神意再誕~ゲームマスターの少女は原初で微笑む~※旧『可愛くて最強?!知識チートの黒髪黒目の少女はゲーム世界に転移する?!』

たらふくごん

文字の大きさ
42 / 267

SS 禁忌の魔女ガーダーレグト

しおりを挟む
「うぐあ……ごはあっ………」
「くっ、こ、こんな……」
「ば、化け物……ぐうっ!?」

皇都バラナーダの路地裏で、いかにも無法者という風貌の男3人が上品なローブに包まれた妙齢の女性に魔力圧で跪かされ、一人は頭を踏みつけられていた。

「下種め。わらわをかどわかそうとは……フン、数百年ぶりに下界に降りてみれば…相も変わらずこの世界はくそのままだな」

ルビーを連想させる美しい紅い瞳がまるで氷を讃えたかのように冷たく光る。

「ひ、ひい、わ、悪かった…二度としねえ、ゆ、許してくれ…」
「ふん、ゴミめ。……ふむ、とはいえ無駄にするのも忍びない……どれ」

おもむろに女性は何事かをつぶやく。
見たことのない紫色の魔力がひれ伏している男たちにまとわりつき、そして…

「ひぐっ?!!ぐ、ぐうあ?!!!」
「かひゅっ?!!ぐ、ぐう、い息が?!!!」
「か、体が?!!ひいいいっ!!?」

徐々にその体がまるで植物のように変化していく。

「臭い息を吐いていたのだろう?ならば植物と化し、少しは浄化に協力するといい。……ゴミみたいなお前らだが……どんな美しい花を咲かせるのだろうな?ふふ、フハハ、あーっはっハハハハハ…」
「レグーっ!!何やってんのよ?売り切れちゃうじゃない…って?!こ、こらー!!ダメでしょ?うああ、性質変化?……うう『ハイキュアー』」

突然飛び込んできたフェアリー族の女性が魔力を込め状態異常解除の呪文を唱えた。
すでにおかしくなりつつあった男たちの姿が元に戻り、意識を失い倒れ伏す。

「ふん。つまらん……ディーネ、邪魔をするとはどういう了見だ?」
「了見も何もないでしょう!?……ちょっと目を離したすきに……ていうかだめって言ったでしょ?今の世界の人たち、あんたよりすごーく弱いの。……はあ、お師様に怒られちゃうよ」

文句を言いつつもフェアリー族の女性ディーネ・ネイシスはレグと呼んだ女性、ガーダーレグトの背中を押し、どうにか表通りまで出てきていた。

「フン。相変わらず非力な。……大体お前がわらわを放置して、あちらこちらに行ってしまうからだろ?」
「うぐっ、だ、だって……」
「大方匂いにでも誘われたか……ハエなのか貴様」
「っ!?は、ハエ?酷い、あんまりだよー」

ガーダーレグトの周りを飛び回り大声で泣く喚く。
その様子にまるでハエを払うかのように手を振る。

「ははっ。まさにそうではないか。……それで?パンケーキとやらは見つかったのか?」
「むうー。お師様に言いつけてやる。……うん。こっち」

二人はつい先日、皇都の西方にそびえる通称『魔流れの霊峰』からここ皇都へと降りてきていた。
お師様、精霊王ファナンレイリ・ネルゾールドの密命『次期皇帝ハインバッハ』との会談のために。
……ちなみに『あーお前たち。パンケーキを確保しなさい。最悪次期皇帝とかどうでも良い』と言われて。


※※※※※

ガーダーレグト。
禁忌の魔女。
数多の禁呪を習得し、世界に混乱を巻き起こすまさに災害レベルの魔導士だ。

彼女は実に200年間もの長き間封印されていた。

200年前、スルテッド王国崩壊につながるきっかけとなった禁忌魔法『封印破壊』を行使した罪で捕らえられ、幾度も行われた死刑でも殺す事が出来ず、当時精霊王が封印を施していた。

そしてつい先日、世界に新たなゲームマスターが顕現したことを感知した精霊王が、かつて創造神に命令されたことを実行するために、まさに苦虫をかみつぶした表情で嫌々封印を解いていた。

「ふむ。ファナンレイリか。……200年ぶりか?なんだ、わらわに用でもあるのか?」
「……お前の事はしっかり隷属したはずだが……もうっ。やっぱり効果がないじゃん。ていうか200年も封印してたのに、いきなり普通に話すとか?!……なんなのマジでお前?」

「……ふあああ。うむ。確かに眠いな。……話は終わりか?……む、転移が使えん」

「っ!?な、なんだ、ちょっとは効いているようね。ふふん。従いなさい?この私、精霊王であるファナンレイリ・ネルゾールドが特別に慈悲をあげるわ。……っ!?……ふふっ、あーはっははは。なによ、あんたスッゴイ弱体化してんじゃん。これなら絶対に負けない」

「……確かに、な。……それにしてもお前、そんな口調だったか?支離滅裂にもほどがある」
「う、うるさいなっ!これが素なのよ。……立場上しょうがないじゃん」
「苦労しているのだな」
「あ、あんたのせいでしょ?あんたを封印するのに全魔力使っちゃったんだからね?もう」
「ふむ。それはすまない」
「うーあー、なんであんた他人ごとなのよ?!……はあ、もうやだ。……ゲームマスター、知ってるでしょ?」

いつの間にか衣服を整え、何故かテーブルと椅子を出現させ優雅に紅茶を飲んでいたガーダーレグトの目が一瞬光を纏う。
精霊王は既に涙目だが…

「ほう?ついにこの時が来たか。……ならば納得だ。おい、ファナン。封印を解け。この状態では殺せん」
「はあ?!なんで命令形?……ていうか……殺す?……な、なんで???」

「相変わらずだねえ、レグや」

そこに突然在り得ないような圧が降り注ぐ。
老齢の女性が佇みにっこりと笑顔を向けていた。

「な、な……っ!?ルーダラルダ…様?!」
「ふむ。久しいな。……息災か?」

「元気ではないねえ。あたしゃいわば思念体だ。時間がない。さっさと要件を済まそうかねえ」

ルーダラルダはおもむろに印を紡ぐ。
そして光が迸りガーダーレグトを包み込んだ。

「試すがいいさ。そして誓いな。負けたらゲームマスターである美緒に永遠の忠誠を尽くすと」

「む、魔力が……ふむ。要領は得ないが殺すことを禁止するという事ではないのだな。承った。……他の縛りはあるのか」
「そうさね。あたしが見られればいいんだが…そういう訳にもいかないからねえ。…ファナン」
「っ!?は、はいっ」
「お前にこ奴の決裁権を与えよう。あとこのネックレスを。ネックレスはこの国の皇子に、レグに刻んだ決裁権はいざとなったら使いな。……まあレグはそこまで馬鹿じゃない。使う事はないだろうけどね……保険さ」

目をパチクリさせる精霊王。
ガーダーレグトは無表情で問いかける。

「決裁権……また物騒なものを仕込む。……分かった。今のルールには従おう。で?その美緒とやらはどこに居る」
「まったく。どいつもこいつもせっかちだねえ。慌てずとも時が来れば出会うさ。あんたは少しこの世界になれるようにリハビリでもするんだね。この国の皇子にさっきのネックレスでも渡しておいで。……そうさね、御目つけ役でもつけておきな。フェアリー何人かいるんだろ?……一人?……ファナン、あんた人望ないねえ」

「うぐっ」

「……ディーネ・ネイシス……ふん。まあまあ有能のようじゃな。……こいつにもいくつか特権を付与しておいた。……レグ」
「なんだ?」
「美緒は強いぞ?……お前があの子の力になること、遠くで願っているよ」

そう言って溶けるようにルーダラルダは姿を消した。

「ふむ。興味深いな……わらわにもやっと目的が出来なようだな。面白い」

ニヤリと獰猛な猛獣のような笑みを浮かべるガーダーレグトに妖精王ファナンレイリは背中に嫌な汗を大量にかいていた。


※※※※※


ガーダーレグト。

呪われし永遠の命を刻まれたヒューマン。
呪いにより感情を引き換えに莫大の魔力を保有する人外。
そして虚無神の眷属だった女性。

しかし今まさにルーダラルダ渾身の全魔力でその眷属化を上書きしていた。

創造神の眷属として彼女の運命が変わり始める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...