神意再誕~ゲームマスターの少女は原初で微笑む~※旧『可愛くて最強?!知識チートの黒髪黒目の少女はゲーム世界に転移する?!』

たらふくごん

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第186話 美緒の休息とザナンクとの決着

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ギルド内尋問室。
かつてアルディとの面談で使用した部屋だ。

今この部屋はあり得ないほど厳重な結界とアーティーファクト、それらにより完全に世界と隔絶されていた。

幾つかあった美緒の調整したあり得ない魔道具。
まさかこんなに早く使用することになるとはレギエルデは思っていなかった。

(悪魔…リンネや僕たち神と同等の権能を持つ絶対者…そして精神感応特化…クソッ、美緒との相性、最悪だった…)

美緒は優しい。
優しすぎる。

かつてナナが懸念した美緒の心のもろさ。
地球にいたころ人を避け、他人の悪意から逃げ続けていた美緒。

まさに今回あり得ないような欲望と悪意により、美緒はかつてないダメージにさらされてしまっていた。

今まさに聖域と言ってもいいほどに浄化され、繋がりを断たれた空間。
そこでいくつもの魔道具などの力により意識を失っている悪魔ザナンクをレギエルデは睨み付けた。

発作的に殺してしまいそうになる。
それほどまでの事をコイツはしていた。

正直レギエルデに美緒に対する感情、恋愛的な要素はない。
でもレギエルデは美緒のことが大切で仕方がない。
ありていに言って美緒の心に惚れていた。

だから沸々と怒りがこみあげてきてしまう。

実際問題、美緒は物理的なダメージは受けていない。
そもそも接触すらしていない状況、だがザナンクの権能はあり得ないほど強力だった。

実はレギエルデはザナンクのことについては認識していた。
だがかつてのザナンクの権能、それは惑わせることに特化していた。

しかし今回齎されたのは同期してからの精神汚染。
しかも美緒は逃がすまいと、かなり深いレベルまでザナンクとつながってしまった。

(…僕のミスだ…あの時、僕が先に繋がってさえいれば…)

美緒は優しい。
だから認識してからの隔絶解呪、そして話し合い。

彼女はそういう筋書きを立てていた。

でも違う。
悪魔。

彼等とは話し合いなどできないし必要ない。

その存在自体がすでに障害なのだ。

(…エルノールの完全回復…もしあれがなかったら…)

恐ろしい推測に、レギエルデは無意識で唇をかみしめた。

精神を穢され、さらに侵攻していく悪夢。
繋がりを絶ったことと、ギルド皆の心からの想い。
そして真に愛するエルノール渾身のスキルの使用。

それが悪魔の権能を上回った、まさに奇跡の生還だった。
ピースが一つでもかけていれば…

まさにゲームオーバーになる事態だった。

レギエルデは天を仰いでいた。


※※※※※


「レギエルデ?お待たせ…見ればいいの?」

1人難しい顔をしていたレギエルデの元に、ロナンがリンネとガナロを伴い顔を出した。
実は先ほどレギエルデは彼を呼んでいた。

ロナンの超絶スキル『悟りの極致』

ザナンクに意識がない今、まさに今しか使用できない状況だった。

「ああ。すまないねロナン。…君の力、貸してほしい。…リンネ様、ガナロ様。…協力お願いしても?」

レギエルデの視線が熱を帯びる。
特にリンネに対する視線、それはあることを訴えていた。

リンネの隠された称号『サイトスーパーバイザー』現場監督。
まさに今これからの事、彼女には理解してもらう必要があるためだ。

「ふう。流石はレギエルデ、ね。…ロナン、ガナロ?今からの事、秘匿してほしい。誓いを」
「っ!?リンネ?…分かった」
「わ、分かりました。…リンネ様の称号の事だよね?」

思わず驚愕がリンネの瞳に浮かぶ。
ロナンのスキル。

まさに神の隠ぺいですら突き抜けていた。

(ああ。本当に今回のルートは想定外なのね…私もしっかりしなくちゃ)

「コホン。ええ。そうね。…ロナン、まだ誰にも伝えてないわよね?」
「う、うん。…隠そうとする、と言うか…美緒を思いやる感情に包まれていたから…誰にも言ってないし俺からは誰にも言わないよ」
「ありがとう」

リンネはゆっくりとガナロの手を取る。
そして真直ぐに瞳を見つめた。

「限界を越えたいの…力、貸してくれる?」
「っ!?…わ、分かったよ。…これでいい?」

心の奥に封じられている破壊神の権能。
ガナロはそれを限界まで膨れ上げさせる。

妖しいオーラを内包する魔力。
それを吸収し、リンネは成人女性へとその容姿を変えた。

「レギエルデ。やってくれる?時間、多分数分しかもたない」
「分かったよ。ロナン」
「うん『悟りの極致』…ひぐうっ!!????」

ロナンの超絶スキルと神の権能。
さらには隠されていた称号の力。
それの相乗効果で映し出されるあまりに悍ましいザナンクの精神世界。

そして。

幾つもの隠されていた事実を知ることになる。

レギエルデは改めて唇をかみしめていた。


※※※※※


美緒の寝室。
スフィナに連れられ訪れたマキュベリア。

思わずドアの前で足がすくんでしまっていた。

美緒が回復した。
それは素直に嬉しい。

でも。

自分は美緒を守ることができなかった。

その事実がマキュベリアの足を重くしていく。

「…マキュベリア?…嬉しい。来てくれたのね」

突然開かれるドア。
そして愛おしい感触がマキュベリアを包み込んだ。

「美緒?!…ああ、美緒、良かった…ひぐっ…グスッ…」
「もう。泣かないで?…私起きたばかりで…立っているの辛いの…」
「う、うむ」

美緒に手を引かれ部屋に入る。
スフィナはお茶の用意を始めていた。


※※※※※


「美緒、そ、その…もう平気なのか?」
「うん。…ごめんなさい。心配かけて…私…弱いね…悔しい」
「っ!?」

ソファに腰を掛ける美緒をマキュベリアは真っすぐに見つめた。
何時もの美緒。
影などない。

だが。

「…マキュベリア?私ね、経験ないの。…怖かった…本当に恐ろしかった…」
「…美緒…」

精神耐性(極)を有している美緒。
さらには異常状態無効までも持っている。

しかし今回美緒は自ら逃がさないようにザナンクの深い所に繋がっていた。
濃く悍ましい彼の心。

まさに直接美緒は無防備の状態で晒されてしまっていた。

「…きっとまだ居る…悪魔たち…ねえマキュベリア?2000年前、どのくらいの悪魔たちがいたの?」

美緒の問いかけ。
マキュベリアは涙が込み上げてくるのをどうにか耐えていた。

ついさっきまで生死の境をさまよっていた。
そして恐ろしいまでの精神的ダメージを受けていた美緒。

それでも彼女は前を向いていた。

「美緒」
「…うん」

マキュベリアはそっと立ち上がり、美緒の隣に腰を掛ける。
そして優しく抱きしめた。

親愛の、そして友愛の感情を思い描きながら。

「守る。次は絶対にわらわが美緒を守る。誓う。わらわはもう間違えない。必ずやお前を、守って見せよう」
「マキュベリア…うん。ありがとう…グスッ…うあ、本当に…怖かった…怖かったよ…ヒック…グスッ…うあ、うああああ、あああっ、あああああああああっっっ」

マキュベリアもすでに我慢することが出来ずに二人抱き合いながら涙を流していたんだ…

そんな様子をスフィナは親愛の表情で見つめていた。


※※※※※


暖かくいい香りの紅茶と可愛らしい焼き菓子。
ようやく落ち着いた二人は改めて話し合いを再開していた。

「わらわが倒した悪魔は3体じゃ。そして遭遇した悪魔は5体。…わらわよりも格上、全くかなわないやつが一人おった」

「…あなたでも敵わない悪魔…ねえマキュベリア?そいつってどんな奴だったの?」
「うむ。実際には戦ってはいないのじゃ。奴はわらわを見て馬鹿にしたように口を開き、一瞬で姿を消したのじゃ。…正直助かった。そのくらい奴の底は見えんかった」

思わずごくりとつばを飲み込んでしまう。
2000年前でもマキュベリアはレベル200オーバーだ。

そんな彼女がそう言わざるを得ない相手…

「グラコシニア」
「…グラコシニア?…えっ?それって…伝説の英雄の名前じゃ…」

ジパング決戦の時ファルカンが手にした伝説の聖剣エリシオン。
確かその元々の保持者、英雄グラコシニス…

ん?
微妙に違う??

「うむ。どうやらその英雄の反転した者らしいのじゃ。…美緒も承知しておるじゃろ?この世は2面性。…強すぎた英雄、目をつけられたのじゃろうな」

そして語られる過去の英雄。

物語は徐々に深淵に近づいていくのだった。
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