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ーチームメイトー
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あの日ある出来事をきっかけに、世界は変わった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
XX 西暦2117年 XX
ひと昔なら想像上でしかない事が現実となっていた。
ーー空飛ぶ車
ーーどんな病をも治す薬
ーー全ての国の合併である統一国
ーー火星へのテラフォーミング成功
ーーゲームの世界に行けるフルダイブMMO
ただ、食料への対策だけは難航していた。
かなりの値段がするが、全ての病を治す万能薬のおかげで、幸か不幸か人類の寿命は劇的に伸びてしまった。
しかし、それは同時に人口爆発による食糧危機を意味する。
そうなれば、せっかくの統一国を分断し兼ねない。
そこで、各国の代表が集まり、ある案が導き出された。
"人類淘汰計画"
2117年現在の火星・地球合わせての人口は300億人
人道的とは言えないが、その案は妥当であった。
人類の寿命が延びたとは言え、人口受精の精度が上がり、老人よりも少年・少女のが多い時代。
いくら技術が進歩しようが、免疫程度しか進化しない人類は地球・火星にはそんなに必要ないのだ。
さらに、各国の代表はその案を煮詰めていく。
懸念があるとすれば、人々の中にも隠れた才能があるかもしれない可能性。
そこで、地球・火星を制御している自己学習型人工知能であるマザーシステムを基盤に、自由度が最も高い流行りのフルダイブ型MMORPGでの選考を行なう案が有力とされた。
100年以上前にも、戦争や銃撃戦を模したファーストパーソン・シューティングゲームから軍隊にスカウトされた実績があるほど、ゲームの世界は侮れないのだ。
その後、各代表と専門家が煮詰めに煮詰めた法が施行されることになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
-火星-
ーージリリリリリリィィ
爆音の目覚まし時計で目覚め、重くなった瞼を上げて、表示されている時刻に焦点を合わせる。
そこで少年は全てを悟った。
おもむろに布団から抜け出し、ゆっくりと慣れた動作で制服に着替え、昨日用意しておいたパンを咥えて玄関に向かう。
トントンッ。と優雅な音を立てながら、学生専用の革靴を履き、そっと鍵を回した。
そして、外の空気を味わいながら、深く深呼吸をして、朝の爽快感を得る。
充分に英気を養った少年は、学校へと歩みを進めた。
「……遅刻じゃあぁぁぁ!!」
否、死ぬ気で走った。
全力で脚を動かす最中、携帯やハガキのような物を見ながら、立ち話をしている人々が目につく。
数組というレベルじゃない。かなり数の人々が井戸端会議をしているのだ。
そんな奇妙な光景は学校の近くまで続いていた。
「ふぅ、ギリギリか」
門から少し離れた所で立ち止まり、息を整えていると後ろから誰かが近づく気配を感じた。
ーートットットットッ
速いっ!!
『豪腕ラリアットォォォ!!!』
振り返ると、まるで岩のようなゴツゴツした腕が目の前まで迫ってきていた。
体を反らせて間一髪避けると、それの持ち主はその勢いのまま学校へと続く塀にラリアットをかましていた。
「……危ねぇよ。てか、その塀どうすんだよ?」
『俺っちも、まさか避けられるなんて思わなくてよ。 まぁ、なんとかなるだろ!』
突き刺さっている腕を抜いて、塀を無残な瓦礫にしたのは、高校からの友達である
"轟 大地"
『まぁ、相棒。早く行こうぜ! 進級早々遅刻しちまうぞ?』
こいつとの出会いは強烈だった。
入学式翌日に行われる部活見学会での出来事。
各部活が各々の部活をパフォーマンス込みで紹介していく最中こいつは寝ていた。
そして、全国3位の部長がいる柔道部の番が回ってきた時に事件は起きた。
ソフトモヒカンを金髪にしているこいつは目をつけられ、柔道体験と称して舞台に上げられてしまっていた。みんなの前で堂々とシメられる訳だ。
合図と共に、部長が詰め寄り、一本背負いをしようとする。
が
そいつは文字通り、微動だにしなかった。
全国3位が何度も腰を入れ、全力で技をかけてるのに上の空。しかも、鼻をほじっている。
終いには、技の欠片もない純粋な腕力のみで投げ飛ばしてしまう始末。
そして、なにを思ったのか、そいつは次の相手を探そうとキョロキョロしている。
柔道部員は裏に隠れ、見学していた者も後ずさりし、たまたま前の列にいた俺が前に出て立候補した形になってしまっていた。
『次はお前か!』
無理やり舞台に上げられ、無理やり投げ飛ばされた。
そこで俺の中で、プチンッとキレる感じがした。
すぐ起き上がり、投げ返す。
すると、そいつも起き上がり投げ返してくる。
見物人がいなくなる程の時間繰り返していたが、コツを掴んだ俺はそいつに投げ飛ばされる事がなくなり、倒れたそいつを見下していた。
その出来事があった翌日から大地は俺を"相棒"と呼び、仲良くなっていく。
『おい、相棒。おめぇの教室に着いたぞ! じゃあな!』
思い返すのに夢中でぼーっとしてしまっていたようだ。
教室に入ると様々なクラスメイトに声を掛けられる。
『よう、神城!』
「おう」
『神城くん、おはよっ!』
「……」
『うぃーす』
「よう」
『神城くーん!』
「……」
挨拶をしつつ、自分の席に座る。
すると、一番馴染みのある声が後ろから話しかけられる。
『おはよう、秀。相変わらず、女の子と口は聞かないんだね』
「……まぁな。理由はお前も知っているだろ」
こいつは、一番付き合いが長く幼馴染の
"佐藤 結人"
かなりの秀才で、全国模試1位の座を一度も譲っていない。
こいつとは、幼・小・中・高と同じクラスで、心が読めるのか?ってぐらいになんでも見透かされる。
中学校の時には、全教科で、授業内容に僅かな欠点があるもんなら指摘し、一切の反論を許さない論破で数々の教師を屠っている。
その中には、最難関と名高い大学を出ている者も含まれていた。
『ん? どしたの?』
「悪い。ぼーっとしてた」
また、ぼーっとしてたみたいだ。
更年期かな?
『目眩とかする? ちなみに、一般的に原因は、ストレスや疲れ、睡眠不足など、これらの原因が三半規管を過敏にすることで症状が現れて 「「大丈夫だ。」」 なら、いいけど』
『そういえば、この通知見た?』
「ん?」
『ホームルーム始めるぞー』
結人は携帯を出そうとしてくれてたが、ちょうどよく担任の登場で遮られてしまう。
『ホームルームを始める前に話がある』
担任の真面目な顔つきに教室の空気が変わる。
『既に通知が来ていると思うが、全世界である法が施行された。その事について、理事長から説明がある』
担任が黒板を軽く叩くと、モニターに変わり、理事長室に中継が繋がる。
『みなさん、おはようございます。
本日より、一部の関係者を除く全人類を対象に法が施行されました。
その法とは"統一法第484条:人類救済選抜"
内容は、"一部を除く、全人類は世界・人類を救うべく、全てを賭けて力を示さなければならない"です。
それに伴いまして、地球・火星の殆どの人間は、政府が新しく発表した"フルダイブMMORPG【NEXT】"にログインしてもらいます。
そのゲームをクリアした者が力を示した。と言う事になります。
ログインまでの猶予は1週間。
1週間を過ぎた場合は、転送システムで強制的にログインされますが、NEXTの世界では時間の経過が違うため、早めのログインを推奨いたします。
ログイン方法は、固定電話・携帯電話・公衆電話に一定間隔でかけられる着信を受け取れば、転送されます。この時、着信音は国歌です。
着信番号は147159369です。
尚、反勢力として暴動を起こしても、政府が誇る軍事ロボットの軍勢により直ちに鎮圧されますので、馬鹿な真似はしないように』
そこで映像は終わり、モニターは黒板に戻る。
全員、騒然としてしまっていた。
おそらく、似たようなの形で全世界で説明がされたのであろう、学校の外もかなりの騒ぎが起こっていた。
『以上だ。本日から学校は休校。準備をした後、直ちにログインするように。向こうでは、五人までパーティーが組めるそうだ。 ……全員死ぬなよ。』
その言葉を最後に、担任は教室を出ていく。
立ち去る担任の手は震えていた。
生徒達は、早速かけられてくる着信を受け取り、次々に転送して行く。
『秀、どうする?』
結人の問いに少し考えるが
「とりあえず、寝る」
『はははっ! そうだと思ったよ!』
見透かされるとは、自分の事を分かってくれると言う事だ。
俺は、照れながらも少し微笑む。
『ん? 教室の外が騒がしいね』
~Go to tha
Next stage~
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XX 西暦2117年 XX
ひと昔なら想像上でしかない事が現実となっていた。
ーー空飛ぶ車
ーーどんな病をも治す薬
ーー全ての国の合併である統一国
ーー火星へのテラフォーミング成功
ーーゲームの世界に行けるフルダイブMMO
ただ、食料への対策だけは難航していた。
かなりの値段がするが、全ての病を治す万能薬のおかげで、幸か不幸か人類の寿命は劇的に伸びてしまった。
しかし、それは同時に人口爆発による食糧危機を意味する。
そうなれば、せっかくの統一国を分断し兼ねない。
そこで、各国の代表が集まり、ある案が導き出された。
"人類淘汰計画"
2117年現在の火星・地球合わせての人口は300億人
人道的とは言えないが、その案は妥当であった。
人類の寿命が延びたとは言え、人口受精の精度が上がり、老人よりも少年・少女のが多い時代。
いくら技術が進歩しようが、免疫程度しか進化しない人類は地球・火星にはそんなに必要ないのだ。
さらに、各国の代表はその案を煮詰めていく。
懸念があるとすれば、人々の中にも隠れた才能があるかもしれない可能性。
そこで、地球・火星を制御している自己学習型人工知能であるマザーシステムを基盤に、自由度が最も高い流行りのフルダイブ型MMORPGでの選考を行なう案が有力とされた。
100年以上前にも、戦争や銃撃戦を模したファーストパーソン・シューティングゲームから軍隊にスカウトされた実績があるほど、ゲームの世界は侮れないのだ。
その後、各代表と専門家が煮詰めに煮詰めた法が施行されることになる。
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-火星-
ーージリリリリリリィィ
爆音の目覚まし時計で目覚め、重くなった瞼を上げて、表示されている時刻に焦点を合わせる。
そこで少年は全てを悟った。
おもむろに布団から抜け出し、ゆっくりと慣れた動作で制服に着替え、昨日用意しておいたパンを咥えて玄関に向かう。
トントンッ。と優雅な音を立てながら、学生専用の革靴を履き、そっと鍵を回した。
そして、外の空気を味わいながら、深く深呼吸をして、朝の爽快感を得る。
充分に英気を養った少年は、学校へと歩みを進めた。
「……遅刻じゃあぁぁぁ!!」
否、死ぬ気で走った。
全力で脚を動かす最中、携帯やハガキのような物を見ながら、立ち話をしている人々が目につく。
数組というレベルじゃない。かなり数の人々が井戸端会議をしているのだ。
そんな奇妙な光景は学校の近くまで続いていた。
「ふぅ、ギリギリか」
門から少し離れた所で立ち止まり、息を整えていると後ろから誰かが近づく気配を感じた。
ーートットットットッ
速いっ!!
『豪腕ラリアットォォォ!!!』
振り返ると、まるで岩のようなゴツゴツした腕が目の前まで迫ってきていた。
体を反らせて間一髪避けると、それの持ち主はその勢いのまま学校へと続く塀にラリアットをかましていた。
「……危ねぇよ。てか、その塀どうすんだよ?」
『俺っちも、まさか避けられるなんて思わなくてよ。 まぁ、なんとかなるだろ!』
突き刺さっている腕を抜いて、塀を無残な瓦礫にしたのは、高校からの友達である
"轟 大地"
『まぁ、相棒。早く行こうぜ! 進級早々遅刻しちまうぞ?』
こいつとの出会いは強烈だった。
入学式翌日に行われる部活見学会での出来事。
各部活が各々の部活をパフォーマンス込みで紹介していく最中こいつは寝ていた。
そして、全国3位の部長がいる柔道部の番が回ってきた時に事件は起きた。
ソフトモヒカンを金髪にしているこいつは目をつけられ、柔道体験と称して舞台に上げられてしまっていた。みんなの前で堂々とシメられる訳だ。
合図と共に、部長が詰め寄り、一本背負いをしようとする。
が
そいつは文字通り、微動だにしなかった。
全国3位が何度も腰を入れ、全力で技をかけてるのに上の空。しかも、鼻をほじっている。
終いには、技の欠片もない純粋な腕力のみで投げ飛ばしてしまう始末。
そして、なにを思ったのか、そいつは次の相手を探そうとキョロキョロしている。
柔道部員は裏に隠れ、見学していた者も後ずさりし、たまたま前の列にいた俺が前に出て立候補した形になってしまっていた。
『次はお前か!』
無理やり舞台に上げられ、無理やり投げ飛ばされた。
そこで俺の中で、プチンッとキレる感じがした。
すぐ起き上がり、投げ返す。
すると、そいつも起き上がり投げ返してくる。
見物人がいなくなる程の時間繰り返していたが、コツを掴んだ俺はそいつに投げ飛ばされる事がなくなり、倒れたそいつを見下していた。
その出来事があった翌日から大地は俺を"相棒"と呼び、仲良くなっていく。
『おい、相棒。おめぇの教室に着いたぞ! じゃあな!』
思い返すのに夢中でぼーっとしてしまっていたようだ。
教室に入ると様々なクラスメイトに声を掛けられる。
『よう、神城!』
「おう」
『神城くん、おはよっ!』
「……」
『うぃーす』
「よう」
『神城くーん!』
「……」
挨拶をしつつ、自分の席に座る。
すると、一番馴染みのある声が後ろから話しかけられる。
『おはよう、秀。相変わらず、女の子と口は聞かないんだね』
「……まぁな。理由はお前も知っているだろ」
こいつは、一番付き合いが長く幼馴染の
"佐藤 結人"
かなりの秀才で、全国模試1位の座を一度も譲っていない。
こいつとは、幼・小・中・高と同じクラスで、心が読めるのか?ってぐらいになんでも見透かされる。
中学校の時には、全教科で、授業内容に僅かな欠点があるもんなら指摘し、一切の反論を許さない論破で数々の教師を屠っている。
その中には、最難関と名高い大学を出ている者も含まれていた。
『ん? どしたの?』
「悪い。ぼーっとしてた」
また、ぼーっとしてたみたいだ。
更年期かな?
『目眩とかする? ちなみに、一般的に原因は、ストレスや疲れ、睡眠不足など、これらの原因が三半規管を過敏にすることで症状が現れて 「「大丈夫だ。」」 なら、いいけど』
『そういえば、この通知見た?』
「ん?」
『ホームルーム始めるぞー』
結人は携帯を出そうとしてくれてたが、ちょうどよく担任の登場で遮られてしまう。
『ホームルームを始める前に話がある』
担任の真面目な顔つきに教室の空気が変わる。
『既に通知が来ていると思うが、全世界である法が施行された。その事について、理事長から説明がある』
担任が黒板を軽く叩くと、モニターに変わり、理事長室に中継が繋がる。
『みなさん、おはようございます。
本日より、一部の関係者を除く全人類を対象に法が施行されました。
その法とは"統一法第484条:人類救済選抜"
内容は、"一部を除く、全人類は世界・人類を救うべく、全てを賭けて力を示さなければならない"です。
それに伴いまして、地球・火星の殆どの人間は、政府が新しく発表した"フルダイブMMORPG【NEXT】"にログインしてもらいます。
そのゲームをクリアした者が力を示した。と言う事になります。
ログインまでの猶予は1週間。
1週間を過ぎた場合は、転送システムで強制的にログインされますが、NEXTの世界では時間の経過が違うため、早めのログインを推奨いたします。
ログイン方法は、固定電話・携帯電話・公衆電話に一定間隔でかけられる着信を受け取れば、転送されます。この時、着信音は国歌です。
着信番号は147159369です。
尚、反勢力として暴動を起こしても、政府が誇る軍事ロボットの軍勢により直ちに鎮圧されますので、馬鹿な真似はしないように』
そこで映像は終わり、モニターは黒板に戻る。
全員、騒然としてしまっていた。
おそらく、似たようなの形で全世界で説明がされたのであろう、学校の外もかなりの騒ぎが起こっていた。
『以上だ。本日から学校は休校。準備をした後、直ちにログインするように。向こうでは、五人までパーティーが組めるそうだ。 ……全員死ぬなよ。』
その言葉を最後に、担任は教室を出ていく。
立ち去る担任の手は震えていた。
生徒達は、早速かけられてくる着信を受け取り、次々に転送して行く。
『秀、どうする?』
結人の問いに少し考えるが
「とりあえず、寝る」
『はははっ! そうだと思ったよ!』
見透かされるとは、自分の事を分かってくれると言う事だ。
俺は、照れながらも少し微笑む。
『ん? 教室の外が騒がしいね』
~Go to tha
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