灰燼の瞳//AI of the monochrome

もみもみ紅葉

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パロディ罵倒るファンタジー

《《00001101》》=13.Into the wake up garden.

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「...わたくしたちの事は何処まで調べられているのでしょうか?」

 真剣な眼差しでサユを見るダリア。しかし、サユはそんな視線を受けながらも全く気にした様子はない。それどころか笑みを浮かべてダリアを見つめ返す。

「さーね?サユが調べたわけじゃないからわかんないー!」

「あー、でも”ひーちゃん”がが...何とか?って言ってたかもー!」

「お嬢様のことまで!?」

 驚くダリアと少し目を逸らすムイミ...

「んー?お嬢様...?そうなんだ!お嬢様なんだー!」

 ダリアの返しにここにきて初めて驚いた顔をするサユ。

「...やはり、随分と調べられているようですね」

「んー、うん!多分?わかんないけどー?あー、でもねー?」

 そういえば...!と、ふと何かを思い出した...ような顔をして初めてサユはムイミの方を見る。

「どれだけ調べても貴方だけはねー!初めてだよー!”ひーちゃん”が何も調べられなかった人!」

「...ソレはどウも」

 ムイミはぶっきらぼうにそう答える。

「...」

(...)

 明らかに格の違う敵、どうあっても勝てる気がしない...しかし、それでも思考だけは止めない。幸いにも向こうには敵対意思はなく、不服ではあるが完全に舐められている為、そこに隙がある。そして、何よりこちらが諦めなければ負けることはない。であれば...

「...勝つまで攻めるのみです!」

 そう意気込んだダリアはナイフを演算し投げる!

「何度やっても同じだよー?」

 飛んで行ったナイフはサユの前で叩き落とされたように突然、地面に落下する!

「まだまだっ!」

 即座に落ちたナイフに目もくれずナイフを再演算し、投げる続ける!

「だから無駄だって...!?」

 瞬間、サユの視界が真っ白染まる!

「煙かー、やるねー!」

 ナイフに混ぜてこっそり投げた煙玉...当然、ナイフと一緒に地面に叩き落とされる。そして、その衝撃で破裂する。視界を煙で覆われ、サユの演算は座標を見失う。

「おっとー」

 サユは僅かに首を右に反らす。叩き落とすはずだったナイフが頬を掠めて飛んでいく!

「今で「同じ手は食わないよー!」...っ!」

 煙の中、大きく一歩踏み出す!...地面に落ちたナイフは演算を解除し消え去ったはず。しかし、未だに一本だけ地面に転がっている。それを思いっきり踏みつける!サユが踏みつけたナイフ、それには一本の糸が括られている。糸を使ってのナイフ攻撃...それを逆手に取り、煙の中からダリアの位置を特定する!

「そこだっー!」

 ダリアに向かって踏み出そうとしたその時!

「ー!」


 サユは自分が振り返るより早く反射的に迷わず右手を背後に伸ばす!

 ――――――グシャッ!

 ...肉が裂け、骨が砕ける音が響く!

「...エげつないデすね」

 サユは笑っていた。手のひらを刀に貫かれながらとても楽しそうに!

「長いねーこれ!」

 ムイミの刀を観察しながら貫かれた手で刀を握る。

「...ッ!...マジでスか」

 ムイミは驚愕した、そして恐怖した。刀が動かない...演算でも何か仕掛けがあるわけでもなく、ただの握力と腕力だけで刀が止められている。

「んー?軽いねー!」

「ハ...」

「それを軽いとは...化け物か何かですか?」

 煙が晴れるのとほぼ同時にダリアがナイフを振りかざしながら迫る!

「ふっふー!」

 迫るダリアのナイフ、ムイミの刀に片手を封じられてその場から動くことは出来ない。完全な挟み撃ち...だというのにサユは楽しそう。いや、楽しいのだろう。ハイテンションすぎて口からよく分からない単語?が出てしまっている。

「ていー!」

 ――――――ボキッ!

「ウぇぇ!?」
「はいっ?」

 折った、貫かれた手でそのまま刀を折った!

「余所見はダメだよー?」

「っ...しまッアガッ!」

「痛っー!」

 へし折れた刀を見ていた一瞬の隙を突かれダリアの脛に強烈な蹴りが炸裂する!そして回し蹴りをした本人も脛で脛を蹴ったので激痛に悶える!

「うげェ...」

 誰も得しない地獄絵図にムイミはなんともいえない顔をしていた。

「いっー!」

「ァ゛ガッ」

 そして隙だらけだったのでついでに腹を蹴られた!例え足に激痛に襲われようと手が貫かれていようとサユの蹴りが衰えることはない。

「ふんー?」

 よく分からない声を出しながらサユはぶっ刺されたままの刃を引き抜いて放り投げる。そして...

「ふむー?」

 貫かれた手を見つめる。

「止血、清浄、洗浄...」

 そう呟いたサユは物凄い速さで左手を動かす。洗練された正確で高速な動き...何をやっているか分からないが、最後に行った包帯を巻く動きでかろうじて応急処置していたことが分かる。

「よしー!ん、んー?よくないー!」

 どうやら包帯の巻き方が気に入らなかったのか一度外して巻き直す。

「随分と余裕そうですね」

「不意打ちし放題でスよ」

「出来るならもうやってるでしょー?」

 武器を構えたダリアとムイミに挟まれても余裕の表情で包帯を巻いている。事実、闇雲に攻撃しても作戦を立てても返り討ちにあっている...完全に手詰まり。

(メイドさん...)

「...!」

 この絶望的状況を打破すべく、一筋の光明を見出すべく、思考するダリアの脳にムイミが演算で話しかける。

(ここはセつに任せて貰えませんか?)

「...無謀では?」

(一人で戦って勝つ...確かに無謀です。ですが...)

「んっんー?」

 サユが困惑しながら二人を交互に見る。それもそのはず、脳内会話するムイミと声で返事するダリア...傍から見ればダリアが一人で会話し始めたようにしか見えないのだ。

「それは、どういうことでしょうか?」

「おーい?無視ー?」

 サユがダリアの視線を遮るように大きく腕を振る。

「可能性は限りなく低いです。...ですが、出来なくはありません。...もう一度聞きます。本当に?それをわたくしにやれと?」

「あのー?無視ー?泣くよー?泣いちゃうよー?」

 なんの反応も示さないダリアにサユはこの戦いで一番の精神的ダメージを負って涙目になった。

「...わかりました。ですが...いえ、それしかありませんね。...ここはお任せします」

「うぅー?」

「...何故、泣いているのですか?」

「散々無視しといてよく言うねー!」

 ダリアがムイミとの会話を終え意識を戦闘戻すと何故か敵であるはずのサユが三角座りしながら泣いていた...更に地面に指で文字を書きながらいじけてるアピール付きである。

「...なんで地面に『ごごにじゅうご』って書いてるんですか?」

「...気が滅入りまスね」

「やっと作戦会議終わったー?」

「はい、大変お待たせ致しました」

「いいよー!それでどうやってサユに勝つのー?」

 先程とは打って変わって腕をぶんぶん振り回しながら笑顔を浮かべるサユ。

「どうやって勝つのかは知りませんが、どうやらそちらの方に秘策があるとのことです」

「へぇー!」

 ダリアが顎をしゃくりムイミを指すサユもムイミの方を見て更に楽しそうに笑う!

「えエ、セつには秘策があります」

「おぉー!」

「でも、一つダけ...?」

「ルール?」

「はイ、お互いに殺し合うつモりはありマせん。でも、決着は着けタい...」

「うんうん!」

「ナのでモし、貴方にがデきたら負けヲ認めてクれまセんか?」

「いいよー!」

「「...」」

 呆気なく提案が通ってしまい、少しだけ唖然としてしまう。

「...んー?」

 ...そっちが提案してきたのになんで驚いてるのー?と、いう顔をしてダリアとムイミを見る。

「本当にそれで宜しいのですね?」

「いいよー!」

「わかりました。では...この一瞬に全てを賭けさせていただきます!」
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