灰燼の瞳//AI of the monochrome

もみもみ紅葉

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パロディ罵倒るファンタジー

《《00001000》》=8.嬉しい、楽しい、もう一回!

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「...疲れた」

「ふふっ、まだ目的地まで半分くらいの距離があるよ」

「...俺はもう、ここまでだ。後のことはお前に託す...大丈夫だ、今まだだって幾つもの困難を乗り越えて来ただろ?今回も同じようにすればいいだけさ。...じゃあな、必ずあいつを...バタッ」

「舞い上がる~♪雪の羽~♪抱きしめた~密やかに~♪」

「何やってんだァ、お前らはァ?」

 アキリが地面に倒れこみルーナがそれに合わせて歌い始めた。それを見ていた堕鳥がグラサン越しに(なんだこいつら...)という顔をしつつ仕方なくツッコミを入れる。とはいえかれこれ一時間はこうして山を登っているのだから疲れるのも無理はない。しかも山道を歩いているのではなく急斜面の岩場をほぼロッククライミングに近い状態で登っているのだ。更に...

「次、お前だぞ」

 再び現れた岩場を前にアキリはルーナに

「グェッ!馬鹿ッ首根っこ掴むな死ぬぞォ!もっと優しく...」

「うるせぇ!」

「はいはい、次行くよ」

 そう言ってルーナは堕鳥を受け取り背中の紐に括り付け登っていく。そう、堕鳥は案内役として同行しているが岩山を登れずこうして背負って行くしか方法がなく二人は余計に体力を消耗していた。

「ふふっ、ちなみに向こうの二人は今どうなっているんだい?」

「そうだなァ、あと三分の一くらいかァ」

「流石に早いね」

「クソっ!私も向こうに行きたかったッ!」

『ルーナとアキリと堕鳥』、『ダリアとムイミ』はチームを組んで別々に行動していた。それは先ほどルーナが立案した作戦によるもので...

「ふふっ、恐らく龍の目的は人間を殺すことだと僕は思っている」

「人間を殺す?」

するほどずっと枷を付けられていた龍...憶測でしかないけれどかなり酷い扱いを受けていたんじゃないかな」

「...」

「だから、憲兵隊を襲って山に戻ったのは...」

「山から出たいんじゃなくて、そもそも憲兵隊を目撃したから襲ったってことか?」

「多分、そうだと思うよ。そして、付け入る隙があるとすればそこだと思うね」

「どういう意味だ?」

「作戦は簡単だよ。龍をおびき寄せてメイドさんの糸で足止めをしてスーちゃんの演算で気絶させる。それだけさ」

「なるほどな、それで囮役は誰がやるんだ?」

 ルーナはアキリの方に向き直りそして...

 (*^ω^*)

「いい笑顔だな、囮役は誰がやるんだ?」

 (๑•ᴗ•๑)

「目が笑ってないな、囮役は誰がやるんだ?」

 (•ω•)

「真顔だな、囮役は誰がやるんだ?」

「お嬢様、諦めましょう」

「クソがぁッ!」

 ...というやり取りが合ってこのようなチームに分かれたのだが、ここで二つ問題が発生したのである。一つ目は罠を仕掛ける最適な場所が龍の真横にしかなかったのである。そこで龍を陽動し時間稼ぎをしている間にダリアたちは罠を仕掛け、完成後にルーナたちは龍を連れて罠の場所まで誘導するという流れになったのだが、二つ目の問題として時間稼ぎに最適な場所が中腹にしかなく、龍を上から奇襲し陽動する作戦にまとまった。そう、ルーナたちはこの山をある程度登らなければいけなくなったのである。しかし、そこに更に不運が重なったのだ...なんと、中腹までの道がない。目的の場所まで辿り着くには岩場を登って尚且なおかつ迂回するルートしか見つからず、こうして道なき道を三倍くらいの労力をかけて移動していた。

「なんか腹減ってきたな」

「ふふっ、おばあちゃんさっき食べたでしょ」

「お前らは毎回寸劇を挟まないと会話出来ないのかァ?」

「あ、シュピッツブーベンならあるよ」

「んだそれ?」

「白いクッキーみたいなものかな」

「とりあえず貰うわ。お、リンゴの形してる...ふむ、うまいな」

「なんでそんなオシャレな物持ってんだよォ」

「ふふっ、演算」

「...!消えたっ呑み込もうとした瞬間消えたっ!なんかすごく...こう、違和感と言うか、呑み込んだのに呑み込んでないっていうこの気持ち悪さがッ!」

「おい、変な事するからバグったぞォ!」

「ふふふ、ちょっとやりすぎたかもね」

「...ッ!お前、後で覚えとけよ」

 コロスゾっ...という視線を浴びつつルーナは飄々とした顔で岩場を登っていく...そんなこんなで更に三十分が経ち...

「後はここを進めばいいだけだね」

「長かったー、マジで疲れた」

「むしろこっからが本番なんだけどね、最後に一度休憩を入れようか」

 そう言ってルーナはその場に座り込み、それに合わせてアキリと堕鳥も力尽きたようにその場に座る。無事目的地にたどり着いたルーナ一行だが、一方でダリアたちの方は...

「さて、どうしましょうか」

 (...)

 二人で木陰に隠れながら目の前の光景にため息を吐く。それもそのはず、前後左右360°全方位が動物たちで溢れている。目を覆いたくなるような光景を前に身動きできず立往生していた。

「下手に動くと全方位から追いかけ回されるでしょうね」

 (観測できる限りだと...熊、猪...雉、蛇と狼...あ、オコジョですね。初めて見ました)

「迂回できる道がないか聞いてみましょうか」

 (分かりました)

 そういうとムイミは赤い旗と白い旗を取り出し、ポーズを取っていく。それを尻目にダリアは空を見上げて、正確には浮かんでいる気球を見つめる。すると...

「ピーカピーカ ピカピカピーカ ピカピカピーカピカピカ ピカピカ ピカピカピーカ ピーカピーカピーカピカ ピカピカピーカピーカ ピーカピカピカピーカ ピーカピカピカピーカ ピーカピーカピーカピカピーカ ピーカピーカピーカピカピーカ ピーカピカピカピカピーカ ...ですか」

 気球に乗っているマナが手に持っているライトを光らせ信号を送ってくる。

 (...『ようどうそのまますすめ』だそうです。ところでモールス信号をそのまま読むと某アニメの電気ネズミみたいですね)

「陽動...?ですか、分かりませんがお任せしましょう。あと、言いたいことは分かりますが作者に読まされているのであって読みたいわけではありません」

 (...そもそもモールス信号は発声するものじゃありませんからね、メイドさんの口、機械みたいな速さで動いていました)

「それでその陽動と言うのは...ッ!?」

 瞬間、ダリアは無意識にナイフを構えていた。反射神経と観察力、視力...全てを用いて遠方から何かが飛んでくるという事実だけで体が勝手に臨戦態勢をとっていたのだ。しかし、肝心のはダリアの前方...動物たちが闊歩する獣道に着弾していた。一瞬遅れてこれがマナの陽動だと理解して...

「...そういう事ですか!」

 ダリアは困惑するムイミを放置し精一杯、出来る限りの力で思いっきり後方に跳ぶ!その直後...!

 ――――――パンッ!っと、まるで袋が破裂したような小さな音がして...

クサッ!」

 ムイミは思わず大声で叫び悶え苦しむ!

「なるほど、獣除けの臭気ガスですか...臭気指数50以上はありますね」

 しれっと鼻をつまんでいるダリアですらそれを貫通してくるにおいに胃液が少しせりあがる感覚を覚えていた。であればそれを直でくらったムイミは目から涙を流し脳にまで臭いが抜けてくる感覚に叫んでしまうのも無理はないだろう。しかし、それだけ味方を巻き込んだのだからもちろん効果は抜群...辺りにいた動物たちは大混乱を起こし一斉に逃げて行った。後に残ったのは微妙に臭いの付いたダリアと凄くくさいムイミと閑散とした獣道、そして...

「マナ様でしたか...」
「そウですネ...」

 ―――――「「この借りは必ず返しますコの借りハ必ず返しマす」」

 陽動と言いながらフレンドリーファイア味方を巻き込んだ後方支援裏切り者』への恨みだった。
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