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14 ゾンビが来る
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俺たちの街の近くに突然森が出現した。
近くまで行って確認したが、ただの深い森に見えた。
人の手が入っていない原始の森のようだった。
一応、ホビットたちには、あまり近づかないようにと言ってある。
たいした脅威はなさそうだと思っていたのだが……。
「ヒィィィ、領主様ぁぁ!」
ある日、血相を変えたホビットが、森の方角から自転車を飛ばしてやって来た。
森の方面を警戒していた魔狼たちも、その後からついてくる。
よくよく目を凝らすと、彼らのはるか後方から、何か集団が歩いて来ている。
「人? に見えるが、違うかな」
パッと見た感じ五十人ほどの一団だ。
しかし、人にしてはややぎこちなく、ちょっと足並みがバラバラすぎる。
怪我人だらけなのか?
「領主様、ゾゾゾ、ゾンビです!」
息を切らせて駆け寄ってきたホビットが、なんとか言葉を絞り出す。
「なにぃ、ゾンビだと?」
バンパイアの俺が言うのもおかしいが、まさかそんなものまで出てくるとは。
そういえば以前は、ゾンビ物の映画とか結構好んでみていたな。
どちらかというとホラー映画というより、サバイバル物の一種としてみていたと思う。あんなものを怖がれといわれても困るしな。
真面目に考えると、ゾンビなんか脅威でも何でもないし、ウォー〇ング〇ッドなんかでも、結局人の敵は人だったし。
「本当にゾンビなんだろうな? 歩く死体のゾンビなのか?」
「そうです。確かにゾンビです、領主様」
他のホビットたちも集まってきた。
「「「キャァ! ゾンビだぁ!」」」
ホビットたちは真面目に怖がっている。
俺はゾンビ物では言ってはいけないセリフを口に出す。
「あいつらもともと死んでるんだろ?
すでに死んでる奴を殺せるのかな?」
「どうなんでしょうか……」
「けど、もっともな疑問ではありますね」
そうこう言っているうちに、ゾンビの集団は俺たちから三十メートル先ほどまでやって来た。どう見ても話し合いに来た、という感じではない。
「ウガー!」「アゥアゥ」「ゥゥゥゥゥ……」「ガゥガゥガゥ」
「それ以上近づいたら、ぶっとばす!」
奴らには意味ないと思ったが一応警告して、愛用のロングソードを構えた。
しかし、奴らには俺の言葉が耳に入らないのか、一瞬たりとも止まる様子を見せず、ゆっくりと俺たちの方に近づいてきた。
「だよなぁ。じゃぁ仕方がない」
俺は素早く奴らの懐に踏み込むと、力任せにロングソードを横に一閃。先頭にいた十体ほどの首を、いっぺんに飛ばしてやった。
ザシュッ! ボトボトボト……
「「「キャァ!!」」」
「うわっ! 臭っ! やっぱり中身が腐ってるんだな……」
辺りに強烈な腐敗臭が充満した。
いつもは威勢の良い魔狼たちも、今日ばかりは後ずさりしている。傍らのポチを見ると鼻をそむけて、ものすごく嫌そうな顔をしていた。
確かにこんなのを口に入れたくはないよなぁ。
悪食の俺でも、こんな連中の血はぜったに飲みたくないし。
ホビットたちはさらに十メートル以上後退した。
ゾンビたちは先頭集団が目の前で倒されても、全く気にする様子もない。
いままでと同じペースでゆっくりと前進してくる。
「しょうがないな、面倒だから全滅させるぞ」
俺はゾンビたちの首をサクサク狩って、とりあえず片付けた。
奴らは頭と体を切り分ければ死ぬっぽい。
首だけでも動くとか、首なしでも動くとか、そういうことはなさそうだ。
バタ〇アンタイプだったらヤバいが、こいつらはただ汚いだけの的だな。
自慢のロングソードは腐肉と腐った脂でベットベトだ。
「あぁ、俺のエクスカリバーが穢れてしまった……」
ドワーフ謹製の業物をそのままにはできず、丁寧に掃除をしてから鞘に戻した。
問題はそこら中に散らばる腐乱死体の山。
俺たちは臭さに泣きながら、死体を一カ所に集め燃やしてやった。
あらかた作業が終わったころ。
ホビットの一人が絶望的な顔で森を指さして叫んだ。
「りょっ、領主様! また来ました!」
「えぇぇ……」
俺は心の中で泣いた。
近くまで行って確認したが、ただの深い森に見えた。
人の手が入っていない原始の森のようだった。
一応、ホビットたちには、あまり近づかないようにと言ってある。
たいした脅威はなさそうだと思っていたのだが……。
「ヒィィィ、領主様ぁぁ!」
ある日、血相を変えたホビットが、森の方角から自転車を飛ばしてやって来た。
森の方面を警戒していた魔狼たちも、その後からついてくる。
よくよく目を凝らすと、彼らのはるか後方から、何か集団が歩いて来ている。
「人? に見えるが、違うかな」
パッと見た感じ五十人ほどの一団だ。
しかし、人にしてはややぎこちなく、ちょっと足並みがバラバラすぎる。
怪我人だらけなのか?
「領主様、ゾゾゾ、ゾンビです!」
息を切らせて駆け寄ってきたホビットが、なんとか言葉を絞り出す。
「なにぃ、ゾンビだと?」
バンパイアの俺が言うのもおかしいが、まさかそんなものまで出てくるとは。
そういえば以前は、ゾンビ物の映画とか結構好んでみていたな。
どちらかというとホラー映画というより、サバイバル物の一種としてみていたと思う。あんなものを怖がれといわれても困るしな。
真面目に考えると、ゾンビなんか脅威でも何でもないし、ウォー〇ング〇ッドなんかでも、結局人の敵は人だったし。
「本当にゾンビなんだろうな? 歩く死体のゾンビなのか?」
「そうです。確かにゾンビです、領主様」
他のホビットたちも集まってきた。
「「「キャァ! ゾンビだぁ!」」」
ホビットたちは真面目に怖がっている。
俺はゾンビ物では言ってはいけないセリフを口に出す。
「あいつらもともと死んでるんだろ?
すでに死んでる奴を殺せるのかな?」
「どうなんでしょうか……」
「けど、もっともな疑問ではありますね」
そうこう言っているうちに、ゾンビの集団は俺たちから三十メートル先ほどまでやって来た。どう見ても話し合いに来た、という感じではない。
「ウガー!」「アゥアゥ」「ゥゥゥゥゥ……」「ガゥガゥガゥ」
「それ以上近づいたら、ぶっとばす!」
奴らには意味ないと思ったが一応警告して、愛用のロングソードを構えた。
しかし、奴らには俺の言葉が耳に入らないのか、一瞬たりとも止まる様子を見せず、ゆっくりと俺たちの方に近づいてきた。
「だよなぁ。じゃぁ仕方がない」
俺は素早く奴らの懐に踏み込むと、力任せにロングソードを横に一閃。先頭にいた十体ほどの首を、いっぺんに飛ばしてやった。
ザシュッ! ボトボトボト……
「「「キャァ!!」」」
「うわっ! 臭っ! やっぱり中身が腐ってるんだな……」
辺りに強烈な腐敗臭が充満した。
いつもは威勢の良い魔狼たちも、今日ばかりは後ずさりしている。傍らのポチを見ると鼻をそむけて、ものすごく嫌そうな顔をしていた。
確かにこんなのを口に入れたくはないよなぁ。
悪食の俺でも、こんな連中の血はぜったに飲みたくないし。
ホビットたちはさらに十メートル以上後退した。
ゾンビたちは先頭集団が目の前で倒されても、全く気にする様子もない。
いままでと同じペースでゆっくりと前進してくる。
「しょうがないな、面倒だから全滅させるぞ」
俺はゾンビたちの首をサクサク狩って、とりあえず片付けた。
奴らは頭と体を切り分ければ死ぬっぽい。
首だけでも動くとか、首なしでも動くとか、そういうことはなさそうだ。
バタ〇アンタイプだったらヤバいが、こいつらはただ汚いだけの的だな。
自慢のロングソードは腐肉と腐った脂でベットベトだ。
「あぁ、俺のエクスカリバーが穢れてしまった……」
ドワーフ謹製の業物をそのままにはできず、丁寧に掃除をしてから鞘に戻した。
問題はそこら中に散らばる腐乱死体の山。
俺たちは臭さに泣きながら、死体を一カ所に集め燃やしてやった。
あらかた作業が終わったころ。
ホビットの一人が絶望的な顔で森を指さして叫んだ。
「りょっ、領主様! また来ました!」
「えぇぇ……」
俺は心の中で泣いた。
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