どん底から頂点を目指しました

ゆめ

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ご飯で決意

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 今俺はとてつもなくピンチだ。
 多分もう少しで死ぬんじゃないかってーぐらいにピンチだ。
「ア・ド・二・スゥゥゥ????」
 俺を意を決して俯いていた顔を少しあげる。
 目の前には…それはもう大層お怒りの一人の女性ー母さんが立っていた。
 前世では母さんと呼べる人物がいなかったため感じることもなかったのだが…母とはこんなにも怖いんだな。うん。覚えとく。
「あなたね!!家を勝手に抜け出すなんて何してるのっ!」
 そう。俺はいつも隠れて家を出ては食料(という名の肉)を探しにほっつき歩いてる。いつもは母さんにバレないよう出かけてるのだが今日はちょっと失敗した。
 だって魔法練習したかったんだもん。仕方ねぇじゃん。
「あ、いや…その……ごめんなさい…」
 いい言い訳が思いつかず謝罪する。
 すると母さんが一つため息をついた。
「あのね、貴方はほかの子よりも頭も良いけどね、まだ三歳なの」
 すっかり忘れていた。
 そうだ。俺はまだガキだった。
「あんまり…心配かけさせないでちょうだい」
 母さんの怒りが俺に対する心配からきているものだと遅まきながら気づいた。
「ごめんなさい…今度は気をつける」
 もう一回謝る。今度は心から。
 心配させてごめんなさい、と。
 「ん、ならよし。じゃ、ご飯にしましょうか」
 母さんが俺の頭を撫でてくれる。
 だが気づいただろうか。俺は気をつける、とは言ったがこれからは辞める、とは言ってない。つまりまた出かけることはあるという事だ!ふははははは
 全くこりていない俺に気づくことなく母さんは食卓の方へ行った。

「いただきます」
 手を合わせて食事の前の挨拶をする。
 本来この世界では食事の前に挨拶をすることはないと言うのだが俺の場合記憶に染み付いてる為自然と出てしまう。母さんに一回聞かれたことがあるが適当に返しておいた。
「はい。召しあがれ」
 俺が食べ始めると母さんはいつも微笑んでくれる。母さんの嬉しそうな顔は好きだ。
 だがいつも思うが少し物足りない。
 食卓に並んでいるのは木の実や安く売っている芋を蒸したもの。
 それでも文句は言えない。何故なら母さんは俺が少しでも空腹に困らないようにと自分の分までも俺に分けてくれてるからだ。だからこそ俺は魔法を練習しなければならない。
 今日練習していた森のもっと奥には動物達が数多くいるらしい。だが同時に凶暴でもある。だから普通の人間では殺すことは不可能。こちらが餌となるだけだ。だが、魔法なら違うだろう。強力な魔法を当てれば狩ることは可能だ。そう予想つけた。
 俺は食べながら心に誓う。
 絶対に母さんに楽にさせてやる、と
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