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ーチームメイト2ー
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『ん?教室の外側騒がしいね』
結人の言葉で、耳をすます。
「あぁ、確かに。なんだろうな?」
微かに聞こえる騒ぎは、どんどん俺の教室に近づいてきているように感じた。
近づいてくるにつれて、色々な声が耳に入ってくる。
『きゃー! 紅林さんよ!』
『楓さん! 是非、俺たちのパーティーに!』
『いや、私たちの所へ!』
『ん? 俺っちになんか用か?』
聞き覚えのある言葉が聞こえて、不安がよぎる。
騒ぎが教室の前まで来た所で、教室のドアが勢い良く開けられた。
半数以下になったクラスメイトが見つめる先には、この学校では知らない者はいない人物が立っていた。
"紅林 楓"
この火星で、有数な世界的企業の一人娘。
学校では生徒会長を務め、成績優秀。
その端正な容姿から、生徒・教師からの人気も厚い。
そんなお嬢様が口を開く。
『佐藤さんいらっしゃるかしら?』
その言葉に、クラスメイトは一斉にこちらに
振り返る。
お嬢様は、こちらに狙いを定めて歩き出していた。
そして、後ろには大地が付いてきていた。
『あなたが佐藤さんね? 初めまして。……じゃないわね。実は、あなたにお願いがあってきたの』
『初めましてじゃないけど、直接話すのは初めてかな。お願いって何かな?』
『今回の人類救済選抜で、パーティーを組んで欲しいのよ』
紅林は少し小声で話すが、取り巻きにも聞こえていたようで項垂れて、去っていく。
蚊帳の外にいる俺は、近くにいる大地に話しかける。
「なんで、一緒に来た?」
『元々、この教室に来る予定だったんよ。で、途中でこの嬢ちゃんに話しかけられてよ。俺っちとパーティーを組みたいらしい。なんのパーティーだよ!?って話だよ! 俺っちは、高そうなスーツ持ってねぇぞ!』
そうか、こいつは馬鹿だった。
もしかして、今回の法もわかってないんじゃないか?
『パーティーか……。僕は別にいいけど。秀、どうする?』
答えようとするが、紅林が遮るように話しかけてくる。
『こちらの方は?』
『僕の幼馴染で、親友の神城 秀だよ。この人も誘っていいかな?』
俺の代わりに答える結人は、"親友"を強調していた。
仲間外れにされないようにか。優しいなお前は。
『いいわよ。私、紅林 楓。よろしく』
「……あぁ」
素っ気なく答えた事により、場の空気が悪くなるが、結人が空気を読んで話を進める。
『え、えーと。あと1人どうしようか? 僕は特にいないんだけど……』
『特にいないわ』
『俺っちもねぇな』
「誰でもいい」
全員、特にいないと答えると友達が少ないみたいで少し可笑しかった。
結人は、話を続ける。
『なら、現地調達しようか。先に始めている人がパーティーにいた方がやりやすいからね。出発は明日の正午でいいかな?』
結人の問いに全員賛同すると、その場で解散となった。
帰り道、1人で思いにふける。
まさか、こんな事になるとはな。
人類と世界を救うという名目のただの口減らしだろ。
周りくどい言い方してるから分かんない奴にはわかんないじゃないか?
やっぱ、食料問題か。
この現実世界で選抜としてドンパチしても、ただの戦争だからデメリットのが大きい。そこで、現実に影響がないゲームの世界か。
上手く考えてんな、おい。
しかも、火星でフルダイブ型のVRMMOなんて滅多にお目にかかれない。一部の富裕層だけだ。
そもそも火星自体、今の地球の100年前ぐらいの技術しかない。経験がないから圧倒的不利だ。
クソっ。
少し苛立ちながら歩いていると、いつもとは別の帰り道を歩いてしまっていた。
「っ!? この道って、殺人があったとこじゃ……」
"白石公衆電話殺人事件"
5年前、この町の高校に通う女子高生は、日に日に過激になっていくストーカー被害に苦しんでいた。
そして、ある日。とうとう目の前に現れたストーカーに追われ、助けを呼ぼうと公衆電話に逃げ込んだ所で無情にも刺殺されてしまった事件
「……まじか」
事件が起きてから、様々な心霊現象が起きると噂され、人通りが全くない公衆電話があるこの道を避けていた。
別に怖いからではない。
遠回りの道も悪くないかな。と思っているだけだ。
決して、怖いわけではない。
今、早歩きになっているが怖いわけではない。早く家に帰りたいだけだ。
不意に、公衆電話近くの茂みが揺れる。
「っ!?」
神城 秀。過去最高時速で家路を走行中。
最近、なまってるから久しぶりに走ってみようと思っただけだ。
決して怖いわけではない。決して…
帰宅後、すぐ様布団に潜ったのも早く寝たかっただけだ。
ーージリリリリリィィ
今日もまた、爆音の目覚まし時計で目を覚ます。
いつもの様に、時刻に焦点を合わせると、全てを悟る。
着替えるのも面倒臭く、寝間着である"灰色で緩めのスウェットパンツ"と"黒で無地のVネックTシャツ"で目的地へ向かう。
目的地へ着くと、上品でお洒落な服を着た女性が近づいて来て一言
『あんた、何時だと思っているのよ! しかも、その格好。ふざけてるの!?』
『まぁまぁ。ちゃんと来たんだし、良しとしようよ!』
結人が焦りながらなだめる。
そして、これ以上話が膨らまないように話題を変えてくれた。
『昨日分かったんだけど、着信は1時間間隔でかかってくる。そして、もう少しで前の着信から1時間経つから一斉にログインしよう』
この言葉に、全員が頷く。
数分が経ち、一斉に着信が流れる。
妙な緊張感が走り、各々、真剣な顔つきで携帯を耳に当てていた。
それを見た俺も、目を瞑り、携帯を耳に当てると音声が聞こえてくる。
『……只今、回線が混み合っております。そのままの状態で暫しお待ちください』
目を開けて、結人に話しかけようとするが、結人がいない。
結人だけではなく、大地・紅林もいなかった。
どうしようもなくなり、椅子に座っていると、微かに着信音が聞こえるような感じがする。
その音のへ向かって、歩き出す。
少し歩くと、音の出所は判明した。
あの公衆電話からだった。
「まじかよ」
着信音が鳴り続ける公衆電話の傍で葛藤していると、その音を聞きつけたのか、数人が走ってきていた。
おそらく、同じように混線でログイン出来なかった人たちだろう。
「……クソっ」
急いで中に入り、受話器を手に取る。
『ワタシモツレテッテ』
「っっっ!?」
秀は、受話器に吸い込まれるように姿を消えて行く。
その場に残されたのは寸分で間に合わなかった人たちと、力なく揺れる受話器だけだった。
~Go to tha
Next stage~
結人の言葉で、耳をすます。
「あぁ、確かに。なんだろうな?」
微かに聞こえる騒ぎは、どんどん俺の教室に近づいてきているように感じた。
近づいてくるにつれて、色々な声が耳に入ってくる。
『きゃー! 紅林さんよ!』
『楓さん! 是非、俺たちのパーティーに!』
『いや、私たちの所へ!』
『ん? 俺っちになんか用か?』
聞き覚えのある言葉が聞こえて、不安がよぎる。
騒ぎが教室の前まで来た所で、教室のドアが勢い良く開けられた。
半数以下になったクラスメイトが見つめる先には、この学校では知らない者はいない人物が立っていた。
"紅林 楓"
この火星で、有数な世界的企業の一人娘。
学校では生徒会長を務め、成績優秀。
その端正な容姿から、生徒・教師からの人気も厚い。
そんなお嬢様が口を開く。
『佐藤さんいらっしゃるかしら?』
その言葉に、クラスメイトは一斉にこちらに
振り返る。
お嬢様は、こちらに狙いを定めて歩き出していた。
そして、後ろには大地が付いてきていた。
『あなたが佐藤さんね? 初めまして。……じゃないわね。実は、あなたにお願いがあってきたの』
『初めましてじゃないけど、直接話すのは初めてかな。お願いって何かな?』
『今回の人類救済選抜で、パーティーを組んで欲しいのよ』
紅林は少し小声で話すが、取り巻きにも聞こえていたようで項垂れて、去っていく。
蚊帳の外にいる俺は、近くにいる大地に話しかける。
「なんで、一緒に来た?」
『元々、この教室に来る予定だったんよ。で、途中でこの嬢ちゃんに話しかけられてよ。俺っちとパーティーを組みたいらしい。なんのパーティーだよ!?って話だよ! 俺っちは、高そうなスーツ持ってねぇぞ!』
そうか、こいつは馬鹿だった。
もしかして、今回の法もわかってないんじゃないか?
『パーティーか……。僕は別にいいけど。秀、どうする?』
答えようとするが、紅林が遮るように話しかけてくる。
『こちらの方は?』
『僕の幼馴染で、親友の神城 秀だよ。この人も誘っていいかな?』
俺の代わりに答える結人は、"親友"を強調していた。
仲間外れにされないようにか。優しいなお前は。
『いいわよ。私、紅林 楓。よろしく』
「……あぁ」
素っ気なく答えた事により、場の空気が悪くなるが、結人が空気を読んで話を進める。
『え、えーと。あと1人どうしようか? 僕は特にいないんだけど……』
『特にいないわ』
『俺っちもねぇな』
「誰でもいい」
全員、特にいないと答えると友達が少ないみたいで少し可笑しかった。
結人は、話を続ける。
『なら、現地調達しようか。先に始めている人がパーティーにいた方がやりやすいからね。出発は明日の正午でいいかな?』
結人の問いに全員賛同すると、その場で解散となった。
帰り道、1人で思いにふける。
まさか、こんな事になるとはな。
人類と世界を救うという名目のただの口減らしだろ。
周りくどい言い方してるから分かんない奴にはわかんないじゃないか?
やっぱ、食料問題か。
この現実世界で選抜としてドンパチしても、ただの戦争だからデメリットのが大きい。そこで、現実に影響がないゲームの世界か。
上手く考えてんな、おい。
しかも、火星でフルダイブ型のVRMMOなんて滅多にお目にかかれない。一部の富裕層だけだ。
そもそも火星自体、今の地球の100年前ぐらいの技術しかない。経験がないから圧倒的不利だ。
クソっ。
少し苛立ちながら歩いていると、いつもとは別の帰り道を歩いてしまっていた。
「っ!? この道って、殺人があったとこじゃ……」
"白石公衆電話殺人事件"
5年前、この町の高校に通う女子高生は、日に日に過激になっていくストーカー被害に苦しんでいた。
そして、ある日。とうとう目の前に現れたストーカーに追われ、助けを呼ぼうと公衆電話に逃げ込んだ所で無情にも刺殺されてしまった事件
「……まじか」
事件が起きてから、様々な心霊現象が起きると噂され、人通りが全くない公衆電話があるこの道を避けていた。
別に怖いからではない。
遠回りの道も悪くないかな。と思っているだけだ。
決して、怖いわけではない。
今、早歩きになっているが怖いわけではない。早く家に帰りたいだけだ。
不意に、公衆電話近くの茂みが揺れる。
「っ!?」
神城 秀。過去最高時速で家路を走行中。
最近、なまってるから久しぶりに走ってみようと思っただけだ。
決して怖いわけではない。決して…
帰宅後、すぐ様布団に潜ったのも早く寝たかっただけだ。
ーージリリリリリィィ
今日もまた、爆音の目覚まし時計で目を覚ます。
いつもの様に、時刻に焦点を合わせると、全てを悟る。
着替えるのも面倒臭く、寝間着である"灰色で緩めのスウェットパンツ"と"黒で無地のVネックTシャツ"で目的地へ向かう。
目的地へ着くと、上品でお洒落な服を着た女性が近づいて来て一言
『あんた、何時だと思っているのよ! しかも、その格好。ふざけてるの!?』
『まぁまぁ。ちゃんと来たんだし、良しとしようよ!』
結人が焦りながらなだめる。
そして、これ以上話が膨らまないように話題を変えてくれた。
『昨日分かったんだけど、着信は1時間間隔でかかってくる。そして、もう少しで前の着信から1時間経つから一斉にログインしよう』
この言葉に、全員が頷く。
数分が経ち、一斉に着信が流れる。
妙な緊張感が走り、各々、真剣な顔つきで携帯を耳に当てていた。
それを見た俺も、目を瞑り、携帯を耳に当てると音声が聞こえてくる。
『……只今、回線が混み合っております。そのままの状態で暫しお待ちください』
目を開けて、結人に話しかけようとするが、結人がいない。
結人だけではなく、大地・紅林もいなかった。
どうしようもなくなり、椅子に座っていると、微かに着信音が聞こえるような感じがする。
その音のへ向かって、歩き出す。
少し歩くと、音の出所は判明した。
あの公衆電話からだった。
「まじかよ」
着信音が鳴り続ける公衆電話の傍で葛藤していると、その音を聞きつけたのか、数人が走ってきていた。
おそらく、同じように混線でログイン出来なかった人たちだろう。
「……クソっ」
急いで中に入り、受話器を手に取る。
『ワタシモツレテッテ』
「っっっ!?」
秀は、受話器に吸い込まれるように姿を消えて行く。
その場に残されたのは寸分で間に合わなかった人たちと、力なく揺れる受話器だけだった。
~Go to tha
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