神意再誕~ゲームマスターの少女は原初で微笑む~※旧『可愛くて最強?!知識チートの黒髪黒目の少女はゲーム世界に転移する?!』

たらふくごん

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第167話 ギルドのお父さん、お母さん

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リッドバレーの周囲を覆う深い森。
伝説級の魔物が跋扈する秘境。

でも今は。
多くの私の大切な仲間たちが魔物を殲滅。

自然豊かな美しい情景を私たちに見せてくれていた。

「ふわー♡ねえねえ、はいにいに、すっごくキレー♡」
「ふふっ。もうフィムの方が僕より大きいのに…うん。とっても奇麗だね」

二人仲良く手をつなぎ、目を輝かせる。
目の前の景色。
まさに絶景だ。

落差の大きい荘厳な滝。
その水しぶきが光に照らされ七色に煌めいている。

冷涼な空気を私は胸いっぱいに吸い込んでいた。

「はあ、スッゴク癒される…本当に奇麗…」


※※※※※


荘厳な滝を見下ろす広場。
今私たちはそこで一休みをしているところだ。

以前ファナンレイリ様に言われたこと。
私はずっとその機会を待っていた。

美緒は真っすぐだ。
そして何より、自分よりもみんなの事を優先してしまう優しい彼女。

でも美緒だって未だ18歳の女性。
もし何でもない世界であれば、恋をし、お洒落に目を輝かせ、美味しいスイーツなどに夢中になる、いや、そう言う事に心を傾けたっていい年頃の女の子だ。

それなのに彼女の使命は恐ろしいほど重くそして濃い。
確かに以前より彼女は強く、そして『したたか』になった。

だけど…

滝を見て涙を浮かべている美緒は…

怖いくらい儚かったんだ。


※※※※※


「美緒」
「っ!?う、うん?…あ、あれ?私…」
「おいで」
「っ!?」

私はたまらず彼女をそっと抱きしめた。
愛欲の情ではなく、父親として親愛の情を沸き立たせながら。

「美緒?お前は凄いな。…でもな?たまには甘えることも必要だぞ?…泣いたっていいんだ。私は確かにお前と血のつながりはない。でも…もしお前が許してくれるのなら…私はお前の父親になりたい」

おかしな話だ。
彼女はれっきとした大人の女性。

美しく神々しさすらある。
でも…

「…お、おとう…さん……グスッ…ヒック…うああ…お、お父さんっ!…ああ、あああああっ!!」

突然私の腕の中で肩を震わせる少女は―――
まるで10歳くらいの女の子に見えていた。

「…ごめんな?今まで辛かったな…私も覚悟を決めたよ?これからはいつでも私を…いや、お父さんに甘えていいんだ。可愛い美緒…私の愛する娘」

沸き上がる覚悟。
私もきっと覚悟が足りていなかったんだ。
抱きしめあう私たちをファルマナが優しい瞳で見つめてくれていた。

美緒の美しい髪を撫でる。
沸き立つ思い。
この子は、美緒は。

私の大切な娘だ。

そう心に刻んでいた。


※※※※※


気付けば。

美緒とハイネ、そしてフィム。

可愛い3人が私の腕に抱かれ、優しい寝息を立てていた。

「ふふっ。あんたは立派な父親さね。…あたしゃ嬉しいよ。…誇りに思う」
「ふっ。なんだ?ずいぶん持ち上げるじゃないか…私よりもお前だ。お前が今まで支えてくれていた。だから美緒は…壊れなかったんだ」

優しい風が吹き抜ける。
まだ寒い季節だ。
でも。

今の状態に、私は温かいぬくもりに。
包まれていた。

「なあ」
「うん?」
「…お前は…いい女だな」
「…あたしゃ幸せだよ…あんたの女房になれた。…それが全てさね」

私の横に座り体を預ける。
久しく感じたことのない大切な妻の体温。

年甲斐もなく、私の鼓動がトクンと跳ねた。

「まだまだ死ねないな。…少なくとも、可愛い娘、美緒の子供を見るまではな」
「そうさ。あんたはまだまだ必要なんだ。もちろん私にとってもね」

思わず見つめ顔を赤らめてしまう。
もう二人は60を過ぎた。
今更恋愛感情なぞあるわけがない。

だけど。

今だけは二人…
過去に戻っていた。

久しぶりの優しい口づけ。
心がときめいた事、私は驚いていたんだ。


※※※※※


暖かい…
すっごく安心する。

…あれ?
私……

「う…ん…美緒……」
「…っ!?…ハイネ?…ふふっ、可愛い♡」

暖かく安心する太い腕。
私はそれに包まれながら私に抱き着いているハイネ君の髪の毛に顔をうずめた。

「ふふっ。お日様の匂い…っ!?はっ?うあ、ざ、ザナークさ……え、えっと…お、お父さん」

私を見つめる優しいまなざし。
私は思わず顔を赤く染めてしまう。

「休めたかい?美緒。…ふむ。あんたいい顔しているよ?…流石は私の旦那だ。さあ、お昼にしようかね。フィムを起こしてくれるかい?」
「う、うん」

私はそっとザナークさん、いや、お父さんから離れた。
なんか。
すっごく名残惜しい。

「ハハッ。美緒、いつでもいいんだよ?私はお前の父だ。大丈夫。時間はあるさ」
「っ!?…うん♡」

私は頷き、可愛らしい寝息を立てているフィムの柔らかい髪を撫でたんだ。


※※※※※


「美味しー♡」

ザナークさん特性のサンドイッチ。
新鮮なお野菜としっかりと味付けのされた鶏肉。
とっても美味しい。

「このお肉?唐揚げ、だっけ。美緒の教えてくれた料理、とっても美味しいよね」

耳に入る滝の音。
癒される空間で私たちは少し早めのお昼に舌鼓を打っていた。

目を輝かせるフィムにハイネ。
優しい瞳を向けるザナークさんとファルマナさん。

ああ、なんて愛おしい空間なんだろう。
私は温かい紅茶をすすり、ほっと息を吐きだした。

「ねえ美緒」
「うん?」
「…エルノールと結婚するの?」
「っ!?げほっ、……うん?な、なに?と、突然」

なぜか寂しそうに、そして泣きそうな表情を浮かべるハイネ。

「ぼ、ぼく。…大きくなったら…美緒と、結婚したいのっ!!」
「ふわっ?…え、えっと…は、ハイネ?……け、結婚?」

まだ8歳のハイネ。
でもその表情はなぜかしっかりとした男性のまなざしを浮かべていた。

心の底から温かいものが浮かんでくる。
ああ。
この子は。

私のことを真剣に好きになってくれていたんだ。

私はそっとハイネを抱きしめた。

「ありがとうハイネ。とっても嬉しい。…でもね、今は私そういう事、考えられないんだよね」

私はしっかりとハイネの瞳を見つめる。
碧眼の奇麗な瞳。

とっても可愛いハイネだけど…
今は覚悟の決まった顔立ちだ。

きっと彼もとんでもない美形に成長するのだろう。

「私はエルノールのことが好き。でもね、今は結婚とかは考えられない。だってまだ私たち、お付き合いもしていないのよ?だからね…」

私はそっとハイネのほっぺにキスをした。

「っ!?あうっ?み、美緒?」
「これは親愛の証だよ?私もハイネの事すっごく大好きだよ?とっても嬉しい。ありがとう」

ズルい対応だと思う。
まだまだ純真な少年。

きっと今日のこれは彼の心に刻まれてしまう。
でも。

私は心の底からハイネのことが好きだという事。
それは間違いではないのだから。

「ふふっ、ハイネ?あんたの気持ち、美緒は大切に思ってくれているさね。…そんな顔するんじゃないよ!…小さいとはいえ、あんたは男だ。しゃっきりしなっ!」

「う、うん…ありがとう。ばあちゃん」
「うんうん。おっとフィム?あんたはこれ飲みな。…まったく。詰め込み過ぎさね。ご馳走は逃げやしないよ」

私たちに視線を送りながらもひたすら食べていたフィム。
どうやら喉につかえていたらしい。

涙目のフィム。
うん。

ごめんだけど、めっちゃ可愛い♡


※※※※※


楽しい時間はあっという間に終わった。
今は夕刻。

私たち5人は今ザナークさん、いや、お父さんの自室で紅茶を楽しんでいるところだ。

「初めて入った…スッゴクセンスがいいのね」

目に入る幾つもの木彫りの動物たち。
生き生きと躍動する様を見事にとらえていた。

「じいちゃんはさ、器用なんだよね。僕にもいくつかくれたんだ」

誇らしげに胸を張るハイネ。
大好きな祖父を褒められ、薄っすらと上気する顔が可愛い。

「美緒」
「うん?」

そんな中ファルマナさんが少し悪戯そうな表情で私に問いかけてきた。

「実際エル坊とは進展はあったのかい?…まだエッチはしてないんだよね?」
「ぶはっ?!!な、な、何を…」

突然ぶち込まれる爆弾発言。
私は思わず紅茶を噴き出してしまう。

「あんたとエル坊、お似合いさね。まあ、あたしが見る限り、あんたに惚れているのは相当数いるんだけれど…まあ一番はエル坊かねえ。その次はレルダン、そしてザッカートか」

「っ!???」

そしてなぜか圧をのせ私の瞳を見つめてくるファルマナさん。

「ほら、白状おし!お母さんに言ってごらん」
「う、うあ?!…え、えっと…お、お母さん?」

思わず口からこぼれた言葉。
私はそれを自覚して顔を真っ赤に染めてしまう。

「ふふん、『お母さん』か。良い響きさね。…そうだよ。あたしゃあんたのお母さんだ。だからこれからも頼るんだよ?悪いようにはしない」

そして優しい表情を浮かべる。

ああ。
本当に。

私はこの世界に転移してきて良かったって…

心の底から思っていたんだ。

お父さん、お母さん…

大好き♡
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