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この世には知ってはならない秘密がある
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ギルドの話題になりアラベスクの名前を出した所で少し機嫌の悪くなった空気に
「ベルリオーズ様はアラベスクに何か、思った事があるのでしょうか?」
見ず知らずの私にご飯を食べさせてくれる程度に親切な人からの隠しきれなかった嫌味にどうしたのかと思って聞いてみれば
「本来この屋敷に雇ったのはアラベスクの侍女なのよ。
だけど仕事が辛い、私達の仕事じゃないって言って碌な仕事もしなかったから首にしたの。
そしたら腹いせにこれはうちでは取り扱わない懸案ですねって一方的に言ってきて冒険者ギルドに仕事を移動しやがった、てね……」
「まぁ、入り口の雑草を見れば躊躇います」
「うーん、そこまで酷い物かしら?
任務に出かけると似たような場所ばかり歩かされるから今一つ酷さが判んないんだけど……まあいいわ。
そんなわけでおっさんちゃんと仕事をしないアラベスクは嫌いなの。
その点ルノワールはいいわよぉ。
ギルドマスターのホークもギルド始める前までは気の良い冒険者だったし。
よく任務先でかちあって一緒に仕事をした仲なのよ。
仕事のえり好みはしないし最後まで責任を持つし、多少の危険も顧みないし殺しても死にそうもないあの生命力が一番の魅力よね」
「なんか、ホークさんが可愛そうな言葉が並んでいる気がしますが……」
思わず最後の一言に身震いをしてしまうも
「なーに、それだけ信頼を預ける事の出来る相手って事よ」
言いながらもお茶と一緒に並べたワインも取り出して来たから一緒にご飯を食べているのに手酌をさせるわけにはいかないとお酌をする。
どこか嬉しそうに目を細めてワインで喉を潤す様はさすが侯爵様と言った所だ。
うわさでしか聞かないが人気ある独身貴族と言うのは納得できたが、たぶんこの家を見れば疑うしかない光景に結婚とは縁遠い所に居るのだろうと思わずにはいられない。
「ああ、そうそうお嬢ちゃん。
今までホークに散々我が儘言って来たからこの依頼はお嬢ちゃんにお願いするけど……」
「いいのですか?!
学もマナーも総てが中途半端な私なのに!」
思わずと言う様に前のめりになって訪ねてしまえば気の良い主人は笑みを浮かべ
「この屋敷でやって行けるのなら依頼書通りまずは一月お試しで働いて見ましょう。
続けれるようだったらそのまま就職してもらっても構わないし、無理だったらすぐにやめてもらってもいいわよ」
まさかの提案に感涙と言う様に溢れそうになる喜びの涙を抑えつけて
「よろしくお願いします!
あの備考欄に住み込み可能と書いてありまして、それを頼りに仕事を選んでしまいまして……」
そこはどうなのかと再確認すればベルリオール様はそっぽ向いて
「まぁ、そこのドアを出て左に曲がって道なりに行くとぐるりと回って北側の使用人の塔に行けるんだけど、あっちにメインキッチンとかがあるんだけどね、二階から上が使用人部屋になってるから好きなところ使っていいわよ」
「あ、ありがとうございます!」
寝る場所の確保が出来た!
仕事もとりあえず一月決まったしやれるとなったらそのままこちらを定職としても良いとまで言ってくれた。
さっきまで散々な出来事に悔し涙を堪えてここまで来たかいがあった物だと思いながらも食事を終えた私は食器を先ほどの小さな炊事場で洗おうとするも
「あの、よろしければメインキッチンの方を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
これから働くとなればさっきまでのいい加減な話し方は許されない。
母には育児放棄されたがその代り執事や侍女達がそれなりに躾けてくれた作法に則って言葉を紡ぐも
「まぁ、行ける物なら探検してらっしゃい」
そっぽ向いて顔を合わせない主人はテーブルに残されたワインをぐびぐびと呑んでいた。
何があるのかと扉を開けようとすれば……
「?」
扉が開かなかった。
ひょっとして引き戸かと思うもそんなわけがなく、斬新にスライドドア?と思って引くもピクリともしない。
「あの……」
ドアに鍵がかかっているのでは?と思って聞けば、ベルリオーズさんは扉横の小さな小窓から外の様子を見せてくれた。
その小窓の外の景色に唖然とする。
小窓のすぐ下までに積もり積もった衣類や瓶、その他謎の物達で埋め尽くされた廊下。
さらに開けた小窓からただよってくる悪臭と何やら小さな虫の羽音……
黙って小窓を閉ざして今自分が見た物を理解する様に、そしてそれは何だったのかと頭の中を整理する様に扉に頭を押しつけていれば
「久しぶりに見たけど、雪崩が起きていたみたいねぇ」
きっと廊下の外の景色を作った張本人だろうこの屋敷の主は私と一切視線を合わせず明後日の方を向いて「大変な事になっちゃったわー」なんて暢気な事を言っていた。
「ベルリオーズ様はアラベスクに何か、思った事があるのでしょうか?」
見ず知らずの私にご飯を食べさせてくれる程度に親切な人からの隠しきれなかった嫌味にどうしたのかと思って聞いてみれば
「本来この屋敷に雇ったのはアラベスクの侍女なのよ。
だけど仕事が辛い、私達の仕事じゃないって言って碌な仕事もしなかったから首にしたの。
そしたら腹いせにこれはうちでは取り扱わない懸案ですねって一方的に言ってきて冒険者ギルドに仕事を移動しやがった、てね……」
「まぁ、入り口の雑草を見れば躊躇います」
「うーん、そこまで酷い物かしら?
任務に出かけると似たような場所ばかり歩かされるから今一つ酷さが判んないんだけど……まあいいわ。
そんなわけでおっさんちゃんと仕事をしないアラベスクは嫌いなの。
その点ルノワールはいいわよぉ。
ギルドマスターのホークもギルド始める前までは気の良い冒険者だったし。
よく任務先でかちあって一緒に仕事をした仲なのよ。
仕事のえり好みはしないし最後まで責任を持つし、多少の危険も顧みないし殺しても死にそうもないあの生命力が一番の魅力よね」
「なんか、ホークさんが可愛そうな言葉が並んでいる気がしますが……」
思わず最後の一言に身震いをしてしまうも
「なーに、それだけ信頼を預ける事の出来る相手って事よ」
言いながらもお茶と一緒に並べたワインも取り出して来たから一緒にご飯を食べているのに手酌をさせるわけにはいかないとお酌をする。
どこか嬉しそうに目を細めてワインで喉を潤す様はさすが侯爵様と言った所だ。
うわさでしか聞かないが人気ある独身貴族と言うのは納得できたが、たぶんこの家を見れば疑うしかない光景に結婚とは縁遠い所に居るのだろうと思わずにはいられない。
「ああ、そうそうお嬢ちゃん。
今までホークに散々我が儘言って来たからこの依頼はお嬢ちゃんにお願いするけど……」
「いいのですか?!
学もマナーも総てが中途半端な私なのに!」
思わずと言う様に前のめりになって訪ねてしまえば気の良い主人は笑みを浮かべ
「この屋敷でやって行けるのなら依頼書通りまずは一月お試しで働いて見ましょう。
続けれるようだったらそのまま就職してもらっても構わないし、無理だったらすぐにやめてもらってもいいわよ」
まさかの提案に感涙と言う様に溢れそうになる喜びの涙を抑えつけて
「よろしくお願いします!
あの備考欄に住み込み可能と書いてありまして、それを頼りに仕事を選んでしまいまして……」
そこはどうなのかと再確認すればベルリオール様はそっぽ向いて
「まぁ、そこのドアを出て左に曲がって道なりに行くとぐるりと回って北側の使用人の塔に行けるんだけど、あっちにメインキッチンとかがあるんだけどね、二階から上が使用人部屋になってるから好きなところ使っていいわよ」
「あ、ありがとうございます!」
寝る場所の確保が出来た!
仕事もとりあえず一月決まったしやれるとなったらそのままこちらを定職としても良いとまで言ってくれた。
さっきまで散々な出来事に悔し涙を堪えてここまで来たかいがあった物だと思いながらも食事を終えた私は食器を先ほどの小さな炊事場で洗おうとするも
「あの、よろしければメインキッチンの方を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
これから働くとなればさっきまでのいい加減な話し方は許されない。
母には育児放棄されたがその代り執事や侍女達がそれなりに躾けてくれた作法に則って言葉を紡ぐも
「まぁ、行ける物なら探検してらっしゃい」
そっぽ向いて顔を合わせない主人はテーブルに残されたワインをぐびぐびと呑んでいた。
何があるのかと扉を開けようとすれば……
「?」
扉が開かなかった。
ひょっとして引き戸かと思うもそんなわけがなく、斬新にスライドドア?と思って引くもピクリともしない。
「あの……」
ドアに鍵がかかっているのでは?と思って聞けば、ベルリオーズさんは扉横の小さな小窓から外の様子を見せてくれた。
その小窓の外の景色に唖然とする。
小窓のすぐ下までに積もり積もった衣類や瓶、その他謎の物達で埋め尽くされた廊下。
さらに開けた小窓からただよってくる悪臭と何やら小さな虫の羽音……
黙って小窓を閉ざして今自分が見た物を理解する様に、そしてそれは何だったのかと頭の中を整理する様に扉に頭を押しつけていれば
「久しぶりに見たけど、雪崩が起きていたみたいねぇ」
きっと廊下の外の景色を作った張本人だろうこの屋敷の主は私と一切視線を合わせず明後日の方を向いて「大変な事になっちゃったわー」なんて暢気な事を言っていた。
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