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パロディ罵倒るファンタジー
《《00000001》》=1.銀の風よ鳴り響け、願うのは光
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町の騒めき、喧噪が響く暗い路地裏。誰も気にもしないその場所で、人知れず私は蹲ったまま久々に死にかけていた。抉られた脇腹から溢れる血、抑える掌も真っ赤に染まっている。
「...ッ!ぃッてぇ!久々にやったわ。あー、これ流石に死んだか?うわ、血やば。こうなるなら買い溜めしてた菓子全部食っときゃよかった」
やらかした、完全にやらかした。今まで刺客を送られてきたことは幾度もあったしその都度対処し乗り越えてきた。しかし、それはあくまでも一人になったところをひっそりと狙いにきた奴ら。所謂、暗殺部隊と言われる者達を退けてきたに過ぎない。まさか街中で堂々と脇腹を掻っ捌かれると思わなかった。暗殺者の風上にもおけない、反則だろう。正々堂々、暗殺者らしくひっそりと殺しに来るべきだろう?流石の私もあんな街中では戦闘に集中できない。視覚情報と聴覚情報が重すぎて演算にリソースが割けない。不意を衝かれていたし後手後手に回った挙句、逆に人気のない路地裏に誘導された。これは不味い、非常に不味い。だが、そんな時こそ冷静に出来うる限りギリギリまで思考を巡らせる。...街中で襲われた時、背後からの殺意を感じて咄嗟に体を捻って回避した。しかし、間に合わずに剣らしきもので脇腹を抉られた。その直後、背後で何かが動いた気配に反応し路地裏に逃げ込んだ。挟まれていたことを考えると敵は少なくとも二人...恐らくもう既にこの路地も包囲されているのだろう。だが大丈夫、この程度は何度も経験している。この今着ているこのゴシックロリータっぽいスーツだってもう三回ほど切り裂かれては買い換えている。そう、大丈夫だ...そう自分に言い聞かせてゆっくりと立ち上がる。脇腹が燃え上がるように熱い、正直に言えば立つことさえやっとなのだがまだまだ余裕だと自分に言い聞かせ、ゆっくりと目を閉じる。
「――――――ッ!演算開始。」
言い聞かせるように呟き、意識を集中する。まるで自分の体がなくなってしまったかのように、宙に浮いて意識だけがそこに漂うかのように脳内に真っ暗な何もない空間を思い浮かべる。
「オブジェクト生成ッ!」
そう呟き真っ黒な何もない空間に灰色の立方体を一つ創り出す。よし、これを――――「うっ!」
抉られた脇腹の痛みによって意識が乱れた。その瞬間、灰色の立方体が霧散していく。いや、まだだ落ち着けもう一度集中しろ。演算を乱さないように痛みを忘れてしまうくらい意識を空間に落とし込む。再度、灰色の立方体を一つ創り出す。
「オブジェクト編集!」
創り出した灰色の立方体を引き延ばしたり、潰したり、角を削ったり形を変えていく。できるだけ精密に、細かく丁寧に。本物と見間違うほど精巧に想像を形にしていく。
「マテリアル設定...!」
精巧に創り出した灰色の物体に色と質感を付与していく。青色、水色、白色を織り交ぜ全体的にガラスのような質感、光沢を出す。ついでにちょっとエフェクトも付ける――――これにてオブジェクトは完成。
「...モーション設定!」
完成したオブジェクトに回転ベクトル、速度ベクトルに変数を追加。
「――――――オブジェクトを出力!」
そう宣言し目を見開く。脳みそが沸騰しそうなぐらい強く、強くイメージする!この目には最初から映っていた、初めからそこにあった。...感じるだろう、香るだろう、見えるだろう。感覚を、香りを、光を再現する!
―――その瞬間!目の前に拳くらいの大きさの氷塊が出現した...いや、そこにずっと"あった"。
これが――――『演算』。
脳内で創り出した想像を"そこ"にあると定義し自らの瞳を通して現実に出力する。例えそこに何もなくても自分自身が"ある"と定義して行動すればそれは"ある"ことになる。そうだろう?虚構のリンゴを食べたとして頭の中で食感、味、満足感etc...その全てを再現すればそれは本物を食べたこととなんら変わりはしない。同じように今、ここに創り出した氷塊は本物であると演算し続ける限りここに存在する。
「回転ベクトルX、速度ベクトルYの変数に数値を代入!マニュアル操作でモーション起動!――――吹っ飛べぇ!」
そう叫びながら脳をフル回転させ脳内の氷塊を高速回転させ更に直進させる!それに呼応するように目の前の氷塊も高速回転し真っ直ぐに飛んでいく!路地裏の僅かな光を反射し幻想的な輝きを見せながら空気を切り裂き突き進んだそれは――――ぐしゃり...と音をたて何かを抜き霧散した。
「ガッ!」
そんな言葉にもならない何かを呟き何かが倒れた。もちろんそれは言うまでもなく先ほど彼女の脇腹を抉った暗殺者擬きのうちの一人...氷塊はその心臓を綺麗に貫き一瞬にしてその存在をこの世から消し去った。それもそのはずである。いくら小さな氷塊とはいえ自身の演算機能を全て注ぎ込んだその一撃は小銃の弾丸の速度と威力に匹敵する。もちろん普段ならこんな氷塊一つにここまでの労力はかけないが今回は苦痛によって演算に支障が出ていたからしょうがないし、短期決戦が望ましかったのが本音だ。なぜなら...
「ッ!」
この隙だらけの瞬間をもう一人の刺客が逃すわけないのだから。
「あぁ、クソッ!一息つく暇もねぇ!」
背後から振り下ろされた剣を全力のヘッドスライディングで避ける。脇腹が死ぬほど悲鳴を上げているが本当に死ぬよりはマシなので必死に堪える。すかさず目線を刺客へ向け再度脳みそをフル回転する。することは先ほどと同じ血管がはち切れそうになるくらい目を見開き先ほどの氷塊をイメージする。
「想像省略!物体複製!」
先ほどイメージしたものを態々もう一度創り出す必要はない。即座に出力しモーションを起動させる。行きつく暇もなく射出された氷塊は即座にもう一人の暗殺者擬きの頭蓋を撃ち貫いた。ぐちゃりという不快な音と共にゆっくりと地面に倒れ伏す。
...久々の攻防、普段いかに自分が人任せにして戦っていたかがよく分かった。たまにはこうして奇襲を受けた場合の想定で演習でもするべきか...―――――――そう思っt「ァガッ!」
突如、背中に鋭い痛みが奔った。鋭い刃が右の肩口から左の脇腹へ肉を切り裂く。あぁ、これは死んだ。完全にそう思った。だが幸か不幸か何故か致命傷には至っていない。反射的に躱そうとして前進したからか、はたまた刃の担い手の技量不足か...どちらにせよ油断大敵、これは見事にしてやられた。三人目の刺客...振り向いたはいいものの眼前の敵はすかさず二撃目の返しの刃を構えている。こうなってしまえば後は死ぬしかない...どうあっても演算は間に合わないし体を捻って回避することもままならない。そうか、ここで死ぬのか...静かに目を閉じ迫りくる終わりを受け入れようとして...
――――――「貴方には王となって祖国を救って頂きたいのです。その為にこの命を捧げ、貴方の全てを背負うと誓いましょう」
...ぁ、そうだ。まだ死ぬわけにはいかない。約束を果たさなければ...とはいえ、この状況を変える術はもうない。だが、死を受け入れるわけにもいかない。足掻け、最後まで...無意味でも無駄でも奇跡を信じて。
「――――――クソがぁぁあああああああああ!」
叫んだ!心の底から盛大に!今この状況で出来る最大の悪あがき、自分の鼓膜すら破れそうな魂の叫び!だからこそこの瞬間...奇跡は起こった。
「...美しい」
そう、何処かから聞こえた。...美しい?何が?
「その魂...美しい」
声は目の前の刺客の背後から聞こえる。...振るわれるはずの剣が目の前で静止している。いや、剣が目の前で止められている。何者かが刺客の背後から腕を掴んで無理やり腕力で剣を止めている。
「...はっ!」
その掛け声と共に刺客が壁に向かって吹き飛んだ。足だけしか見えなかったがそれでも綺麗だと思えるほどの洗練された華麗な回し蹴り。というかそもそもその回し蹴りを繰り出した華奢な足も綺麗...その存在は同姓とか異性とかそういったものを超越した誰が見ても美しいもの。
「あぁ、見とれちゃった?ゴメン、許して?僕は美しいからさ」
なんだそのふざけた台詞は...本当ならそう言っていただろう。しかし、その顔も仕草も声も髪の毛の動き一本に至るまでその全てが美しいと感じる。灰色の髪、透き通る白い肌、怪しげな装飾の服...目を覆う黒い布。全く美しいと感じられるような服装ではないというのにその全てが美しく見える。
「ふふっ、そうだね。でも君もアジフライくらい美しいよ―――ガッ!」
あ、しまった。物凄くムカついたから思わず殴ってしまった。一応、助けてくれた...?のだから礼は言わなければ...命の恩人を反射的にぶん殴ってしまったのは反省しなければ。
「あぁ、すまん。反射的に殴っちまった大丈夫か?」
「ふふっ、気にすることはないよ。それに...まだ助かってはないからね」
...!囲まれている。気配だけで三、四人はいるだろうか?ただでさえこっちは重症...ん?...どういうことだ?脇腹の...いや、先ほど受けた傷も全て消えている!
「驚くことはない。その美しい肌に傷がついてることなどあるはずがないだろう?」
「まさか適合者?でも目を...」
「そう、僕は適合者だ。マイクロチップを組み込まれて君のように演算による出力が可能だ。でも僕は少し特殊でね、目を開くことが出来ない。まぁ、僕のことはいいよ。それより当然だけど傷は治ったわけじゃない、僕の演算で補っているだけだ。戦うのなら無茶はしないようにね」
「へぇ、私が戦わなくてもどうにかなると?」
「ご想像にお任せするよ」
「はっ...これは私の戦いだ。動けるようになった今なら一人で十分!」
「そうか、なら僕は自分の身を守ることを優先しよう」
そう言って彼が軽く右手のスナップを効かせると指と指の隙間に白い六つの突起が付いた円盤が握られていた。それに合わせて私も氷塊を三つ出現させる。
「さっきはよくもやってくれやがったなクソが!」
そう叫びながら氷塊を連射する!当たろうが当たらなかろうが飛んだら演算を破棄し新しく創り出す。私の演算速度と正確さでは三発を順繰りに飛ばすのが限界...だが、それを繰り返せば小銃に引けを取らないというか小銃そのものとなる。小回りが利かないのと連射中は隙が大きいのが玉に瑕だがそれも背後に味方...?がいる状況では隙にはならない。物陰に隠れようとも遮蔽物ごと敵を打ち抜く...そしてッ!
「分かってるんだよなァ!」
そのまま、真上に氷塊を乱射する!上からの奇襲なぞ想定済み、かつて刺客だった肉片がゆっくりと落ちてくる。
「お見事、苛烈な攻撃だね。どうやら僕の出番は...ッ!「お嬢様ッ!」」
――――――ガンッと鈍い金属音が響く!
「ふふっ、危ないね。あと一瞬、遅れていたら死ぬところだった」
「お嬢様から離れなさい!」
視線の交差...突如現れた茶髪の女性の振るったナイフを白いドライバーが受け止めている。一瞬、僅か10Fにも満たない時間でゴルフクラブを出力し攻撃を受け止めた...いや、むしろナイフにカウンターを合わせて防がせたというのが正しいか。ありえない、人間としての演算速度を遥かに凌駕している。それも私の傷の修復演算と並行して行っている。本当にこの男...は何者だ?
「...死になさい!」
振るったナイフを即座に消し反対の手に更にナイフを出力し投擲の構え、この至近距離では躱せない!
「おっと!させないよ」
だが、彼女がナイフを出力するより先に男...?は手裏剣を既に投擲していた。やはり早すぎる、白い手裏剣は彼女の演算したナイフに直撃しその全てを弾き飛ばした。
「ッ!」
「君の知り合いかい?なら止めてほしいのだけれど」
「あぁ、そうだった。ダリア!その男は敵じゃない。ナイフを仕舞ってくれ」
しまった。あまりの人間離れした戦いすぎて止めるのを忘れていた。
「...畏まりました」
何か言いたげだったが彼女はナイフを消しメイド服に付いた砂埃を払う。まぁ、明らかに怪しそうな男...?だから何か言いたくなる気持ちも確かに分かる。だが、すまん、ダリア...
「ふふっ、これで一件落着ということでいいのかな?では、僕はそろそろ行くよ」
「待て、その前に一つ聞きたい。お前は何者だ?」
「...君、難しいことを聞くね。ん、そうだね僕は通りすがりのu「あ、美しいとか下らんこと言ったらぶっ飛ばす」...旅人だよ。目的もなく気ままに世界各地を旅してる」
「ほぅ、旅人か。次は何処へ行くつもりなんだ?」
「回りくどい質問はいい、つまり何が聞きたいんだい?」
「お前を用心棒として雇いたい」
「ふふっ」
「...!お嬢様!」
ダリアがいけませんと言いたげにこちらを見ている。でも恐らくここまでの力を持った人物をスカウトできる機会はそうそうない。約束を果たすには今のままでは圧倒的に手数が足りない。この男...?は怪しさ抜群だがただの善意で私を助けた事には違いない。会って間もない、数分しか経っていないが...
「...僕はただのしがない旅人だよ。ビーフストロガノフくらいしか作れない。お役に立てるか分からないし、そもそも会って数分も経ってないような人を信用するものじゃないよ」
「かつてとある女性が言っていた。『人を見る時は外見でもなく内面でもなくその魂を見ろ』と、私はお前のその魂は信用に値するものだとそう思っただけだ」
「その言葉は一体誰から...いや、そうか。うん、お誘いはありがたいけど悪いね。僕は...」
「...私は!何としても『アルニラム』へたどり着かなければならないんだッ!」
「...『アルニラム』ってあの極東の...『オリオン王国』の大都市か?あそこは今、鎖国されていて入れないだろう」
「いや、私は必ず『アルニラム』へ辿り着く。あそこには因縁がある、辿り着けさえすれば入ることはできるはずだ私なら」
「お嬢様...見ず知らずの人間にそこまで話してよいのですか?」
「あぁ、構わない。手段は選ばないと決めたからな...それで、どうだ?この話受けるか?」
「『アルニラム』か...見透かされているようで怖いが、僕も一度行ってみたいとは思っていた。本当に入れるのなら願ってもない...」
「そこは保証しよう。どのみち入らなければ私の目的が達成できない。お前は私を刺客から守るだけでいい」
「...分かった。君を必ず『アルニラム』まで連れて行こう」
「うし!契約成立、これから宜しくな」
「ふふっ」
お互いに手を差し出し堅く握る。『契約の儀』...お互いに手を握ることで同意したことを自身や周りに認知させるもの。認識が最優先のこの世界においてこの行為は絶大な効力を発揮する。要するにお互い手を握るだけで僅かとは言え仲間意識が芽生えてしまう。常にその存在を頭の片隅に刷り込む儀式...それが契約の儀である。
「契約の儀も済んだ。こっからは待遇の...いや、その前にまだ自己紹介してなかったな」
「おっと、そうだね。僕の記号はЛ(уна+юбимка)。統一言語ではЛуна・Любимка。出身は『オリオン王国』の北東、『タウロス』の辺境の集落群『M45』」
「!...そうか『タウロス』の生まれか...いや、国は関係ないな。失礼した」
「構わないよ、因縁があるのは事実だからね」
「...ではこちらも、私は(日+生)(木+比)魚((牛+土)丹(二+竹)(人+二))。統一言語に変換すると星枇魚 天竺牡丹となります。そしてこのお方が...」
「そして私が雀^4。統一言語ではえっと...あぁ、雀雀雀雀?だ。改めて宜しく!...しっかし毎回この"統一言語では..."のやりとり何とかならんのか」
「言いたいことは分かるけどそれが様式美だからね。統一言語が生まれる前なんか記号を発音できなくてずっと渾名とか二つ名でしか呼べなかったらしいしね」
『記号』とは生まれた時に自らに与えられる番号のようなもの、変えることはできないし変わることもない。そして与えられた本人しか記号を正しく発音できない。もちろん近い発音はできるがあくまでも近いだけ、感覚としては片言が一番近い。なので昔の人は記号の一部を切り取ったりして呼んでいた。しかし昨今、この記号に規則性を見出し、『展開』という作業を用いれば誰でも発音しやすい文字列になることが分かり、更にその文字列に区切りやアクセント、発音できない部分の修正を行うことができる『統一言語』が作られた。この展開と統一言語は世界中に広まり言語の壁さえ破壊した。今では皆、当たり前のように統一言語で会話を行っている。ただ、今まで自己紹介=記号を言うことだった為か自己紹介の時に記号を言うのが様式美となっている。一部地域ではこの様式美も崩れつつあるらしいが。
「まぁ、記号のことはいい。それより待遇...その前に契約の儀を済ませた後で言うのもなんだがそのルーナ...いや、お前にお願いがある」
「全然お願いする態度には見えないし、なんでお前って言い直した?」
「悪いが私の目的の為に少し寄り道してもいいだろうか」
「...寄り道?」
「あぁ、出来れば『神殿』を回りたくてな」
「『箔』を付けたいってことかい?」
「話が早くて助かる」
「...あまりオススメはしないよ?」
「分かっている。それでも...」
...じっと、ルーナがこちらを見る。いや、何と表現すればよいか...実際は目を黒い布が覆っているから見られているわけではない。それでも何か見定めているようなそんな視線というか雰囲気を感じる。それもそのはずだ神殿に行きたい等と言われれば覚悟の一つや二つ問いたくもなる。目的地に着く前に死ぬ可能性すらあるのだから色々考えるのも無理はない。ゴクリと喉を鳴らしながら緊張した空気の中、口が開かれるのを待つ...
「君は...男k――――グハッ!」
「どう見ても女だろうが!ぶん殴るぞ!」
「お嬢様、もうぶん殴っておられます。まぁ、ルーナ様の言いたいことも分かりますけどね。この世界、胸がない女は男性みたいなものですから」
「...ダリア、何故あっちの味方をする?」
「いえ、私も初見だったら男性か聞いているでしょうし」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!何なんだこの世界は!どうして男女共に体型が同じなんだッ!」
「外見で判断できるの胸部だけですから」
「ふふっ、人体構造は殆ど同じ...胸部の発達度合いか男性器があるかでしか判断できない」
「一応、最近の研究ではアホ毛が男性の方が生えやすいらしいですよ?」
「そうなのか、それは知らなかったな」
「畜生ッ!どうしてッ!こんなにもないんだッ!」
「それは作者の趣味というか好きな作品が男の娘モノだったからで...」
「別にソレと私の胸は関係ないだろうがッ!くそぅ...くそぅ...」
「ふふっ、それで?話を元に戻すけど次の目的地は何処なんだい?」
「元からそんな話はしていませんし、話を脱線させたのはルーナ様です。...まぁ、こうなると暫く絶望したまま動かないので先に待遇の話を済ませてしまいましょう」
地面を叩きながら慟哭するアキリを尻目に、ダリアとルーナは淡々と勝手に話を進める。アキリが復活した頃には契約書へのサインやらその他諸々が終わっていた...
「ということで、次の行き先はこの『ブーティーズ』の大都市『アセルス・テルティウス』です」
「...ふふっ、アセルスに行くという事はつまり」
「あぁ、その通りだ。私は『調和の神殿』を超克するつもりだ」
「...ッ!ぃッてぇ!久々にやったわ。あー、これ流石に死んだか?うわ、血やば。こうなるなら買い溜めしてた菓子全部食っときゃよかった」
やらかした、完全にやらかした。今まで刺客を送られてきたことは幾度もあったしその都度対処し乗り越えてきた。しかし、それはあくまでも一人になったところをひっそりと狙いにきた奴ら。所謂、暗殺部隊と言われる者達を退けてきたに過ぎない。まさか街中で堂々と脇腹を掻っ捌かれると思わなかった。暗殺者の風上にもおけない、反則だろう。正々堂々、暗殺者らしくひっそりと殺しに来るべきだろう?流石の私もあんな街中では戦闘に集中できない。視覚情報と聴覚情報が重すぎて演算にリソースが割けない。不意を衝かれていたし後手後手に回った挙句、逆に人気のない路地裏に誘導された。これは不味い、非常に不味い。だが、そんな時こそ冷静に出来うる限りギリギリまで思考を巡らせる。...街中で襲われた時、背後からの殺意を感じて咄嗟に体を捻って回避した。しかし、間に合わずに剣らしきもので脇腹を抉られた。その直後、背後で何かが動いた気配に反応し路地裏に逃げ込んだ。挟まれていたことを考えると敵は少なくとも二人...恐らくもう既にこの路地も包囲されているのだろう。だが大丈夫、この程度は何度も経験している。この今着ているこのゴシックロリータっぽいスーツだってもう三回ほど切り裂かれては買い換えている。そう、大丈夫だ...そう自分に言い聞かせてゆっくりと立ち上がる。脇腹が燃え上がるように熱い、正直に言えば立つことさえやっとなのだがまだまだ余裕だと自分に言い聞かせ、ゆっくりと目を閉じる。
「――――――ッ!演算開始。」
言い聞かせるように呟き、意識を集中する。まるで自分の体がなくなってしまったかのように、宙に浮いて意識だけがそこに漂うかのように脳内に真っ暗な何もない空間を思い浮かべる。
「オブジェクト生成ッ!」
そう呟き真っ黒な何もない空間に灰色の立方体を一つ創り出す。よし、これを――――「うっ!」
抉られた脇腹の痛みによって意識が乱れた。その瞬間、灰色の立方体が霧散していく。いや、まだだ落ち着けもう一度集中しろ。演算を乱さないように痛みを忘れてしまうくらい意識を空間に落とし込む。再度、灰色の立方体を一つ創り出す。
「オブジェクト編集!」
創り出した灰色の立方体を引き延ばしたり、潰したり、角を削ったり形を変えていく。できるだけ精密に、細かく丁寧に。本物と見間違うほど精巧に想像を形にしていく。
「マテリアル設定...!」
精巧に創り出した灰色の物体に色と質感を付与していく。青色、水色、白色を織り交ぜ全体的にガラスのような質感、光沢を出す。ついでにちょっとエフェクトも付ける――――これにてオブジェクトは完成。
「...モーション設定!」
完成したオブジェクトに回転ベクトル、速度ベクトルに変数を追加。
「――――――オブジェクトを出力!」
そう宣言し目を見開く。脳みそが沸騰しそうなぐらい強く、強くイメージする!この目には最初から映っていた、初めからそこにあった。...感じるだろう、香るだろう、見えるだろう。感覚を、香りを、光を再現する!
―――その瞬間!目の前に拳くらいの大きさの氷塊が出現した...いや、そこにずっと"あった"。
これが――――『演算』。
脳内で創り出した想像を"そこ"にあると定義し自らの瞳を通して現実に出力する。例えそこに何もなくても自分自身が"ある"と定義して行動すればそれは"ある"ことになる。そうだろう?虚構のリンゴを食べたとして頭の中で食感、味、満足感etc...その全てを再現すればそれは本物を食べたこととなんら変わりはしない。同じように今、ここに創り出した氷塊は本物であると演算し続ける限りここに存在する。
「回転ベクトルX、速度ベクトルYの変数に数値を代入!マニュアル操作でモーション起動!――――吹っ飛べぇ!」
そう叫びながら脳をフル回転させ脳内の氷塊を高速回転させ更に直進させる!それに呼応するように目の前の氷塊も高速回転し真っ直ぐに飛んでいく!路地裏の僅かな光を反射し幻想的な輝きを見せながら空気を切り裂き突き進んだそれは――――ぐしゃり...と音をたて何かを抜き霧散した。
「ガッ!」
そんな言葉にもならない何かを呟き何かが倒れた。もちろんそれは言うまでもなく先ほど彼女の脇腹を抉った暗殺者擬きのうちの一人...氷塊はその心臓を綺麗に貫き一瞬にしてその存在をこの世から消し去った。それもそのはずである。いくら小さな氷塊とはいえ自身の演算機能を全て注ぎ込んだその一撃は小銃の弾丸の速度と威力に匹敵する。もちろん普段ならこんな氷塊一つにここまでの労力はかけないが今回は苦痛によって演算に支障が出ていたからしょうがないし、短期決戦が望ましかったのが本音だ。なぜなら...
「ッ!」
この隙だらけの瞬間をもう一人の刺客が逃すわけないのだから。
「あぁ、クソッ!一息つく暇もねぇ!」
背後から振り下ろされた剣を全力のヘッドスライディングで避ける。脇腹が死ぬほど悲鳴を上げているが本当に死ぬよりはマシなので必死に堪える。すかさず目線を刺客へ向け再度脳みそをフル回転する。することは先ほどと同じ血管がはち切れそうになるくらい目を見開き先ほどの氷塊をイメージする。
「想像省略!物体複製!」
先ほどイメージしたものを態々もう一度創り出す必要はない。即座に出力しモーションを起動させる。行きつく暇もなく射出された氷塊は即座にもう一人の暗殺者擬きの頭蓋を撃ち貫いた。ぐちゃりという不快な音と共にゆっくりと地面に倒れ伏す。
...久々の攻防、普段いかに自分が人任せにして戦っていたかがよく分かった。たまにはこうして奇襲を受けた場合の想定で演習でもするべきか...―――――――そう思っt「ァガッ!」
突如、背中に鋭い痛みが奔った。鋭い刃が右の肩口から左の脇腹へ肉を切り裂く。あぁ、これは死んだ。完全にそう思った。だが幸か不幸か何故か致命傷には至っていない。反射的に躱そうとして前進したからか、はたまた刃の担い手の技量不足か...どちらにせよ油断大敵、これは見事にしてやられた。三人目の刺客...振り向いたはいいものの眼前の敵はすかさず二撃目の返しの刃を構えている。こうなってしまえば後は死ぬしかない...どうあっても演算は間に合わないし体を捻って回避することもままならない。そうか、ここで死ぬのか...静かに目を閉じ迫りくる終わりを受け入れようとして...
――――――「貴方には王となって祖国を救って頂きたいのです。その為にこの命を捧げ、貴方の全てを背負うと誓いましょう」
...ぁ、そうだ。まだ死ぬわけにはいかない。約束を果たさなければ...とはいえ、この状況を変える術はもうない。だが、死を受け入れるわけにもいかない。足掻け、最後まで...無意味でも無駄でも奇跡を信じて。
「――――――クソがぁぁあああああああああ!」
叫んだ!心の底から盛大に!今この状況で出来る最大の悪あがき、自分の鼓膜すら破れそうな魂の叫び!だからこそこの瞬間...奇跡は起こった。
「...美しい」
そう、何処かから聞こえた。...美しい?何が?
「その魂...美しい」
声は目の前の刺客の背後から聞こえる。...振るわれるはずの剣が目の前で静止している。いや、剣が目の前で止められている。何者かが刺客の背後から腕を掴んで無理やり腕力で剣を止めている。
「...はっ!」
その掛け声と共に刺客が壁に向かって吹き飛んだ。足だけしか見えなかったがそれでも綺麗だと思えるほどの洗練された華麗な回し蹴り。というかそもそもその回し蹴りを繰り出した華奢な足も綺麗...その存在は同姓とか異性とかそういったものを超越した誰が見ても美しいもの。
「あぁ、見とれちゃった?ゴメン、許して?僕は美しいからさ」
なんだそのふざけた台詞は...本当ならそう言っていただろう。しかし、その顔も仕草も声も髪の毛の動き一本に至るまでその全てが美しいと感じる。灰色の髪、透き通る白い肌、怪しげな装飾の服...目を覆う黒い布。全く美しいと感じられるような服装ではないというのにその全てが美しく見える。
「ふふっ、そうだね。でも君もアジフライくらい美しいよ―――ガッ!」
あ、しまった。物凄くムカついたから思わず殴ってしまった。一応、助けてくれた...?のだから礼は言わなければ...命の恩人を反射的にぶん殴ってしまったのは反省しなければ。
「あぁ、すまん。反射的に殴っちまった大丈夫か?」
「ふふっ、気にすることはないよ。それに...まだ助かってはないからね」
...!囲まれている。気配だけで三、四人はいるだろうか?ただでさえこっちは重症...ん?...どういうことだ?脇腹の...いや、先ほど受けた傷も全て消えている!
「驚くことはない。その美しい肌に傷がついてることなどあるはずがないだろう?」
「まさか適合者?でも目を...」
「そう、僕は適合者だ。マイクロチップを組み込まれて君のように演算による出力が可能だ。でも僕は少し特殊でね、目を開くことが出来ない。まぁ、僕のことはいいよ。それより当然だけど傷は治ったわけじゃない、僕の演算で補っているだけだ。戦うのなら無茶はしないようにね」
「へぇ、私が戦わなくてもどうにかなると?」
「ご想像にお任せするよ」
「はっ...これは私の戦いだ。動けるようになった今なら一人で十分!」
「そうか、なら僕は自分の身を守ることを優先しよう」
そう言って彼が軽く右手のスナップを効かせると指と指の隙間に白い六つの突起が付いた円盤が握られていた。それに合わせて私も氷塊を三つ出現させる。
「さっきはよくもやってくれやがったなクソが!」
そう叫びながら氷塊を連射する!当たろうが当たらなかろうが飛んだら演算を破棄し新しく創り出す。私の演算速度と正確さでは三発を順繰りに飛ばすのが限界...だが、それを繰り返せば小銃に引けを取らないというか小銃そのものとなる。小回りが利かないのと連射中は隙が大きいのが玉に瑕だがそれも背後に味方...?がいる状況では隙にはならない。物陰に隠れようとも遮蔽物ごと敵を打ち抜く...そしてッ!
「分かってるんだよなァ!」
そのまま、真上に氷塊を乱射する!上からの奇襲なぞ想定済み、かつて刺客だった肉片がゆっくりと落ちてくる。
「お見事、苛烈な攻撃だね。どうやら僕の出番は...ッ!「お嬢様ッ!」」
――――――ガンッと鈍い金属音が響く!
「ふふっ、危ないね。あと一瞬、遅れていたら死ぬところだった」
「お嬢様から離れなさい!」
視線の交差...突如現れた茶髪の女性の振るったナイフを白いドライバーが受け止めている。一瞬、僅か10Fにも満たない時間でゴルフクラブを出力し攻撃を受け止めた...いや、むしろナイフにカウンターを合わせて防がせたというのが正しいか。ありえない、人間としての演算速度を遥かに凌駕している。それも私の傷の修復演算と並行して行っている。本当にこの男...は何者だ?
「...死になさい!」
振るったナイフを即座に消し反対の手に更にナイフを出力し投擲の構え、この至近距離では躱せない!
「おっと!させないよ」
だが、彼女がナイフを出力するより先に男...?は手裏剣を既に投擲していた。やはり早すぎる、白い手裏剣は彼女の演算したナイフに直撃しその全てを弾き飛ばした。
「ッ!」
「君の知り合いかい?なら止めてほしいのだけれど」
「あぁ、そうだった。ダリア!その男は敵じゃない。ナイフを仕舞ってくれ」
しまった。あまりの人間離れした戦いすぎて止めるのを忘れていた。
「...畏まりました」
何か言いたげだったが彼女はナイフを消しメイド服に付いた砂埃を払う。まぁ、明らかに怪しそうな男...?だから何か言いたくなる気持ちも確かに分かる。だが、すまん、ダリア...
「ふふっ、これで一件落着ということでいいのかな?では、僕はそろそろ行くよ」
「待て、その前に一つ聞きたい。お前は何者だ?」
「...君、難しいことを聞くね。ん、そうだね僕は通りすがりのu「あ、美しいとか下らんこと言ったらぶっ飛ばす」...旅人だよ。目的もなく気ままに世界各地を旅してる」
「ほぅ、旅人か。次は何処へ行くつもりなんだ?」
「回りくどい質問はいい、つまり何が聞きたいんだい?」
「お前を用心棒として雇いたい」
「ふふっ」
「...!お嬢様!」
ダリアがいけませんと言いたげにこちらを見ている。でも恐らくここまでの力を持った人物をスカウトできる機会はそうそうない。約束を果たすには今のままでは圧倒的に手数が足りない。この男...?は怪しさ抜群だがただの善意で私を助けた事には違いない。会って間もない、数分しか経っていないが...
「...僕はただのしがない旅人だよ。ビーフストロガノフくらいしか作れない。お役に立てるか分からないし、そもそも会って数分も経ってないような人を信用するものじゃないよ」
「かつてとある女性が言っていた。『人を見る時は外見でもなく内面でもなくその魂を見ろ』と、私はお前のその魂は信用に値するものだとそう思っただけだ」
「その言葉は一体誰から...いや、そうか。うん、お誘いはありがたいけど悪いね。僕は...」
「...私は!何としても『アルニラム』へたどり着かなければならないんだッ!」
「...『アルニラム』ってあの極東の...『オリオン王国』の大都市か?あそこは今、鎖国されていて入れないだろう」
「いや、私は必ず『アルニラム』へ辿り着く。あそこには因縁がある、辿り着けさえすれば入ることはできるはずだ私なら」
「お嬢様...見ず知らずの人間にそこまで話してよいのですか?」
「あぁ、構わない。手段は選ばないと決めたからな...それで、どうだ?この話受けるか?」
「『アルニラム』か...見透かされているようで怖いが、僕も一度行ってみたいとは思っていた。本当に入れるのなら願ってもない...」
「そこは保証しよう。どのみち入らなければ私の目的が達成できない。お前は私を刺客から守るだけでいい」
「...分かった。君を必ず『アルニラム』まで連れて行こう」
「うし!契約成立、これから宜しくな」
「ふふっ」
お互いに手を差し出し堅く握る。『契約の儀』...お互いに手を握ることで同意したことを自身や周りに認知させるもの。認識が最優先のこの世界においてこの行為は絶大な効力を発揮する。要するにお互い手を握るだけで僅かとは言え仲間意識が芽生えてしまう。常にその存在を頭の片隅に刷り込む儀式...それが契約の儀である。
「契約の儀も済んだ。こっからは待遇の...いや、その前にまだ自己紹介してなかったな」
「おっと、そうだね。僕の記号はЛ(уна+юбимка)。統一言語ではЛуна・Любимка。出身は『オリオン王国』の北東、『タウロス』の辺境の集落群『M45』」
「!...そうか『タウロス』の生まれか...いや、国は関係ないな。失礼した」
「構わないよ、因縁があるのは事実だからね」
「...ではこちらも、私は(日+生)(木+比)魚((牛+土)丹(二+竹)(人+二))。統一言語に変換すると星枇魚 天竺牡丹となります。そしてこのお方が...」
「そして私が雀^4。統一言語ではえっと...あぁ、雀雀雀雀?だ。改めて宜しく!...しっかし毎回この"統一言語では..."のやりとり何とかならんのか」
「言いたいことは分かるけどそれが様式美だからね。統一言語が生まれる前なんか記号を発音できなくてずっと渾名とか二つ名でしか呼べなかったらしいしね」
『記号』とは生まれた時に自らに与えられる番号のようなもの、変えることはできないし変わることもない。そして与えられた本人しか記号を正しく発音できない。もちろん近い発音はできるがあくまでも近いだけ、感覚としては片言が一番近い。なので昔の人は記号の一部を切り取ったりして呼んでいた。しかし昨今、この記号に規則性を見出し、『展開』という作業を用いれば誰でも発音しやすい文字列になることが分かり、更にその文字列に区切りやアクセント、発音できない部分の修正を行うことができる『統一言語』が作られた。この展開と統一言語は世界中に広まり言語の壁さえ破壊した。今では皆、当たり前のように統一言語で会話を行っている。ただ、今まで自己紹介=記号を言うことだった為か自己紹介の時に記号を言うのが様式美となっている。一部地域ではこの様式美も崩れつつあるらしいが。
「まぁ、記号のことはいい。それより待遇...その前に契約の儀を済ませた後で言うのもなんだがそのルーナ...いや、お前にお願いがある」
「全然お願いする態度には見えないし、なんでお前って言い直した?」
「悪いが私の目的の為に少し寄り道してもいいだろうか」
「...寄り道?」
「あぁ、出来れば『神殿』を回りたくてな」
「『箔』を付けたいってことかい?」
「話が早くて助かる」
「...あまりオススメはしないよ?」
「分かっている。それでも...」
...じっと、ルーナがこちらを見る。いや、何と表現すればよいか...実際は目を黒い布が覆っているから見られているわけではない。それでも何か見定めているようなそんな視線というか雰囲気を感じる。それもそのはずだ神殿に行きたい等と言われれば覚悟の一つや二つ問いたくもなる。目的地に着く前に死ぬ可能性すらあるのだから色々考えるのも無理はない。ゴクリと喉を鳴らしながら緊張した空気の中、口が開かれるのを待つ...
「君は...男k――――グハッ!」
「どう見ても女だろうが!ぶん殴るぞ!」
「お嬢様、もうぶん殴っておられます。まぁ、ルーナ様の言いたいことも分かりますけどね。この世界、胸がない女は男性みたいなものですから」
「...ダリア、何故あっちの味方をする?」
「いえ、私も初見だったら男性か聞いているでしょうし」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!何なんだこの世界は!どうして男女共に体型が同じなんだッ!」
「外見で判断できるの胸部だけですから」
「ふふっ、人体構造は殆ど同じ...胸部の発達度合いか男性器があるかでしか判断できない」
「一応、最近の研究ではアホ毛が男性の方が生えやすいらしいですよ?」
「そうなのか、それは知らなかったな」
「畜生ッ!どうしてッ!こんなにもないんだッ!」
「それは作者の趣味というか好きな作品が男の娘モノだったからで...」
「別にソレと私の胸は関係ないだろうがッ!くそぅ...くそぅ...」
「ふふっ、それで?話を元に戻すけど次の目的地は何処なんだい?」
「元からそんな話はしていませんし、話を脱線させたのはルーナ様です。...まぁ、こうなると暫く絶望したまま動かないので先に待遇の話を済ませてしまいましょう」
地面を叩きながら慟哭するアキリを尻目に、ダリアとルーナは淡々と勝手に話を進める。アキリが復活した頃には契約書へのサインやらその他諸々が終わっていた...
「ということで、次の行き先はこの『ブーティーズ』の大都市『アセルス・テルティウス』です」
「...ふふっ、アセルスに行くという事はつまり」
「あぁ、その通りだ。私は『調和の神殿』を超克するつもりだ」
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