裏路地古民家カフェでまったりしたい

雪那 由多

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祝いと呪いのブレンドコーヒー 8

 すでに一人でほぼ庭造りを終わらせていた兄貴は一通り終わってもこうやって顔を出してはメンテナンスをしてくれている。アフターケアどころか園芸なんて知らない俺からしたら感謝が止まらなく、お礼は出世払いのコーヒーチケットで良いですかと言えばものすごくいい笑顔で工務店を通してお支払お願いしますと言う手厳しい兄貴だった。
「雑草もなくってすごいですね。実はどれが雑草かも俺分らなかったんです」
「そうですよね。雑草も可愛いお花咲かせますからね。
 とりあえず土も入れ替えたのといくつか抜いた分少し根っこも整理したりばっさり切ってだいぶ樹が弱ってるので園芸部に見るように言ってても今は自分で見ないと安心できないですから夏が終わるまでは油断できませんよね」
 枝垂れ梅に手を添えて見上げながら笑う足元は記憶の中では剥き出しの土だった所に苔も移植していた。しかも根付かせるようにピックみたいなものとワイヤーでめくれないようにする配慮にも驚いている間に水道が使えないので灯油を入れる一斗缶にお水を入れて持って来たようで目いっぱい水をまいていた。
「いろいろ移植した後だからね。たっぷりお水与えて根付かせないと」
 そう言って水を撒く横顔は我が子を見守る母親その物。
 そういやお子さんがいたんだっけと思えばいつか親子で喫茶店に来てもらえるようにジュースのメニューも用意しなくちゃな。出来ればホットケーキ位添えればいいなと少し広がる夢がメニューとして形になっていく気になった。
「じゃあ、先にご飯に行ってますので遅くならないようにお願いします」
「はい。遅れると怒られますので直ぐ行きますよ」
 言いながらも急ぎ気味に水を撒く。
「そう言えばご飯食べた後いつもどこかへと行ってますがどちらに?」
 じょろじょろと水をまきながら芝生よ早く根付よーなんて呪文を唱えながら
「ご飯を食べた後は生花市場に行くんです」
「あー、朝行くんじゃないんですね」
 聞けば実桜さんは笑い
「朝は生花を摘み取る時間だから。そこから作業場に戻って市場や農協に降ろす為にサイズをそろえたり汚れを落したり纏めたりしすると大体午後までかかります。
 農協はすぐ側なので出来た傍からすぐ売りに行かせるけど、市場だとある程度数が必要になりますから。やっぱりどう頑張っても午後になるので、ご飯食べてから出かける事にしてます」
 そして最短夕方には購入先の所に運び込まれ、次の朝小売店へと流れて行くと言う事らしい。
「教科書でしくみは知っているけど、時間を付けるとかなり手間がかかってるな」
「ですよねー。
 大体朝どれ野菜が朝に店先に並ぶわけないですよー。それは生産者の特権ですよー」
 あははと笑いながらも気になる枝を切り落としているのを見守っていれば

「おら! そこの二人! さっさと昼飯食べるぞ!」

「はわわわ! 燈火さん、うちのボス時間はそれなりに守るタイプなので急ぎましょう!」
 何てさっきまで丁寧に水をまいていたはずなのに一斗缶をひっくり返して強制終了。そういうものなの?更に唖然としている俺を置いて脱兎のごとく駆け足で篠田の家へと一直線にむかうのだった。
 文字通り、家の中を通ると言う様に急ぎましょうと急かすのだから俺も慌てるように走って追いかけて行く。
 だけど一瞬目を離したすきに兄貴の姿は消えていた。
 50Mもしないうちにばてて置いて行かれた運動不足の俺も問題あるが兄貴に置いて行かれたけど所詮は道路を挟んだ大体裏側の家がゴール。入口はぐるりと回らないといけないけど、その途中で遠藤と言う表札を見てひょっとしてと思って辿り着いたゴールで聞いてみる。
「ああ、それうちの表札。
 社長の所に部屋を格安で貸してもらってるんだ。ちなみに最短ルートでうちの通路突っ切ってってもらえばすごく近いからおススメ」
「は、早く言ってくれ……」
 ぜーはーと膝に手をついて項垂れてしまう。
「それー。前は俺達住んでたんだけど引っ越したからな。
 結構いいもの造ってもらったんだけど園芸部が住んでくれて安心したよ」
 岡野旦那と園芸部がウェーイとハイタッチ。
 乗りの良さに完成した暁には篠田の職場の人と飲み会でも開きたいなとこの街で新しく知り合った歳のばらばらな人を友達と呼びたいと思い出してお昼のお弁当を食べ、良薬にもならないまだまだ苦いだけのコーヒーをグイッと飲んで軽く胃もたれを覚えた所で
「さて、昼からの予定は……」
 そんなランチミーティング。
 罰ゲーム言わない。



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