凄まじい力を秘めていた。
「…ミュナルダーデ」
ふいに問いかけるグラコシニア。
なぜかその瞳には、あきらめにも似た優しい色が乗っていた。
「…はい」
「ゲームマスターに、守山美緒には近づくな。…奴は目覚めた。吸収される」
「っ!?」
大きく伸びをするグラコシニア。
その瞳には覚悟の色があふれ出す。
「主の願い、貴様らは覚えていまい?」
「っ!?……は、はい」
「ゲームマスターは、守山美緒は……ブラグツリー様、その真の宿主の目的のものだ。…捕らえるぞ」
グラコシニアは知っている。
虚無神ブラグツリー、黒木優斗。
でもその根本、全てを操るもの。
鳳乙那。
正直滅ぼすだけなら。
グラコシニア単体でも、この星くらいなら破壊できる。
いつか語られた真実。
この星そのもの、つまりはリンネの本体。
深く知るグラコシニアは、それを隠されている場所を知っていた。
しかし絶対者唯一の願い。
守山美緒の確保。
その縛りが、その執着が。
全ての物語を狂わせ始めていた。
※※※※※
「…行くぞ。…一緒に行くか?」
「ええ。わたしはそのための存在です」
「ふん。…殊勝なことだ」
大気を揺らし、魔力の残滓が煌めく。
ついに目覚めた最強の悪魔グラコシニア。
ゲームマスター美緒との超絶バトルが幕を開ける。
ガザルト王宮、最奥の貴賓室。
目覚めたグラコシニアは手をかざす。
音を立て崩れていく部屋。
大気が震え、時間すらもねじれていく圧倒的な魔力が覆いつくす。
「…ミュナルダーデ?……存在を消されたか……どれ」
つい先ほど。
神槍ブリューナクに隠れていた真のゲームマスターである黒木優斗。
その権能により滅ぼされたミュナルダーデが、まるで再現されるかのようにその姿をにじみださせる。
やがて形を成すミュナルダーデ。
彼女の美しい瞳がゆっくりと開かれる。
「…ついに……グラコシニア様」
「ああ。最終段階だ…滅ぼすぞ、この世界」
「はい」
立ち上がり、ミュナルダーデを見下ろすグラコシニア。
纏う魔力はすでに想像を超えていた。
(…グラコシニア様、レベル680……いや、この圧は…)
信望し、命と言うか“存在”すら捧げている相手。
しかしその圧倒的な姿に、ミュナルダーデですら背中に怖気が走る。
そして――
彼との出会い、
つまりは彼女が悪魔としてこの世界に送り込まれた“遥か昔”の情景。
それが脳内に展開されていく。
※※※※※
約束――
この狂った世界、自分たちにとってのまさに枷。
彼ら悪魔はこの世界において明らかに異物。
その法則すら、彼らにとっては苦痛。
虚無神の想い。
それは純然たる力を発揮するために。
対価としてありとあらゆる苦悶の現実を履行させるものだった。
つまり彼らはこの世界にいるだけで、とてつもない枷に囚われる。
生命活動をするだけで脳裏を埋め尽くす暗鬱たる圧力。
見える世界は。
この世界の住人では視認できない、まさに悪夢の様相が展開していた。
普通に暮らすこの星のモノ。
その姿は彼らの倫理観を逆なでする。
受け入れられないもの。
まさに血反吐を吐きながら、使命の為に存在していた。
※※※※※
見渡す限りの暴虐の後。
転がる躯は万を超える。
冷めきった眼でミュナルダーデは無数の躯を無表情で見下ろしていた。
完全なる廃墟。
見渡す限り薙ぎ払われ。
生命の息吹をことごとく蹂躙された地に突然魔力反応が出現する。
「いくら何でも…“おいた”が過ぎるねえ」
そんな彼女に声をかけるもの。
凄まじい魔力、そして震えるほどの怒り
「…ふん。創造神ルーダラルダか…異なことを言う。これこそが私の使命」
「その理屈、残念だがあたしゃ納得してないのさ」
刹那はじけ飛ぶ、金色の瞳をぎらつかせていた妖艶な幼女。
噴き上げられ、空中で防御態勢を即座に展開させる。
「…まったく。…本当に厄介だよ」
神の一撃。
抗うことすらできない破滅の力。
涼しい顔でレジストして見せた幼女に、視線を向け。
新たな術式を展開させる。
「…効かない…分かってるでしょ?」
「まあな…ならばっ!」
数百メートル吹き飛ばされたミュナルダーデ。
その瞳が驚愕に染まる。
『秘儀:神式拘束魂魄陣』
不死と不再生の呪い。
祈祷師としての禁呪であり奥義。
創造神ルーダラルダは根本からの戦法を変えた。
この世界において彼ら悪魔はまさに異物。
世界の法則、そして摂理に囚われない。
囚われないのなら。
付与すればいい。
彼らを送り込んできた虚無神、彼の居る世界での禁呪。
強烈な法則の授与術式。
本来消えてしまう魂魄を保護する、摂理を超える祝福。
反転している存在である彼等にはまさに劇薬だ。
瞬間ミュナルダーデの表情が、信じられない激痛に歪む。
「うぐうっ?!…いぎっ?!!!」
「…はあ、はあ…はあ……さすがにこれは効くんだね」
創造神ルーダラルダが施したもの。
彼女、“守山沙耶香”がかつて日本にいた時、祈祷師として獲得した陰陽師の術式。
当然だが、その対価は彼女自身の生命力そのものだった。
激痛に震え、悶え苦しむミュナルダーデ。
残念ながら彼ら悪魔は殺せない。
それを知っていたルーダラルダはおもむろに印を切る。
「くっ…ダメージが酷いね…でも……封印だけは…っ!?」
よろめきながらも魔力を揺蕩らせていたルーダラルダを極光が襲う。
吹き飛ばされ霧散させられる術式。
直撃を受けたことで全身に凄まじいダメージを受けたルーダラルダはどうにか顔をあげる。
「…くそ…目覚めた……か…『魂魄転送:存在抹消』」
消えるルーダラルダ。
彼女は既に保険をかけていた。
自身の存在を分け、まさに送り込まれた悪魔1体に対し――
自身の20%を対価に滅ぼすつもりだった。
しかし。
「…さすがは創造神…逃げたか」
目覚めし悪夢、最強の悪魔グラコシニア。
遂にその力がこの世界に刻まれていた。
※※※※※
(懐かしい…そして……恐ろしい)
彼女ミュナルダーデは完全に創造されたものだ。
過去を持たない。
ゼギアノードやノルノール、そしてレイザルドたちのように、この世界の者を改造されたわけではない。
彼女は一点もの。
つまり虚無神、そして大元である鳳乙那渾身の創造物。
故に凄まじい力を秘めていた。
「…ミュナルダーデ」
ふいに問いかけるグラコシニア。
なぜかその瞳には、あきらめにも似た優しい色が乗っていた。
「…はい」
「ゲームマスターに、守山美緒には近づくな。…奴は目覚めた。吸収される」
「っ!?」
大きく伸びをするグラコシニア。
その瞳には覚悟の色があふれ出す。
「主の願い、貴様らは覚えていまい?」
「っ!?……は、はい」
「ゲームマスターは、守山美緒は……ブラグツリー様、その真の宿主の目的のものだ。…捕らえるぞ」
グラコシニアは知っている。
虚無神ブラグツリー、黒木優斗。
でもその根本、全てを操るもの。
鳳乙那。
正直滅ぼすだけなら。
グラコシニア単体でも、この星くらいなら破壊できる。
いつか語られた真実。
この星そのもの、つまりはリンネの本体。
深く知るグラコシニアは、それを隠されている場所を知っていた。
しかし絶対者唯一の願い。
守山美緒の確保。
その縛りが、その執着が。
全ての物語を狂わせ始めていた。
※※※※※
「…行くぞ。…一緒に行くか?」
「ええ。わたしはそのための存在です」
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