不死身のバンパイアになった俺は、廃墟と化したこの世界で好きに生きようと思います

珈琲党

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13 森

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 ホビットたちには男女の区別があるし、子供たちもいる。
 しかし、ドワーフの女って全然見ないし、少なくとも俺が見たドワーフってみんなひげもじゃ親父しかいない。
 普通の生き物じゃなくて、いわゆる妖精的な存在なんだろうか。問いただしたりする程のことではないが、たまに気になったりする。

 まぁ、俺だってバンパイアだし、俺自身良く分からないことも多いから、あまり深く追求しても仕方がないのかもしれない。
 そういえば、俺は太陽光で灰になったりしないし、流れ水を渡れないこともないし、十字架には興味すらないし、鏡にも写る。映画や小説の設定が間違っているのかもしれないが、俺が実はバンパイアとは違う存在なのかもしれない。
 よく考えたら、なぜ自分をバンパイアであると認識しているのか。目が覚めたときに、すでにそうに違いないと確信していたのだが、なぜそう思ったのか謎だな。
 答えの出ない問いが頭の中をぐるぐる回る。

 そろそろ夜が明ける。
 すこし横になって頭を休めよう。俺は自室の布団に潜り込んだ。
 寝床の中で伸びをして、やれやれと息をついたところ、

 ズドーン

 一瞬地面が持ち上がったような非常に大きな振動が一度、直後にびりびりと小さな振動が続いた。

「……む、地震か? 震度5ってとこか?
 そういえば、この感じ、何か既視感があるな……」

 ポチがガゥガゥと何かを訴えながら部屋に入ってきた。
 やはり単なる地震ではなさそうだ。

 下の階に降りてみると、ホビットたちがやはり大騒ぎしていた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ大変だぁ!」
「地面が爆発したんだ!」
「いや、タイタンの襲撃だ!」
「神様がお怒りなのだ」
「魔人か魔王か悪魔の仕業に違いないぃぃ!」

 ざっと見渡したところ、どこも壊れてないし怪我人もいなさそうだ。

「まてまて、落ち着け。
 誰か怪我をした者はいるか?」

「「「領主さまぁ~!」」

 ホビットたちが集まってくる。

「どうだ、怪我をした者は?」

「「「……いえ、誰も」」」
 
「大丈夫。
 これぐらいの揺れじゃぁ、この建物は何ともならんよ。
 前にもこんなことあっただろ?」

「おぉぉぉぉ!」
「さすが領主様のお屋敷だ」
「落ち着いておられる」
「やはり格が違う……」

 ようやくホビットたちが落ち着きを取り戻す。

「この展開は以前にもあったな……」

 ピンときた俺は屋上に駆け上がった。
 屋上から庁舎の周囲を見わたすと、すぐに異変に気が付いた。
 俺の後から上がってきたホビットたちも、口を開けてポカンとしている。

「嘘だろ……」

 ドワーフたちの鉱山とは庁舎を挟んでちょうど真反対の位置に、巨大な森が出現していたのだった。この高さからでは森の果てが良く分からない。富士の樹海もかくや、という程の大森林だった。

「ちょっと見てくる。
 お前たちは中にいろ」

 俺はポチ達を連れて、森まで走った。

 距離的にもドワーフの鉱山と同じくらいで、三十分ほどで森に到着した。
 人の手が入っていない、全くの自然な状態の森に見える。
 種類は良く知らないが、幹が真っすぐの針葉樹が、それこそビル程の高さにみっしりとそびえ立っている。
 木の根元には、落ちた枝葉が高く積み重なり、倒れた木がさらに折り重なり、そのすき間にはシダ植物がわさわと生い茂っている。
 分け入っていくには相当の覚悟が必要だ。見える範囲には中へ続く道などは存在しない。ポチ達ですら、森の前でウロウロするだけだ。

「これは何もしようがないな」

 俺たちはしばらく森に沿って歩き回ったが、同じような光景が続くばかりだった。俺は頭を抱えながら庁舎に戻った。



「「「領主様!」」」

 心配していたらしいホビットたちが駆け寄ってくる。

「問題ない。
 単に巨大な森が飛んできただけだ」

 もちろんとんでもない異常事態だが、原因不明だし対処不能なので、なるようにしかならない。素直に受け入れて、納得するしかないのだった。

「「「えぇぇぇぇ!」」」







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