灰燼の瞳//AI of the monochrome

もみもみ紅葉

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パロディ罵倒るファンタジー

《《00001100》》=12.駆けて、叫んで、喧嘩して、ボケ倒していく!

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 何処どこから話そうか...もう、十何年も前の話だ。かつて存在した、何億年も前の技術の再現...その為に俺は造られた。それ以外の理由はなく、それ以外の価値もない。人工知能とやらを根幹に幾度の改造と改良を加えられ俺は完成した。その後は鳥の人形に埋め込まれて玩具としてとある研究者の娘に手渡された。道具として造られたのだからそうなることは当たり前...別にそれには何とも思わなかった。それから数年が経ったある日、玩具としての日常は唐突に終了した。家が無くなった...家どころか街も無くなった。俺を造った研究者たちも全て跡形もなく消え去った。残ったのは俺を抱えた少女だけ...それから少女はずっとその人生を復讐に捧げた。街を消し飛ばした災害を追い続ける復讐者になった。俺はずっと分からないでいる。何故、苦い思いを繰り返しながら生きるのか。...人ではない、道具の俺に何故、この心は与えられたのか。...その答えを探し続けている。

「...ふふっ!」

 笑いながら龍の攻撃を躱す...ちなみに余裕があって笑ってるわけでも楽しいから笑っているわけでもない。笑うしかないぐらいギリギリの状況なだけだ。アキリは先ほどの猛攻で頭を使いすぎたのか少しだけ動きが鈍い...なのでできるだけこっちに注意を引くような動き。出来るだけ龍の視界に映りつつ攻撃が躱せるポジションをキープする。

「...ッ!」

 顔面スレスレを通過する龍の爪に冷汗が止まらない...だが、それを気にする余裕すらない。即座に龍の脇の下をすり抜け、背後に回ってゴルフクラブを構える!...も、振る前に次の攻撃が飛んでくる!

「ふふっ、隙がないね!」

 ヤケクソ気味にゴルフクラブを投げつけ攻撃を躱す!

「あー、頭いてぇなクソッ」

 そんな呟きと共に背後から氷塊が頭上を通り抜「痛っ!」

「あ、すまん。ミスった」

「ふふふ...」

 龍へ向けて放たれた氷塊の一つがルーナの後頭部に直撃し、頭を抱えながら一瞬...アキリに殺意が湧く!

「...ん?」

 殺意が湧いたのと同時に、ふと重要な事を思い出す。

「そういえば...今、何分経ったんだ?」

「...20分だなァ」

「...向こうの進捗はどうなってんだ?」

「...!あァ...ェ...ア?」

「どうした?」

 進捗を聞いただけだというのに驚いたような、困ったような、困惑したようなそんな返答が返って来た。その反応を見るだけで残業がほぼ確定したようなモノだ。今一番気になるのはその確定した残業が一体いつまでかという話なのだが...

「...ダメそうだな」

「一体何があったんだい?」

「...戦ってるなァ」

「...なにと?」

とォ...」

「「は?」」

 それはルーナたちが時間を稼ぎ始めてから10分程経った時の事だった。

「未来のコモンセンス~♪過去のヒストリーも平等に~♪」

(こういうシーンでBメロから歌う人あんまりいないと思います...)

 ヘルメット被ってツルハシ片手に糸の罠を張りながら歌うメイドさん...過多、あまりにも情報過多。

(...向こうは大変そうですね)

 ムイミが木の枝の一番太いとこ主枝に座りながら約400m先の岩場...龍の咆哮と何かが割れる音が響く戦場を見つめていた...

「というかムイミ様、少しは手伝って頂いてもよろしいんですよ?」

(これでも最低限の仕事はしてますよ)

 動物がダリアの仕掛けたワイヤーに引っかかると括り付けられた鉄の棒が擦れて音が鳴る。そしてそれをムイミが追い払う。それを定期的に繰り返す単調作業。

(▒▓█▇▆▅▃▂▁ԅ( ̄Д ̄ԅ)ビーム)

「...」イラッ

 ...ついでにダリアの脳内にちょっかいをかける。イラついたダリアがちょいちょいこっちに視線を送ってくる。そのくらいには平和だ。だが、平和とは続かない事が性というもので...

 ――――――カラン。

「「!」」

 ふたりは即座に音のした方を見る。何かがダリアの仕掛けたワイヤーに引っ掛かった。音は一瞬、つまり体の大きな生物が引っ掛かったわけではない。小動物かはたまた...

「...」

 木々の隙間から何かがやってくる...薄暗くてシルエットしか見えないが...

「何者ですか?」

 それは完全に人の形をしている。一歩、また一歩...近づくごとにその輪郭がはっきりと見えてくる。

「サユ!サユはサユ!」

「...?」

「ハクトウ・サユ!」

 ピンクと灰色のツインテールをぶんぶんと振り回しながら両手を上げて満面の笑みでこちらに駆け寄ってくるセーラー服?の...多分、男。

(誰ですかこいつは)

「知りません。新キャラかと」

「サユはねー!龍を...んー?なんだっけ?えっと...ん、何かしに来たんだよー!」

 元気そうに腕をぶんぶん振りながらそう答える。全く何も情報量が増えていない。

「...ここいるということは貴方は龍殺しなのですか?」

「何それー?知らないー!」

 ダリアの問いかけにあっけらかんとそう答える。

「誰かハ知りマせんが用事なら後にしテもらえマすか?」

「えー!困るよー!何か龍の...えっと?あのー、そう!アレを破壊しなきゃいけないんだよ!」

「アレ...とハ?」

「んー?とにかくサユは秘密の任務を...」

「秘密の任務...?」

「あ!」

 やっちゃった!そんな顔をしながらわたわたと手を振り回している。

「なんですかコイツ」

「トりあえず、シバきまスか?」

「...ここは丁重にお帰りい「バレちゃーしょうがない!」...?」

 いきなり大声を出した、サユと名乗る変人は何処からか取り出したコートらしき物を羽織り、謎の制帽を被る。

「何でいキなり服そ「...!」」

 何でいきなり服装を変えたんですか?と、そう言おうとした口はダリアの驚いた顔が目に入り止まる。何処をどう見ても何の仕掛けもないただの服と帽子...強いて言うなら素材が良さそうくらいなものだろうか、別段特筆すべきことは何も無い...

「そのエンブレム...」

 緊張した面持ちのダリアの視線の先をムイミも追う...黒い制帽その真ん中に金色の『両サイドに一本の細い線が生えた球体が二つ、その間にクロスするように二本の刀、その下にvasectomyと書かれた』エンブレムが...

「違いますそっちじゃなくて服の方です」

 言われて服の右袖を見ると『星とそれを掴もうとする腕、μακάρων νῆσοιマカローン・ネーソイと書かれた』エンブレムが逆さに付いていた。

「えっト、アレは...」

「あの星を堕とす腕のエンブレム...間違いありません。あれは... 『BreaKINGブレイキング Ἀρκαδίαアルカディア』!」

「な、ナんて?横文字が多すぎテ」

「そんなことはどうでもいいです!何故、貴女方が龍を!」

「それは言えないねー!だってサユも知らないからー!」

 何故、彼らが龍を追っている?あの龍はやはり何かしら特別な...

「...いえ、龍はこちらで対処しますのでお引き取りを」

「えー!そうはいかないよー!龍のアレ...をアレしないと”しょうぶさん”に怒られちゃうよー!」

 また、わたわたと手を振ったり頭を振ったりしながらオーバーアクションで会話してくる。もう、なんというか行動が五月蝿い。

「これ以上、時間を取られるのは困ります。お帰りいただけないのなら力ずくでお帰りいただきます」

「えぇー!戦うのー!?」

わたくしもあまり手荒な真似は「手加減できるかなー?」...は?」

 ダリアの忠告に対して不安そうな顔をするサユ。しかし、それは戦う事への不安ではなく...

「手加減できるか...ですか?」

「うーん、最近は運転しかしてないからなー?戦うの久しぶりだしー?」

「...」イラッ

(あの、全く話についていけてないんですけど...ブレイキングアルカディア?ってなんですか?)

 演算でこっそり聞いてくるムイミにダリアは少し投げやりに説明する。

「株式会社『קליפותクリフォート』...運輸、製造、農業、建築、医療、代行の分野で世界を牛耳る世界一の大企業です。時価総額は約927兆...その中でも各分野を束ねる六人と社長、その七人が『世界に救世主はいらない』と宣言して作り出した国際犯罪組織...それが『BreaKINGブレイキング Ἀρκαδίαアルカディア』です」

「大企業の社長が犯罪者ってソれ大丈夫なんでスか?」

「組織のトップしか関与していませんからね。会社としては普通に機能しています。何より今更、彼らの製品、サービスなしで国を運営するのは不可能というものです。...まぁ、各地で不買運動やら独占禁止法に抵触していると国から訴えられたりとアンチも多いというのが現状ですが」

「なンと言うカ...倫理観を疑いますネ」

「それは今更では?...そもそもこの世界に倫理観を問うのが間違いです」

 ...ダリアは少しフッと息を吐くと、真っ直ぐにサユを見る。当の本人はそんなことも気にせず手を握って開いて軽く手首を回してコンディションを確認している。

「...」

「うん?緊張してるー?大丈夫だよー!
 ――――――殺しはしないからっ!」

 そう笑顔で言い放ちダリアに投げキッスを送る...瞬間!

「「!」」

 ダリアとムイミ、二人は驚愕の表情を浮かべた...何をされたのか全く分からなかった。突如、...まるでそこだけ引っ張られて穴が空いたように視界がぐにゃりと歪んだ。ダリアもムイミも即座に自身の状態を調べるも。つまり演算で干渉を受けたわけではない...幻惑、催眠の類ではなく視界だけを歪ませた...?

(メイドさんっ!)

「...ッ!」

 ムイミの一言と共にダリアは意識を現実に戻す!...一手、視界の歪みが戻っていることに気づく。二手、サユが視界から消えていることに気づき、ナイフを演算する!...三手、その背に人の気配を感じる!

「三手遅いねー!」

 ポンッと背後からダリアの肩に手が添えられる...もちろん、ムイミのものではない...何故なら隣で強烈な殺気を放ちながら驚いた表情を浮かべているから。では誰の手か...考えるまでもない、というより考えたくない。当たり前だ、視界を歪める演算でさえ厄介だというのにその上、行動が見えないほど早いときた。幻覚と加速のベクトルの違う演算をほぼ同時...連続で操れるなど人間のできる芸当ではない。

「...本当に人間ですか貴方?」

「人間だよー?」

「...これは降参ですね」

 そう言ってダリアは持っていたナイフを放り投げる。

「んー、そっか。つまんないのー」

 それを見てサユも肩から手を離し渋い顔をしながら肩をすくめる。それを見てダリアは少し距離をとってサユに向き直る。

「えぇ、正面からはどうやっても勝てそうにありませんね。ですから...
 ――――――卑怯な手を使わせていただきます!」

 ダリアは思いっきり腕を振る!すると...

「あれー!?」

 放り投げられ力尽きたように地面に落ちていたナイフが突然、息を吹き返したかのようにサユに向かって飛んでいく!

(糸の付いたナイフ...!降参したかに見せかけて隙を突く...最低ですね!)

 あと数センチ、迫るナイフ!そんな中、サユは...

「そうこなくちゃねー!」

 楽しそうに笑っていた!

「なっ...!」

 流石に余裕がなくなり顔が引きつるダリア...それとは対照的に余裕の笑みで指鳴らしをするサユ。その瞬間、ダリアの心を代弁するかのように、飛んでいたナイフが地面に向かって垂直に落ちていく!

「...化け物ですね」

「いやー!でもここまでやって冗談を言える貴方も凄いよー!流石は”二代目”ってやつかなー?」

「っ...!知っているのですか!?」

「当然だよー!」

(二代目?...一体どういう?)
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