148 / 181
第5章 闇の遺跡編
148話 父との約束
しおりを挟む
舞はいつもの日常を取り戻していたが、考えている事は魔人の国やカク達のいる異世界のことであった。
私は早くみんなの元に戻りたかった。
今までは、旅行や友人に会いに行くと言って、どうにか誤魔化してきたが、許される限りあの世界にいたかったのだ。
そう思っていた時に、ブラックからもらった約束の指輪の石に異変が起きたのだ。
輝きが消えて濁った色となり、私は胸騒ぎがしたのだ。
私とブラックを繋ぐ唯一の物・・・
きっとブラックに何かが起きている。
私は急いでカクに手紙を書いて、光の鉱石を送ってもらう事にしたのだ。
秘密の扉に手紙を入れると、次の日には自分が書いた手紙は消えて、新しい手紙と小さな小袋が入っていたのだ。
カクの事だから、毎日のように扉を開けていたのだろう。
こちらの1日は向こうの世界では3日くらい経っているのだ。
ブラックの様子がとても気になったが、やはりカクの手紙からでは魔人の国での状況を知る事は出来なかった。
直接行かなくては・・・。
異世界に転移する準備は整ったが、後は父になんて言おうかと考えていた。
ブラックが心配で私はすぐにでも転移したかった。
カクから光の鉱石が送られて来た夜、私は思い切って父に真実を話す事に決めたのだ。
きっと信じてもらえないだろうし、家を出る事自体反対されると思ったが、それでも私の気持ちは揺らがない自信があったのだ。
夕食を終えた後、私は父に大事な話があると告げたのだ。
父はいつになく真面目に話す私と、横に置いたスーツケースに目を置き、只事では無いと感じたのか、黙って私の話を聞いてくれたのだ。
すると意外な事を話してくれたのだ。
「舞・・・別の世界があるって話は、実は今回初めて聞いたわけでは無いんだよ。
舞の母さんと結婚する前に、母さんから聞いた事があるんだ。
この家には代々伝わっている書物もあるってね。
もちろん、母さんも行ったことは無いし、本当かどうかもわからないと言っていたよ。
でも、おじいちゃんに昔話のように、子供の頃から話を聞いていたらしいよ。
おじいちゃんには内緒だと言われていたけど、私に教えてくれたんだよ。」
そう言って、父は懐かしい目をしたのだ。
きっとその頃の母を思い出しているのだろう。
父は何も知らないと思っていたので、私の方が逆に驚いてしまったのだ。
「だから、舞が今真剣に話している事が嘘だとも思わないし、別の世界の友人を助けたいと言う気持ちも、すごい事だと思うよ。
もう・・・行くのは決めたのだね。」
スーツケースを見て、私の顔を見たのだ。
私は黙って頷いたのだ。
「わかった。
こっちの事はなんとかなるから大丈夫だよ。
ただ、約束してくれ。
落ち着いたら、必ず戻ってくる事を。
私は舞の父親だからな。
心配するのは当たり前だろう。」
そう言って優しく笑ってくれたのだ。
私は今まで黙っていた事を謝り、落ち着いたらちゃんと戻ってくると約束したのだ。
私は今回も使えそうな漢方薬や医薬品を色々持っていく事にしたのだ。
そして、スーツケースにそれを詰め込むと、以前と同じように自分の部屋にある魔法陣の中に立ったのだ。
そして今回は、父の見守る中で転移するのだ。
「舞、その姿で行くのか?」
私はいつものように、薄水色の白衣を着てスニーカーを履き、黒い長い髪を一纏めにしたのだ。
「うん。
私にとっては、誰かのために何かを行う事は、いつもの仕事の延長だから。
この方が落ち着くんだ。
じゃあ、行ってくるね。」
私はそう言うと、自分の頭上に光の鉱石の粉末を投げたのだ。
その綺麗な粉は魔法陣の中心へと引き寄せられ、私を包むように集まり、魔法陣の中のものは全て消え去ったのである。
「すごいな・・・母さんにも見せたかったな。」
父はそうつぶやいて、舞の消えた魔法陣からしばらく目が離せなかった。
○
○
○
光の霧が消えると、私は暗い薬草庫の中にいたのだ。
そこは生薬に似た匂いで充満していた。
前に来た時よりも薬草の種類も増え、昔の薬草庫に戻っているようだった。
いつもは昼間に転移していたためか、こちらの時間も昼間だった。
しかし今回は夜の転移のため、予想通り外は星がとても綺麗な夜だった。
私はお屋敷に移動して、扉をノックしようとした時、勢いよく扉が開いたのだ。
「舞、おかえり。」
そこにはいつものカクの笑顔があったのだ。
「え?なんで来たのわかったの?」
「光の鉱石を送ってからずっと薬草庫を見張ってたんだよ。
舞がいつ来るかなってね。」
さすがなのだ。
そう言う事にはいつも一生懸命で、嬉しい限りなのだが・・・。
「おお、舞、おかえり。
待っていたよ。」
奥からヨクが嬉しそうに笑いながら出て来た。
私はヨクの元気そうな姿が見れてホッとしたのだ。
「ただいまー。」
私はここに来れた事が本当に嬉しかった。
私は早くみんなの元に戻りたかった。
今までは、旅行や友人に会いに行くと言って、どうにか誤魔化してきたが、許される限りあの世界にいたかったのだ。
そう思っていた時に、ブラックからもらった約束の指輪の石に異変が起きたのだ。
輝きが消えて濁った色となり、私は胸騒ぎがしたのだ。
私とブラックを繋ぐ唯一の物・・・
きっとブラックに何かが起きている。
私は急いでカクに手紙を書いて、光の鉱石を送ってもらう事にしたのだ。
秘密の扉に手紙を入れると、次の日には自分が書いた手紙は消えて、新しい手紙と小さな小袋が入っていたのだ。
カクの事だから、毎日のように扉を開けていたのだろう。
こちらの1日は向こうの世界では3日くらい経っているのだ。
ブラックの様子がとても気になったが、やはりカクの手紙からでは魔人の国での状況を知る事は出来なかった。
直接行かなくては・・・。
異世界に転移する準備は整ったが、後は父になんて言おうかと考えていた。
ブラックが心配で私はすぐにでも転移したかった。
カクから光の鉱石が送られて来た夜、私は思い切って父に真実を話す事に決めたのだ。
きっと信じてもらえないだろうし、家を出る事自体反対されると思ったが、それでも私の気持ちは揺らがない自信があったのだ。
夕食を終えた後、私は父に大事な話があると告げたのだ。
父はいつになく真面目に話す私と、横に置いたスーツケースに目を置き、只事では無いと感じたのか、黙って私の話を聞いてくれたのだ。
すると意外な事を話してくれたのだ。
「舞・・・別の世界があるって話は、実は今回初めて聞いたわけでは無いんだよ。
舞の母さんと結婚する前に、母さんから聞いた事があるんだ。
この家には代々伝わっている書物もあるってね。
もちろん、母さんも行ったことは無いし、本当かどうかもわからないと言っていたよ。
でも、おじいちゃんに昔話のように、子供の頃から話を聞いていたらしいよ。
おじいちゃんには内緒だと言われていたけど、私に教えてくれたんだよ。」
そう言って、父は懐かしい目をしたのだ。
きっとその頃の母を思い出しているのだろう。
父は何も知らないと思っていたので、私の方が逆に驚いてしまったのだ。
「だから、舞が今真剣に話している事が嘘だとも思わないし、別の世界の友人を助けたいと言う気持ちも、すごい事だと思うよ。
もう・・・行くのは決めたのだね。」
スーツケースを見て、私の顔を見たのだ。
私は黙って頷いたのだ。
「わかった。
こっちの事はなんとかなるから大丈夫だよ。
ただ、約束してくれ。
落ち着いたら、必ず戻ってくる事を。
私は舞の父親だからな。
心配するのは当たり前だろう。」
そう言って優しく笑ってくれたのだ。
私は今まで黙っていた事を謝り、落ち着いたらちゃんと戻ってくると約束したのだ。
私は今回も使えそうな漢方薬や医薬品を色々持っていく事にしたのだ。
そして、スーツケースにそれを詰め込むと、以前と同じように自分の部屋にある魔法陣の中に立ったのだ。
そして今回は、父の見守る中で転移するのだ。
「舞、その姿で行くのか?」
私はいつものように、薄水色の白衣を着てスニーカーを履き、黒い長い髪を一纏めにしたのだ。
「うん。
私にとっては、誰かのために何かを行う事は、いつもの仕事の延長だから。
この方が落ち着くんだ。
じゃあ、行ってくるね。」
私はそう言うと、自分の頭上に光の鉱石の粉末を投げたのだ。
その綺麗な粉は魔法陣の中心へと引き寄せられ、私を包むように集まり、魔法陣の中のものは全て消え去ったのである。
「すごいな・・・母さんにも見せたかったな。」
父はそうつぶやいて、舞の消えた魔法陣からしばらく目が離せなかった。
○
○
○
光の霧が消えると、私は暗い薬草庫の中にいたのだ。
そこは生薬に似た匂いで充満していた。
前に来た時よりも薬草の種類も増え、昔の薬草庫に戻っているようだった。
いつもは昼間に転移していたためか、こちらの時間も昼間だった。
しかし今回は夜の転移のため、予想通り外は星がとても綺麗な夜だった。
私はお屋敷に移動して、扉をノックしようとした時、勢いよく扉が開いたのだ。
「舞、おかえり。」
そこにはいつものカクの笑顔があったのだ。
「え?なんで来たのわかったの?」
「光の鉱石を送ってからずっと薬草庫を見張ってたんだよ。
舞がいつ来るかなってね。」
さすがなのだ。
そう言う事にはいつも一生懸命で、嬉しい限りなのだが・・・。
「おお、舞、おかえり。
待っていたよ。」
奥からヨクが嬉しそうに笑いながら出て来た。
私はヨクの元気そうな姿が見れてホッとしたのだ。
「ただいまー。」
私はここに来れた事が本当に嬉しかった。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
モブっと異世界転生
月夜の庭
ファンタジー
会社の経理課に所属する地味系OL鳳来寺 桜姫(ほうらいじ さくらこ)は、ゲーム片手に宅飲みしながら、家猫のカメリア(黒猫)と戯れることが生き甲斐だった。
ところが台風の夜に強風に飛ばされたプレハブが窓に直撃してカメリアを庇いながら息を引き取った………筈だった。
目が覚めると小さな籠の中で、おそらく兄弟らしき子猫達と一緒に丸くなって寝ていました。
サクラと名付けられた私は、黒猫の獣人だと知って驚愕する。
死ぬ寸前に遊んでた乙女ゲームじゃね?!
しかもヒロイン(茶虎猫)の義理の妹…………ってモブかよ!
*誤字脱字は発見次第、修正しますので長い目でお願い致します。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
過労死して転生したので絶対に働かないと決めたのに、何をしても才能がバレる件
やんやんつけバー
ファンタジー
過労死して異世界転生。今度こそ絶対に働かないと決めたのに、何をやっても才能がバレてしまう——。農村で静かに暮らすはずが、魔力、農業、医療……気づけば誰も放っておかない。チートで穏やか系の異世界スローライフ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる