結局は

殺された未来

「人は変われる。」
と、誰かが何も知らずに僕に言う。
だがそんな言葉に俺はこう思うのだ。
（所詮は人の妄想だ。）
と。
確かに変われる人間はいるかもしれない。
しかしそれは選ばれた人間だけだった。
俺は選ばれた人間でありたかったわけじゃない。
ただの人でありたかった。
当たり前のことを当たり前にできる。
そんな人間でありたかった。
それが小さいころに思い描いていた夢だった。
だがどうだろう。
俺には何もできなかった。
誰かとともにいることも、
真実で会話することさえ、
俺には何もできなかった。

俺には無理だった。
結局はただの夢だった
俺には無理だった。
結局いつかは天国のような場所に行けるのだと思っていた。
俺には無理だった。
結局いつかはそんな場所に行けるような人間になると思っていた。
俺には無理だった。
結局待っていたのは地獄だった。
俺には無理だった。
結局生きる理由なんてどこにもなかった。
俺には無理だった。
結局生きる価値なんて見いだせなかった。
俺には無理だった。
結局目の前にあるのは絶望だった。

俺には無理だった。

結局俺には、死ぬ勇気すらなかったんだ。