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パロディ罵倒るファンタジー
《《00001001》》=9.とかくこの世は難しいだからこそ素直になれ
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(...)スッ
「...」サッ
(...)スッ
「...」サッ
(...)スッ
「トントントンツー ツートンツートンツー トンツー ツーツー ツートンツーツートン トンツートン」
(わざわざそんな高速モールス信号で言わなくてもいいじゃないですか)
「そもそも、ムイミ様は同行するだけだったのでは?」
(えぇ、思い出したようにそんなこと言わないでください。流石に被害が出てる以上は見て見ぬ振りは出来ません)
「...」
ダリアはチラリとムイミを見る。そして少し迷ってからずっと気になっていた問いをムイミになげかける。
「ムイミ様とルーナ様はどのようなご関係なのですか」
(...?ストーカーと被害者です)
不思議そうな顔をしながら、しかし堂々とムイミは答える。それを聞いたダリアは頭を抱え、再度問いかける。
「質問を間違えました。何故、ルーナ様をストーキングなさっているのですか?」
(...)
そんなことを聞かれると思っていなかったからか、少し驚いたような顔をした後...
「知りません」
と、そう断言した。
「...はぁ。ん?...知らないとはどういう?」
「意味は無いんです。別にストーキングする必要も、し...あの方である必要も無いんです」
言っている意味は全く分からない。けれどそう言うムイミは儚げで、しかし力強く...どこか哀愁が漂う。まるで、遥か彼方の故郷に住む両親を思う娘のようなそんな表情を浮かべていた。
「そう...ですか」
ダリアはそう返すことしか出来なかった。もっと聞きたいことはあったし、聞こうと思えば聞くことも出来た。けれどきっとこれはムイミ自身にしか分からないことなのだろうと、誰かに伝わるような代物でないのだとそう結論づけることにした。
「失礼しました。野暮な事を聞きましたね」
(いえ、別に...そもそもあの方も拙を殆ど知りませんし、拙もあの方を知りません。というより、知っていたらストーキングする必要なんてないじゃないですか)
「それは確かに」
...ストーキングとはお互いに存在を知らないから成立するものだ。知りたいから追うし、知らないから追われる。であれば、関係性など聞いたところで結局、他人でしかない。
「...何故に私はストーカーについて考察をしているのでしょうか。...この時間が一番、無意味ですね」
(...?)
「いえ、お気になさらず。それよりも目的地まではあとどのくらいでしょうか」
(もうすぐそこのはずです)
「...」
ムイミとダリアは並んで...いや、ちょっと距離をおいて歩く。
「聞いて...こないのですね」
(...?)
「いえ、こちらから素性を尋ねた以上、なにか聞かれる事は覚悟していたのですが」
(あぁ、そういう...気にならないと言えば嘘になりますが、そうですね...あの方が楽しそうであればそれでいいとそう、思っています)
「...そうですか」
(はい)
...沈黙。しかし、そんな静かな空気とは裏腹に二人の距離は...物理的なやつではなく精神的な距離は少しだけ近づいた...そんな気がした。
(...)スッ
「...」サッ
やっぱり近づいてないかもしれない。...そしてそんなこんなで両チームとも目的地に辿り着きつつあった。
「おォ?向こうのチームももうすぐランデブーポイントに着くみてェだな」
「ランデブーポイントって合流地点って意味じゃなかったか?」
「ふふっ、ほら、あるだろう?なんか意味よく知らないけどカッコイイ言葉使いたくなる現象。あれだよ、そっとしておいてあげなよ」
「...うるせェ、俺たちも行くぞォ」
「休憩終わりか」
「残念だけど行くしかないみたいだね。ところでさっき気球から何か飛んで行ったけどあれは何だったんだい?」
「あれかァ?あれはマスターの矢だなァ」
「矢?」
「マスターはクロスボウの名手でな、遠距離からの精密射撃で右に出る者はいないってやつだァ...ただ、まァ...」
「ん?」
「射撃は上手いんだが、それ以外がからっきしでなァ」
「どういう意味だい?」
「実はクロスボウそのものは演算出来ないんだ。だから実物を使ってるんだがァ...装填も下手クソでなァ」
「装填が下手...?」
「下手って言うかァ...その、なんだ...全然、筋力が無くてなァ。装填するだけで5分...10分はかかる。しかも装填に全力を注ぐせいでへばっちまってそっから撃つのに更に5分くらいかかる」
「なんというか...難儀だね」
「正直、撃つ以外は向いてねェなァ」
「ふふっ、演算が出来れば装填した状態から撃てるんだけどね」
「多分、自分が装填に時間かかるせいで弦を引ききったって想像が出来ないんだろうなァ」
「なるほどね」
「...」
「?」
ルーナがチラリと横を見ると訝しげな顔でアキリがこっちを見ていることに気がついた。
「...ずっと思ってたんだが、何でお前は目に布巻いてるのに周りが見えてるんだ?地の文読んでも明らかに目が見えてる書かれ方してるよな...」
「そういう物語の根幹に触れそうなモノは地の文読んで気づかないでほしいね」
「んで、どうなんだ?」
「ふふっ、まぁ...僕には十二個の目が付いているからね。全方位カバー出来てるよ」
「は?」
なんじゃそりゃ、と言いたげな目でこっちを見るアキリにルーナは笑みを浮かべる。
「...まぁ、誰にでも言いたくないことはあるか」
アキリはそう言って話を打ち切り少し速度を上げてルーナを追い抜き振り返る。
「...ふ」
振り返りながら僅かに笑みを浮かべるアキリなルーナは...
「ふふっ、試しているのかい?」
そう言って即座にいつ間にか演算していた白い手裏剣をノールックで背後に投げる!
――――――パリンッ!と、硝子が割れたような無機質な音が響く...
「うわ、マジで見えてんのか」
ルーナの背後にはバラバラになった元氷塊と役目を終え、罅の入った白い手裏剣が地面に散らばっていた。
「ふふっ」
「ムカつくな」
ドヤ顔のルーナに若干腹が立ちつつも、アキリはこの事象を解き明かすべく脳みそをフル回転していた。どのような演算であれば視界を360度もとれるのか...目そのものの演算?否、目を演算したところで脳と直結させなければ目としての役割を果たさない。仮に可能でも入ってくる情報量に脳が追いつかないだろう。となると自分を定点カメラなどで映して俯瞰して見れる演算?...モニタなどを使えば可能か?だが、そんな素振りはなかった。いや、そもそも常時演算していることがおかしい。となると実際に存在する物で行っていると考えるのが妥当か...流石に情報が少なすぎる。せめてどこまでの範囲をカバーしているのか分からないと仕掛けを見破れそうもない。つまり...
「...今は降参だ」
「いや、さっき言った通りなんだけどね...まぁ、いいや」
「お前らァ、何してるんだァ?別になにしててもいいがァ...着いたぞォ」
「「!」」
「...」サッ
(...)スッ
「...」サッ
(...)スッ
「トントントンツー ツートンツートンツー トンツー ツーツー ツートンツーツートン トンツートン」
(わざわざそんな高速モールス信号で言わなくてもいいじゃないですか)
「そもそも、ムイミ様は同行するだけだったのでは?」
(えぇ、思い出したようにそんなこと言わないでください。流石に被害が出てる以上は見て見ぬ振りは出来ません)
「...」
ダリアはチラリとムイミを見る。そして少し迷ってからずっと気になっていた問いをムイミになげかける。
「ムイミ様とルーナ様はどのようなご関係なのですか」
(...?ストーカーと被害者です)
不思議そうな顔をしながら、しかし堂々とムイミは答える。それを聞いたダリアは頭を抱え、再度問いかける。
「質問を間違えました。何故、ルーナ様をストーキングなさっているのですか?」
(...)
そんなことを聞かれると思っていなかったからか、少し驚いたような顔をした後...
「知りません」
と、そう断言した。
「...はぁ。ん?...知らないとはどういう?」
「意味は無いんです。別にストーキングする必要も、し...あの方である必要も無いんです」
言っている意味は全く分からない。けれどそう言うムイミは儚げで、しかし力強く...どこか哀愁が漂う。まるで、遥か彼方の故郷に住む両親を思う娘のようなそんな表情を浮かべていた。
「そう...ですか」
ダリアはそう返すことしか出来なかった。もっと聞きたいことはあったし、聞こうと思えば聞くことも出来た。けれどきっとこれはムイミ自身にしか分からないことなのだろうと、誰かに伝わるような代物でないのだとそう結論づけることにした。
「失礼しました。野暮な事を聞きましたね」
(いえ、別に...そもそもあの方も拙を殆ど知りませんし、拙もあの方を知りません。というより、知っていたらストーキングする必要なんてないじゃないですか)
「それは確かに」
...ストーキングとはお互いに存在を知らないから成立するものだ。知りたいから追うし、知らないから追われる。であれば、関係性など聞いたところで結局、他人でしかない。
「...何故に私はストーカーについて考察をしているのでしょうか。...この時間が一番、無意味ですね」
(...?)
「いえ、お気になさらず。それよりも目的地まではあとどのくらいでしょうか」
(もうすぐそこのはずです)
「...」
ムイミとダリアは並んで...いや、ちょっと距離をおいて歩く。
「聞いて...こないのですね」
(...?)
「いえ、こちらから素性を尋ねた以上、なにか聞かれる事は覚悟していたのですが」
(あぁ、そういう...気にならないと言えば嘘になりますが、そうですね...あの方が楽しそうであればそれでいいとそう、思っています)
「...そうですか」
(はい)
...沈黙。しかし、そんな静かな空気とは裏腹に二人の距離は...物理的なやつではなく精神的な距離は少しだけ近づいた...そんな気がした。
(...)スッ
「...」サッ
やっぱり近づいてないかもしれない。...そしてそんなこんなで両チームとも目的地に辿り着きつつあった。
「おォ?向こうのチームももうすぐランデブーポイントに着くみてェだな」
「ランデブーポイントって合流地点って意味じゃなかったか?」
「ふふっ、ほら、あるだろう?なんか意味よく知らないけどカッコイイ言葉使いたくなる現象。あれだよ、そっとしておいてあげなよ」
「...うるせェ、俺たちも行くぞォ」
「休憩終わりか」
「残念だけど行くしかないみたいだね。ところでさっき気球から何か飛んで行ったけどあれは何だったんだい?」
「あれかァ?あれはマスターの矢だなァ」
「矢?」
「マスターはクロスボウの名手でな、遠距離からの精密射撃で右に出る者はいないってやつだァ...ただ、まァ...」
「ん?」
「射撃は上手いんだが、それ以外がからっきしでなァ」
「どういう意味だい?」
「実はクロスボウそのものは演算出来ないんだ。だから実物を使ってるんだがァ...装填も下手クソでなァ」
「装填が下手...?」
「下手って言うかァ...その、なんだ...全然、筋力が無くてなァ。装填するだけで5分...10分はかかる。しかも装填に全力を注ぐせいでへばっちまってそっから撃つのに更に5分くらいかかる」
「なんというか...難儀だね」
「正直、撃つ以外は向いてねェなァ」
「ふふっ、演算が出来れば装填した状態から撃てるんだけどね」
「多分、自分が装填に時間かかるせいで弦を引ききったって想像が出来ないんだろうなァ」
「なるほどね」
「...」
「?」
ルーナがチラリと横を見ると訝しげな顔でアキリがこっちを見ていることに気がついた。
「...ずっと思ってたんだが、何でお前は目に布巻いてるのに周りが見えてるんだ?地の文読んでも明らかに目が見えてる書かれ方してるよな...」
「そういう物語の根幹に触れそうなモノは地の文読んで気づかないでほしいね」
「んで、どうなんだ?」
「ふふっ、まぁ...僕には十二個の目が付いているからね。全方位カバー出来てるよ」
「は?」
なんじゃそりゃ、と言いたげな目でこっちを見るアキリにルーナは笑みを浮かべる。
「...まぁ、誰にでも言いたくないことはあるか」
アキリはそう言って話を打ち切り少し速度を上げてルーナを追い抜き振り返る。
「...ふ」
振り返りながら僅かに笑みを浮かべるアキリなルーナは...
「ふふっ、試しているのかい?」
そう言って即座にいつ間にか演算していた白い手裏剣をノールックで背後に投げる!
――――――パリンッ!と、硝子が割れたような無機質な音が響く...
「うわ、マジで見えてんのか」
ルーナの背後にはバラバラになった元氷塊と役目を終え、罅の入った白い手裏剣が地面に散らばっていた。
「ふふっ」
「ムカつくな」
ドヤ顔のルーナに若干腹が立ちつつも、アキリはこの事象を解き明かすべく脳みそをフル回転していた。どのような演算であれば視界を360度もとれるのか...目そのものの演算?否、目を演算したところで脳と直結させなければ目としての役割を果たさない。仮に可能でも入ってくる情報量に脳が追いつかないだろう。となると自分を定点カメラなどで映して俯瞰して見れる演算?...モニタなどを使えば可能か?だが、そんな素振りはなかった。いや、そもそも常時演算していることがおかしい。となると実際に存在する物で行っていると考えるのが妥当か...流石に情報が少なすぎる。せめてどこまでの範囲をカバーしているのか分からないと仕掛けを見破れそうもない。つまり...
「...今は降参だ」
「いや、さっき言った通りなんだけどね...まぁ、いいや」
「お前らァ、何してるんだァ?別になにしててもいいがァ...着いたぞォ」
「「!」」
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