灰燼の瞳//AI of the monochrome

もみもみ紅葉

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パロディ罵倒るファンタジー

《《00001110》》=14.見えなくたって傷ついたって君がそこに居るなら

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「...」

(...)

「おー!」

 これから何が始まるんだろう、ワクワク。そんな気持ちを抱くサユと神経を研ぎ澄ませこの一撃に全てを賭けんと集中するダリアとムイミ。

「「...」」

 静寂...それも束の間、ダリアとムイミは一瞬の目配せの後、同時に動き出す!

 ダリア@true= [無形の■■■:?]

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 繝?繝ェ繧「@true= [虚妄ヲ騙ル愚者ワイルドカード:C]

 繝?繝ェ繧「@true ? =不正なプログラムを検出: 不正なプログラム[糸使い:-?] が実行されました

 繝?繝ェ繧「@true ? =不正なプログラムを検出: 不正なプログラム[宵闇の毒蜘蛛:-?] が実行されました

 繝?繝ェ繧「@true ? =不正なプログラムを検出: 不正なプログラム[罠師:-?] が実行されました

 繝?繝ェ繧「@true ? =不正なプログラムを検出: 不正なプログラム[神速の騎士:-?] が実行されました

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「おっー?」

「...?」

 サユとムイミ...二人は同時に不可解な感覚に包まれる。記憶がごっそり抜け落ちた...書き換えられた?いや、置き換えられた...?例えるなら毎日帰り道だと思って歩いていた場所が私有地だったとか、FLIP*『FLAP』だと思ってたら『FLOP』だったとか『アランベル』・トリガーだと思ってたら『アンラベル』だったとかそういう...絶対に間違ってはいけない何かを間違った。いや、そもそも前提が間違っていた...と言うべきか?出されたテストで問題を読まずに途中式と答えを記入し間違った途中式で全問正解している...そんな感覚。

「二人でも勝てなかったのに一人で挑もうなんて...んー?」

 サユは自分の放った言葉に猛烈な違和感を覚える。

「そうデす!セつたちは二人で挟み撃ちする事だっテ...?」

「「...」」

 サユとムイミはお互いに顔を見合わせる。攻撃の手も迎撃の手もお互い止まっていた。

「...んー?ずっと二人いるよねー?」

セつは...」

 何かを思い出そうと記憶を手繰った瞬間、ムイミの脳裏にとある文字列が浮かび上がる!

記憶データが破損しています』

記憶データが復元出来ません』

『破損した記憶データを別の文字列に置き換えます』

記憶データの読み込みが完了しました』

「...そうデす!セつは...さんと一緒に貴方といマす」

「そうだよねー?もう一人はずっとよねー?」

 そう言ってサユはがいる場所を指さす。同じようにムイミもそこに目線を向ける。

「「...」」

 おかしい、そこにいるはずなのに空間にぽっかりと穴でも空いたかのように何も感じられない。中身が空の瓶が置いてあるような、誰も乗車していない無人運転のモノレールのような...そんな何も無いnullがそこにある。そして、そんな違和感はここだけでなく...

「ふふふ?」

「あぁ?」

「ァん?」

 龍と対峙する二人と一匹も同様の違和感に襲われていた。

...?」

「ふふっ、さんの方が気になるかい?」

「お前らなんか会話がおかしくねェかァ?」

は...ん?そんな名前だったか?」

「ふふっ、君たちだろう?名前を忘れるなんてことあるのかい?」

「...お前はの事を憶えてるか?」

「そもそも二手に前までしね」

「...について憶えてる事をなんでもいいから列挙してくれ」

「え?今?...僕めっちゃ龍に攻撃されてるんだけど」

「大丈夫、何とかしろ」

「えぇ...」

 アキリの無茶振りに困惑しつつも必死に龍の攻撃を避けつつ脳をフル回転するルーナ。

「えっと、先ずは君のだろう?それで...とても性格が。後は...」

 必死に過去の記憶を手繰る...数時間前、とのを思い出して...あれ?僕、殆どさんとてないな...

「ふふっ、ごめん、全然思い出せないね」

「やはり、記憶の混濁と何か関係が?」

「いや、ちゃんと二人で会話したことないだけだと思うぞォ?」


 ...記憶の混濁、微かな違和感。しかし、その違和感は絶対に拭えない...何故ならそれは決して間違いではないから。液体が入っていようがいまいが、そこにあるのがコップであるという事実は変わらない。中身が空であれなんであれコップは存在しているし、それはコップであるという認識も変わらない。中身の味や量はコップという器と情報を共有しているわけではないのだ。故に...

セつは...」

 何か...何か...ムイミは記憶を手繰る。居た、そう。居た...言葉を交わした、何かを託した...何を話したか、何を託したか...分からない。分からないけれど...

「...」

「んぉー?」

 ムイミは白衣を脱ぎ捨て目の前の敵に錫杖を向ける!

「思い出セまセん...憶えていマせん...。けれド...言葉を交ワして、託シたのなラ...
 ――――――

 ムイミ@true= [狂信者:Ɐ]

「...」

「おー...」

 この戦いにおいて初めてサユは僅かに気圧けおされた...ムイミを恐れた。だが、それは強くなったからでも威圧感かあったからでも戦力差が覆ったからでもない。...ただ、本当にムイミをだと認識したのだ。頭がおかしい、狂ってる、イカれた、ヤバい奴だと...

 ...この言葉の解釈は二つに別れる。か、か...この称号の『狂信者』とはどちらを指すのか?答えは...両方だ。。だからこそ....

オン邪白蛇ヤハクダ其牙其毒以キガキブスイ此窮我導シキュウガドウ想啝也ソワカ!」

 それはの存在へ感謝を捧げる為のうた。それはの存在を語り継ぐ為のうた。それはの存在を呼ぶ為のうた。かつて真言マントラと呼ばれたモノ...それを狂信する存在へ置換し再現したモノ。言うなれば『偽言アマントラ』。誰も分かろうとせず、誰も理解しようとしなかった存在を再現する言葉プログラム

 ぬるり...と、突然それは現れた。ムイミの後ろ髪とうなじの隙間から脱皮でもするかのように這い出てきた。どこか深い闇を思わせる白い体、合わせれば狂気に呑まれそうなどこまでも深いあかねぶるようにムイミの首から右肩、右腕を這いずり...巻きついた。

「蛇ー?」

「ッハァ!チガイマスよ!」

「ーっ!?」

 ぞわり...と、サユの背筋が凍る。明らかに先程までと何かが...いや、全く違う...まるで別人になったかのように言動が変わった。淡々とした声から裏返りそうなほど高く頭に響くような声に、洗練されたような静かで美しい動作は今にも牙を突き立てて暴れ出しそうな獣のように...ブレーキの壊れた車のような、大切な何かを無くしてしまった...そんな危うさをサユは感じた。

「ッオイオイ!ガキィ?テメェマダこんなモンに縋ッテンのかよッ!まぁ、イイゼ?縋ラレタんなら応エテやるよッ!」

「...そんなことが、あるのか?」

 サユは目の前で起こっている現象を理解出来ないでいた...しかし、理解は出来なくてもそれが紛れもない現実なのだから受け止めるしかない。なまじサユが人体について詳しいからこそ余計受け入れることが出来ない...など絶対にあってはならない!

「ッアァ?動揺シテキャラまで忘レマシたか?」

「キャラを忘れたのはそっちだと思うけどねー?」

 ...演算で創り出したモノとの融合は過去に何度か研究されている。しかし、その全ては失敗に終わった。理由は融合した自身を定義する事が出来ないから。実質、自分を作り変える事と同義...更に融合したモノとの演算の共有がほぼ不可能であるということから研究者の間では結論が出たに等しいものだった。だが、その二つの問題点をこれは力技で解決している。これまで融合というのは対象同士の特徴を掛け合わせるモノだった。しかし、この融合は自身に蛇を巻き付けるというシンプルな想像できる枠組みに収まっている。そして演算の共有に至ってはことで二つ目の問題を解決している。主導権自体を譲渡してしまえば共有の必要は無い...単純だが、誰もやったことがない。いや、倫理観的にやれるわけがない...想像の産物に自分の存在を譲り渡すなどどうかしている。しかし、それが出来てしまうからこそ...

「ッア、ソウダ...礼儀だしナ、『ユースレス・ルナ・オルタナティヴ』ソレがコノ姿のオレノ名だ」

 ユースレス・ルナ・オルタナティヴ@true= [堕天ノ蛇ノ信奉者ファナティック:∀]

「ユースレス...でーいいー?」

「ッ好キに呼べ...ドウセ死ぬんだカラな!」

 それはもう、直感とか修羅場を潜ってきた猛者の勘とかそういうものが全て同時に警鐘を鳴らしほぼ自動的にとった行動だった。サユはその場から離れる為に跳んだ!何も考えず、ただ死なない為だけに跳んだ!

「――――――ッ『刺天三相シテンサンソウ』」

 ユースレスが指を軽く上に振る。

 ――――――シャンっ!

 コンマ数秒前にサユが居た場所に金切り音が響く。すぐ下を見ると刀が刺さっていた。いや、正確には!僅かでも判断が遅れていればサユは串刺しになっていただろう。

「っすー、ぶねー「ッオマケだッ!受ケ取れッ!」っー!」

 跳んで躱して安堵するサユに向かって錫杖の全力投擲!反射的に右腕で弾いて反らすも勢いを殺しきれず脇腹を掠める!

「っぁー!」

 そのままバランスを崩し背中から地面へダイブ!背中への衝撃を受け身で最小限に抑え即座に立ち上がり距離を取る!

「やるねー!」

「ソノ状態で笑顔でイラレるテメェも大シタモノデスよ」

 サユの右腕からは真っ赤な血が流れており尺骨しゃっこつは間違いなく折れている。だというのに楽しそうに構えをとるのだからこっちもこっちで頭がおかしい。

「...んふー」

 ここにきてサユは完全に押され始めていた。とはいえ、別に先の戦いも今もムイミ改めユースレスは別に強くなったわけではない。というのも先ほどまではお互いに殺し合う気がないという前提の下で成り立っていた戦い。ユースレスが殺す気で攻撃してきている以上、均衡が崩れてサユが押されているのも無理はない。一応、殺す気で攻撃しているだけで本当に殺す気はない...端的にいうなら遠慮がなくなったというべきか。正々堂々を捨て、勝つために何でもやる...より実践的な戦い方に切り替わった。...負けるのは時間の問題、この状態で一撃も喰らわないように戦うなど不可能...ならばやるべきことは一つ。

「サユがどこまでやれるか...試させてもらうよー!11番ー!」


 11番、尖刃刀スピッツメス、刃先が尖った形状の医療用メス...サユが演算した8本のメスがユースレスに向かって飛んでいく! 
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