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継承
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ロイスとアーシャは、脇目も振らず僕に向かって突っ込んでくる。
僕は、奥義を使った反動で動けない。
しかし、睨みを効かせながら決してロイスやアーシャから目線を逸らさない。
それは、決してお前達には屈しないという意思の表れでもあった。
しかし、アーシャとロイスが近づいてきたとき、後方から声が聞こえてきた。
「私は、今まで弱かった。そして今も弱い。簡単に盾を破られてしまう。だけど、私は守りたい、私が守りたい人を最後まで完全に傷つかずに守りたい。それが私の夢。何度も何度も私の盾が打ち砕かれようとも私の心は絶対に折れないし、私は夢を諦めない」
ナオミは感化されていた。僕が強力な魔導を放ち、ソイニー師匠のメテオバーストを退けたことに、私も強くならねばと。
ナオミは感じていた。心のそこから守りたいと強く願えば願うほど溢れ出てくる魔導を。
そして、その魔導をどう扱えばいいかも自然と認識していた。
だから唱えるた。ナオミは、自分の夢を叶えるために、守るために。
「我が神聖な身を守りて現界せよ、『絶対防壁』」
ナオミの杖から、黄金に輝く盾が現界する。
「なんだと、あれは『絶対防壁』。あんな小娘があんな大技を使えるだと? 今覚えたのか?」
アーシャは戸惑う。
「いけーーーーー」
ナオミは力強く叫ぶ。
アーシャとロイスの行く手をナオミの絶対防壁。
そして、マミもナオミの勇姿につられて、詠唱しだした。
「私も、誰かの役に立つために、魔導士になったんです。誰ももう傷つけません。我が真名に契約せし者よ、皆を癒したまえ『清流治癒』」
マミも最後の力を振り絞り、ナオミを治癒して、援護する。
「小癪な盾使いめ、だけどお前の絶対防壁はまだまだヒヨッコだ、これくらい簡単に壊せるぞ」
ロイスが剣を振り上げ盾を割ろうとし、ナオミの絶対防壁には縦長のヒビが入ってしまう。
「やはり、まだまだ、未熟な盾だな」
ロイスは笑いながらもう一度斬撃を加えようとするが、ナオミも負けじと盾の強化のため魔導を注ぎ込む。
しかし、やはりナオミはまだ絶対防壁を使いこなせていないため、次にロイスの斬撃を喰らえば盾は打ち破られてしまうと悟っていた。
だが、ナオミは一歩も引き下がらない、そんな時だった‥‥‥。
「それはどうかな」
急にどこからか声が聞こえてきくる。
そして、その声は詠唱する。
「我が神聖な身を守りて現界せよ、『絶対防壁』」
突如空中に二つ目の絶対防壁が現界し、それは次第にナオミの絶対防壁と融合し、ナオミの絶対防壁を強化した。
そして、ついにロイスの斬撃を防ぎきる。
「よく耐えたわね。そして、絶対防壁を出せるようになったなんて成長したわね、ナオミさん」
ナオミを褒めるその人物は、ユミ姉だった。
「ソイニー師匠のどキツい攻撃を間一『絶対防壁(改)』でロージェさんも含めて乗り切ったのよ。死ぬかと思ったわ。それで、ロージェさんにここまでかっ飛ばしてきてもらったの」
ユミ姉の後ろにはロージェ先生も立っていた。
ロージェ先生は体に傷を負っていたが、そんなの御構い無しに僕に近づく、僕の前に立つ。
「アスカ、よくぞ耐え凌いだ。ここからはワシに任せなさい。我が憤怒は豪雨の如し『時雨』」
ロージェは、剣から龍を出し、そのまま、ロイスとアーシャに噛み付く。
シルベニスタとの戦いで魔導を消費していたロイスとアーシャはロージェの攻撃をかわし切れずくらう。
そして、ロージェは空中に飛び上がり、ロイスに切り掛かり、ロイスの片腕を吹き飛ばす。
「ちくしょう、剣豪ロージェが生きてたのか。これは分が悪いぞ」
「ここで私が負けるなんてそんなのあってはいけない。だけど、私は冷静よ、ロイス、ここは悔しいけど撤退しかないわ。ソイニーの弟子のユミの絶対防壁も面倒だわ。今の私たちの魔導力ではあの盾は打ち抜けないは。シルベニスタに力を使いすぎた」
「まて! 逃すか!」
ロージェは2人を追おうとしたが、2人はすぐさま『緊急脱出《ベイルアウト》で天界に脱出してしまった」
ついに、勝ったのだ。凌ぎ切ったのだ。
多くの犠牲の上に、天界魔導士を追い払った。
ヒビトはすぐさま、父親の元に駆け寄る。
奇跡的にまだ意識があった。
「ヒビト、これまでお前には色々と辛い思いをさせてしまったかもしれない。お前は、強い子だ、私はお前を誇りに思う」
「お父様、もう話さないで、傷に響きます」
「私はもう長くはない。アーシャの短剣には呪いの術がかけられていた。治癒魔導でももうどうにもならない。最後に、ヒビト、私の剣を授ける。これは、代々シルベニスタ家が受け継いできた剣だ。この剣は初代魔導具士が作った「希刀《きとう》」だ。この剣は、天界大統領を倒すために作られたらしい。そして、シルベニスタ家の受け継がれてきた使命は、天界大統領の打破だ。ヒビト、使命と剣をお前に託す。頼んだぞ。この世界の人々を頼んだ」
「お父様!! 僕は必ずお父様の仇を討ちます」
「ヒビト、復讐にかられる必要はない。私は皆を守れて幸せだった。死ぬのは私が力不足だったせい。ただそれだけだ。だから、復讐に身を焦がす必要はない」
「ですが、お父様‥‥‥」
ヒビトは大粒の涙を流しながら納得できないでいた。
そして、ユーリは今度は僕に話しかける。
「アスカ君、やっと全ての謎が解けたよ。君の母親が言っていたことが」
「ユーリ様、僕の母親と知り合いなんですか?」
「そうか、君は何も知らないんだね。私は、君の母親と父親と親密な仲だった。しかし、あんなことになってしまい申し訳な、ゴホゴホ」
ユーリは強く咳き込み、吐血する。
「私はもう長くない。アスカ君、どうかヒビトを頼みます」
「わ、わかりました」
本当は、もっと母親や父親のことを聞きたかった。
しかし、時間はそれを許してはくれない。
「お父様!!」
ヒビトがめい一杯い叫ぶ。
しかし、ヒビトの声にだんだんユーリは反応しなくなる。
そして‥‥‥
「ヒビト、生きろ」
と、だけ言い残し、ついに目を閉じてしまった。
ヒビトは音もなく静かに涙を流す。
僕は、ヒビトの肩を後ろから持ち、ヒビトを慰める。反対からは、ナオミがヒビトを抱きしめる。
「お父様、僕は、必ず、守ってみせます」
ヒビトは父を強く抱きしめた。そしてヒビトは誓ったのだった。
その後、程なくして、通信員から朗報が届き、米帝や、中つ国が撤退し始めたことが明らかになった。
こうして、多くの犠牲の上に、日本王国防衛を我々は成し遂げたのだった。
僕は、奥義を使った反動で動けない。
しかし、睨みを効かせながら決してロイスやアーシャから目線を逸らさない。
それは、決してお前達には屈しないという意思の表れでもあった。
しかし、アーシャとロイスが近づいてきたとき、後方から声が聞こえてきた。
「私は、今まで弱かった。そして今も弱い。簡単に盾を破られてしまう。だけど、私は守りたい、私が守りたい人を最後まで完全に傷つかずに守りたい。それが私の夢。何度も何度も私の盾が打ち砕かれようとも私の心は絶対に折れないし、私は夢を諦めない」
ナオミは感化されていた。僕が強力な魔導を放ち、ソイニー師匠のメテオバーストを退けたことに、私も強くならねばと。
ナオミは感じていた。心のそこから守りたいと強く願えば願うほど溢れ出てくる魔導を。
そして、その魔導をどう扱えばいいかも自然と認識していた。
だから唱えるた。ナオミは、自分の夢を叶えるために、守るために。
「我が神聖な身を守りて現界せよ、『絶対防壁』」
ナオミの杖から、黄金に輝く盾が現界する。
「なんだと、あれは『絶対防壁』。あんな小娘があんな大技を使えるだと? 今覚えたのか?」
アーシャは戸惑う。
「いけーーーーー」
ナオミは力強く叫ぶ。
アーシャとロイスの行く手をナオミの絶対防壁。
そして、マミもナオミの勇姿につられて、詠唱しだした。
「私も、誰かの役に立つために、魔導士になったんです。誰ももう傷つけません。我が真名に契約せし者よ、皆を癒したまえ『清流治癒』」
マミも最後の力を振り絞り、ナオミを治癒して、援護する。
「小癪な盾使いめ、だけどお前の絶対防壁はまだまだヒヨッコだ、これくらい簡単に壊せるぞ」
ロイスが剣を振り上げ盾を割ろうとし、ナオミの絶対防壁には縦長のヒビが入ってしまう。
「やはり、まだまだ、未熟な盾だな」
ロイスは笑いながらもう一度斬撃を加えようとするが、ナオミも負けじと盾の強化のため魔導を注ぎ込む。
しかし、やはりナオミはまだ絶対防壁を使いこなせていないため、次にロイスの斬撃を喰らえば盾は打ち破られてしまうと悟っていた。
だが、ナオミは一歩も引き下がらない、そんな時だった‥‥‥。
「それはどうかな」
急にどこからか声が聞こえてきくる。
そして、その声は詠唱する。
「我が神聖な身を守りて現界せよ、『絶対防壁』」
突如空中に二つ目の絶対防壁が現界し、それは次第にナオミの絶対防壁と融合し、ナオミの絶対防壁を強化した。
そして、ついにロイスの斬撃を防ぎきる。
「よく耐えたわね。そして、絶対防壁を出せるようになったなんて成長したわね、ナオミさん」
ナオミを褒めるその人物は、ユミ姉だった。
「ソイニー師匠のどキツい攻撃を間一『絶対防壁(改)』でロージェさんも含めて乗り切ったのよ。死ぬかと思ったわ。それで、ロージェさんにここまでかっ飛ばしてきてもらったの」
ユミ姉の後ろにはロージェ先生も立っていた。
ロージェ先生は体に傷を負っていたが、そんなの御構い無しに僕に近づく、僕の前に立つ。
「アスカ、よくぞ耐え凌いだ。ここからはワシに任せなさい。我が憤怒は豪雨の如し『時雨』」
ロージェは、剣から龍を出し、そのまま、ロイスとアーシャに噛み付く。
シルベニスタとの戦いで魔導を消費していたロイスとアーシャはロージェの攻撃をかわし切れずくらう。
そして、ロージェは空中に飛び上がり、ロイスに切り掛かり、ロイスの片腕を吹き飛ばす。
「ちくしょう、剣豪ロージェが生きてたのか。これは分が悪いぞ」
「ここで私が負けるなんてそんなのあってはいけない。だけど、私は冷静よ、ロイス、ここは悔しいけど撤退しかないわ。ソイニーの弟子のユミの絶対防壁も面倒だわ。今の私たちの魔導力ではあの盾は打ち抜けないは。シルベニスタに力を使いすぎた」
「まて! 逃すか!」
ロージェは2人を追おうとしたが、2人はすぐさま『緊急脱出《ベイルアウト》で天界に脱出してしまった」
ついに、勝ったのだ。凌ぎ切ったのだ。
多くの犠牲の上に、天界魔導士を追い払った。
ヒビトはすぐさま、父親の元に駆け寄る。
奇跡的にまだ意識があった。
「ヒビト、これまでお前には色々と辛い思いをさせてしまったかもしれない。お前は、強い子だ、私はお前を誇りに思う」
「お父様、もう話さないで、傷に響きます」
「私はもう長くはない。アーシャの短剣には呪いの術がかけられていた。治癒魔導でももうどうにもならない。最後に、ヒビト、私の剣を授ける。これは、代々シルベニスタ家が受け継いできた剣だ。この剣は初代魔導具士が作った「希刀《きとう》」だ。この剣は、天界大統領を倒すために作られたらしい。そして、シルベニスタ家の受け継がれてきた使命は、天界大統領の打破だ。ヒビト、使命と剣をお前に託す。頼んだぞ。この世界の人々を頼んだ」
「お父様!! 僕は必ずお父様の仇を討ちます」
「ヒビト、復讐にかられる必要はない。私は皆を守れて幸せだった。死ぬのは私が力不足だったせい。ただそれだけだ。だから、復讐に身を焦がす必要はない」
「ですが、お父様‥‥‥」
ヒビトは大粒の涙を流しながら納得できないでいた。
そして、ユーリは今度は僕に話しかける。
「アスカ君、やっと全ての謎が解けたよ。君の母親が言っていたことが」
「ユーリ様、僕の母親と知り合いなんですか?」
「そうか、君は何も知らないんだね。私は、君の母親と父親と親密な仲だった。しかし、あんなことになってしまい申し訳な、ゴホゴホ」
ユーリは強く咳き込み、吐血する。
「私はもう長くない。アスカ君、どうかヒビトを頼みます」
「わ、わかりました」
本当は、もっと母親や父親のことを聞きたかった。
しかし、時間はそれを許してはくれない。
「お父様!!」
ヒビトがめい一杯い叫ぶ。
しかし、ヒビトの声にだんだんユーリは反応しなくなる。
そして‥‥‥
「ヒビト、生きろ」
と、だけ言い残し、ついに目を閉じてしまった。
ヒビトは音もなく静かに涙を流す。
僕は、ヒビトの肩を後ろから持ち、ヒビトを慰める。反対からは、ナオミがヒビトを抱きしめる。
「お父様、僕は、必ず、守ってみせます」
ヒビトは父を強く抱きしめた。そしてヒビトは誓ったのだった。
その後、程なくして、通信員から朗報が届き、米帝や、中つ国が撤退し始めたことが明らかになった。
こうして、多くの犠牲の上に、日本王国防衛を我々は成し遂げたのだった。
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