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三つ目の海坊主
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翌日瑠偉と悟はいやいやながら夢幻堂の扉を開けると、ユタの住む森にやってきました。
森の中は日差しが遮られて沖縄のあの強い日差しからは逃れられるものの、湿度が高くてかえって暑さが強く感じられます。
「ありえねぇよなぁ。沖縄と言えば青い海とマリンスポーツだろうが」
悟はぶつぶつと文句を垂れていますが、悟は普段山の懐に住んでいるのですから緑なんてもうお腹いっぱいなのです。
せっかく沖縄にきたのですから、さっさとブナガヤを見つけ出して、のんびりとマリンスポーツを楽しみたいのでした。
「とりあえずユタの家に行って、これからの作戦を考えようぜ」
瑠偉の提案にみんなが頷きました。
ブナガヤは姿を隠すのが上手いので、やみくもに探したって見つかりっこありません。
「あれぇ。おい瑠偉。ここに保存食が置いてあったよなぁ」
「そうだよ。こんな森の中には妙に不釣り合いな携帯食セットとか乾パンとかビスケット缶とかがあったよね。すっごく不釣り合いだったから覚えているよ」
「だよなぁ。けど無くなっているぞ。全部」
「そんなバカな。獣でも入り込んで食い散らかしたんじゃないのか?」
「そんなら食べかすが残るだろうが。だいいち缶詰なんてどうやって食い散らかすって言うんだよ」
それは確かにその通りです。
「ねぇ。なんか美味しそうな匂いが残っているよ」
ノエルが言えばクラハも賛成しました。
「うむ。洞窟の入り口を入った時から漂ってきておったのう。昨日はそんな匂いはしなかったが」
「おい、まさか」
「そのまさかだろうね。悟。僕たちが夕べここに泊まっていたらブナガヤと遭遇したに違いないよ」
「ふーん。ブナガヤって人間の食べ物が好きなのかな? どう思う瑠偉?」
「僕だってよくはしらないけれども、焔の精霊だろう。なんでも人間の男の子の恰好をしているそうだけど」
「じゃぁさ。赤い髪の毛の俺等ぐらいの子供なのか? 家出したってのは?」
「何だい、いやに具体的じゃないか?」
「瑠偉。お前、後ろを見て見ろ」
悟に言われて振り返ればブナガヤがにこにこと笑いながら立っていました。
「お、お前。お前、ブナガヤだよな。探していたんだぞ。なんで勝手に幽世から出てきたんだよ」
瑠偉は呆れてしまいました。
本来ならば敵役といっても良い退魔師に捜索を依頼するなんてただ事ではありません。
ブナガヤの一族は長の息子の出奔に大騒ぎをしているのです。
「だってさぁ。幽世には青い海がないでしょう? 森とか川とかはあるけれどさぁ。僕は海で遊んでみたくなったんだ」
「海で遊ぶだって? だってブナガヤってのは大抵川底に住んでいるんじゃないのかよ。なんで海なんだ?」
「違うよ。僕らは焔の妖だからね。あまり熱くなりすぎた時に川底で眠るんだよ。まぁ熱くなりすぎる時って大抵人族の集落に近づきすぎた時だからね。それで僕らは川底にいるって思ったんじゃないのかなぁ」
瑠偉が呆れていると悟が嬉し気に話しかけました。
「お前も海が好きなのか? オレたちもお前を幽世に送り届けたら海で遊ぶつもりだったんだ。よかったら一緒に遊ばないか? その代わりに思いっきりあそんだら大人しく家に帰るんだぞ」
瑠偉は頭が痛くなってきました。
これが退魔師の仕事なのでしょうか。
悟ときたらまるで家出少年を諭す叔父さんみたいです。
「いいよ。僕もこっちに来たけれども良く考えたら、海ってどうやって遊べばいいじゃわかんなくてさぁ。だってすごく大きいじゃないか。それで怖くなって森に戻ってきたんだ。よろしく頼むよ」
「おう、任せとけ」
どんと胸を叩いて安請け合いする悟を瑠偉は部屋の隅に連れていきました。
「おい。遊ぶったって金がいるだろう。どうするつもりだよ」
「大丈夫だよ瑠偉。おやじから軍資金をたんまりせしめてきたんだ。そうと決まればまずは宿泊先だよな。ちょっと待ってろよ」
悟はどこかに連絡をするとニコニコと戻ってきました。
「宿が取れたぜ。ブナガヤとダチになったって言ったら大笑いしてやがるんだぜ。まぁそういうことなら思いっきり遊ぶのも仕事だってさ」
「お前のおやじって話がわかるなぁ。それにすっげぇ金持ちなんだな」
「バーカ。必要経費ってことでブナガヤのおやじ殿が支払うに決まってるだろうが。うちのおやじってけっこうがめついから少しばかり経費を多めに見積もるだろうしさ。だから遠慮は無用だぜ」
そんなにがめついんならきっとたっぷりため込んでいる筈だから、やっぱり金持ちじゃないかと瑠偉はこっそり毒づきました。
それに比べれば有朋と瑠偉の生活なんて質素なものです。
瑠偉はちょっとだけ悟が羨ましくなりました。
「うわぁー。綺麗だねぇ」
「すごいや。窓から海がみえるんだね」
「フム、なかなか主どのは言い趣味をしているのう」
悟のおやじ殿が押さえた宿は沖縄でも有数のリゾートホテルでした。
寝室が2つあるスイートルームが瑠偉達のために用意されていました。
一応聖獣とはいえ女の子であるクラハとノエルで1室。
瑠偉と悟、そしてブナガヤの少年とで1室ということでしょう。
他にも居間や食堂、ジャグジーまで完備されていてそれこそいたれり尽くせりです。
そう言えばブナガヤの少年って何と言う名前なのでしょうか?
「僕の名前。そう言えば言ってなかったね。ダリというんだよ」
ほのぼのとした空気が流れている時、ノエルが叫びました。
「瑠偉、海が変だ! あれは妖じゃないの?」
あわててバルコニーに出てみると海が大きく盛り上がり、その中からぬらぬらとした頭が見え隠れしています。
三つ目の大入道です。
「三つ目の海坊主か。これから海で遊ぼうって時に迷惑な奴だ」
「悟、それ違うから」
悟が悔しそうにそんなことを言うので思わず瑠偉は悟を嗜めました。
「クラハ、空から攻撃できるな」
「ノエルも水は苦手だろう。天狐に変じても海に落ちるなよ」
聖獣たちは悟と瑠偉が命令するや否やたちまちノエルは真っ白な大狐に、クラハは黒い羽をもつ大ガラスに変化して飛び立ちました。
「僕も手伝うよ。何といっても水の中でも自由に動けるからね」
「頼むよダリ。出来るだけ足止めしてほしい。 悟も僕が陣を描くまでなんとか逃がさないようにしてくれよ」
ダリはあっという間に海に飛び込んでしまいましたし悟は青く輝く霊力の剣を出現させると、宙を飛んでいきます。
海坊主は小山ぐらいは十分にある大きさのうえに、目が三つもあるせいでクラハが次々に打ち出す羽もうまく払いのけますし、悟の剣だって太い腕で防いでしまいます。
「ふん、でかぶっつめ。これでどうだ」
ノエルが白い息を吐きだすと、たちまち辺りに霜がおり海坊主が氷つきました。
「今だよ! クラハ。悟」
瑠偉の言葉を待つまでもなく、悟とクラハが攻撃を繰り出そうとしたのですが、その時海がぐらぐらと煮えたって氷の呪縛はとけてしまいました。
「もう。ばかなダリ。せっかく凍らせたのに」
ノエルが文句を言いますが、海の温度はどんどん上昇していって、海坊主はそれこそ狂ったように暴れ出しました。
「上手くゆだってくれたらいいけれど、無理のようだな」
悟の言う通りです。
ダリは力を使い果たしたらしく、早々に戦列から離脱してしまいました。
その時「縛」という瑠偉の大音声が響き三つ目の大入道はするすると現れた鎖によってがっちりと固定されてしまいました。
それでも急がないとその剛腕で鎖を引きちぎってしまいそうです。
クラハ、ノエル、悟が一斉に襲い掛かったので、さすがの海坊主も力尽きて倒れてしまいます。
その瞬間夢幻堂の扉が開いて、海坊主の身体はそのまま幽世へと落ちていきました。
「ずるい。瑠偉。まだ全然食べていないのに」
「そうだな。瑠偉どの。あれは食べごたえがありそうだったのに」
だからだよと瑠偉は心の中で毒づきました。
あの三つ目の大入道は、相当弱っていましたから、ノエルとクラハに好きにさせていればあっという間に喰いつくされていたに違いありません。
瑠偉だって経験を積むのです。
そう簡単に妖を滅してしまって、夢幻堂の名前に傷をつけてたまるものですか。
「おい、ダリ。大丈夫か」
聖獣の文句をいなしている瑠偉の横では、悟が疲れ切ったダリを介抱しています。
瑠偉はやれやれと首をふりながら、癒しの術式をダリに施してやりました。
いったい何時になったらバケーションを楽しめるのでしょうか。
森の中は日差しが遮られて沖縄のあの強い日差しからは逃れられるものの、湿度が高くてかえって暑さが強く感じられます。
「ありえねぇよなぁ。沖縄と言えば青い海とマリンスポーツだろうが」
悟はぶつぶつと文句を垂れていますが、悟は普段山の懐に住んでいるのですから緑なんてもうお腹いっぱいなのです。
せっかく沖縄にきたのですから、さっさとブナガヤを見つけ出して、のんびりとマリンスポーツを楽しみたいのでした。
「とりあえずユタの家に行って、これからの作戦を考えようぜ」
瑠偉の提案にみんなが頷きました。
ブナガヤは姿を隠すのが上手いので、やみくもに探したって見つかりっこありません。
「あれぇ。おい瑠偉。ここに保存食が置いてあったよなぁ」
「そうだよ。こんな森の中には妙に不釣り合いな携帯食セットとか乾パンとかビスケット缶とかがあったよね。すっごく不釣り合いだったから覚えているよ」
「だよなぁ。けど無くなっているぞ。全部」
「そんなバカな。獣でも入り込んで食い散らかしたんじゃないのか?」
「そんなら食べかすが残るだろうが。だいいち缶詰なんてどうやって食い散らかすって言うんだよ」
それは確かにその通りです。
「ねぇ。なんか美味しそうな匂いが残っているよ」
ノエルが言えばクラハも賛成しました。
「うむ。洞窟の入り口を入った時から漂ってきておったのう。昨日はそんな匂いはしなかったが」
「おい、まさか」
「そのまさかだろうね。悟。僕たちが夕べここに泊まっていたらブナガヤと遭遇したに違いないよ」
「ふーん。ブナガヤって人間の食べ物が好きなのかな? どう思う瑠偉?」
「僕だってよくはしらないけれども、焔の精霊だろう。なんでも人間の男の子の恰好をしているそうだけど」
「じゃぁさ。赤い髪の毛の俺等ぐらいの子供なのか? 家出したってのは?」
「何だい、いやに具体的じゃないか?」
「瑠偉。お前、後ろを見て見ろ」
悟に言われて振り返ればブナガヤがにこにこと笑いながら立っていました。
「お、お前。お前、ブナガヤだよな。探していたんだぞ。なんで勝手に幽世から出てきたんだよ」
瑠偉は呆れてしまいました。
本来ならば敵役といっても良い退魔師に捜索を依頼するなんてただ事ではありません。
ブナガヤの一族は長の息子の出奔に大騒ぎをしているのです。
「だってさぁ。幽世には青い海がないでしょう? 森とか川とかはあるけれどさぁ。僕は海で遊んでみたくなったんだ」
「海で遊ぶだって? だってブナガヤってのは大抵川底に住んでいるんじゃないのかよ。なんで海なんだ?」
「違うよ。僕らは焔の妖だからね。あまり熱くなりすぎた時に川底で眠るんだよ。まぁ熱くなりすぎる時って大抵人族の集落に近づきすぎた時だからね。それで僕らは川底にいるって思ったんじゃないのかなぁ」
瑠偉が呆れていると悟が嬉し気に話しかけました。
「お前も海が好きなのか? オレたちもお前を幽世に送り届けたら海で遊ぶつもりだったんだ。よかったら一緒に遊ばないか? その代わりに思いっきりあそんだら大人しく家に帰るんだぞ」
瑠偉は頭が痛くなってきました。
これが退魔師の仕事なのでしょうか。
悟ときたらまるで家出少年を諭す叔父さんみたいです。
「いいよ。僕もこっちに来たけれども良く考えたら、海ってどうやって遊べばいいじゃわかんなくてさぁ。だってすごく大きいじゃないか。それで怖くなって森に戻ってきたんだ。よろしく頼むよ」
「おう、任せとけ」
どんと胸を叩いて安請け合いする悟を瑠偉は部屋の隅に連れていきました。
「おい。遊ぶったって金がいるだろう。どうするつもりだよ」
「大丈夫だよ瑠偉。おやじから軍資金をたんまりせしめてきたんだ。そうと決まればまずは宿泊先だよな。ちょっと待ってろよ」
悟はどこかに連絡をするとニコニコと戻ってきました。
「宿が取れたぜ。ブナガヤとダチになったって言ったら大笑いしてやがるんだぜ。まぁそういうことなら思いっきり遊ぶのも仕事だってさ」
「お前のおやじって話がわかるなぁ。それにすっげぇ金持ちなんだな」
「バーカ。必要経費ってことでブナガヤのおやじ殿が支払うに決まってるだろうが。うちのおやじってけっこうがめついから少しばかり経費を多めに見積もるだろうしさ。だから遠慮は無用だぜ」
そんなにがめついんならきっとたっぷりため込んでいる筈だから、やっぱり金持ちじゃないかと瑠偉はこっそり毒づきました。
それに比べれば有朋と瑠偉の生活なんて質素なものです。
瑠偉はちょっとだけ悟が羨ましくなりました。
「うわぁー。綺麗だねぇ」
「すごいや。窓から海がみえるんだね」
「フム、なかなか主どのは言い趣味をしているのう」
悟のおやじ殿が押さえた宿は沖縄でも有数のリゾートホテルでした。
寝室が2つあるスイートルームが瑠偉達のために用意されていました。
一応聖獣とはいえ女の子であるクラハとノエルで1室。
瑠偉と悟、そしてブナガヤの少年とで1室ということでしょう。
他にも居間や食堂、ジャグジーまで完備されていてそれこそいたれり尽くせりです。
そう言えばブナガヤの少年って何と言う名前なのでしょうか?
「僕の名前。そう言えば言ってなかったね。ダリというんだよ」
ほのぼのとした空気が流れている時、ノエルが叫びました。
「瑠偉、海が変だ! あれは妖じゃないの?」
あわててバルコニーに出てみると海が大きく盛り上がり、その中からぬらぬらとした頭が見え隠れしています。
三つ目の大入道です。
「三つ目の海坊主か。これから海で遊ぼうって時に迷惑な奴だ」
「悟、それ違うから」
悟が悔しそうにそんなことを言うので思わず瑠偉は悟を嗜めました。
「クラハ、空から攻撃できるな」
「ノエルも水は苦手だろう。天狐に変じても海に落ちるなよ」
聖獣たちは悟と瑠偉が命令するや否やたちまちノエルは真っ白な大狐に、クラハは黒い羽をもつ大ガラスに変化して飛び立ちました。
「僕も手伝うよ。何といっても水の中でも自由に動けるからね」
「頼むよダリ。出来るだけ足止めしてほしい。 悟も僕が陣を描くまでなんとか逃がさないようにしてくれよ」
ダリはあっという間に海に飛び込んでしまいましたし悟は青く輝く霊力の剣を出現させると、宙を飛んでいきます。
海坊主は小山ぐらいは十分にある大きさのうえに、目が三つもあるせいでクラハが次々に打ち出す羽もうまく払いのけますし、悟の剣だって太い腕で防いでしまいます。
「ふん、でかぶっつめ。これでどうだ」
ノエルが白い息を吐きだすと、たちまち辺りに霜がおり海坊主が氷つきました。
「今だよ! クラハ。悟」
瑠偉の言葉を待つまでもなく、悟とクラハが攻撃を繰り出そうとしたのですが、その時海がぐらぐらと煮えたって氷の呪縛はとけてしまいました。
「もう。ばかなダリ。せっかく凍らせたのに」
ノエルが文句を言いますが、海の温度はどんどん上昇していって、海坊主はそれこそ狂ったように暴れ出しました。
「上手くゆだってくれたらいいけれど、無理のようだな」
悟の言う通りです。
ダリは力を使い果たしたらしく、早々に戦列から離脱してしまいました。
その時「縛」という瑠偉の大音声が響き三つ目の大入道はするすると現れた鎖によってがっちりと固定されてしまいました。
それでも急がないとその剛腕で鎖を引きちぎってしまいそうです。
クラハ、ノエル、悟が一斉に襲い掛かったので、さすがの海坊主も力尽きて倒れてしまいます。
その瞬間夢幻堂の扉が開いて、海坊主の身体はそのまま幽世へと落ちていきました。
「ずるい。瑠偉。まだ全然食べていないのに」
「そうだな。瑠偉どの。あれは食べごたえがありそうだったのに」
だからだよと瑠偉は心の中で毒づきました。
あの三つ目の大入道は、相当弱っていましたから、ノエルとクラハに好きにさせていればあっという間に喰いつくされていたに違いありません。
瑠偉だって経験を積むのです。
そう簡単に妖を滅してしまって、夢幻堂の名前に傷をつけてたまるものですか。
「おい、ダリ。大丈夫か」
聖獣の文句をいなしている瑠偉の横では、悟が疲れ切ったダリを介抱しています。
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