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第5章 闇の遺跡編
167話 繰り返し
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私が完全回復の薬を振りかけると、薔薇の幹だけで無く、城の外の様子も元に戻ったようだった。
一度崩壊した外の景色が、初めて訪れた時と同じような綺麗な風景に戻っているのを、窓から見る事が出来たのだ。
そして、広間に戻ると森の主が駆け寄って来たのだ。
今までとは違い、まるで魔人の森の精霊のように、優しくそして強い輝きを放っていたのだ。
「いったい何があったのでしょうか?
こんなに力が戻ったのはいつぶりだったか・・・。」
そう言って、森の主は驚いた顔で私を見たのだ。
「良かった、あなたがまずは回復出来て。
今のあなたなら、さっき起きた事を覆す何か策はないかしら?
例えば時間を遡れるとか。」
森の主は少し考えた後、私を見て話し出したのだ。
「確かに・・・この空間での事であれば可能な事が少しだけあります。
しかし誰かを過去に送り込んで、起きた事を変える事などは出来ません。
長く存在してはいますが、私には無理な事です。
・・・ですが一つだけ、今の私が出来る事があります。
誰か一人を過去に戻すことです。
つまり、この意識のまま戻る事で、自力で状況を打破するしか無いのです。
それにある程度のところまでしか戻れないので、行動を変えるにも限界があります。
それでも戻りますか?」
「ええ、可能性があるなら行きたいわ。」
私は即答した。
「舞、あなたが行かなくてもいいのよ。
私が戻り、広く結界を張れば、みんなを助ける事ができると思う。」
ジルコンがそう言うのももっともなのだが、戻れる時間がどこなのか分からず、かなり前には戻れないのが厄介なのだ。
「確かにそうだけど、ブラックが倒れる直前に戻ってしまったら、間に合わないわ。
近くにいた私が行動を変える事で、助かる道があると思うの。
だから、私に行かせてほしいの。
きっとどうにかして戻るから。」
私はそう言ってジルコンに微笑んだのだ。
「舞、ブラックは魔人だからいずれは復活するはずだよ。
だから、危険な事をさせたく無いんだよ。」
精霊は強い口調で私に言うのだが、なぜか助けられるのは私しかいないように思えたのだ。
「ありがとう、いつも心配してくれて。
でもね、私はまたブラックに会いたいのよ。
次にブラックが復活する時は、私はもうどの世界にも存在していないわ。
私、今回はブラックに伝える事もあって来たのよ。
一瞬しか会えてなくて、まだ何も言えてないの。
・・・だから、私に出来る事をさせてほしいの。
確信がある訳では無いけど、私じゃ無いと変えられない気がするのよ。」
私がそう言うと、精霊はもう何も言わずに私を優しく抱きしめたのだ。
「さあ、行くなら早くしないと。
時間が経つほど、戻れる時間もどんどん限られてきます。
それに、過去を変えるとしたら、私を含めあなた以外はこの事を知る者がいない世界となるでしょう。
もし上手く行かなくても、自分自身でその事を受けとめるしかありません。
その覚悟はありますか?」
「大丈夫です。」
私はしっかりとした口調で答えたのだ。
森の主は綺麗な光の集合体に変わると、私を包み込んだのだ。
あっという間に周りが一瞬見えなくなったが、気付くとそこは少し前に見た風景に他ならなかった。
過去に戻ったのだ・・・
私は森の主に止めるように叫んだ後で、パラシスに話しながら歩き出していたところだった。
ここからやり直すなんて・・・
やっぱりジルコンでも無理だと思ったのだ。
多分、パラシスが手を上げた時にはブラックは動いていたはず。
私はすぐに歩く事をやめて、こう言ったのだ。
「待って、何もしないから話がしたいの、お願い!」
しかしパラシスは話を聞く事は無く、私に左手を向け叫んだのだ。
「私の邪魔する者は消えるのだ!」
そしてまたブラックは私の前に来て私の壁となり、微笑んだ後倒れたのだ。
私はまたブラックが透けて、消滅する姿を見る事になったのだ。
二度と見たくなかった光景がそこに存在したのだ。
これが、森の主が覚悟があるかと聞いた事なのだとわかった気がしたのだ。
そして、助けられず落胆する私に前回と同じようにジルコンは声をかけてくれたのだ。
そうだ、もう一度戻れるはず。
ここでやめるわけにはいかない・・・絶対に。
森の主を回復させれば、また過去に行けるはず。
私は前回と同じ事を繰り返す事にしたのだ。
そして、また過去に向かったのだ。
光の霧が消えると、また私は同じ場所に立ち、森の主とパラシスに向かって歩くところであった。
どうすれば止められるか・・・
私はできる限り、パラシスを止める為の行動を考えた。
止まるのでは無く逆に走り出したり、パラシスではなく森の主に声をかけたり、その場から逃げるように移動したり・・・
・・・何回私は過去に戻っただろう。
だが、結果は・・・変わらなかった。
どうしても、その状況を覆すには時間が足りなかったのだ。
落胆して心が折れそうになるたびに、ジルコンや精霊やみんなの顔を見て、奮い立たせていたのだ。
しかし何回戻っても、何の結果も変わらない事に、私の心は潰されそうだった。
その時、誰かの声が聞こえた気がしたのだ。
『この世界を変えたかったら、先ずは自分が変わらないと・・・』
あ・・・私は周りの状況を変える事だけを考えていた。
そうだ、自分のためにブラックを生き返らせようと思ったから上手くいかなかったのだ。
私のすべき事が何かわかったのだ。
一度崩壊した外の景色が、初めて訪れた時と同じような綺麗な風景に戻っているのを、窓から見る事が出来たのだ。
そして、広間に戻ると森の主が駆け寄って来たのだ。
今までとは違い、まるで魔人の森の精霊のように、優しくそして強い輝きを放っていたのだ。
「いったい何があったのでしょうか?
こんなに力が戻ったのはいつぶりだったか・・・。」
そう言って、森の主は驚いた顔で私を見たのだ。
「良かった、あなたがまずは回復出来て。
今のあなたなら、さっき起きた事を覆す何か策はないかしら?
例えば時間を遡れるとか。」
森の主は少し考えた後、私を見て話し出したのだ。
「確かに・・・この空間での事であれば可能な事が少しだけあります。
しかし誰かを過去に送り込んで、起きた事を変える事などは出来ません。
長く存在してはいますが、私には無理な事です。
・・・ですが一つだけ、今の私が出来る事があります。
誰か一人を過去に戻すことです。
つまり、この意識のまま戻る事で、自力で状況を打破するしか無いのです。
それにある程度のところまでしか戻れないので、行動を変えるにも限界があります。
それでも戻りますか?」
「ええ、可能性があるなら行きたいわ。」
私は即答した。
「舞、あなたが行かなくてもいいのよ。
私が戻り、広く結界を張れば、みんなを助ける事ができると思う。」
ジルコンがそう言うのももっともなのだが、戻れる時間がどこなのか分からず、かなり前には戻れないのが厄介なのだ。
「確かにそうだけど、ブラックが倒れる直前に戻ってしまったら、間に合わないわ。
近くにいた私が行動を変える事で、助かる道があると思うの。
だから、私に行かせてほしいの。
きっとどうにかして戻るから。」
私はそう言ってジルコンに微笑んだのだ。
「舞、ブラックは魔人だからいずれは復活するはずだよ。
だから、危険な事をさせたく無いんだよ。」
精霊は強い口調で私に言うのだが、なぜか助けられるのは私しかいないように思えたのだ。
「ありがとう、いつも心配してくれて。
でもね、私はまたブラックに会いたいのよ。
次にブラックが復活する時は、私はもうどの世界にも存在していないわ。
私、今回はブラックに伝える事もあって来たのよ。
一瞬しか会えてなくて、まだ何も言えてないの。
・・・だから、私に出来る事をさせてほしいの。
確信がある訳では無いけど、私じゃ無いと変えられない気がするのよ。」
私がそう言うと、精霊はもう何も言わずに私を優しく抱きしめたのだ。
「さあ、行くなら早くしないと。
時間が経つほど、戻れる時間もどんどん限られてきます。
それに、過去を変えるとしたら、私を含めあなた以外はこの事を知る者がいない世界となるでしょう。
もし上手く行かなくても、自分自身でその事を受けとめるしかありません。
その覚悟はありますか?」
「大丈夫です。」
私はしっかりとした口調で答えたのだ。
森の主は綺麗な光の集合体に変わると、私を包み込んだのだ。
あっという間に周りが一瞬見えなくなったが、気付くとそこは少し前に見た風景に他ならなかった。
過去に戻ったのだ・・・
私は森の主に止めるように叫んだ後で、パラシスに話しながら歩き出していたところだった。
ここからやり直すなんて・・・
やっぱりジルコンでも無理だと思ったのだ。
多分、パラシスが手を上げた時にはブラックは動いていたはず。
私はすぐに歩く事をやめて、こう言ったのだ。
「待って、何もしないから話がしたいの、お願い!」
しかしパラシスは話を聞く事は無く、私に左手を向け叫んだのだ。
「私の邪魔する者は消えるのだ!」
そしてまたブラックは私の前に来て私の壁となり、微笑んだ後倒れたのだ。
私はまたブラックが透けて、消滅する姿を見る事になったのだ。
二度と見たくなかった光景がそこに存在したのだ。
これが、森の主が覚悟があるかと聞いた事なのだとわかった気がしたのだ。
そして、助けられず落胆する私に前回と同じようにジルコンは声をかけてくれたのだ。
そうだ、もう一度戻れるはず。
ここでやめるわけにはいかない・・・絶対に。
森の主を回復させれば、また過去に行けるはず。
私は前回と同じ事を繰り返す事にしたのだ。
そして、また過去に向かったのだ。
光の霧が消えると、また私は同じ場所に立ち、森の主とパラシスに向かって歩くところであった。
どうすれば止められるか・・・
私はできる限り、パラシスを止める為の行動を考えた。
止まるのでは無く逆に走り出したり、パラシスではなく森の主に声をかけたり、その場から逃げるように移動したり・・・
・・・何回私は過去に戻っただろう。
だが、結果は・・・変わらなかった。
どうしても、その状況を覆すには時間が足りなかったのだ。
落胆して心が折れそうになるたびに、ジルコンや精霊やみんなの顔を見て、奮い立たせていたのだ。
しかし何回戻っても、何の結果も変わらない事に、私の心は潰されそうだった。
その時、誰かの声が聞こえた気がしたのだ。
『この世界を変えたかったら、先ずは自分が変わらないと・・・』
あ・・・私は周りの状況を変える事だけを考えていた。
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私のすべき事が何かわかったのだ。
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