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アジノーチェストヴォー
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暗い洞窟のダンジョンに黒いコートを見に纏った男性が煙草を吸いながら歩みを進めていた。
「ふぅ、あの闇女神めいったいどこまで進めば会えるんだ」
黒いコートの青年龍二は、異世界に飛ばされた際に言われた助けての言葉通り女神を探していた。
龍二は孤独死して異世界に飛ばされたが、女神に状況等を教えてもらえずにいた。
そんな彼だが生前に人と関わるのが苦手で街や帝国には近寄らず、ゲームでよくソロプレイヤーとしてやってきたので異世界で生きて行くのには苦はなかった。
「もう50階層か…」
龍二は生前と同じように独りでダンジョンに潜っている、本来ならパーティを組んで回復や盾に頼るのが筋だが、龍二には無理だった。
「腹減ったなぁ」
龍二はそう言って目の前に現れた兎に角が生えたモンスターをナイフを投げて狩り、両脚を掴みまじまじと見た。
「うーん、またお前かぁ、お前って俺に食われに来てんのか?」
そう言って腹に刺さったナイフを引き抜き地面に叩き付けて頭を落とす、それから脚をバラして内臓を切り外し皮を剥いだ。
そこら辺に落ちている燃えそうな物を集め、あらかじめ用意していたライターで火を付けて焼にかかる。
「異世界に飛ばされて直ぐにダンジョンに入ってからもう6ヶ月か、野良暮らしも慣れてきたもんだなぁ」
龍二は6ヶ月の間の事を思い出しながら焼き上がった兎肉に食らいつく。
「うーん、街なんかにはきっと香辛料があるんだろうけどなぁ、はぁ」
味のない肉を食べながら龍二は深く溜息をついていた。
肉を食べ終わった頃に視線を感じる事に気付き、龍二はナイフを構えて立ち上がる。
「まぁ、雑魚中の雑魚の兎がいるんだ、
肉の匂いに釣られてやってくるわなそりゃ…」
ダンジョンの闇の奥から唸り声と共に狼のような姿が露わになっていく、現れたのは頭身が三つの獣が龍二を睨みつけながら涎を垂らしている。
「…さすが異世界さすがファンタジー、ケルベロスってホントにいるのね」
龍二がげんなりと肩を落とした瞬間にケルベロスが地面を抉りながら爪を立てて飛び掛かってくる。
「ツッ!?」
ケルベロスの飛びかかりを擦れ擦れで避けながら懐に入り、龍二はナイフをケルベロスの腹部に突き刺すが刃が通らない。
「おいおい、鱗持ったモンスターじゃあるまいし反則だろ」
次はケルベロスが反撃に入ってくる、ケルベロスは身体をいき良いよく回転させ龍二を弾き飛ばした。
弾き飛ばされた龍二は壁に叩き付けられて血反吐を吐いた。
「グフっ、流石に魔法かなんかないと今回は無理かなぁ。
まぁさ、わかってたよ50階層だし?
それなりに強いモンスターが出ることくらい…」
嘆いているとケルベロスの左の顔の口から火が放たれた、それを見た龍二はにやりと笑みを溢して睨みつけ右手をかざす。
「ナイスだぜイヌッコロ」
ケルベロスが放った火球を右手の薬指に嵌められた指輪に吸収される。
ケルベロスは火球が直撃したと思い込み凶悪な牙をギラつかせ飛び掛かった。
龍二はそれを素早い動きで横に滑り込み横腹にナイフを突き刺した。
「さあ、今度こそ終わりだイヌッコロ!」
突き刺さしたナイフに力を込め刀身が赤く光、横腹からケルベロスが燃え上がり弾け飛んだ。
「悪いなイヌッコロ、まだ餌にはなれないんだ。
…お姫様が待ってるからさ」
龍二は小さく弾け飛んだケルベロスを背を向けながら呟きその場を後にした。
「ふぅ、あの闇女神めいったいどこまで進めば会えるんだ」
黒いコートの青年龍二は、異世界に飛ばされた際に言われた助けての言葉通り女神を探していた。
龍二は孤独死して異世界に飛ばされたが、女神に状況等を教えてもらえずにいた。
そんな彼だが生前に人と関わるのが苦手で街や帝国には近寄らず、ゲームでよくソロプレイヤーとしてやってきたので異世界で生きて行くのには苦はなかった。
「もう50階層か…」
龍二は生前と同じように独りでダンジョンに潜っている、本来ならパーティを組んで回復や盾に頼るのが筋だが、龍二には無理だった。
「腹減ったなぁ」
龍二はそう言って目の前に現れた兎に角が生えたモンスターをナイフを投げて狩り、両脚を掴みまじまじと見た。
「うーん、またお前かぁ、お前って俺に食われに来てんのか?」
そう言って腹に刺さったナイフを引き抜き地面に叩き付けて頭を落とす、それから脚をバラして内臓を切り外し皮を剥いだ。
そこら辺に落ちている燃えそうな物を集め、あらかじめ用意していたライターで火を付けて焼にかかる。
「異世界に飛ばされて直ぐにダンジョンに入ってからもう6ヶ月か、野良暮らしも慣れてきたもんだなぁ」
龍二は6ヶ月の間の事を思い出しながら焼き上がった兎肉に食らいつく。
「うーん、街なんかにはきっと香辛料があるんだろうけどなぁ、はぁ」
味のない肉を食べながら龍二は深く溜息をついていた。
肉を食べ終わった頃に視線を感じる事に気付き、龍二はナイフを構えて立ち上がる。
「まぁ、雑魚中の雑魚の兎がいるんだ、
肉の匂いに釣られてやってくるわなそりゃ…」
ダンジョンの闇の奥から唸り声と共に狼のような姿が露わになっていく、現れたのは頭身が三つの獣が龍二を睨みつけながら涎を垂らしている。
「…さすが異世界さすがファンタジー、ケルベロスってホントにいるのね」
龍二がげんなりと肩を落とした瞬間にケルベロスが地面を抉りながら爪を立てて飛び掛かってくる。
「ツッ!?」
ケルベロスの飛びかかりを擦れ擦れで避けながら懐に入り、龍二はナイフをケルベロスの腹部に突き刺すが刃が通らない。
「おいおい、鱗持ったモンスターじゃあるまいし反則だろ」
次はケルベロスが反撃に入ってくる、ケルベロスは身体をいき良いよく回転させ龍二を弾き飛ばした。
弾き飛ばされた龍二は壁に叩き付けられて血反吐を吐いた。
「グフっ、流石に魔法かなんかないと今回は無理かなぁ。
まぁさ、わかってたよ50階層だし?
それなりに強いモンスターが出ることくらい…」
嘆いているとケルベロスの左の顔の口から火が放たれた、それを見た龍二はにやりと笑みを溢して睨みつけ右手をかざす。
「ナイスだぜイヌッコロ」
ケルベロスが放った火球を右手の薬指に嵌められた指輪に吸収される。
ケルベロスは火球が直撃したと思い込み凶悪な牙をギラつかせ飛び掛かった。
龍二はそれを素早い動きで横に滑り込み横腹にナイフを突き刺した。
「さあ、今度こそ終わりだイヌッコロ!」
突き刺さしたナイフに力を込め刀身が赤く光、横腹からケルベロスが燃え上がり弾け飛んだ。
「悪いなイヌッコロ、まだ餌にはなれないんだ。
…お姫様が待ってるからさ」
龍二は小さく弾け飛んだケルベロスを背を向けながら呟きその場を後にした。
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