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第128話 新たな指針
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年越しの祝勝会と新年の『いきなりクラーケン祭り』が終わり、しばらく平和な日々が過ぎた美緒たちのギルド。
そろそろ次の目標に向け動き出すために、私は執務室でリンネとガナロ、それからエルノール、そしてレギエルデの5人で紅茶を楽しみながら打ち合わせを行っていた。
「今日で1月7日。そろそろ次の行動決めたいと思うの」
「そうだね。まずは古代エルフの国ブーダかな。ノーウイックの技術を盗んだと思われるフィリルニームだっけ?そこから、だね」
年末はまさに激動だった。
多くの騒動が起き、何とか整理できた結果としてジパングを開放できていた。
「美緒姉さん。ボクも手伝うよ?力はだいぶ失くしたけど、それでもリンネよりは強い。力になれると思う」
わたしが隔絶解呪したことで呪いの部分に紐づいていた破壊神の権能はそのほとんどが失われている。
そうはいっても神様。
相当な実力者であることは変わらない。
そして何よりガナロの見た目。
まるっきり女の子みたいで中性的、めっちゃ可愛い。
ここ数日、私とガナロはめちゃくちゃ仲良しになっていた。
実は昨日なんて一緒に寝たくらいだ。
勿論姉弟として、だよ?
後からリンネも乱入して、そ、その……
私リンネにいっぱい、そ、その…体を……うう。
もう。
リンネにはお仕置き必要だねっ!
「……何よ美緒。その目」
「…べつに?」
まったく。
なんかリンネ、ガナロが来てからやけに甘えてくるのよね。
コホン。
「ありがとうガナロ。あなたの力、とっても心強いわ。私を助けてね」
「う、うん。もちろんだよ美緒姉さん。ふふっ。……なんか嬉しい♡」
うっとりとした顔を私に向ける。
彼もまた私の事を気に入ってくれたみたいで心が温かくなっていく。
「むう、ズルい」
なぜか私の腕を取り抱き着いてくるリンネ。
うん。
あなたも可愛いから。
だからちょっと放してね?
「えっと、話し続けても?」
「う、うん。ごめんなさいレギエルデ」
思わずイチャつく?私たちに向け、何故か生暖かい表情の彼。
大きく息をついた。
「…美緒は古代エルフの国ブーダ、転移で行けるのかい?」
「えっとね。あそこには結界があるのよね。首都以外ならエルフの各種族が住んでいるのだけれど。できれば案内人が欲しいところだね……」
あの国の権力者は基本ハイエルフだ。
彼らは他種族との交流を望んでいない。
長寿すぎる種族ゆえ、どうしてもいろいろと問題が起きてしまうからだ。
「うーん。案内人か…美緒、うちのギルド、ハイエルフ族っていないんだよね」
「…カイマルクが少しエルフの血を引いているくらいだね。まあ彼にはそういう伝手はないと思うけど」
最悪首都近くまで行って、幾つかあるエルフ族と会話を試みればいいとは思う。
「美緒さま、最初に古代エルフの国に行くのはゾザデット帝国の問題も絡むのですよね?」
「うん。そうだね。…ノーウイックの技術、使われていれば厄介なのよね」
エルノールが腕を組み、何かに気づいたように声を上げた。
「美緒さま。ナナのパーティーメンバー、エルフがいませんでしたっけ?」
「うん?あー、そう言えば…………」
前にナナに聞いていた気がする。
彼女の所属する冒険者パーティー『ブルーデビル』
確かそのリーダーがエルフだったはず。
私はおもむろにナナに念話をとばした。
「……今ナナ呼んだから、すぐに来ると思う」
言い終わると同時に執務室に魔力があふれ出す。
久しぶりに実家に帰っていたナナ。
可愛らしい学園の服を着ていた。
「なあに美緒?急に…っ!?レ、レギエルデさん?…あうっ?!」
転移してきたナナがレギエルデに気づき挙動不審になる。
彼は優しげににっこりとナナに微笑みかけた。
「転移……君もすごいね。力の底が見えない……制服かい?可愛いね」
「っ!?…あ、ありがと」
顔を染めるナナ。
はっはーん。
今回もナナ、恋に落ちるのかな?
「コホン。ナナ、急に呼び出してごめんなさい。今大丈夫なの?」
「う、うん。ちょうど授業終わったとこだよ?どうしたの?」
「うん、あのね……」
私はナナに事の顛末を説明し、彼、ルノークと面談する約束を取り付けた。
※※※※※
ゾザデット帝国高位の貴族の邸宅が並ぶ一角。
その中で異彩を放つ超豪邸。
ナナたちブルーデビルの拠点、パーティーハウスだ。
「お邪魔します」
ナナと話をした翌日。
彼女の学園の授業が終了と同時に、私とナナは『ブルーデビル』の拠点を訪れていた。
「いらっしゃい。ふわー、美緒ちゃん?噂よりも全然可愛い♡」
「(う、噂?)…は、初めまして。ラミンダさん?」
「うん♡もう、ナナ、最近全然来ないじゃん。ゴデッサ落ち込んでるよ?」
「アハハ、ごめん」
慣れた様子でハウスの中を進んでいくナナ。
すでに冒険者の雰囲気になっている彼女。
真直ぐに妖精龍のノロットがナナに飛びついてくる。
「キューイ♡」
「うわ、ノロット?久しぶり…って、こ、こらっ、そ、そんなに舐めないで!?」
じゃれつく妖精龍。
大きさは30cmくらい?
薄く輝く羽?に愛らしいその瞳。
すっごく可愛い。
「ゲームマスターさま、ようこそパーティーハウスへ。初めまして。私はルノーク。…一応ブルーデビルのリーダーを仰せつかっています」
奥から優し気なイケメンが出てきて、じゃれつくナナとノロットに優しい表情を向けた後、私に跪く。
彼がルノーク。
今回の目的の人だ。
「初めまして。顔を上げてください。私は美緒です。まだまだ若輩なので、できれば呼捨てで。その、言葉も普通でお願いします」
「っ!?ふう。…分かったよ美緒。よろしくね。…それでどうしたんだい?俺に聞きたいことがあるとかなんとか?」
そう言いながらソファーを勧めてくれるルノーク。
何気に紳士で冒険者には見えない上品な立ち居振る舞いだ。
「ありがとうございます。実は……」
※※※※※
「なあ美緒。わしらもギルドとやらに属したいぞい。ルノークだって構わんだろ?」
エールをあおり、やや顔を赤らめたゴデッサが私に問いかけた。
私たちの為にラミンダとゴデッサが歓迎の食事を用意してくれていた。
確かに古代エルフの国ブーダへの足掛かりとして、エルフ一族のいち当主の甥であるルノークの協力は必要だ。
それにこれからますます激戦を向える私たちのギルド。
強者はいくらいても構わないのだ。
でもやはり彼らの力はギルドの皆と比べればどうしても劣っている。
この先はまさに命の危険が付きまとう。
私はリーダーであるルノークの瞳を見つめる。
「その、良いのですか?あなた達はしっかりと生活の拠点がある。私たちのギルドに来る明確な理由も無い。もちろん古代エルフの国ブーダに行くにはあなたの叔父様の紹介は欲しいのだけれど…」
やや顔を赤らめつつルノークは大きく息をつく。
「美緒も分かっているだろ?うちのパーティー、主力は間違いなくナナだ。俺達はいうなればナナのおこぼれをもらっている状況だよ。彼女が抜けてしまえば、このハウスの維持だって難しいんだ」
「えっと、それは…」
ルノークの言葉、それは事実だ。
分からないように先ほど施した鑑定、Sランク冒険者のルノークですらレベルは72だった。
ゴデッサは68、ラミンダに至っては62だ。
正直ナナがいなくなればおそらく彼らの適正はせいぜいAランクだろう。
ルノークの顔にはなぜか清々した表情が宿る。
「そういう訳だ。それに俺達には特に目的もないんだよ。結成当時にはあったがな。すでにクリア済みだ。むしろ俺たちはもっと鍛えたい。それには美緒やナナたちみたいな超絶者の近くにいた方が都合がいいんだ」
ルノークはすごく気が効く。
だから私に少しでも罪悪感がないように自らを下げてまで話をしてくれていた。
「それにさ。私たちは純粋にナナが好きなんだよね。何しろ強くて可愛い。それにナナの調理する魔物の料理?あれ食べられないなんて考えられない」
少しお裾分けしたオロチとクラーケンを摘みながらラミンダが声を上げる。
大きく頷くゴデッサ。
彼の瞳が熱を帯びナナを見つめている。
「わしは面倒くさい事は分からん。だがわしはナナのそばに居たいんじゃ。お前さんがワシに興味がない事は分かっている。でも近くにいるくらいは、許してほしい」
「もう、ゴデッサ……そ、その。ごめん…」
「ふん。謝ることはないぞい?これはわしのわがまま。お前さんにはもっと良い男が現れるのは明白。わしが言っておいてなんだが、落ち込むな。いつもの明るいお前でいてくれ」
「っ!?う、うん」
うん。
ゴデッサさん、きっと本気でナナのこと好きなんだ。
でもナナは…
これはしょうがないよね?
ゴデッサさん、別に悪い人ではないと思うけど…
「それで美緒?俺たちを仲間に迎えてくれるのか?実はこのハウス、すでに売りに出しているんだけどな?」
「ええっ?まじで?」
ルノークの言葉にナナが反応し声を上げる。
「ああ。悪いが俺たちはもう心が決まっているんだ。何よりワクワクするだろ?俺だって慎重とか言われているけど冒険者だ。冒険は嫌いじゃない」
改めてルノークたち3人を見渡す。
そっか。
もう彼らは心を決めていたんだ。
なら。
私の言う事は決まっている。
「ルノークさん、ゴデッサさん、ラミンダさん。…私を助けてくれますか?」
「ああ。力は足りないけど、精一杯そうさせてもらうさ」
「うむ。わしは鍛冶だってできる。少しは役に立つぞい」
「ねえ美緒、私ね、マッサージ得意なの♡いつもナナにもしてあげてるんだよ?ねっ、ナナ」
「あー。確かにね。…ちょっとエッチいけど?」
えっちい?
まさかリアの仲間?!
思わず私はごくりとつばを飲み込んだ。
「コホン。…まあそういう訳だ。とりあえず叔父へ連絡はとらせてもらう。2~3日ほど時間ほしいが問題ないか?」
「う、うん。お願いします」
こうしてもう一つの懸念であったナナのパーティーメンバーの処遇が決まった。
さらに増える仲間。
何より彼らが望んでくれた。
ならもう彼らは私の大切な仲間だ。
「…ようこそ、私の自慢のギルドへ。もうすぐにでも来れるの?」
「ああ。だが少し片づけもしたいから、叔父の動向を含め2日後の正午くらいにまた来てくれるかい?」
「ええ。じゃあお願いします」
そんな私の妖精龍のノロットがすり寄ってきた。
始めは警戒していたノロット。
どうやら私も認めてもらえたようだ。
「ふふっ。そうね。あなたも大切な仲間だもんね?よろしくノロット」
「キューイ♡」
よし。
これで古代エルフの国ブーダへの道が開かれる。
再度私は気合を入れていた。
そろそろ次の目標に向け動き出すために、私は執務室でリンネとガナロ、それからエルノール、そしてレギエルデの5人で紅茶を楽しみながら打ち合わせを行っていた。
「今日で1月7日。そろそろ次の行動決めたいと思うの」
「そうだね。まずは古代エルフの国ブーダかな。ノーウイックの技術を盗んだと思われるフィリルニームだっけ?そこから、だね」
年末はまさに激動だった。
多くの騒動が起き、何とか整理できた結果としてジパングを開放できていた。
「美緒姉さん。ボクも手伝うよ?力はだいぶ失くしたけど、それでもリンネよりは強い。力になれると思う」
わたしが隔絶解呪したことで呪いの部分に紐づいていた破壊神の権能はそのほとんどが失われている。
そうはいっても神様。
相当な実力者であることは変わらない。
そして何よりガナロの見た目。
まるっきり女の子みたいで中性的、めっちゃ可愛い。
ここ数日、私とガナロはめちゃくちゃ仲良しになっていた。
実は昨日なんて一緒に寝たくらいだ。
勿論姉弟として、だよ?
後からリンネも乱入して、そ、その……
私リンネにいっぱい、そ、その…体を……うう。
もう。
リンネにはお仕置き必要だねっ!
「……何よ美緒。その目」
「…べつに?」
まったく。
なんかリンネ、ガナロが来てからやけに甘えてくるのよね。
コホン。
「ありがとうガナロ。あなたの力、とっても心強いわ。私を助けてね」
「う、うん。もちろんだよ美緒姉さん。ふふっ。……なんか嬉しい♡」
うっとりとした顔を私に向ける。
彼もまた私の事を気に入ってくれたみたいで心が温かくなっていく。
「むう、ズルい」
なぜか私の腕を取り抱き着いてくるリンネ。
うん。
あなたも可愛いから。
だからちょっと放してね?
「えっと、話し続けても?」
「う、うん。ごめんなさいレギエルデ」
思わずイチャつく?私たちに向け、何故か生暖かい表情の彼。
大きく息をついた。
「…美緒は古代エルフの国ブーダ、転移で行けるのかい?」
「えっとね。あそこには結界があるのよね。首都以外ならエルフの各種族が住んでいるのだけれど。できれば案内人が欲しいところだね……」
あの国の権力者は基本ハイエルフだ。
彼らは他種族との交流を望んでいない。
長寿すぎる種族ゆえ、どうしてもいろいろと問題が起きてしまうからだ。
「うーん。案内人か…美緒、うちのギルド、ハイエルフ族っていないんだよね」
「…カイマルクが少しエルフの血を引いているくらいだね。まあ彼にはそういう伝手はないと思うけど」
最悪首都近くまで行って、幾つかあるエルフ族と会話を試みればいいとは思う。
「美緒さま、最初に古代エルフの国に行くのはゾザデット帝国の問題も絡むのですよね?」
「うん。そうだね。…ノーウイックの技術、使われていれば厄介なのよね」
エルノールが腕を組み、何かに気づいたように声を上げた。
「美緒さま。ナナのパーティーメンバー、エルフがいませんでしたっけ?」
「うん?あー、そう言えば…………」
前にナナに聞いていた気がする。
彼女の所属する冒険者パーティー『ブルーデビル』
確かそのリーダーがエルフだったはず。
私はおもむろにナナに念話をとばした。
「……今ナナ呼んだから、すぐに来ると思う」
言い終わると同時に執務室に魔力があふれ出す。
久しぶりに実家に帰っていたナナ。
可愛らしい学園の服を着ていた。
「なあに美緒?急に…っ!?レ、レギエルデさん?…あうっ?!」
転移してきたナナがレギエルデに気づき挙動不審になる。
彼は優しげににっこりとナナに微笑みかけた。
「転移……君もすごいね。力の底が見えない……制服かい?可愛いね」
「っ!?…あ、ありがと」
顔を染めるナナ。
はっはーん。
今回もナナ、恋に落ちるのかな?
「コホン。ナナ、急に呼び出してごめんなさい。今大丈夫なの?」
「う、うん。ちょうど授業終わったとこだよ?どうしたの?」
「うん、あのね……」
私はナナに事の顛末を説明し、彼、ルノークと面談する約束を取り付けた。
※※※※※
ゾザデット帝国高位の貴族の邸宅が並ぶ一角。
その中で異彩を放つ超豪邸。
ナナたちブルーデビルの拠点、パーティーハウスだ。
「お邪魔します」
ナナと話をした翌日。
彼女の学園の授業が終了と同時に、私とナナは『ブルーデビル』の拠点を訪れていた。
「いらっしゃい。ふわー、美緒ちゃん?噂よりも全然可愛い♡」
「(う、噂?)…は、初めまして。ラミンダさん?」
「うん♡もう、ナナ、最近全然来ないじゃん。ゴデッサ落ち込んでるよ?」
「アハハ、ごめん」
慣れた様子でハウスの中を進んでいくナナ。
すでに冒険者の雰囲気になっている彼女。
真直ぐに妖精龍のノロットがナナに飛びついてくる。
「キューイ♡」
「うわ、ノロット?久しぶり…って、こ、こらっ、そ、そんなに舐めないで!?」
じゃれつく妖精龍。
大きさは30cmくらい?
薄く輝く羽?に愛らしいその瞳。
すっごく可愛い。
「ゲームマスターさま、ようこそパーティーハウスへ。初めまして。私はルノーク。…一応ブルーデビルのリーダーを仰せつかっています」
奥から優し気なイケメンが出てきて、じゃれつくナナとノロットに優しい表情を向けた後、私に跪く。
彼がルノーク。
今回の目的の人だ。
「初めまして。顔を上げてください。私は美緒です。まだまだ若輩なので、できれば呼捨てで。その、言葉も普通でお願いします」
「っ!?ふう。…分かったよ美緒。よろしくね。…それでどうしたんだい?俺に聞きたいことがあるとかなんとか?」
そう言いながらソファーを勧めてくれるルノーク。
何気に紳士で冒険者には見えない上品な立ち居振る舞いだ。
「ありがとうございます。実は……」
※※※※※
「なあ美緒。わしらもギルドとやらに属したいぞい。ルノークだって構わんだろ?」
エールをあおり、やや顔を赤らめたゴデッサが私に問いかけた。
私たちの為にラミンダとゴデッサが歓迎の食事を用意してくれていた。
確かに古代エルフの国ブーダへの足掛かりとして、エルフ一族のいち当主の甥であるルノークの協力は必要だ。
それにこれからますます激戦を向える私たちのギルド。
強者はいくらいても構わないのだ。
でもやはり彼らの力はギルドの皆と比べればどうしても劣っている。
この先はまさに命の危険が付きまとう。
私はリーダーであるルノークの瞳を見つめる。
「その、良いのですか?あなた達はしっかりと生活の拠点がある。私たちのギルドに来る明確な理由も無い。もちろん古代エルフの国ブーダに行くにはあなたの叔父様の紹介は欲しいのだけれど…」
やや顔を赤らめつつルノークは大きく息をつく。
「美緒も分かっているだろ?うちのパーティー、主力は間違いなくナナだ。俺達はいうなればナナのおこぼれをもらっている状況だよ。彼女が抜けてしまえば、このハウスの維持だって難しいんだ」
「えっと、それは…」
ルノークの言葉、それは事実だ。
分からないように先ほど施した鑑定、Sランク冒険者のルノークですらレベルは72だった。
ゴデッサは68、ラミンダに至っては62だ。
正直ナナがいなくなればおそらく彼らの適正はせいぜいAランクだろう。
ルノークの顔にはなぜか清々した表情が宿る。
「そういう訳だ。それに俺達には特に目的もないんだよ。結成当時にはあったがな。すでにクリア済みだ。むしろ俺たちはもっと鍛えたい。それには美緒やナナたちみたいな超絶者の近くにいた方が都合がいいんだ」
ルノークはすごく気が効く。
だから私に少しでも罪悪感がないように自らを下げてまで話をしてくれていた。
「それにさ。私たちは純粋にナナが好きなんだよね。何しろ強くて可愛い。それにナナの調理する魔物の料理?あれ食べられないなんて考えられない」
少しお裾分けしたオロチとクラーケンを摘みながらラミンダが声を上げる。
大きく頷くゴデッサ。
彼の瞳が熱を帯びナナを見つめている。
「わしは面倒くさい事は分からん。だがわしはナナのそばに居たいんじゃ。お前さんがワシに興味がない事は分かっている。でも近くにいるくらいは、許してほしい」
「もう、ゴデッサ……そ、その。ごめん…」
「ふん。謝ることはないぞい?これはわしのわがまま。お前さんにはもっと良い男が現れるのは明白。わしが言っておいてなんだが、落ち込むな。いつもの明るいお前でいてくれ」
「っ!?う、うん」
うん。
ゴデッサさん、きっと本気でナナのこと好きなんだ。
でもナナは…
これはしょうがないよね?
ゴデッサさん、別に悪い人ではないと思うけど…
「それで美緒?俺たちを仲間に迎えてくれるのか?実はこのハウス、すでに売りに出しているんだけどな?」
「ええっ?まじで?」
ルノークの言葉にナナが反応し声を上げる。
「ああ。悪いが俺たちはもう心が決まっているんだ。何よりワクワクするだろ?俺だって慎重とか言われているけど冒険者だ。冒険は嫌いじゃない」
改めてルノークたち3人を見渡す。
そっか。
もう彼らは心を決めていたんだ。
なら。
私の言う事は決まっている。
「ルノークさん、ゴデッサさん、ラミンダさん。…私を助けてくれますか?」
「ああ。力は足りないけど、精一杯そうさせてもらうさ」
「うむ。わしは鍛冶だってできる。少しは役に立つぞい」
「ねえ美緒、私ね、マッサージ得意なの♡いつもナナにもしてあげてるんだよ?ねっ、ナナ」
「あー。確かにね。…ちょっとエッチいけど?」
えっちい?
まさかリアの仲間?!
思わず私はごくりとつばを飲み込んだ。
「コホン。…まあそういう訳だ。とりあえず叔父へ連絡はとらせてもらう。2~3日ほど時間ほしいが問題ないか?」
「う、うん。お願いします」
こうしてもう一つの懸念であったナナのパーティーメンバーの処遇が決まった。
さらに増える仲間。
何より彼らが望んでくれた。
ならもう彼らは私の大切な仲間だ。
「…ようこそ、私の自慢のギルドへ。もうすぐにでも来れるの?」
「ああ。だが少し片づけもしたいから、叔父の動向を含め2日後の正午くらいにまた来てくれるかい?」
「ええ。じゃあお願いします」
そんな私の妖精龍のノロットがすり寄ってきた。
始めは警戒していたノロット。
どうやら私も認めてもらえたようだ。
「ふふっ。そうね。あなたも大切な仲間だもんね?よろしくノロット」
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