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第82話 今回の顛末と美緒の強権発動
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今回の聖王国フィリルスの騒動。
一番の懸念は解消された。
今はすべてのミッションを終え、皆がくつろいでいるところだ。
私も今は執務室。
改めて思考を巡らせた。
エルノールとガーダーレグト。
あり得ないほど優秀で、多くの民たちをその毒牙から守ってくれていた。
さすがに魔力を使い過ぎたようなので、今は自室で休んでもらっている。
もちろん私の愛する仲間たちも大活躍だ。
因みに我がギルド側の被害はゼロ。
まさに完全勝利!!
私ひとりだけでは“絶対に届かなかった”救いの手。
改めて仲間たちに感謝の念を抱いていた。
取り敢えずリンネに頼んで聖王エイレルドにミッションクリアを伝え、保護した数百人の女性と子供たちも預けているところだ。
後は国を挙げて頑張っていただきたい。
それから新たな伝手を得たゾザデットの皇帝。
ナナ、エルファス・レリアレード侯爵令嬢の取り扱いについてこの先話をしなければならない。
解呪した皇女様もその後の経過は順調。
一応例のクエストは成功扱いで、後日彼女のパーティーには多額の報奨金と勲章が贈られるようだ。
えっと。
もちろんロッドはちゃんと彼の街、ウィリナークへと送ったよ?
ティリミーナもすぐに帰ってきたしね。
精霊王にはいくつか特権があるんだよね。
直接世界に干渉はできない彼女だけど、妖精のみ使用可能な『ホール』と呼ばれる転移門のようなものまで世界各地に備えてある。
ティリミーナがすぐに帰ってこられたのはそれを使用したためだね。
そしてどうやら私と縁のできた彼女、精霊王の依頼を受けたそうなのだ。
まあ指針と思えばそう悪い話でもない。
私転移できるから落ち着いたら確認に行こうと思う。
残念ながら妖精たちの話は結構理解に苦労する。
レグではないけど……
どうも彼女たちは楽天的すぎる。
かなり大事な単語が抜けていたりするのだ。
ハハ、ハ。
私は大きく息をつき目の前でじゃれている、ナナとエンシャントドラゴン、フィムルーナと名付けられた幼生体を見つめた。
「ねえ、ナナ」
「ん?なあに美緒」
今ナナは17歳。
年が近い事もあり私たちは呼び捨てで呼び合う事にした。
「あなた、冒険者パーティーはどうするの?学園もあるのでしょう?」
「あー、うん。学園は明日から行くよ?ほら、私“転移魔法”使えるし」
これで私の知っている転移魔法の使い手は4人。
顔の見えない人が言っていた6人。
後思いつく者はいないのだけれど…
「冒険者パーティーは……どうしよう。……ねえ美緒?連れてきちゃダメかな」
「うーん」
かなり悩む。
彼女のパーティー『ブルーデビル』
聞いた話だと多分ギルドの皆よりはどうしても劣る。
それに彼らは無理してここに来る必要もない。
すでに生活の拠点はしっかりと持っている。
ここにいればどうしても私に巻き込まれてしまう。
「ねえナナ。その仲間はさ、何か目的とかあるのかな。ここにいるとこの世界の色々な事件に巻き込まれちゃうのよね。もしあれなら一度話し合いしてからでいいかな」
「あーうん。そうよだよね。えっと…私1回家に帰るね。……ねえ美緒」
「うん?」
「……一緒に来てくれる?」
「ん?どういう……」
ナナは何故かキラキラした目で私を見つめる。
正直嫌な予感しかしない。
「私さ、婚約破棄したいのよね」
「……はあ?」
「だからさ、伝説のゲームマスター様が私を必要としてるって、パパに言ってほしいの。使命があるって。そうすれば結婚どころじゃないでしょ?」
えっと。
確かナナ……あー、彼と出会って好きになるのよね。
まだ当分先だけれど……
あの時……あれっ?
ナナの婚約者って……
「ねえナナ、あなたの婚約者ってもしかして…グラード侯爵家のラギルードじゃなかった?」
「そうだよ。さすが美緒。全部知ってるんだね」
私は腕を組んで考える。
ラギルードという男は今から3年後。
帝国歴28年に酷い事をしていることが発覚し廃嫡される男だ。
今もすでに手を染めているとすれば……
いち早くメインキャラクターである“ロナン”を救えるかもしれない。
でも……
胸糞悪いけど……
それこそあの事件がなければそもそもロナンは力に覚醒しない。
っ!?
……いやいや、待って?
これってロッドの時と同じだよね!?
ロナンだって……彼は実在する人物だ。
だったらわざわざ彼が苦しむシナリオなんて待つ必要がない?!
最悪彼が強くならなくても、ハッピーエンドを迎えることさえできればシナリオは守られる…目的に届く。
私は胸が熱くなるのを感じていた。
そうだ。
シナリオに一番囚われていたのは私だ。
残り12人。
もう一度検討し直す必要がある。
その瞬間――
世界の雰囲気が変わった気がした。
まるでフラグが立った、そう美緒は感じた。
でもその感覚は。
認識とともに美緒の頭から消えていく。
そして一瞬、美緒は途方に暮れてしまう。
(あれ?……今の…なんだっけ???)
「美緒?どうしたの」
「っ!?……あっ?う、うん、わかったよ。……一緒に行こう」
「ありがと。美緒…あ、フィムどうしよう…さすがにいくら幼生体とは言え…ドラゴンじゃ…」
ナナがそう言いフィムルーナを撫でていると、突然光に包まれる。
そしてみるみる縮んでいき、そこには5歳くらいの可愛い女の子が姿を現した。
「……なな?」
「えっ?フィムなの?」
「うん。ふぃむ。えらい?」
おもむろに抱きしめるナナ。
フィムルーナも甘えるようにナナの背に手を伸ばす。
「可愛い♡……うん、偉いよ?とっても。でも…服どうしよう」
人化する能力があることを私は知っていた。
でも都合よく服とかはないんだよね。
だからその、すっぽんぽんなの。
ちょー可愛いけど……これじゃあね。
「えっと…そもそもまだあなたたちのこと皆に紹介してないよね。まずはフィムの服何とかして、皆に紹介して、それからナナの家かな」
「そうだね。うん。私まだリンネ様しか知らないや」
取り敢えず私とナナとフィムは、まずは厨房にいるファルマナさんめざし転移することにした。
いくら幼女とはいえ裸で皆に紹介するのはまずい。
「じゃあ行くよ」
3人は転移した。
※※※※※
――美緒の思い付き。
それは今までのシナリオ進行を完全に無視をする、まさにチートの始まりだった。
美緒は無意識のうちに残り全ての“フラグ”を立てていた。
ゲームマスター唯一の強権。
ゲームの、この世界の設定の変更権。
世界は激しく動き出す。
シナリオの縛りは今、なくなっていた。
一番の懸念は解消された。
今はすべてのミッションを終え、皆がくつろいでいるところだ。
私も今は執務室。
改めて思考を巡らせた。
エルノールとガーダーレグト。
あり得ないほど優秀で、多くの民たちをその毒牙から守ってくれていた。
さすがに魔力を使い過ぎたようなので、今は自室で休んでもらっている。
もちろん私の愛する仲間たちも大活躍だ。
因みに我がギルド側の被害はゼロ。
まさに完全勝利!!
私ひとりだけでは“絶対に届かなかった”救いの手。
改めて仲間たちに感謝の念を抱いていた。
取り敢えずリンネに頼んで聖王エイレルドにミッションクリアを伝え、保護した数百人の女性と子供たちも預けているところだ。
後は国を挙げて頑張っていただきたい。
それから新たな伝手を得たゾザデットの皇帝。
ナナ、エルファス・レリアレード侯爵令嬢の取り扱いについてこの先話をしなければならない。
解呪した皇女様もその後の経過は順調。
一応例のクエストは成功扱いで、後日彼女のパーティーには多額の報奨金と勲章が贈られるようだ。
えっと。
もちろんロッドはちゃんと彼の街、ウィリナークへと送ったよ?
ティリミーナもすぐに帰ってきたしね。
精霊王にはいくつか特権があるんだよね。
直接世界に干渉はできない彼女だけど、妖精のみ使用可能な『ホール』と呼ばれる転移門のようなものまで世界各地に備えてある。
ティリミーナがすぐに帰ってこられたのはそれを使用したためだね。
そしてどうやら私と縁のできた彼女、精霊王の依頼を受けたそうなのだ。
まあ指針と思えばそう悪い話でもない。
私転移できるから落ち着いたら確認に行こうと思う。
残念ながら妖精たちの話は結構理解に苦労する。
レグではないけど……
どうも彼女たちは楽天的すぎる。
かなり大事な単語が抜けていたりするのだ。
ハハ、ハ。
私は大きく息をつき目の前でじゃれている、ナナとエンシャントドラゴン、フィムルーナと名付けられた幼生体を見つめた。
「ねえ、ナナ」
「ん?なあに美緒」
今ナナは17歳。
年が近い事もあり私たちは呼び捨てで呼び合う事にした。
「あなた、冒険者パーティーはどうするの?学園もあるのでしょう?」
「あー、うん。学園は明日から行くよ?ほら、私“転移魔法”使えるし」
これで私の知っている転移魔法の使い手は4人。
顔の見えない人が言っていた6人。
後思いつく者はいないのだけれど…
「冒険者パーティーは……どうしよう。……ねえ美緒?連れてきちゃダメかな」
「うーん」
かなり悩む。
彼女のパーティー『ブルーデビル』
聞いた話だと多分ギルドの皆よりはどうしても劣る。
それに彼らは無理してここに来る必要もない。
すでに生活の拠点はしっかりと持っている。
ここにいればどうしても私に巻き込まれてしまう。
「ねえナナ。その仲間はさ、何か目的とかあるのかな。ここにいるとこの世界の色々な事件に巻き込まれちゃうのよね。もしあれなら一度話し合いしてからでいいかな」
「あーうん。そうよだよね。えっと…私1回家に帰るね。……ねえ美緒」
「うん?」
「……一緒に来てくれる?」
「ん?どういう……」
ナナは何故かキラキラした目で私を見つめる。
正直嫌な予感しかしない。
「私さ、婚約破棄したいのよね」
「……はあ?」
「だからさ、伝説のゲームマスター様が私を必要としてるって、パパに言ってほしいの。使命があるって。そうすれば結婚どころじゃないでしょ?」
えっと。
確かナナ……あー、彼と出会って好きになるのよね。
まだ当分先だけれど……
あの時……あれっ?
ナナの婚約者って……
「ねえナナ、あなたの婚約者ってもしかして…グラード侯爵家のラギルードじゃなかった?」
「そうだよ。さすが美緒。全部知ってるんだね」
私は腕を組んで考える。
ラギルードという男は今から3年後。
帝国歴28年に酷い事をしていることが発覚し廃嫡される男だ。
今もすでに手を染めているとすれば……
いち早くメインキャラクターである“ロナン”を救えるかもしれない。
でも……
胸糞悪いけど……
それこそあの事件がなければそもそもロナンは力に覚醒しない。
っ!?
……いやいや、待って?
これってロッドの時と同じだよね!?
ロナンだって……彼は実在する人物だ。
だったらわざわざ彼が苦しむシナリオなんて待つ必要がない?!
最悪彼が強くならなくても、ハッピーエンドを迎えることさえできればシナリオは守られる…目的に届く。
私は胸が熱くなるのを感じていた。
そうだ。
シナリオに一番囚われていたのは私だ。
残り12人。
もう一度検討し直す必要がある。
その瞬間――
世界の雰囲気が変わった気がした。
まるでフラグが立った、そう美緒は感じた。
でもその感覚は。
認識とともに美緒の頭から消えていく。
そして一瞬、美緒は途方に暮れてしまう。
(あれ?……今の…なんだっけ???)
「美緒?どうしたの」
「っ!?……あっ?う、うん、わかったよ。……一緒に行こう」
「ありがと。美緒…あ、フィムどうしよう…さすがにいくら幼生体とは言え…ドラゴンじゃ…」
ナナがそう言いフィムルーナを撫でていると、突然光に包まれる。
そしてみるみる縮んでいき、そこには5歳くらいの可愛い女の子が姿を現した。
「……なな?」
「えっ?フィムなの?」
「うん。ふぃむ。えらい?」
おもむろに抱きしめるナナ。
フィムルーナも甘えるようにナナの背に手を伸ばす。
「可愛い♡……うん、偉いよ?とっても。でも…服どうしよう」
人化する能力があることを私は知っていた。
でも都合よく服とかはないんだよね。
だからその、すっぽんぽんなの。
ちょー可愛いけど……これじゃあね。
「えっと…そもそもまだあなたたちのこと皆に紹介してないよね。まずはフィムの服何とかして、皆に紹介して、それからナナの家かな」
「そうだね。うん。私まだリンネ様しか知らないや」
取り敢えず私とナナとフィムは、まずは厨房にいるファルマナさんめざし転移することにした。
いくら幼女とはいえ裸で皆に紹介するのはまずい。
「じゃあ行くよ」
3人は転移した。
※※※※※
――美緒の思い付き。
それは今までのシナリオ進行を完全に無視をする、まさにチートの始まりだった。
美緒は無意識のうちに残り全ての“フラグ”を立てていた。
ゲームマスター唯一の強権。
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