神意再誕~ゲームマスターの少女は原初で微笑む~※旧『可愛くて最強?!知識チートの黒髪黒目の少女はゲーム世界に転移する?!』

たらふくごん

文字の大きさ
224 / 267

第213話 最後のメインキャラクター大精霊フィードフォート

しおりを挟む
幾つもの障壁。
私はそれを突き破り、大精霊フィードフォートの目の前に転移していた。


※※※※※


聖気に満ちた神秘的な空間。
意匠をこらされたクリスタルが共鳴、降り注ぐ陽光が複雑な陰影を作りし様はまさに神々の住処。

まるで神殿のような広大なホールには小精霊たちが色とりどりの魔力を放ち舞い踊る。

名もなき水の大神殿。

その主である水の大精霊フィードフォート。
古の伝説、まさに降臨す―――


息をのむ美しい情景。
私は思わず、近づいてくる女性に目を奪われたんだ。


※※※※※


「ようこそ。ゲームマスター…それに…」

凛とした声の主―――ファナンレイリの実の妹、ヒューマンと番い進化した大精霊フィードフォート。

彼女は静かに微笑んだ。


「お姉さま♡」

神々しい気配はいきなり霧散する。
突然ファナンレイリに抱き着く彼女。

何故かとんでもない勢いで匂いを嗅いでいる?

(ええ―――神々しさっ!どこ行った?!)

「ふわっ?!こ、こら、フィー?!!ちょ、ちょっと…こらあ!」
「はあはあはあ♡久しぶりのお姉さまの香り…あうっ、成長されたのね…ひぎいっ?!!」

ゴンッ!!!!

凄まじい衝撃とともに響く音。
頭にげんこつを落とされようやく離れたフィードフォート。

残念臭がとんでもないんですけれど?


※※※※※


「まったくこの馬鹿妹。…コホン。相変わらずね?…いつ目覚めたのかしら?」

玉座の間。

そこで腕を組み見下ろすファナンレイリ。
でもその顔には。

懐かしい再会に、薄っすらと上気している朗らかな表情を浮かべでいた。

「ううう、ひ、酷い…今日の朝…かな」
「今日の朝?…なるほど。ねえ、ウオロンは?」
「???ウオロン??」

四聖獣の一人、青龍のウオロン。
彼も又ギミックに組み込まれた一人のはずだ。

ファナンレイリはすでに彼の活動を把握していた。

壊された龍姫の欠片。

彼がすでに確保していることに。
なぜか『おまけ』まであるようなのだけれどね?

「あー。…っ!?…近くにいるわね」
「早く結界を解除しなさい。彼ではここの結界破れないでしょうに」
「う、うん…解呪したよ?」

突然膨れ上がる気配。
気付けば後方に、聖獣である青龍のウオロンが跪き頭を下げていた。

「お久しぶりですファナンレイリ様、フィードフォート様…そ、そちらは…っ!?ま、まさか…ゲームマスター様でございますか?!」

全身を覆う鱗。
青く輝く聖気に守られたその姿。

身長は2メートル50センチほど。

頭に種族特性の立派な角を覗かせた、メチャクチャイケメンの人竜族の末裔。
四聖獣の一人、青龍のウオロンだ。

「はじめまして。あなたがウオロンね。…ありがとう、龍姫の欠片保護してくれたのね」
「はっ、もったいないお言葉」

「さすがねウオロン。…元気でしたか?」
「おお、なんという…ファナンレイリ様――束縛は解除されたのですね」

これで希望がつながる。
揃うピース。

悪魔の策―――ぶち破った瞬間だった。

「ねえフィー。あなた束縛とかはないわよね?…その…レアニディーは…」
「…うん。彼は天寿を全うしたわ。でも。私は幸せよ姉さま」

「そっか。…改めて…コホン。大精霊フィードフォート。我は願う。数多の秘術を紬し英脈の彼方―――時は来た『極解呪:崩界』」

光に包まれる大精霊フィードフォート。
彼女とつながっていた秘境の楔。

美しい水色の粒子とともに霧散していった。



「ふう。これであなたは自由。…フィー?」
「…はい。お姉さま」

「一緒に暮らしましょ?我がギルドで」
「は、はい♡」

水を司る大精霊フィードフォート。
愛しあった人『レアニディー』と番い、その身を大精霊へと進化させた唯一の女性。

最後のメインキャラクター。

もちろんエレリアーナの封印や、アランの覚醒はまだ終わっていない。

でもついに私は達成したんだ。

集めたメインキャラクター20人。

物語は静かに最終章へと進んでいく―――


※※※※※


一方残されたエルノールとザナーク。

ダンジョン攻略についてリュナイデル伯爵、そしてニアルデ国王と協議を続けていた。

「凄まじいな。あれが転移魔法と言うものか。…聞いた話ではサブマスターである貴方も使えると聞いているが。どうなのだ?」

「ああ。私も使える。だが…美緒さまの転移魔法は私の数段上の性能を秘めているんだ。彼女の転移は障壁を無視する。―――スルテッド王国の凋落、ご存じだろうか?」

200年前の悲劇。
それは物語としてこの世界では有名なものだった。

「話、と言うか『物語』では知っている。確か伝説の禁忌の魔女。『ガーダーレグト』によって結界を破壊されたことから滅んだ王国だと…っ!?スルテッド?…まさか!?」

「ああ。私は直系の子孫にあたる。だから私の血には転移魔法が付与されているのだ」

静寂に包まれる執務室。
紅茶から立ち上る湯気が揺蕩う。

やがてエルノールの小さなため息が漏れる。

「王国の結界。私の転移では弾かれてしまう。おそらく他の使い手の者でもだ。しかし…美緒さまの転移は違うんだ。すべての障壁を無視する」

ティーカップをソーサーに戻し、改めてニアルデに視線を投げる。

「…彼女は恐ろしく強い。だが―――脆いんだ。―――ニアルデ殿」

「…はい」

「どうか貴殿も、美緒さまを助けてやってはくれまいか。彼女の心を守ってほしい」

ニアルデとリュナイデルは息をのむ。
守る?

「だ、だが。申し訳ないが我らの力など…あなた方の前ではまさにちり芥。とても助けられるビジョンが浮かばないのだが…」

エルノールは紅茶でのどを湿らせる。
その様子をリュナイデルは興味深げに見つめていた。

「ああ。そう言う力ではないんだ。彼女は転生者。そして過去の世界で…彼女は空っぽだった。―――経験が著しく欠如している」

「っ!?それは…だが、具体的には?」

「友人になって欲しい。見たところ貴殿は彼女の魅了『レジスト』していたようなのでな」
「っ!?」

ふっと息を吐き、口を開くリュナイデル。

「コイツには特殊なスキルがいくつかある。その一つ、と言うか複合なのかは知らぬが…確かに適任だろう。他の男ではダメだ。スマンが俺もすでに心を奪われている」

美緒のスキルと言うか称号『超絶美女』
異性では抗う事の難しいスキルだ。

覚悟をもって『娘だ』と心に決めたザナーク。
そしてまだ年若いハイネ。

実にその二人しか抗う事が出来ない状況だった。

好意を寄せられることは悪い事ではない。

だが経験の少ない美緒。

そのわずかなズレが、彼女にどんな影響を及ぼすのか誰も分からない状況だった。

「同姓の友人は数多くいる。しかし異性となると実に皆無だ。…ニアルデ殿。どうか美緒さまの茶飲み友達、そしてあなたの限りない英知で――美緒さまと友人になって欲しい」

思わず天を仰ぐニアルデ。
そして口角を上げる。

「…惚れてもいいのか?」
「ダメだ」
「……ふう。分かったよ。その依頼、喜んで引き受けよう」
「…すまない。頼む」

くだらないことかもしれない。
でも。

強すぎるがゆえに脆い美緒には。
そういう経験、確実に不足していた。

以前の失敗したルート。
彼、ニアルデは登場していない。

幾つもの細かい新たな要素。
実はそれが全てを打ち破る礎になりうること。

誰も知らない事だったが着実に積み上げられていた。


まさに美緒の幸運値がなせる業。
神の想定をも上回る―――新しい物語は今確かに紡がれ始めていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん
ファンタジー
気づいたら異世界に飛ばされていた、おっさん大工。 唯一の武器は、腰につけた工具袋—— …って、これ中身無限!?釘も木材もコンクリも出てくるんだけど!? 戸惑いながらも、拾った(?)ギャル魔法少女や謎の娘たちと家づくりを始めたおっさん。 土木工事からリゾート開発、果てはダンジョン探索まで!? 「異世界に家がないなら、建てればいいじゃない」 今日もおっさんはハンマー片手に、愛とユーモアと魔法で暮らしをDIY! 建築×育児×チート×ギャル “腰袋チート”で異世界を住みよく変える、大人の冒険がここに始まる! 腰活(こしかつっ!)よろしくお願いします

処理中です...