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第8章 雄蜂
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沙良達と別れホテルに戻ると、ロビーで祐都と恵夢が並んで待っていた。恵夢は華音達が出て行ったあとしばらくして泣きながら現れたらしい。
ボロボロになった彬従と華音の姿を見て、二人は揃ってあたふたとした。
「ちょっと事故に巻き込まれたんだ。」
彬従は誤魔化した。
「薬を貰ってくる!」
恵夢は飛んでいった。
「何があったの?」
祐都が焦って尋ねた。
「後で詳しく話すよ。」
フロントで借りた救急箱を抱えて恵夢が戻った。
「アキ、怪我している所みせて!」
「俺より華音が先だ。」
彬従は救急箱を受け取り、華音の擦り傷に消毒液を吹きかけた。
見るからにズタズタなのはアキなのに、と恵夢は心の中で呟いた。しかし、華音の様子は確かにいつもと違う。ぐったりとして声も出さない。
「今夜は華音の看病するから一緒の部屋に泊まる。ヒロトとメグは二人で泊まれよ。」
「えっ!?」
喜ぶ恵夢をよそに、祐都は慌てた。
「ヒロトはメグと一緒はイヤなのか?」
「イヤじゃないけど!」
「ならいいだろ?」
彬従はさっと華音を横抱きにして抱え上げた。彬従の胸に寄り添う華音は首に掛けたネックレスを握りしめた。
「悪いけど俺達は部屋に行くよ。」
「荷物は私が持って行くね。」
恵夢はすぐに後を追った。
彬従達の後ろ姿を祐都は見送った。言い知れぬ不安が渦巻いていった。
天日の屋敷に戻り、葵は沙良の部屋を塞ぐように立っていた。
「沙良は見つかった?」
由良が来た。
「ご無事です。」
「良かった!中にいるの?」
「はい。」
由良が部屋に入ろうとすると、葵が制した。
「今、柊さまといらっしゃいます。」
耳をすますと、沙良の艶めいた喘ぎ声が漏れ聞こえた。
「シュウったら何してるのよ。傷つくのは自分なのに……」
由良は顔を曇らせた。
沙良は上に重なる柊の汗ばんだ背中に腕を回し抱きしめたまま動かなかった。もっと強く抱いてとねだって立てた爪痕が彼の背中に深く残っていた。
「気は済んだ?」
柊は呼び掛けた。だが沙良はピクリともしなかった。
「そんなにアキが欲しいのか?」
沙良の頬に口づけ柊が問うた。
「欲しいのは赤ちゃん。」
沙良は耳元に囁いた。
「ママは私と由良を16才で産んだ。私ももうすぐ16になる。一族に繁栄をもたらす強い力が欲しい。誰もがうらやむ優秀な後継ぎが欲しい。」
「俺には叶えてやれないな。」
不意に沙良は柊の細い髪を撫でた。
「赤ちゃんを産んで後継者が出来たら、私は自由に恋してもいいのかなぁ。」
「その相手は誰なんだ?」
柊の問いに沙良はまた答えなかった。代わりにそっと口づけを返した。
目が覚めると見慣れぬ部屋は明るくなっていた。
彬従は隣りで眠っていた。顔に出来た幾つもの傷が痛々しい。華音は指でそっと触れた。
左目の下には古い傷がある。これは中学一年生の時、初めてスタメンで出た試合で張り切りすぎて相手の肘鉄を喰らい3針縫った痕だ。
あごの下や肩や腕、胸元にも沢山の傷がある。
生傷が絶えなかったのは、ゴール下の密集に飛び込んで無理やりシュートを決めた姿がカッコ良かったと華音がうっかり誉めてから、彬従が好んで身体を張ったプレイをしたからだ。
「イケメンなのに傷だらけね。」
華音は指でなぞってクスクスと笑った。
「プッ……クククッ!くすぐったいよ!」
彬従は笑い出した。
「いっぱい傷がついちゃった。」
「華音に怪我させるなら、俺が傷だらけになった方がマシだ。」
「私だってアキに傷ついて欲しくない。」
華音はコツンと彬従の頬に頭を寄せた。唇を重ね、舌を差し入れ、彬従を求めた。
「やっぱり華音の誕生日に帰る。」
「ダメよ、学校休んじゃ。」
「華音のそばにいたいんだ。」
彬従はキスを繰り返し、華音の胸を弄っていた手を腹部へ滑らせた。
「もっと欲しい……」
「アキってエッチ。」
そう言いながら華音は身体を開いた。彬従は華音の太ももを割り、痛がらぬようにゆっくり繋いだ。
「覚えておいて、俺は華音のものだから。今も、これからも、俺は華音しか愛さないから……」
彬従の真の意図を華音は理解した。
「いつかアキが他の女の子を抱く日が来るまで、私をアキの腕の中にいさせて……」
彬従の愛撫でずっと押し殺していた感情が溢れ出した。
行為はまだ痛いだけで、喜びには至らなかった。しかし、交わるたびにうっとりと艶めいた表情を浮かべる彬従が愛おしかった。
「抱いて、いっぱい抱いて……」
彬従の愛撫に合わせ、華音は何度も甘く悶えた。
ホテルで朝食を取り、チェックアウトの手続きをとった。祐都と恵夢の間に流れる微妙な空気に、彬従は眉を寄せた。
「ヒロト、会社の人達にお土産を買っていこうよ。」
華音の誘いに祐都はうなずいた。
二人が土産物コーナーであれこれ選んでいる間、彬従と恵夢は並んでベンチに座っていた。
「どうだった、ヒロトとの初めての夜は?」
彬従はニヤリとしながら尋ねた。恵夢は一気に赤くなる。
「いきなり直球?てかなんで初めてって知ってるのよ!」
「ヤってれば、とっくにヒロトが話してる。」
彬従はまたニヤリとした。
「私、ワガママだったかなぁ?」
「上手く行かなかったの?」
「ちゃんと最後までしてくれたよ。でも、私が願っていたのと違ってた。」
恵夢はため息を吐いた。
「私ね、アキがしたみたいにお姫様抱っこして欲しかった。」
「ヒロトのキャラじゃないだろ?あんなクサいことするの。」
「自分がやっといてクサいとか言うな!」
恵夢は笑った。
「心配しなくていいよ。ヒロトはメグに惚れてるから。」
彬従は恵夢の頭を撫でた。
「アキ、私ね、最近思うんだ。ヒロトの『好き』と私の『好き』は違うって。」
目を閉じ、彬従に寄り掛かり、恵夢は語った。
「高校に入ってから逢えない時間が増えたのに、空いた時間をヒロトはアキに逢うために使ってしまう。ヒロトが私を好きでいて大事にしてくれるのは分かる。分かるけど……ヒロトの一番じゃないのは切ないよ……」
恵夢の目から涙がこぼれた。
「ごめん、俺のせいだ。俺が華音のこととか高塔の家のこととか全部丸投げしてきたから。生真面目なヒロトが必要以上に頑張るの分かっていたのに……」
「アキのせいじゃない。」
恵夢は彬従の手を取り握りしめた。
「ヒロトも華音もみんながそう思ってることだけど、アキがそばにいないことが凄く寂しい。メールや電話じゃダメなの。逢って顔を見ながら、頭を撫でてもらいながら、アキと話がしたいの。」
「ごめん……本当に。」
自分が大切にしてきた世界が、音を立てずに崩れていく。
―――家を出たのは間違いだったのか……
彬従は恵夢の肩を抱き、繋がれた手を強く握り返した。
小さなバッグに荷物を詰めて、彬従は駅に向かった。
学園祭から1週間経ち、明日、華音が16才の誕生日を迎える。
学校には『法事のため』と理由を提出したのに、友達には『彼女の誕生日を祝うため』の帰郷だとバレて、散々冷やかされた。授業の後からでは到着が夜遅くなるものの、1秒でも早く帰りたかった。
切符を買おうと券売機にコインを投入すると、突然後ろから手が伸びてきた。
「よぉ、俺の分も買ってよ。」
色白の背の高い男がニコニコしながら立っていた。彬従は思わず目を剥いた。
「シュウ、なんでいるの!」
「ちょっと野暮用でね。アキは華音の誕生日を祝いに帰るんだろ?俺もお祝いしたいな。」
「来なくていいよ。」
「友達なんだからいいだろ?」
「女の子を張り倒すような奴は友達じゃない。」
彬従の態度は頑としていた。
「そう言わないで、一緒に行こう。」
柊は諦めず、勝手に彬従の隣の席を確保した。
「フラフラしていて大丈夫なのか?……その、誰かに狙われたりしないのか?」
「そういうこともあるかもね?」
柊はフフッと嘲笑った。
彬従の携帯電話が震えた。華音からだ。
「もしもし?今から列車に乗るよ。」
「分かった!アキの家でヒロトと待ってるね!」
彬従は唖然とした。
―――誕生日を二人きりで祝おうって気は無いのか?
「華音?俺も一緒だよ。華音の誕生日をお祝いしに行くね。」
柊が顔をすり寄せ、彬従の携帯越しに話し掛けた。
「シュウ君?また逢えるのね!嬉しいわ!」
華音の声色が一段跳ね上がった。
「なんで嬉しいんだよ!」
携帯の向こう側で明らかに戸惑う華音の呟きが聞こえた。
「じゃあな。」
彬従はイライラと電話を切った。
「どうしてお前みたいな奴がいいんだ?」
「それはお互い様だろ。」
柊はフーッと息を吐き、シートに深く埋もれた。
「沙良も今まではストーカーまがいの真似をするような奴じゃなかった。護衛も付けずに独りで行動なんかしなかった。アキに狂わされているとしか思えない。」
「俺にそんな魅力があるとは思えないけどな。」
「自覚が無い分ムカつくね。」
「だから、なんでわざわざついて来るんだよ!」
彬従は柊に詰め寄った。
「いや本当に華音の誕生日を祝いたいだけさ。」
「迷惑なんだけど。」
「華音は喜んでたぜ?」
彬従はムッと黙り込んだ。
「寝るから着いたら起こして。」
柊は腕組みをして目を閉じた。
「お前、自己チューってよく言われるだろ?」
「そんなこと、言われたこと無いけど?」
それきり柊は寝入ってしまった。
暇を持て余した彬従は買ってきた幕の内弁当を一人広げた。
華音は学校のあと、祐都と会社の仕事を手伝っていたが、早めに切り上げて彬従の家に向かうことにした。
「俺が一緒にいること、アキは何か言ってなかった?」
祐都は戸惑い気味に尋ねた。
「別に?」
華音はニコリと答え、パティスリーのショーケースの前でケーキ選びに悩んだ。
「手作りケーキじゃないけどいいかな?アキはこれとこれとこれが好きだと思う!」
「3つとも買えば?余ったら俺が食べるよ。」
「ヒロトのは別に買うよ?」
「いいんじゃない?アキなら平気で全部食うよ。」
「そうだね!アキって甘いものが好きだから!」
華音はケラケラと笑った。
「華音はアキのこと分かっていそうで分かってないよね。」
祐都はふっと呟いた。
彬従はきっと華音と二人きりで誕生日を迎えたいと思っているはずなのに……自分が邪魔な存在なのが祐都には気懸かりだった。
それよりも、彬従に逢うことに気後れしていた。
学園祭があった次の日、土産物を買って戻ると、彬従が恵夢の肩を抱いていた。泣いている恵夢を慰めていたのは分かった。
祐都の心に突き刺さったのは、安心し満足しきった恵夢の表情だった。
最近の恵夢は、逢うたび不機嫌になる。初めての行為のあとも、何が気に入らなかったのかすぐに背を向けてしまった。
言いたいことがあるなら言ってくれればいい、そう言うと、それが気に入らないと返される。それなのに、彬従はあっさりと恵夢の気持ちに応えることが出来るのだ。
―――ヤキモチかな。
祐都は苦笑した。
「ヒロトはどれが好き?」
華音の声でハッと我に帰った。
「俺はあんまり甘くないのがいいな。」
「アキと反対だね!」
華音は明るく笑いかけた。
―――たまにはアキの拗ねた顔を見るのもいいか。
祐都は微笑み返した。
「あれ?4人分あるよ?」
「シュウ君が来るの。」
「誰?」
「アキの友達……友達だっけ?」
華音は首を傾げた。
「ヒロト、最近アキと話してないでしょ?」
「ん、まあ、忙しいから……」
「メグのことが原因?」
図星を刺されて祐都は慌てた。
「俺はアキみたいに女の子を満足させられないからね……」
「メグはもっと甘えたいんじゃない?ヒロトはイチャイチャするのは苦手かもしれないけど。」
「確かになぁ。俺、華音くらいサバサバしている女の子だと気が楽だな。」
「私もヒロトがいると安心する。頼りになるよね!」
華音はあっけらかんと笑った。
―――華音が可愛い……
祐都は湧き上がる気持ちに驚いた。
「ケーキも買ったし、早く帰ろう!」
腕を掴まれ、祐都は動揺した。
―――どうかしてる、華音はアキの彼女なんだぞ……
自分に言い聞かせ、華音と共に夕暮れの街を歩いた。
駅に着き、タクシー乗り場に向かおうとした。すると柊は反対方向に歩き出した。
「どこに行くんだよ?」
「野暮用があるって言っただろ?それが済んだらお前の家に行く。」
彬従を置き去りにし、柊は街中に向かっていく。
「待てよ、俺も行く。」
「華音が待っているんだ、早く帰れよ。」
「お前のことが気になるんだ。」
「もの好きな奴だな。」
フッと鼻で笑うと柊は繁華街を目指した。大きなビルが立ち並ぶ通りを歩いていると、前から見慣れた制服の少年たちがやってきた。彬従の中学のバスケ部の後輩達だ。
「あれ?アキさんじゃないですか!」
「うわっ!いきなり逢えてうれしいっすよ!俺ら塾の帰りなんです!」
慎や直人は久しぶりの再会を喜んだ。柊を興味津々で眺めている。
「アキさんの友達ですか?二人ともバリバリイケメンっすね!」
「悪友だよ!」
彬従はニヤリと笑った。
「いつから悪友なんだよ?」
柊は苦笑した。
「マコト達、全国大会に行ったんだな。応援に行けなくてごめん。」
「ミドりんのおかげっすよ!」
「めちゃくちゃ練習キツかったですけどね!」
慎と直人は照れ笑いを浮かべた。
「アキさん!俺、アキさんの学校を受験しようと思ってるんです。」
慎は顔を輝かせた。
「スポーツ推薦で入るのは無理だけど、一般生でバスケ部に入部するなら可能だってミドりんに言われたんです。入ってからは死ぬ気でがんばらないとベンチにも入れてもらえないらしいですけど。」
「バスケ部の練習は相当キツいよ。寮で同じ部屋の辻って奴がバスケ部だけど、いつも死にそうになってる。来るなら覚悟しておきなよ。」
「頑張ります!全国を目指せるチームでやってみたいんです!」
「ミドりんがOKしたならきっと大丈夫だよ。」
「受かったら遊んでくださいね!」
「美味いラーメン屋に連れて行ってやるよ。」
彬従は笑いながら慎の頭をくしゃくしゃに撫でた。
慎達と別れ、また繁華街を歩いた。
「アキは今まで平和に暮らしてきたんだな。」
柊が呟くように言った。
「俺はこの街に住んでいた間、自分が特別だなんて一度も思ったこと無かったよ。確かに高塔の家は普通の家とは違うけど……」
横を歩く柊を彬従は見つめた。
「この前の女の子、あれからどうなったの?」
柊はふと眉を寄せた。
「アキに嘘をついても無駄だと思うから話すよ。多分あの子はもうこの世にはいない。あの土地で天日家に逆らって生きていられる者はいないからね。」
「そんなこと、本当にあるのか!?」
「年間に何人が行方不明になるか知ってる?」
柊の乾いた笑い声を聞き、彬従は寒気を覚えた。
「あの子は沙良達の家に恨みがあったのか?」
「乗っ取りか何かで会社を奪われ、家族を失ったんだろう……天日家はそうやって力をつけてきたんだ。周りの人間を喰い殺し、自分の縄張りを拡大していく……」
「シュウ、お前この街に何しに来た?」
彬従は足を止めた。
「華音の誕生日を祝うなんて、口実なんじゃないのか?」
数歩先を歩いていた柊が突然立ち止まった。
視線の先に風俗店があり、客らしい男を見送る少女がいた。
柊は走りだし、彼女の腕を掴んだ。
「……柚子葉!」
「君、何をするんだね?」
男が驚いて声を上げた。
「柚子葉だろっ!?」
柊は客を無視してにじり寄った。少女はハッとして柊を見つめた。
「誰かと思ったら、天日の雄蜂じゃない。」
口を歪めて嗤った。
「こんな所で働いているのか?お前まだ16才だろ?」
「身寄りを無くした子供が手っ取り早く生活するには、こんな所で働くしか無いでしょ?」
「……ずっとお前を探していたんだ。」
「じゃあ、お金を持ってお店に来て。あなたの癖ならまだ覚えてる。また何度でもイかせてあげるわ。」
柚子葉の呼ばれた少女は柊の頬にキスすると、店の中に消えて行った。
彬従は声を掛けるのをためらい、柊の様子をうかがった。
「……カッコ悪いところを見られたな。」
柊は俯いたまま、口の端を歪めてそう言った。
「誰なの?」
「んー、元カノ?」
「そんな簡単な仲じゃないだろ?」
「……早く華音の所に行こう。きっと待ちくたびれてるよ。」
何事も無かったように振る舞う柊の背中を、彬従はふと眉を寄せ見つめた。
ボロボロになった彬従と華音の姿を見て、二人は揃ってあたふたとした。
「ちょっと事故に巻き込まれたんだ。」
彬従は誤魔化した。
「薬を貰ってくる!」
恵夢は飛んでいった。
「何があったの?」
祐都が焦って尋ねた。
「後で詳しく話すよ。」
フロントで借りた救急箱を抱えて恵夢が戻った。
「アキ、怪我している所みせて!」
「俺より華音が先だ。」
彬従は救急箱を受け取り、華音の擦り傷に消毒液を吹きかけた。
見るからにズタズタなのはアキなのに、と恵夢は心の中で呟いた。しかし、華音の様子は確かにいつもと違う。ぐったりとして声も出さない。
「今夜は華音の看病するから一緒の部屋に泊まる。ヒロトとメグは二人で泊まれよ。」
「えっ!?」
喜ぶ恵夢をよそに、祐都は慌てた。
「ヒロトはメグと一緒はイヤなのか?」
「イヤじゃないけど!」
「ならいいだろ?」
彬従はさっと華音を横抱きにして抱え上げた。彬従の胸に寄り添う華音は首に掛けたネックレスを握りしめた。
「悪いけど俺達は部屋に行くよ。」
「荷物は私が持って行くね。」
恵夢はすぐに後を追った。
彬従達の後ろ姿を祐都は見送った。言い知れぬ不安が渦巻いていった。
天日の屋敷に戻り、葵は沙良の部屋を塞ぐように立っていた。
「沙良は見つかった?」
由良が来た。
「ご無事です。」
「良かった!中にいるの?」
「はい。」
由良が部屋に入ろうとすると、葵が制した。
「今、柊さまといらっしゃいます。」
耳をすますと、沙良の艶めいた喘ぎ声が漏れ聞こえた。
「シュウったら何してるのよ。傷つくのは自分なのに……」
由良は顔を曇らせた。
沙良は上に重なる柊の汗ばんだ背中に腕を回し抱きしめたまま動かなかった。もっと強く抱いてとねだって立てた爪痕が彼の背中に深く残っていた。
「気は済んだ?」
柊は呼び掛けた。だが沙良はピクリともしなかった。
「そんなにアキが欲しいのか?」
沙良の頬に口づけ柊が問うた。
「欲しいのは赤ちゃん。」
沙良は耳元に囁いた。
「ママは私と由良を16才で産んだ。私ももうすぐ16になる。一族に繁栄をもたらす強い力が欲しい。誰もがうらやむ優秀な後継ぎが欲しい。」
「俺には叶えてやれないな。」
不意に沙良は柊の細い髪を撫でた。
「赤ちゃんを産んで後継者が出来たら、私は自由に恋してもいいのかなぁ。」
「その相手は誰なんだ?」
柊の問いに沙良はまた答えなかった。代わりにそっと口づけを返した。
目が覚めると見慣れぬ部屋は明るくなっていた。
彬従は隣りで眠っていた。顔に出来た幾つもの傷が痛々しい。華音は指でそっと触れた。
左目の下には古い傷がある。これは中学一年生の時、初めてスタメンで出た試合で張り切りすぎて相手の肘鉄を喰らい3針縫った痕だ。
あごの下や肩や腕、胸元にも沢山の傷がある。
生傷が絶えなかったのは、ゴール下の密集に飛び込んで無理やりシュートを決めた姿がカッコ良かったと華音がうっかり誉めてから、彬従が好んで身体を張ったプレイをしたからだ。
「イケメンなのに傷だらけね。」
華音は指でなぞってクスクスと笑った。
「プッ……クククッ!くすぐったいよ!」
彬従は笑い出した。
「いっぱい傷がついちゃった。」
「華音に怪我させるなら、俺が傷だらけになった方がマシだ。」
「私だってアキに傷ついて欲しくない。」
華音はコツンと彬従の頬に頭を寄せた。唇を重ね、舌を差し入れ、彬従を求めた。
「やっぱり華音の誕生日に帰る。」
「ダメよ、学校休んじゃ。」
「華音のそばにいたいんだ。」
彬従はキスを繰り返し、華音の胸を弄っていた手を腹部へ滑らせた。
「もっと欲しい……」
「アキってエッチ。」
そう言いながら華音は身体を開いた。彬従は華音の太ももを割り、痛がらぬようにゆっくり繋いだ。
「覚えておいて、俺は華音のものだから。今も、これからも、俺は華音しか愛さないから……」
彬従の真の意図を華音は理解した。
「いつかアキが他の女の子を抱く日が来るまで、私をアキの腕の中にいさせて……」
彬従の愛撫でずっと押し殺していた感情が溢れ出した。
行為はまだ痛いだけで、喜びには至らなかった。しかし、交わるたびにうっとりと艶めいた表情を浮かべる彬従が愛おしかった。
「抱いて、いっぱい抱いて……」
彬従の愛撫に合わせ、華音は何度も甘く悶えた。
ホテルで朝食を取り、チェックアウトの手続きをとった。祐都と恵夢の間に流れる微妙な空気に、彬従は眉を寄せた。
「ヒロト、会社の人達にお土産を買っていこうよ。」
華音の誘いに祐都はうなずいた。
二人が土産物コーナーであれこれ選んでいる間、彬従と恵夢は並んでベンチに座っていた。
「どうだった、ヒロトとの初めての夜は?」
彬従はニヤリとしながら尋ねた。恵夢は一気に赤くなる。
「いきなり直球?てかなんで初めてって知ってるのよ!」
「ヤってれば、とっくにヒロトが話してる。」
彬従はまたニヤリとした。
「私、ワガママだったかなぁ?」
「上手く行かなかったの?」
「ちゃんと最後までしてくれたよ。でも、私が願っていたのと違ってた。」
恵夢はため息を吐いた。
「私ね、アキがしたみたいにお姫様抱っこして欲しかった。」
「ヒロトのキャラじゃないだろ?あんなクサいことするの。」
「自分がやっといてクサいとか言うな!」
恵夢は笑った。
「心配しなくていいよ。ヒロトはメグに惚れてるから。」
彬従は恵夢の頭を撫でた。
「アキ、私ね、最近思うんだ。ヒロトの『好き』と私の『好き』は違うって。」
目を閉じ、彬従に寄り掛かり、恵夢は語った。
「高校に入ってから逢えない時間が増えたのに、空いた時間をヒロトはアキに逢うために使ってしまう。ヒロトが私を好きでいて大事にしてくれるのは分かる。分かるけど……ヒロトの一番じゃないのは切ないよ……」
恵夢の目から涙がこぼれた。
「ごめん、俺のせいだ。俺が華音のこととか高塔の家のこととか全部丸投げしてきたから。生真面目なヒロトが必要以上に頑張るの分かっていたのに……」
「アキのせいじゃない。」
恵夢は彬従の手を取り握りしめた。
「ヒロトも華音もみんながそう思ってることだけど、アキがそばにいないことが凄く寂しい。メールや電話じゃダメなの。逢って顔を見ながら、頭を撫でてもらいながら、アキと話がしたいの。」
「ごめん……本当に。」
自分が大切にしてきた世界が、音を立てずに崩れていく。
―――家を出たのは間違いだったのか……
彬従は恵夢の肩を抱き、繋がれた手を強く握り返した。
小さなバッグに荷物を詰めて、彬従は駅に向かった。
学園祭から1週間経ち、明日、華音が16才の誕生日を迎える。
学校には『法事のため』と理由を提出したのに、友達には『彼女の誕生日を祝うため』の帰郷だとバレて、散々冷やかされた。授業の後からでは到着が夜遅くなるものの、1秒でも早く帰りたかった。
切符を買おうと券売機にコインを投入すると、突然後ろから手が伸びてきた。
「よぉ、俺の分も買ってよ。」
色白の背の高い男がニコニコしながら立っていた。彬従は思わず目を剥いた。
「シュウ、なんでいるの!」
「ちょっと野暮用でね。アキは華音の誕生日を祝いに帰るんだろ?俺もお祝いしたいな。」
「来なくていいよ。」
「友達なんだからいいだろ?」
「女の子を張り倒すような奴は友達じゃない。」
彬従の態度は頑としていた。
「そう言わないで、一緒に行こう。」
柊は諦めず、勝手に彬従の隣の席を確保した。
「フラフラしていて大丈夫なのか?……その、誰かに狙われたりしないのか?」
「そういうこともあるかもね?」
柊はフフッと嘲笑った。
彬従の携帯電話が震えた。華音からだ。
「もしもし?今から列車に乗るよ。」
「分かった!アキの家でヒロトと待ってるね!」
彬従は唖然とした。
―――誕生日を二人きりで祝おうって気は無いのか?
「華音?俺も一緒だよ。華音の誕生日をお祝いしに行くね。」
柊が顔をすり寄せ、彬従の携帯越しに話し掛けた。
「シュウ君?また逢えるのね!嬉しいわ!」
華音の声色が一段跳ね上がった。
「なんで嬉しいんだよ!」
携帯の向こう側で明らかに戸惑う華音の呟きが聞こえた。
「じゃあな。」
彬従はイライラと電話を切った。
「どうしてお前みたいな奴がいいんだ?」
「それはお互い様だろ。」
柊はフーッと息を吐き、シートに深く埋もれた。
「沙良も今まではストーカーまがいの真似をするような奴じゃなかった。護衛も付けずに独りで行動なんかしなかった。アキに狂わされているとしか思えない。」
「俺にそんな魅力があるとは思えないけどな。」
「自覚が無い分ムカつくね。」
「だから、なんでわざわざついて来るんだよ!」
彬従は柊に詰め寄った。
「いや本当に華音の誕生日を祝いたいだけさ。」
「迷惑なんだけど。」
「華音は喜んでたぜ?」
彬従はムッと黙り込んだ。
「寝るから着いたら起こして。」
柊は腕組みをして目を閉じた。
「お前、自己チューってよく言われるだろ?」
「そんなこと、言われたこと無いけど?」
それきり柊は寝入ってしまった。
暇を持て余した彬従は買ってきた幕の内弁当を一人広げた。
華音は学校のあと、祐都と会社の仕事を手伝っていたが、早めに切り上げて彬従の家に向かうことにした。
「俺が一緒にいること、アキは何か言ってなかった?」
祐都は戸惑い気味に尋ねた。
「別に?」
華音はニコリと答え、パティスリーのショーケースの前でケーキ選びに悩んだ。
「手作りケーキじゃないけどいいかな?アキはこれとこれとこれが好きだと思う!」
「3つとも買えば?余ったら俺が食べるよ。」
「ヒロトのは別に買うよ?」
「いいんじゃない?アキなら平気で全部食うよ。」
「そうだね!アキって甘いものが好きだから!」
華音はケラケラと笑った。
「華音はアキのこと分かっていそうで分かってないよね。」
祐都はふっと呟いた。
彬従はきっと華音と二人きりで誕生日を迎えたいと思っているはずなのに……自分が邪魔な存在なのが祐都には気懸かりだった。
それよりも、彬従に逢うことに気後れしていた。
学園祭があった次の日、土産物を買って戻ると、彬従が恵夢の肩を抱いていた。泣いている恵夢を慰めていたのは分かった。
祐都の心に突き刺さったのは、安心し満足しきった恵夢の表情だった。
最近の恵夢は、逢うたび不機嫌になる。初めての行為のあとも、何が気に入らなかったのかすぐに背を向けてしまった。
言いたいことがあるなら言ってくれればいい、そう言うと、それが気に入らないと返される。それなのに、彬従はあっさりと恵夢の気持ちに応えることが出来るのだ。
―――ヤキモチかな。
祐都は苦笑した。
「ヒロトはどれが好き?」
華音の声でハッと我に帰った。
「俺はあんまり甘くないのがいいな。」
「アキと反対だね!」
華音は明るく笑いかけた。
―――たまにはアキの拗ねた顔を見るのもいいか。
祐都は微笑み返した。
「あれ?4人分あるよ?」
「シュウ君が来るの。」
「誰?」
「アキの友達……友達だっけ?」
華音は首を傾げた。
「ヒロト、最近アキと話してないでしょ?」
「ん、まあ、忙しいから……」
「メグのことが原因?」
図星を刺されて祐都は慌てた。
「俺はアキみたいに女の子を満足させられないからね……」
「メグはもっと甘えたいんじゃない?ヒロトはイチャイチャするのは苦手かもしれないけど。」
「確かになぁ。俺、華音くらいサバサバしている女の子だと気が楽だな。」
「私もヒロトがいると安心する。頼りになるよね!」
華音はあっけらかんと笑った。
―――華音が可愛い……
祐都は湧き上がる気持ちに驚いた。
「ケーキも買ったし、早く帰ろう!」
腕を掴まれ、祐都は動揺した。
―――どうかしてる、華音はアキの彼女なんだぞ……
自分に言い聞かせ、華音と共に夕暮れの街を歩いた。
駅に着き、タクシー乗り場に向かおうとした。すると柊は反対方向に歩き出した。
「どこに行くんだよ?」
「野暮用があるって言っただろ?それが済んだらお前の家に行く。」
彬従を置き去りにし、柊は街中に向かっていく。
「待てよ、俺も行く。」
「華音が待っているんだ、早く帰れよ。」
「お前のことが気になるんだ。」
「もの好きな奴だな。」
フッと鼻で笑うと柊は繁華街を目指した。大きなビルが立ち並ぶ通りを歩いていると、前から見慣れた制服の少年たちがやってきた。彬従の中学のバスケ部の後輩達だ。
「あれ?アキさんじゃないですか!」
「うわっ!いきなり逢えてうれしいっすよ!俺ら塾の帰りなんです!」
慎や直人は久しぶりの再会を喜んだ。柊を興味津々で眺めている。
「アキさんの友達ですか?二人ともバリバリイケメンっすね!」
「悪友だよ!」
彬従はニヤリと笑った。
「いつから悪友なんだよ?」
柊は苦笑した。
「マコト達、全国大会に行ったんだな。応援に行けなくてごめん。」
「ミドりんのおかげっすよ!」
「めちゃくちゃ練習キツかったですけどね!」
慎と直人は照れ笑いを浮かべた。
「アキさん!俺、アキさんの学校を受験しようと思ってるんです。」
慎は顔を輝かせた。
「スポーツ推薦で入るのは無理だけど、一般生でバスケ部に入部するなら可能だってミドりんに言われたんです。入ってからは死ぬ気でがんばらないとベンチにも入れてもらえないらしいですけど。」
「バスケ部の練習は相当キツいよ。寮で同じ部屋の辻って奴がバスケ部だけど、いつも死にそうになってる。来るなら覚悟しておきなよ。」
「頑張ります!全国を目指せるチームでやってみたいんです!」
「ミドりんがOKしたならきっと大丈夫だよ。」
「受かったら遊んでくださいね!」
「美味いラーメン屋に連れて行ってやるよ。」
彬従は笑いながら慎の頭をくしゃくしゃに撫でた。
慎達と別れ、また繁華街を歩いた。
「アキは今まで平和に暮らしてきたんだな。」
柊が呟くように言った。
「俺はこの街に住んでいた間、自分が特別だなんて一度も思ったこと無かったよ。確かに高塔の家は普通の家とは違うけど……」
横を歩く柊を彬従は見つめた。
「この前の女の子、あれからどうなったの?」
柊はふと眉を寄せた。
「アキに嘘をついても無駄だと思うから話すよ。多分あの子はもうこの世にはいない。あの土地で天日家に逆らって生きていられる者はいないからね。」
「そんなこと、本当にあるのか!?」
「年間に何人が行方不明になるか知ってる?」
柊の乾いた笑い声を聞き、彬従は寒気を覚えた。
「あの子は沙良達の家に恨みがあったのか?」
「乗っ取りか何かで会社を奪われ、家族を失ったんだろう……天日家はそうやって力をつけてきたんだ。周りの人間を喰い殺し、自分の縄張りを拡大していく……」
「シュウ、お前この街に何しに来た?」
彬従は足を止めた。
「華音の誕生日を祝うなんて、口実なんじゃないのか?」
数歩先を歩いていた柊が突然立ち止まった。
視線の先に風俗店があり、客らしい男を見送る少女がいた。
柊は走りだし、彼女の腕を掴んだ。
「……柚子葉!」
「君、何をするんだね?」
男が驚いて声を上げた。
「柚子葉だろっ!?」
柊は客を無視してにじり寄った。少女はハッとして柊を見つめた。
「誰かと思ったら、天日の雄蜂じゃない。」
口を歪めて嗤った。
「こんな所で働いているのか?お前まだ16才だろ?」
「身寄りを無くした子供が手っ取り早く生活するには、こんな所で働くしか無いでしょ?」
「……ずっとお前を探していたんだ。」
「じゃあ、お金を持ってお店に来て。あなたの癖ならまだ覚えてる。また何度でもイかせてあげるわ。」
柚子葉の呼ばれた少女は柊の頬にキスすると、店の中に消えて行った。
彬従は声を掛けるのをためらい、柊の様子をうかがった。
「……カッコ悪いところを見られたな。」
柊は俯いたまま、口の端を歪めてそう言った。
「誰なの?」
「んー、元カノ?」
「そんな簡単な仲じゃないだろ?」
「……早く華音の所に行こう。きっと待ちくたびれてるよ。」
何事も無かったように振る舞う柊の背中を、彬従はふと眉を寄せ見つめた。
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