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第217話 ダンジョンアタック
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私の大好きなギルド。
日々色々な騒動が起こるけど。
今日はオーダーをもとに新たな挑戦を行うところだ。
※※※※※
遠い東方の地ジパング。
その北東の小さな大陸ルナイデにあるダンジョン、『黄泉の頂』の踏破及び調査依頼の対応のため、今サロンではその人選が行われていた。
「黄泉の頂は全20階層だ。何しろそこの主だったエンシャントドラゴンのルデーイオが言うんだ。間違いはねえだろう」
説明を始めるザッカート。
今回の依頼、難易度はともかく何しろ時間の余裕がない状況だった。
ルナイデ大陸には3つの国があるのだが。
主な収入源はその北方に位置するダンジョン、まさに今から調査に行く『黄泉の頂』から産出する鉱物だった。
既にルデーイオがあのダンジョンを後にして数日が経過している。
彼の不在により、今まで潜んでいた他の魔物たちが跋扈を始めていた。
「魔物のレベルは高いモノで80程度だ。今の俺達なら朝飯前だが…どうせだから鍛錬を兼ねようと思う。レストール」
「っ!?は、はい」
「お前のパーティー『陽光の絆』をメインに据える。…鍛錬の成果、見せてみろ」
「は、はい!!」
レストールたち4人はC級のパーティー。
でも私たちのところで彼らは真剣に鍛錬を重ねていた。
「それからルノークとラミンダ。お前たちもだ。」
「分かった」
「うん。頑張るね」
そしてナナのパーティメンバーのルノークとラミンデ。
「ルデーイオの話と依頼元の話を聞くに、10階層辺りにラミアがいるらしい。あいつらは亜人だが魔物寄りだ。対応はお前たちで判断しろ。いいな?」
「エルノール。転移頼めるか?」
「任されよう。準備が出来たら教えてくれ。私はいつでも問題はない」
一応のメンバーが発表され、レストールたちは準備を始める。
もちろん保険はしっかり掛けたいところだ。
「ザッカート、ちょっといいかな」
「あん?どうした美緒」
「うん。ちょっと耳貸して…ごにょごにょごにょ」
「……はっ。心配すんな。…美緒、耳貸せ」
私はちょっと懸念があったので、ザッカートに聞いてみたのだけれど。
逆に私に内緒話をしたいようだ。
私はそっとザッカートに近寄り、耳を傾けた。
「いいか、美緒…あのな…ふっ」
「…うん…ひゃん♡」
いきなりふっと耳に息をかけられ、私は腰が抜けてしまった。
全身に感じたことの無いものが走り抜ける。
「おっと。…お前は本当に可愛いな」
「もう。イジワル」
腰砕けになった私を支え、ザッカートがそんなことを口走った。
もう。
でもなぜか。
嫌な感じはしなかったんだ。
でも私はジト目でザッカートを睨み付ける。
「ハハッ。わりいな。…コホン。あいつらのほかにドルンとレグも行かせる」
「ドルンとレグ?」
「ああ。一応オーダーに『調査』もあるんだろ。ドルンが適任だ」
確かに。
今回の依頼は調査も含まれていた。
「それに万が一があれば…レグなら転移で逃げられるだろ?」
流石はザッカートだ。
抜け目がない。
「という訳だ。懸念はもうないだろ?」
「うん」
本当に頼りになる私の大好きな仲間たち。
私は安心して自室に向かったんだ。
※※※※※
私の自室。
実は今ここでは、かわいいお客様がふくれっ面をしていた。
「もう。フィムったら…機嫌直してよ」
「…ヤダ…フィムはハイにいにがいいのっ!」
風のエンシャントドラゴンのフィムルーナ。
スイの角で成長を遂げ、見た目10歳児程度に見える超絶者の一人だ。
「どう?ナナ。フィム、機嫌直った?」
昨日ルデーイオとの会話を終えたフィム。
凄く情緒が不安定になり、夕べはハイネ君に抱き着いて寝たのだけれど。
一応この世界のエンシャントドラゴンには使命がある。
番い子を産み、数を増やす。
創造神ルーダラルダの最後の賭け。
そして創世神であるアークディーツの願い。
それを少しでも叶える力を集結させるため、彼等にはそういうプログラムが付与されていた。
正直フィムも、精神の奥では理解している。
しかし。
美緒のギルドの優しさに包まれたフィムは、自分の感情を否定することをしたくなかった。
大好きな『ハイにいに』
番うのならフィムはハイにいにがいいと、心に決めていた。
「ねえフィム?」
「………」
「私はあなたがルデーイオと番う必要、無いと思っているわ」
「っ!?ほ、本当?」
「ええ。だってフィムはハイネが良いのでしょ?」
「う、うん。フィムね、大きくなったらはいにいにと結婚するの♡」
実はフィム。
マギ山での戦闘の時に、私渾身のパーフェクトヒールと同時に展開した隔絶解呪により、そのプログラム、すでに崩壊していた。
だから強制力が著しく低くなっていた。
それに。
生存し、新たな力『創造召喚』と言うチートを得たエレリアーナがいる今。
わざわざエンシャントドラゴンを増やす意味も低くなっていたからだ。
「じゃあさフィム。ルデーイオとは仲直りしようね」
「…しなくちゃダメ?」
意味も解らず拒絶されたルデーイオ。
実は彼はかなり落ち込んでいたのだ。
何より彼は絶対者のプログラムに沿って動いていた。
もちろん彼に非はない。
だがやっと出会えた番であるフィムにいきなり振られ、あまつさえ憎しみまでを向けられていた。
そりゃあへこむ。
何はともあれ強制力が働いていない以上、フィムとルデーイオが番う事はほぼないのだ。
ルデーイオは可哀そうではあるが。
何より人化した彼は超絶イケメン。
新たな恋に邁進してほしいものだ。
※※※※※
ルナイデ大陸北方の地、黄泉の頂。
ついに始まるレストールたち6人による攻略。
目に希望の光をともすレストール。
ここで彼は葛藤する事態に直面する。
そしてそれは。
革命騎士となる彼の、心の成長の糧となるのであった。
日々色々な騒動が起こるけど。
今日はオーダーをもとに新たな挑戦を行うところだ。
※※※※※
遠い東方の地ジパング。
その北東の小さな大陸ルナイデにあるダンジョン、『黄泉の頂』の踏破及び調査依頼の対応のため、今サロンではその人選が行われていた。
「黄泉の頂は全20階層だ。何しろそこの主だったエンシャントドラゴンのルデーイオが言うんだ。間違いはねえだろう」
説明を始めるザッカート。
今回の依頼、難易度はともかく何しろ時間の余裕がない状況だった。
ルナイデ大陸には3つの国があるのだが。
主な収入源はその北方に位置するダンジョン、まさに今から調査に行く『黄泉の頂』から産出する鉱物だった。
既にルデーイオがあのダンジョンを後にして数日が経過している。
彼の不在により、今まで潜んでいた他の魔物たちが跋扈を始めていた。
「魔物のレベルは高いモノで80程度だ。今の俺達なら朝飯前だが…どうせだから鍛錬を兼ねようと思う。レストール」
「っ!?は、はい」
「お前のパーティー『陽光の絆』をメインに据える。…鍛錬の成果、見せてみろ」
「は、はい!!」
レストールたち4人はC級のパーティー。
でも私たちのところで彼らは真剣に鍛錬を重ねていた。
「それからルノークとラミンダ。お前たちもだ。」
「分かった」
「うん。頑張るね」
そしてナナのパーティメンバーのルノークとラミンデ。
「ルデーイオの話と依頼元の話を聞くに、10階層辺りにラミアがいるらしい。あいつらは亜人だが魔物寄りだ。対応はお前たちで判断しろ。いいな?」
「エルノール。転移頼めるか?」
「任されよう。準備が出来たら教えてくれ。私はいつでも問題はない」
一応のメンバーが発表され、レストールたちは準備を始める。
もちろん保険はしっかり掛けたいところだ。
「ザッカート、ちょっといいかな」
「あん?どうした美緒」
「うん。ちょっと耳貸して…ごにょごにょごにょ」
「……はっ。心配すんな。…美緒、耳貸せ」
私はちょっと懸念があったので、ザッカートに聞いてみたのだけれど。
逆に私に内緒話をしたいようだ。
私はそっとザッカートに近寄り、耳を傾けた。
「いいか、美緒…あのな…ふっ」
「…うん…ひゃん♡」
いきなりふっと耳に息をかけられ、私は腰が抜けてしまった。
全身に感じたことの無いものが走り抜ける。
「おっと。…お前は本当に可愛いな」
「もう。イジワル」
腰砕けになった私を支え、ザッカートがそんなことを口走った。
もう。
でもなぜか。
嫌な感じはしなかったんだ。
でも私はジト目でザッカートを睨み付ける。
「ハハッ。わりいな。…コホン。あいつらのほかにドルンとレグも行かせる」
「ドルンとレグ?」
「ああ。一応オーダーに『調査』もあるんだろ。ドルンが適任だ」
確かに。
今回の依頼は調査も含まれていた。
「それに万が一があれば…レグなら転移で逃げられるだろ?」
流石はザッカートだ。
抜け目がない。
「という訳だ。懸念はもうないだろ?」
「うん」
本当に頼りになる私の大好きな仲間たち。
私は安心して自室に向かったんだ。
※※※※※
私の自室。
実は今ここでは、かわいいお客様がふくれっ面をしていた。
「もう。フィムったら…機嫌直してよ」
「…ヤダ…フィムはハイにいにがいいのっ!」
風のエンシャントドラゴンのフィムルーナ。
スイの角で成長を遂げ、見た目10歳児程度に見える超絶者の一人だ。
「どう?ナナ。フィム、機嫌直った?」
昨日ルデーイオとの会話を終えたフィム。
凄く情緒が不安定になり、夕べはハイネ君に抱き着いて寝たのだけれど。
一応この世界のエンシャントドラゴンには使命がある。
番い子を産み、数を増やす。
創造神ルーダラルダの最後の賭け。
そして創世神であるアークディーツの願い。
それを少しでも叶える力を集結させるため、彼等にはそういうプログラムが付与されていた。
正直フィムも、精神の奥では理解している。
しかし。
美緒のギルドの優しさに包まれたフィムは、自分の感情を否定することをしたくなかった。
大好きな『ハイにいに』
番うのならフィムはハイにいにがいいと、心に決めていた。
「ねえフィム?」
「………」
「私はあなたがルデーイオと番う必要、無いと思っているわ」
「っ!?ほ、本当?」
「ええ。だってフィムはハイネが良いのでしょ?」
「う、うん。フィムね、大きくなったらはいにいにと結婚するの♡」
実はフィム。
マギ山での戦闘の時に、私渾身のパーフェクトヒールと同時に展開した隔絶解呪により、そのプログラム、すでに崩壊していた。
だから強制力が著しく低くなっていた。
それに。
生存し、新たな力『創造召喚』と言うチートを得たエレリアーナがいる今。
わざわざエンシャントドラゴンを増やす意味も低くなっていたからだ。
「じゃあさフィム。ルデーイオとは仲直りしようね」
「…しなくちゃダメ?」
意味も解らず拒絶されたルデーイオ。
実は彼はかなり落ち込んでいたのだ。
何より彼は絶対者のプログラムに沿って動いていた。
もちろん彼に非はない。
だがやっと出会えた番であるフィムにいきなり振られ、あまつさえ憎しみまでを向けられていた。
そりゃあへこむ。
何はともあれ強制力が働いていない以上、フィムとルデーイオが番う事はほぼないのだ。
ルデーイオは可哀そうではあるが。
何より人化した彼は超絶イケメン。
新たな恋に邁進してほしいものだ。
※※※※※
ルナイデ大陸北方の地、黄泉の頂。
ついに始まるレストールたち6人による攻略。
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ここで彼は葛藤する事態に直面する。
そしてそれは。
革命騎士となる彼の、心の成長の糧となるのであった。
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