17 / 53
17.ルイーズ嬢への説明
しおりを挟む
俺とアルバート、エミリア嬢はおなじクラスだけど、午後はそれぞれ別の授業をとってた。だから俺は、昼休みのあとエミリア嬢がどうしてたのかを知らなかった。
放課後、ルイーズ嬢が一時間ほど遅く碧の間に来たとき、俺たちはテーブルに教科書とノートを広げてた。
「おや、勉強会のためにここを借りたのかな」
「待っているあいだ、暇だったからね」
授業の関係で、ルイーズ嬢が遅れて来ることはわかってた。そのあいだにアルバートが今日の授業の内容について俺に質問してきて、なんとなくおたがいわからないことを教えあう流れになってた。
テーブルの上を片づけているあいだに、ルイーズ嬢が席についた。
「あらためて紹介しよう、彼女は知人のルイーズ嬢だ。学年は二年で、私たちより一歳上になる」
ルイーズ嬢は、アルバートと知り合いだっていうことをのぞいても、どうみても貴族だった。たとえば身だしなみがきちんとしてるっていうだけなら、裕福な平民のほうが貧乏貴族よりよっぽど丁寧に磨かれてることだってあるだろう。でもルイーズ嬢には、他人を従わせることに慣れた貫禄だったり、格式に裏打ちされたような優雅さがあった。長く続いた貴族の家特有の雰囲気ってやつだ。
「こちらはノア。私の同級生だ」
「よろしくね、ノアくん」
ルイーズ嬢が右手を差し出してくれる。俺も右手を出して、そして、ルイーズ嬢の手をペンッて払った。
なにをするんだ、俺の右手くん!
「なれあいは必要ない」
ルイーズ嬢ごめんなさい! 絶対、無礼だって怒鳴られる。そう思ったら。
「そうなんだ。うん、わたしもそう思うよ」
にこやかに手を引っこめられた。
これ、ルイーズ嬢の心が広いからじゃない。ほほ笑みの裏でなにを考えてるのか、想像ができない。できないし、ちょっと考えようとしただけで怖くて胃が痛くなった。怒鳴って殴ってくれたほうが、よっぽどよかった。
アルバートが、何事もなかったかのように話し始める。
「昼間に別れたあと、エミリア嬢はどうした?」
「それはアルバート王子としての質問かな、それともイスヴェニア学園生としての質問かい?」
「学園内で、王子としての身分をもちだすつもりはない」
「なら、いわせてもらうよ」
ルイーズ嬢が、椅子の背にもたれて腕組みをした。
「今日の昼間のことといい、いまの状況といいさ。意図もわからず、わたしばかり使われるのは不本意なんだけどね」
「安心してくれ、私も状況はおなじだ」
「はあ? どういうことさ」
たしかにな。アルバートは、俺がどうしてエミリア嬢の事情を探ろうとしてるのかを知らないからな。
「その件については、あとで説明をしよう。まず、昼間のことを教えてくれ」
「たいして話すことはないよ」
俺たちがいなくなったあと、エミリア嬢は地面に座りこんだまま、「言えません……」、「わかりません……」と言うばかりだったらしい。ルイーズ嬢はそんな彼女の気持ちがどうにか静まってから、化粧室に連れて行って顔や身なりを整えるのを手伝った。教室に送り届けるころには、エミリア嬢はどうにか平静を保てる程度まで回復していたらしい。
「自分の指が上手く動かなくなった原因がわからないって言ってたけど、なにかをごまかしてるんだろうね。知っているか、少なくとも心当たりはあるんだと思うよ」
「原因を聞き出せなかったのか。無能だな」
俺の口が、また無礼をはたらいた!
ルイーズ嬢が、冷え冷えとした視線を俺に向けた。
「事前にアルバートから注意されていなければ、いまごろ君とは口をきいていないよ、ノアくん」
「いまからでも遅くないが? くだらない人間にわずらわされる時間が減るのは大歓迎だ」
くだらないなんて思ってない。ルイーズ嬢は、知れば知るほど「王子さまかな?」っていうくらい、カッコよくてやさしくて気配りができる人です! いや、本物の王子さまは俺の隣に座ってるけどさ。
「意見が一致したね。そういうわけで、私はここで降りるよ。あとは――」
「結論を急ぐな、ルイーズ。ノアは、口に出すことはたしかに無礼だが、本当に言いたいことは違う。いまも心の中では、ルイーズのことを悪く思っていない」
「そんなふうにかばわれてもね。アルバートには本音を話してるから、許せって?」
「いいや。誰にでもノアはおなじ態度だ。もちろん私にもな」
「なんだい、それは。じゃあいまの話は、ただのアルバートの想像……」
言いかけて、ルイーズ嬢が黙った。俺とアルバートを見比べてから、片方の眉を上げてみせた。
「まさかとは思うけど」
アルバートがうなずく。ルイーズ嬢は、動揺したようにまばたきをした。
「ひょっとして、あなたの推測には根拠がある、と。アルバート、そういうことなのかい」
「ああ、そうだ」
アルバートが目じりを下げて笑った。反対にルイーズ嬢の眼光は鋭くなった。
「ルイーズ、大丈夫だ。ノアには私の祝福について話している」
この様子だと、ルイーズ嬢も祝福のことを知ってるみたいだ。彼女が「根拠」って曖昧にしたのは、他人が明かせることじゃないからだろう。
ルイーズ嬢が、値踏みするように俺を見た。
「そうなると、アルバートの言うことをわたしも信じざるをえない。だけどねノアくん、きみの態度と本心が違うというなら、言い方をもう少しどうにかできないのかい」
「凡人に理解されるために媚びろとでも? まっぴらだな」
「ルイーズ、これはこれで慣れるとおもしろいぞ」
アルバートのおかげでルイーズ嬢の態度が少し軟化した。でも彼女は、まだここに残るか出ていくかを決めかねているようだ。
アルバートが、彼女をまっすぐに見た。
「ルイーズ、君の力を貸してほしい」
二人が、視線で無言の押し問答をする。先に折れたのはルイーズ嬢だった。彼女は、「とりあえず、ノアくんの口調は気にとめないことにしよう。ただし、しばらくのあいだだけだからね」って譲歩してくれた。
「さて、ルイーズは今日の行動の意図がわからないと言ったな。その疑問に答えるためと、私の考えを整理するために、少しさかのぼったところから話したい」
アルバートの話が長くなりそうだったから、カップを手にとった。中身は冷めてたけど、気にせず口をつけた。
「入学して以来、ノアはなにかを調べている、もしくは誰かを探しているようだった」
驚いて茶を噴き出しかけた。どれだけ鋭いんだよ、こいつ。
「私が初めてノアと顔を合わせたのは、学園の初日だ。あまりにも傲岸不遜が過ぎていて、怒ったりあきれたりするより、逆に興味を惹かれたよ」
ボブとの会話のことだろうなあ。
そのあとアルバートは、教室で全員が自己紹介をしたときのことを話した。彼は、話している生徒にもだけど、俺により注意を払っていたらしい。俺の同級生を見る目がやけに執拗だったのが気になったからだといわれた。
それって粘着質にみえたってことだろうか。俺は、呪われた人がいるかどうかを必死に探ってただけだったけど、気持ち悪い人間だって同級生に思われてたのか。
「ノア、おちこむな。執拗といったのは、同級生のあいさつをきくというより、外交の場で相手の真意を見抜こうとする……とは、少し違うな。そうだな、医師が患者を診断するときのようだった、といったほうが近いか」
そうはいっても、じろじろ観察されてみんな不快だったかな。「ごめんなさい帳」に書くことがまた増えてしまった。
「気にすることはない、私のほかにノアの態度に気づいた人間はいないだろう。それに、そもそも君の評判はとっくに地に落ちているんだ」
俺の人気は最低だから、これ以上下がることはないっていわれた。それ、慰めになってないから。
悔しまぎれに、アルバートだって自己紹介のとき、おかしな態度をとってただろっていってみた。パティ嬢がトレヴァーの求婚を受けたとき、二人のところに行ってお祝いしなかったのは俺とアルバートだけだったからだ。そうしたらアルバートから、事情がわからないのに二人を祝福したら、王子が仲を認めたことになるからなにも言えなかったって返された。なんと、あのとき座ったままだったのには、そんな理由があったのか。
「ルイーズ、教室でのノアはおおむね避けられている。だが彼は、同級生たちから怯えられようが逃げられようがおかまいなしに、脈絡なく話しかけるときがある。かといって会話を続けるつもりはないようで、返答があったら自分だけ納得して相手を放置することが多い」
話しかけたのは、同級生たちのおしゃべりのなかで、呪いを特定できるんじゃないかって思う話題が出たときだ。強引に割って入るのは、別の機会に世間話で聞きだすなんて真似はできないからで。そのくせすぐ他所に行ったのは……呪いのせいで暴言しか吐けないから、会話にならなかっただけだよ……。
「きっと本人にはなにか理由があるんだろうが、はたからみていてもそれがさっぱりつかめない。理解ができなさすぎて、ノアを観察しているうちに、彼がしたいことはなんだろうと考えるようになった」
「あなたが、そんなに物好きだとは知らなかったよ」
「どうしてもノアが悪い人間にはみえなかったからね。だから話をしてみたくて、私からしゃべりかけるようになったんだ」
そうやって俺と交流をとろうとしているうちに、今日昼食をとった場所でエミリア嬢やオードリー嬢と出会ったんだって説明が続いた。
「エミリア嬢とオードリー嬢のあいだには、確執がありそうだった。しかしそれを調べるために私が令嬢たちに接すると、よくない噂がたつかもしれない。だからルイーズ、君に協力してもらったんだ」
その結果が、今日の昼休みというわけだ。
ルイーズ嬢は考えをまとめるように、右手の人差し指でトントンとテーブルを叩いた。
放課後、ルイーズ嬢が一時間ほど遅く碧の間に来たとき、俺たちはテーブルに教科書とノートを広げてた。
「おや、勉強会のためにここを借りたのかな」
「待っているあいだ、暇だったからね」
授業の関係で、ルイーズ嬢が遅れて来ることはわかってた。そのあいだにアルバートが今日の授業の内容について俺に質問してきて、なんとなくおたがいわからないことを教えあう流れになってた。
テーブルの上を片づけているあいだに、ルイーズ嬢が席についた。
「あらためて紹介しよう、彼女は知人のルイーズ嬢だ。学年は二年で、私たちより一歳上になる」
ルイーズ嬢は、アルバートと知り合いだっていうことをのぞいても、どうみても貴族だった。たとえば身だしなみがきちんとしてるっていうだけなら、裕福な平民のほうが貧乏貴族よりよっぽど丁寧に磨かれてることだってあるだろう。でもルイーズ嬢には、他人を従わせることに慣れた貫禄だったり、格式に裏打ちされたような優雅さがあった。長く続いた貴族の家特有の雰囲気ってやつだ。
「こちらはノア。私の同級生だ」
「よろしくね、ノアくん」
ルイーズ嬢が右手を差し出してくれる。俺も右手を出して、そして、ルイーズ嬢の手をペンッて払った。
なにをするんだ、俺の右手くん!
「なれあいは必要ない」
ルイーズ嬢ごめんなさい! 絶対、無礼だって怒鳴られる。そう思ったら。
「そうなんだ。うん、わたしもそう思うよ」
にこやかに手を引っこめられた。
これ、ルイーズ嬢の心が広いからじゃない。ほほ笑みの裏でなにを考えてるのか、想像ができない。できないし、ちょっと考えようとしただけで怖くて胃が痛くなった。怒鳴って殴ってくれたほうが、よっぽどよかった。
アルバートが、何事もなかったかのように話し始める。
「昼間に別れたあと、エミリア嬢はどうした?」
「それはアルバート王子としての質問かな、それともイスヴェニア学園生としての質問かい?」
「学園内で、王子としての身分をもちだすつもりはない」
「なら、いわせてもらうよ」
ルイーズ嬢が、椅子の背にもたれて腕組みをした。
「今日の昼間のことといい、いまの状況といいさ。意図もわからず、わたしばかり使われるのは不本意なんだけどね」
「安心してくれ、私も状況はおなじだ」
「はあ? どういうことさ」
たしかにな。アルバートは、俺がどうしてエミリア嬢の事情を探ろうとしてるのかを知らないからな。
「その件については、あとで説明をしよう。まず、昼間のことを教えてくれ」
「たいして話すことはないよ」
俺たちがいなくなったあと、エミリア嬢は地面に座りこんだまま、「言えません……」、「わかりません……」と言うばかりだったらしい。ルイーズ嬢はそんな彼女の気持ちがどうにか静まってから、化粧室に連れて行って顔や身なりを整えるのを手伝った。教室に送り届けるころには、エミリア嬢はどうにか平静を保てる程度まで回復していたらしい。
「自分の指が上手く動かなくなった原因がわからないって言ってたけど、なにかをごまかしてるんだろうね。知っているか、少なくとも心当たりはあるんだと思うよ」
「原因を聞き出せなかったのか。無能だな」
俺の口が、また無礼をはたらいた!
ルイーズ嬢が、冷え冷えとした視線を俺に向けた。
「事前にアルバートから注意されていなければ、いまごろ君とは口をきいていないよ、ノアくん」
「いまからでも遅くないが? くだらない人間にわずらわされる時間が減るのは大歓迎だ」
くだらないなんて思ってない。ルイーズ嬢は、知れば知るほど「王子さまかな?」っていうくらい、カッコよくてやさしくて気配りができる人です! いや、本物の王子さまは俺の隣に座ってるけどさ。
「意見が一致したね。そういうわけで、私はここで降りるよ。あとは――」
「結論を急ぐな、ルイーズ。ノアは、口に出すことはたしかに無礼だが、本当に言いたいことは違う。いまも心の中では、ルイーズのことを悪く思っていない」
「そんなふうにかばわれてもね。アルバートには本音を話してるから、許せって?」
「いいや。誰にでもノアはおなじ態度だ。もちろん私にもな」
「なんだい、それは。じゃあいまの話は、ただのアルバートの想像……」
言いかけて、ルイーズ嬢が黙った。俺とアルバートを見比べてから、片方の眉を上げてみせた。
「まさかとは思うけど」
アルバートがうなずく。ルイーズ嬢は、動揺したようにまばたきをした。
「ひょっとして、あなたの推測には根拠がある、と。アルバート、そういうことなのかい」
「ああ、そうだ」
アルバートが目じりを下げて笑った。反対にルイーズ嬢の眼光は鋭くなった。
「ルイーズ、大丈夫だ。ノアには私の祝福について話している」
この様子だと、ルイーズ嬢も祝福のことを知ってるみたいだ。彼女が「根拠」って曖昧にしたのは、他人が明かせることじゃないからだろう。
ルイーズ嬢が、値踏みするように俺を見た。
「そうなると、アルバートの言うことをわたしも信じざるをえない。だけどねノアくん、きみの態度と本心が違うというなら、言い方をもう少しどうにかできないのかい」
「凡人に理解されるために媚びろとでも? まっぴらだな」
「ルイーズ、これはこれで慣れるとおもしろいぞ」
アルバートのおかげでルイーズ嬢の態度が少し軟化した。でも彼女は、まだここに残るか出ていくかを決めかねているようだ。
アルバートが、彼女をまっすぐに見た。
「ルイーズ、君の力を貸してほしい」
二人が、視線で無言の押し問答をする。先に折れたのはルイーズ嬢だった。彼女は、「とりあえず、ノアくんの口調は気にとめないことにしよう。ただし、しばらくのあいだだけだからね」って譲歩してくれた。
「さて、ルイーズは今日の行動の意図がわからないと言ったな。その疑問に答えるためと、私の考えを整理するために、少しさかのぼったところから話したい」
アルバートの話が長くなりそうだったから、カップを手にとった。中身は冷めてたけど、気にせず口をつけた。
「入学して以来、ノアはなにかを調べている、もしくは誰かを探しているようだった」
驚いて茶を噴き出しかけた。どれだけ鋭いんだよ、こいつ。
「私が初めてノアと顔を合わせたのは、学園の初日だ。あまりにも傲岸不遜が過ぎていて、怒ったりあきれたりするより、逆に興味を惹かれたよ」
ボブとの会話のことだろうなあ。
そのあとアルバートは、教室で全員が自己紹介をしたときのことを話した。彼は、話している生徒にもだけど、俺により注意を払っていたらしい。俺の同級生を見る目がやけに執拗だったのが気になったからだといわれた。
それって粘着質にみえたってことだろうか。俺は、呪われた人がいるかどうかを必死に探ってただけだったけど、気持ち悪い人間だって同級生に思われてたのか。
「ノア、おちこむな。執拗といったのは、同級生のあいさつをきくというより、外交の場で相手の真意を見抜こうとする……とは、少し違うな。そうだな、医師が患者を診断するときのようだった、といったほうが近いか」
そうはいっても、じろじろ観察されてみんな不快だったかな。「ごめんなさい帳」に書くことがまた増えてしまった。
「気にすることはない、私のほかにノアの態度に気づいた人間はいないだろう。それに、そもそも君の評判はとっくに地に落ちているんだ」
俺の人気は最低だから、これ以上下がることはないっていわれた。それ、慰めになってないから。
悔しまぎれに、アルバートだって自己紹介のとき、おかしな態度をとってただろっていってみた。パティ嬢がトレヴァーの求婚を受けたとき、二人のところに行ってお祝いしなかったのは俺とアルバートだけだったからだ。そうしたらアルバートから、事情がわからないのに二人を祝福したら、王子が仲を認めたことになるからなにも言えなかったって返された。なんと、あのとき座ったままだったのには、そんな理由があったのか。
「ルイーズ、教室でのノアはおおむね避けられている。だが彼は、同級生たちから怯えられようが逃げられようがおかまいなしに、脈絡なく話しかけるときがある。かといって会話を続けるつもりはないようで、返答があったら自分だけ納得して相手を放置することが多い」
話しかけたのは、同級生たちのおしゃべりのなかで、呪いを特定できるんじゃないかって思う話題が出たときだ。強引に割って入るのは、別の機会に世間話で聞きだすなんて真似はできないからで。そのくせすぐ他所に行ったのは……呪いのせいで暴言しか吐けないから、会話にならなかっただけだよ……。
「きっと本人にはなにか理由があるんだろうが、はたからみていてもそれがさっぱりつかめない。理解ができなさすぎて、ノアを観察しているうちに、彼がしたいことはなんだろうと考えるようになった」
「あなたが、そんなに物好きだとは知らなかったよ」
「どうしてもノアが悪い人間にはみえなかったからね。だから話をしてみたくて、私からしゃべりかけるようになったんだ」
そうやって俺と交流をとろうとしているうちに、今日昼食をとった場所でエミリア嬢やオードリー嬢と出会ったんだって説明が続いた。
「エミリア嬢とオードリー嬢のあいだには、確執がありそうだった。しかしそれを調べるために私が令嬢たちに接すると、よくない噂がたつかもしれない。だからルイーズ、君に協力してもらったんだ」
その結果が、今日の昼休みというわけだ。
ルイーズ嬢は考えをまとめるように、右手の人差し指でトントンとテーブルを叩いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー
みーしゃ
ファンタジー
生まれつきMPが1しかないカテリーナは、義母や義妹たちからイジメられ、ないがしろにされた生活を送っていた。しかし、本をきっかけに女神への信仰と勉強を始め、イケメンで優秀な兄の力も借りて、宮廷大学への入学を目指す。
魔法が使えなくても、何かできる事はあるはず。
人生を変え、自分にできることを探すため、カテリーナの挑戦が始まる。
そして、カテリーナの行動により、周囲の認識は彼女を聖女へと変えていくのだった。
物語は、後期ビザンツ帝国時代に似た、魔物や魔法が存在する異世界です。だんだんと逆ハーレムな展開になっていきます。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる