灰燼の瞳//AI of the monochrome

もみもみ紅葉

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パロディ罵倒るファンタジー

《《00010110》》=22.無力な自分には為す術もなくて

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「あ?」

 辺りを見回す。あぁ、そうか...私たちは昨日、龍を倒してそのまま事後処理してここで野宿したのか...

「ふふっ、おはよう...と言ってもまだ、朝の四時だけどね」

 ルーナが横たわりながコチラをチラリと見て挨拶をしてくる。薄暗い中、顔だけこっち向けて挨拶されるとちょっと怖い。せめて起き上がってからやれよ...

「ん、あぁ...そうかァッ!?」

 返事して立ち上がろうとした瞬間、全身に鋭い痛みが駆け抜け、悶える。

「あれだけ派手に戦った後だからね...皆、体がボロボロだよ」

「あぁ、お前も立ち上がれないのか」

「そうだね、おそらく今日の昼ぐらいまではこの状態じゃないかな」

「...マジか」

 一応、安全は確保してあるがそれでも森の中...ずっと寝たきりなのはとてもよろしくない。とはいえ、起き上がることも出来ないのでアキリは考えるのをやめ...ようとしてとあることに気づく!

「お前...!?」

「ふふっ、僕がどうかし...あぁ、君もだよ。おめでとう」

 ルーナ@true= [龍殺し:D]
 アキリ@true= [龍殺し:D]
 ダリア@true= [龍殺し:D]
 ムイミ@true= [龍殺し:D]

「あんまりにも色々ありすぎて本来の目的を忘れてた...私、この為に戦ったんだったな」

「...あの龍は結局なんだったのかも分からずじまいだけどね」

「心当たりはあるか?」

「ふふっ、全くないね...手がかりになりそうなのはスーちゃんとメイドさんが戦ったっていう犯罪組織の幹部...くらいなものじゃないかな」

「...気に入らねぇな」

 自分たちの知らないところで何かが起こっているというのは実に気分が悪い。腹が立つ...

「...ぃっう!」

 怒りに任せて無理やり上半身だけでも起き上がらせる。改めて体を見ると擦り傷と打撲で体も服もボロボロになっている。ついでに髪ボサボサ...一度、川で洗って服も縫い直さなければならない。...というかなんでルーナこいつは一切汚れてないんだ?

 ルーナ@true= [自己研鑽型外見至上主義ルッキズム:C]

 自分の美しさを誇示し続けた者に与えられる称号。どのような状況、環境でも美しさが下がらない。ただし、別に汚れないとかそういうわけではないので周りからは清潔に見えても本人は汗のベタつきなどはしっかり感じる。傷や打撲痕なども戦闘時以外は消すことが出来る。でも、痛みは据え置き。ちなみに外見にしか作用しないので臭いなどは消せない。

 ...なんだその称号。凄いのか凄くないのかいまいち分からんな。というかちゃっかりこいつ傷、消してるな。

「...」

「んあ?」

 よく分からん称号に気を取られていて気が付かなかったが、ルーナの視線がずっとこっちを...私の何かを見ながら不思議そうな顔をしていた。

「それ、染めてたのかい?」

「それ?...あぁ、髪の話か」

 納得し、自分の髪を見る。...真っ黒く染めた髪の根元からピンクの地毛が生えてきており...

「え、地毛ピンク!?というか黒髪なのかい!?」

「そんなに驚くことか?」

「所々、黒髪にピンクのカラーが入ってるんじゃなくてピンクの髪に黒が入ってたの?」

「何を今更」

「そんな描写あった?」

「...多分、ないな」

「というか、そうか色落ちてきたか...染め直さないとな」

 ...とはいうものの次に立ち寄る街に美容院あるだろうか?

「どーして、そんなに黒い髪が好きなのかい?」

「...?」

「染めるほど好きってわけじゃないのか?」

 ルーナの質問にどう答えていいか迷ってしまう。

「...どうだろうな、私にもわからん。嫌いではないが好きでもない」

「...?」

「ま、染め直すとしていくらかかるだろうな」

 あからさまに話を変える。確かに自分の意思で染めてはいるがこの色が好きかと問われると何とも言い難い。ある意味で戒めのようなものか...

「龍殺しの報酬としてある程度の路銀は確保できたしある程度は無駄遣いしても問題なさそうだね」

 話を変えたがったのを察してかルーナも髪の話から龍の方に話を切り替える。

「ただ、龍討伐って思ったほど金にならないんだな」

 ...討伐した龍のランクによって値段が決まっており、今回はCランクで42万くらいだった。一応、鶏やら牛とかが龍になった場合、龍肉として売れたりするのでもう少し儲けが出るらしいが、今回は元が猫なので素材として売れず単純な狩猟報酬しかもらっていない。ただ、対龍組織からも緊急要請の依頼料として少し弾んでもらったので結果としては68万ほどになった。まぁ、それはいいんだが...

「今回、僕たちも称号を手に入れたから狩猟協会に強制登録されたね」

 狩猟協会への登録...いつ何処でも龍を討伐する権限を与えられる。討伐する場合は事前に申請を出して受理されてからにはなるものの緊急であれば事後の承諾も多少は許されるとの事だ。ただ、倒した龍は不正防止の為、徹底的に調べられた上で討伐証明として世間に公表されるらしい。

「...逆を言えばそれが少々面倒なんだけどな」

 ...私たちが龍殺しの称号を今になって得たのは死体の回収やらが済んで正式に龍が倒されたことが公表されたからだろう。つまり、それは私たちの居場所が公表されたのの同義だ。次の街で刺客に襲われる可能性はかなり大きい。その為にも...

「...そうだ、メイドさんから聞いたんだけど『アセルス・テルティウス』に向かう前にやりたいことがあるんだって?」

「ん、あぁ」

 色々と思考を巡らせていると狙ってか狙わずか私が切り出そうとしていた話題が振られる。

「悪いが、?」
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なぎなぎ@社畜を応援する友人T
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